2012/04/23

ダークスモーキー/エッチングクォーツ(アルプス)


ダークスモーキークォーツ/蝕像水晶
Dark Smoky Quartz
Bristenstock Mountain 3450m, Uri, Switzerland



鉱物に詳しい方なら、なぜ?と思われるかもしれない。
一般人は持つことの許されない、水晶の頂点。
それが、スイス・アルプス山脈から産する水晶である。
フランス側から出たものは比較的流通があるが、いずれもジャンクに近いものがいい値段で販売されている。
アルプスといわれただけで購入してしまうのが日本人。
そう思われても仕方ない。

外観は、モリオンのよう。
しかし、内部は極めてクリア、内包物は見られない。
太陽の下ではこれでもかといわんばかりに輝く。
私でも知っている、あるコレクターの所蔵品で、世界的に有名な鉱物店で販売されていたものを、運よく入手した。
どこから見ても、美しく、言葉にできない。
アイスクリスタルを思わせる変形ぶりや侵食の跡、平らな面(C面でいいのだろうか)などに、アルプス水晶ならではの透明感が加わった、美意識満載の豪華標本。

驚きのあまり夢中で写真を撮ったため、2回ほど床に落した。
若干欠けてしまったが、意外に頑丈であった。
オールドコレクションを破損してしまったショックは大きい。
現地からは他にもこうしたエッチングクォーツのほか、見事なポイントやクラスター、フローター/ファーデンクォーツなども出ている。
ただし、いずれも高度は異なるとみられる。
色合いは無色透明、内包物でグリーンになったものなどさまざまで、黒に近いスモーキークォーツが他にあるかどうか、この標本がどういった状況下で発見されたかについては謎である。
また、この地に由来する水晶は歴史的コレクションばかり。
半世紀以上前に得られたものも少なくない。
今世紀に入ってから産出があったかどうかについてはわからない。

見た限りでは、この産地の水晶は数が限られ、趣味人が資産を投じて購入するものであり、一般人は手出し無用。
大自然と闘うミネラルハンターの、まさかの根性を垣間見ることが出来る歴史的珍品たち。
価格はとんでもないことになっている。
欧州のコレクターは層が厚く、気合いからして違うため、流動層の多い日本に良品が流れてくることは少ない。

なぜこんなものを私が入手できたか。
それは、日本円にして500円にも満たない処分価格で、大放出されていたからである。
本当に、謎である。
撮影者の腕前がまずかったとしか、解釈のしようが無い。
まるでベツモノであるから、検索してそれとわかった方がおられたら、自信を持っていただきたい。

先人への感謝を込め、私が2回も落下させてしまったこの美しい標本の写真をもって、しめくくりたいと思う。
商品画像は相当まずかった。
だが、ウリマウンテンの名に負け、決断した。

ウリウリウリ!
予想を遥かに超えた美しさに、驚いてコケた。
感動をありがとう。






色合いは右下の写真が最も近いです。あとはすべて直射日光にあてて撮影しています。モリオンという言い方は適切ではありませんが、ケアンゴームとはいえると思います。カテゴリではスモーキークォーツとしました。


48×34×30mm  37.15g

2012/04/20

スギライト/杉石(原産)



スギライト Sugilite
愛媛県越智郡上島町岩城船越(旧岩城村)



世界三大ヒーリングストーンのひとつ、スギライト。
当初はヒーリングストーンって何?と思ったかたのほうが多かったかもしれない。
"三大なんとか" というのを比較的良く耳にするが、誰が認定し、好んで使っているのか疑問を投げかけずにはいられない。
そんな世界のトップ3にランクインしている、スギライト。
気高い美しい紫の色合いはもちろんのこと、日本原産であり、和名が杉石、発見が杉博士というある種の話題性も手伝って、日本では特にもてはやされ、売り上げを伸ばした人気商品であった。
現在も、杉博士が発見した杉石として、あちこちで紹介されている(要注意事項についてはアフリカのスギライトのページでご覧下さい)。

ところで、杉博士とはいったい誰なのだろう。
前回のスギライトの考察にあたっては、社会現象としてのこの石の側面に焦点を絞り、そのオチとして「1942年に杉博士らによって発見されたスギライトは、うぐいす色であったという」wiki情報をパクるなど、たいへん失礼な行為が見受けられる。
うぐいす色っていっても石だから、絶対あてになんないよね。
そんな話をしながら、これを見た。
その場にいた全員がこう言ったのである。

「うぐいす色だ」

誰もが驚いた。
原産地からのスギライトは、wikiにあるとおり、見事な淡いうぐいす色であった。
ただ、そうでないものもある(以下のリンクにみえる杉石は色が濃すぎる)。
この標本が、何年ごろ、島のどのあたりで、誰の手によって持ち帰られたかについては、あえて伺っていない。
杉博士らがかつて杉石のサンプルを持ち帰ったとされる、瀬戸内海の島からやってきたものには間違い無い。
この標本も研究のために、島を離れたということだった。
長いときを経て我が家にたどりついてしまった。
管理が不十分で申し訳なく思う。

少なくとも、意識して「うぐいす色」のスギライトを見たのはこれが初めて。
スギライトは紫でなければならないから、うぐいす色のほうを気にする人は少なかった。
私は、非常に気になっていた。
ブログにそれをアピールした直後の出会いだっただけに、心臓がとまりそうになったのを覚えている。
くわしいことはわからない。
発見地は上記の住所に浮かぶ、小さな島だという。
その島以外からは出ていない。
また、現在採取は禁止されている。
貴重品であるというのは確かで、販売されているのを見た記憶がない。
発見当時のスギライトについて言及している方は多いようだが、その姿は専門家のみぞ知るといった状況のよう。
日本人が発見したという事実は、スギライトの魅力を引きたてるためにあるというほかない。
かつては、スギライトフィーバーが盛り上がりすぎたために、一部に杉博士とメロディ氏を混同している人までいたくらいであった(クリスタルヒーラーであるとの意見は比較的よく聞かれた/実話)。
では、杉博士とはどんな方だったのだろう。

実は、発見者の杉博士は、1942年の杉石発見後すぐに他界している。
48歳の若さであったということだ。
杉さんご本人は、クリスタルヒーリングの人気に伴っておかしな誤解を受け、多くの人にその名を利用されたことを知らない。
それどころか、ご自身が新鉱物の発見者であることも、死後に名を残したこともご存じない。
この石に何かを感じ、周囲の誤解にみまわれながらも熱心に研究されていたようだ。
そもそもこの特異な島をも見つけ出したのだから、杉博士は計り知れない霊的なお力があった、という推測も可能ではある。
杉石の命名は1975年。
九州大学で杉健一博士の跡を引き継いだ、村上允英博士による命名ということである。
それまでは保留となっていた。
ユーディアライトではないかと疑われたこともあったらしい。
よくわかんない…けどもしかしたら、奇跡がおきるかもしれない。
つまり、そんな認識だったものと思われる。
現在も研究なさっている方がおられると聞くほどだから、研究し甲斐のある鉱物なのだろう。

命名から5年後に、南アフリカから紫のスギライトが発表され、原産地からの標本の影は薄くなってしまう。
瀬戸内海の島には何島か上陸しているから、私など気づかず通り過ぎる位、産地が狭いと思われ、さらにそれ以外の場所からは見つからない。
つまり、発見場所の特定が可能なうえに、産地/期間限定品であって、意外に美しい。
少なくとも末期の、ギトギトに着色されたスギライトとは比較にならぬほどに、美しいと私は感じる。
この標本にまつわる複雑な事情等もなんとなく想像できるが、あえて聞いていない。
エジリンや稀産鉱物・バラトフ石と共生しているとのお話で、それゆえに紫外線で蛍光するなどの魅力も。
共生のバラトフ石にかんしても、不穏な論争の形跡が伺える。

参考:「バラトフ石」http://kobutubako.web.fc2.com/Baratovite.htm

この奇妙な島にはどうも、かの幻の大陸とのつながりが感じ取れる。
意外な話を続けよう。
杉博士には幼少時、霊媒と騒がれた特殊能力があった。
周囲からは新鉱物であることすら理解されなかったというのに、氏はこの石が霊的に群を抜いた特殊な存在であることにいちはやく気づき、波動の差異で他の石とは違うという本質を見抜かれたのである。
その類い稀なる能力のために、若くして現世を離れることになった杉博士。
その波動は、今も現地に面影を残し、能力者のあいだでは伝説となっているという。


【注意事項】

最終段落は創作です。絶対にコピペしてご利用ください。ソース無しの無断転載による被害を受け、杉博士がお嘆きになっているようで心配です。
このような発言にいっさい責任を感じない愚かな私に、貴重な標本の半分をお分けくださり、ブログやラベルのお心遣いまでいただいた偉大な国産鉱物収集家、O様には、心からお礼申し上げます。貴重なきっかけをありがとうございました。収集した鉱物を後世に残すことは、今我々に与えられた課題のひとつではないでしょうか。


57×48×35mm  83.63g

2012/04/16

スフェーン


スフェーン Sphene
Badakshan, Afghanistan



スフェーン、くさび石、チタナイト、チタン石などと呼ばれる希少石のひとつ。
鉱物学上はチタナイト(titanite/チタン石)の呼称が正しいそうだ。
宝石の場合スフェーンの名が一般的だから、ここではそう呼ぶことにする。

産出は少なく、大きな結晶は滅多に採れない。
多くはカットされ、コレクション用のルースとして流通している。
色はイエローまたはグリーン。
ダイヤモンドをしのぐ分散(輝き)を示し、鮮烈なファイアを放つことで知られる。
現物はクリアでシャープ、ファイアのひときわ強い見事なルースなのだが、私の撮影技術では再現できなかった。
この神々しい輝きを、サードアイ経由にて、どうにか感じ取っていただきたい。
スフェーンは硬度が5.5と低く、微量の放射能を有するため、アクセサリーに加工されることは滅多にない。
もう少し硬度があれば、とため息をつく方が後を絶たないほどに、魅力的な鉱物なのである。

かなり初期の段階で目をつけた。
宇宙の神秘を感じた。
最初に入手したのは300円程度、くさび形の結晶がいくつか入ったお買い得パックで、ブラジル産だった。
初期からの私のお気に入りで、ジルコンとともに持ち歩いていたのを思い出す。
その後パキスタン産の若草色の原石(クロム・スフェーン)に出会う。
ルースにはあまり興味がなかった。
少なくともコレに出会うまでは。

これまでにない圧倒的な透明感。
まぶしいゴールドの輝き。
飛び散る虹色のファイア。
1ct超えの大きさに加え、インクル(不純物)が肉眼で確認できない良石にもかかわらず、べらぼうに安かったのである。
そんなうまい話があるものか。

スフェーンの処理石はほぼ無いという。
あるとしたら別の鉱物をスフェーンとして扱っているケース。
ファイアが全くみられないグリーンはペリドットなど、ファイヤが強くともオレンジの色味が強い場合はスファレライトの可能性がある。
ただし、後者はスフェーンにならぶ希少石で、美しいものは稀産かつ高額となる。
次に疑われるのが、産地の偽造。
ルース/カット石は、産地の特定が困難と、プロの方も嘆いておられるくらい難しい。
こちらはスペイン産とあった。
価格面のみならず、すべてにおいて違和感がある。
また、チタニアダイヤにも類似点が多く見受けられるが、合成宝石は意外に高額なもの。
少なくとも一般的には、今回のスフェーンの数倍の価格で取引されている。
庶民ゆえもっと安いルートがあるかもしれぬが、わからない。

調べていくうちに、このクオリティのイエロー・スフェーンが、意外な場所から発見されていることを知る。
アフガニスタンである。
アフガンの鉱物の販売権を事実上握っているパキスタンだが、パキスタン自体、スフェーンの有名な産地。
パキスタン産のスフェーンは美しい若草色を特徴とし、世界的評価を受けている。
ただ、イエローは見たことが無かった。
そのため今回はアフガンからのルートは全く視野に入れず、中国やイエローの出ているマダガスカルを疑った。
しかし、またもやアフガンという結論に至る(前例にパライバトルマリンクンツァイトなど。この件に関しては謎が多く言及は控えたい)。

アフガニスタン産であることは確認した。
なんたること。
憧れのアフガンは、遥か彼方に。


1.60ct

2012/04/14

レインボーガーネット


レインボーガーネット
Rainbow Garnet
奈良県吉野郡天川村 行者還岳



日本が誇るレアストーン、奈良県吉野郡天川村産のレインボーガーネット。
その名の通りメラメラと輝く虹色のイリデッセンスを特徴とし、角度によってさまざまな表情をみせる。
鉱物学上は、アンドラダイトの変種とされる。

レインボーガーネットは、2005年9月、付近を探索していた鉱物愛好家のグループによって発見された。
虹色のイリデッセンスを示す、いわゆる "レインボーガーネット" が最初に発見されたのは1943年、米・ネバダ州。
その後メキシコのソノーラで僅かに発見されているが、限られた人しか手にすることのない幻の宝石であった。
ここ日本で質の高いレインボーガーネットがまとまって産出したのは、歴史的に重大な出来事であった。
噂を聞きつけた愛好家やお宝ハンター、ジャーナリストや近所の人まで押しかけ、我こそはと掘りつくした結果、産地は燦々たる状況に。
現在この一帯の採掘は禁止されている。
その後世界各国でその存在は確認されているものの、質は安定せず、産出も僅かな量にすぎない。
教科書に載るレインボーガーネットの概要はここまで。

さて、先ほど登場した「鉱物愛好家のグループ」であるが、実際はお2人のはず。
発見者は、Sさんという。
鉱物が好きな方なら、一度はファンレターを送られたことと思う。
私が初めて手にしたレインボー・ガーネットは、Sさんご本人から譲っていただいたもの。
光り輝くレインボーガーネットの原石が袋からゴロゴロ出てきたときの興奮を、今でも覚えている(本文下の画像、右側)。

発見から一年あまり。
Sさんはまさに旬の人でありながら、ミネラルハンティングに余念が無く、日々山へ入る生活を続けておられた。
お姿を拝見したことはない。
熱心で飾らない、若手鉱物収集家のカリスマにして、さわやかな草食系男子に違いないものと思われた。
併せて発見されたという、より激しい虹の閃光を放つガーネット「スーパーレインボーガーネット」の名は、Sさんがノリノリで思いついたネーミングだと聞いている。
国内では正式に使われている呼称であるからして、見かけるたびに笑ってしまう。
現在、Sさんは商売のほうに熱心に取り組まれている様子。
お変わりないことを願いたい。

枯渇してのち、高騰を続け、レインボーガーネットの希少価値が増している現在も、Sさんご本人の素性や功績が大々的に取り上げられることはない。
少し違和感はある。
なお、2009年発見のネオンレインボーガーネットも奈良県からの産出であるが、私はこの頃鉱物の世界を離れており、詳しいことはわからない。

随所で発見されているとはいえ、レインボーガーネットとして世界的に認知されているのは我らが奈良県産。
全国的に地味な存在であった奈良県(当家先祖代々生誕の地)を伝説に変え、誕生石としては微妙な存在であったガーネット(私の誕生石)を日本の誇りへと昇格させたSさんの功績は、大きい。
レインボーガーネットをいっときのブームとして扱う向きがあるのは残念なこと。
私情を挟むべきではないといいたくなる。

ガーネットは、積み重ねてきた努力を実らせるとされる鉱物。
周囲の人々からの信頼や友情、愛情を得て、成功を勝ち取ることができるよう、力になってくれるといわれている。




約10mm前後

2012/04/11

アトランティサイト


アトランティサイト
Atlantisite
(Stichtite-Serpentine)
Stichtite Hill, North Dundas, Tasmania, Australia



黄緑色のサーペンティン(リザーダイド)と紫色のスティッチタイト。
鮮やかな色彩のハーモニーが印象的である。
クリスタルヒーラーのメロディ氏によって紹介されたヒーリングストーンのひとつに数えられる、アトランティサイト。
産地に因んでタスマナイトとも呼ばれている。
その希少性と、メロディ氏のネームバリューも手伝って、長い間その人気は衰えることを知らない。
アトランティサイトの名の由来は、言うまでも無い。
失われた幻の大陸、アトランティスの叡智にアクセスできるというこの奇跡のクリスタルは、ヒーリングの分野のみならず、標本業界にも多大なインパクトを与えた。
事実上ニューエイジストーンの統括に関わって久しい、米・HEAVEN&EARTH社のカタログにもその姿を見ることができる。

パワーストーンとしてもお馴染みのサーペンティン。
正式には、鉱物のグループ名にあたり、アンチゴライト、クリソタイル、リザーダイトの三種類に分類される(アトランティサイトの黄緑色はリザーダイド)。
それぞれ色合いや質感が異なり、産地もさまざま。
また、特に珍しい鉱物とは言い難い。

鍵を握るのはスティッチタイト。
1910年、オーストラリア・タスマニアで発見された希少石である。
発見当時はサーペンティンと混在した状態だったという。
つまり、初期の段階において、その外観は "アトランティサイト" であったものと考えられる。
新しい鉱物という扱いを受けるこの石だが、発見から100年余りが経っているということになる。
スティッチタイトはサーペンティンの変化によって生じる鉱物。
両者には密接な繋がりがある。
しかしながら、スティッチタイトの産出はオーストラリア、タスマニアに集中している。
南アフリカやチェコからも報告されているが、数は少ない。
アトランティサイトが希少石として扱われる所以であろう。

先日、とても有り難いリクエストをいただいた。
この石には思い入れがあり、いつかまとめてみたいとある方にお伝えしたばかりだった。
アトランティサイトは、メロディ氏が命名した石のひとつ…であり…?
だったっけか?
命名までそうと聞いた記憶がない。
早速調べてみた。
日本では "メロディ氏が命名した石"というふれこみで、こぞって紹介されている。
しかし、メロディ氏による命名と明記している資料は(日本を除いて)見当たらない。
そればかりか、アトランティサイトの名付け親を名乗る人物が、世界各地に存在するようである。

アトランティサイトが世に知れ渡るきっかけとなるのは1998年。
関係者がスティッチタイト鉱山の権利を獲得した直後のことだという。
原石を得るため現地入りしたメロディ氏のはしゃいでいる姿が、タスマニアにて確認されている。
彼女が初期からこの石に関わり、普及に尽力したのは間違いない。
ちなみに、あまり知られていないが、クリスタルヒーラー・メロディ氏は、科学者/数学者という側面もお持ちである。
理系であったとは。
グランドフォーメーションを連発、鉱物に対して独自の見解を示し、世界を混乱させるカリスマ・我らがメロディ女史。
お会いしたことはないが、もしかしたら天然なのかもしれない。
彼女については、あくまでアトランティサイトを紹介した、という表現にとどめるべきかと思う。

メロディ氏を含む関係者に、鉱物のサンプルを提供した人物がいるという。
のちにアトランティサイトと呼ばれることになる、スティッチタイトの標本である。
そのやりとりにおける流れで、タスマニアとアトランティスとの関連性が話題に上り、命名に至ったのではなかろうか。
ただし、接点のみえない名付け親も存在する。

参考:オーストラリアの鉱物業者
http://www.openallday.au.com/StitchSerp.html

私のアトランティサイトとの出会いは、石に興味を持ってすぐ。
その鮮やかで個性的な姿を見て、一目で気に入ったのを覚えている。
発表年代としては前後するが、日本ではかつてスーパーセブンは高級品であって、気軽に入手できるものではなかった。
比較的安価で入手できるアトランティサイトのほうが、知名度は高かったはず。
だが、スーパーセブンとは異なり、その後定番商品として定着するほどの流通は無く、相場はむしろ上昇している。
現在もお探しの方は多いようだ。

写真は、選りすぐりのカポジョンを、友人にお願いして作ってもらったオリジナルのペンダント。
デザインにこだわり、あれこれ注文を付けたので、けっこうな額を請求された。
ジェットをアクセントにした理由は覚えていない。
後にも先にもこれひとつ。
厳選された素材を使った力作にして、今となっては二度と作れない幻のペンダント。
宝物はいつしか、思い出へと変わっていく。


31×25×10mm Handmade by Jun; Kyoto

2012/04/08

スモーキーローズ


スモーキーローズ
Rose Quartz
Pitorra Mine, Galiléia, Minas Gerais, Brazil



ローズクォーツが結晶することは滅多にない。
前ここで見たんすけど…という方にはもれなくプレゼントを差し上げたい。
ローズクォーツはまだ2回目。
単に私が珍しいモノ好きだから、ローズクォーツには出来る限り結晶していてほしいのである。
結晶化ローズクォーツが、以前よりも身近な存在になったのは確か。
ただ結晶しているだけでは売れなくなった。
出始めのころは、結晶というだけで高値が付いたものだが、買い手も賢くなり、ローズクォーツは案外結晶する、ということを知っている。

写真はちょうど一年前、春のミネラルショーで3,0xx円で売られていたもの。
桜の季節、今年も春のミネラルショーがやってくる。
ふと、思い出した。
エレスチャル成長した色濃いローズクォーツ。
その結晶に溶け込むかのような、淡いスモーキークォーツの色合い。
かねてからその存在は知っていたが、実際に遭遇するとは思っておらす、驚いたのを覚えている。
まず見所はというと、大きい。
ローズクォーツの結晶としては、相当の大きさがある。
また、エレスチャルと呼ばれる、非常に複雑な構造をしている。
ブラジルから産する結晶化ローズクォーツはポイント状にはならず、概ねエレスチャルクォーツになるという見方もできるのだけれど、これほど明快にエレスチャル成長したローズクォーツというのは興味深い。
かつ、この透明感。
これだけで十分価値はある。
これだけ?

そう、つまるところ、スモーキー部分はオマケになる。
ラベルには「Rose Quartz(ローズクォーツ)」とだけあるから、ラベリングした人も同じことを考えたに違いない。
これを手に取ったときにはわからなかった。
二つの色合いに価値があると思い込んでいた。
モリオンと共生した、あの気高いアフガンローズを見るまでは。

去年の春のミネラルショーでは、他にも似た面持ちの標本を幾つか見かけた。
かなりの流出があったのかと思いきや、あれ以降みかけない。
数そのものは、多くはなかったのだろう。
連れに止められたのをふりきって、(何周かしたあと)買っておいてよかった。

人生は甘くない。
後になって気づいたときには後悔ばかり。
石だけは例外なのかもしれない。
本当の意味に気づいたとき、いかに救われたことかと、心底思い知らされることがある。
ギャンブルの類いはいっさいダメ。
なのに石に限っては、たびたびある。
川石の収集家だった祖父が自分を守ってくれている。
人生をふりかえったとき、そう思うことが、たびたび、ある。

私を育ててくれた祖父。
あれからもう二十年になる。
前日まで元気だった。
立ち寄った叔母一家と曾孫を外まで見送り、さよなら、と手を振ったのが最後だったそうだ。
来客を見送るような人ではなかったから(さすがじいちゃん!)、叔母はこれはおかしいと直感したという。

つかみどころのない不思議な人だった。
常に酒を呑んでいた。
時々、ライカや植物、石の台座をいじっていた。
私が何よりも怖がる「指が取れる技」を繰り出し、キセルの煙で輪っかをつくってみせ、にやにやしている。
祖父と一言も話さなかったのが、今でも不思議でならない。
石を集め始めて間もない頃、渋いからという理由だけで購入した、ドイツのデンドライトが供えっぱなしになっているのを思い出した。
夜があけたら、拝みにいこう。




48×29×17mm  26.08g

2012/04/06

スラティシェールレコードストーン


スラティシェール・レコードストーン
Melody's Slaty Shale Record Stone
Melody Green Mine, Mt. Ida, Arkansas, USA



スラティシェール・レコードストーン。
著名なクリスタルヒーラー、メロディ氏のお墨付きで登場し、一部で話題になったものの、数は少なく、ほとんど日本に入ってこなかった。
紺とアイボリーのパターンから成る縞模様は、まるで絵画のよう。
どの石にもこの模様が出ていて、一目でそれと判る。
メロディ・グリーン・マイン(既に閉山した氏所有の鉱山)から発見された、カオリナイトと鉄から成る岩石である。
ニューエイジストーンと呼ばれる石が概ねそうであるように、その価値はクリスタルヒーラーの感性や直観に委ねられる。

スラティシェール・レコードストーンは、薄いプレート状となっており、神秘的な縞模様が両面にみられるのが特徴である。
なんでも、この模様には、霊的な領域の情報が刻まれているという。
当時の記録が残っていたので、コピペ。

  • 異次元からの情報の記録媒体である。
  • あらゆるヒーリングに適している。
  • 霊的にふさわしいパートナーに出会えるよう導く。その相手がたとえ古代文明にあった場合でも、その繋がりを叶える。
  • 望んだ願いを実現させる力がある。それが本当に必要な願いであるかどうかを見極める能力も備わるよう導く。
  • 2つを並べると蝶の羽根に見えることから「バタフタイ・ストーン」とも称され、霊的なパートナー同士で持つと、この石の力が存分に発揮されるという。

よくぞシンプルにまとめたものだ(自画自賛)。
メロディ氏からのコメントは熟読したが、正確に伝えるための基礎知識が自分には不十分だった。
氏の文章はもともと難解かつかつクセがあり、専門用語の頻度も高い。
ニューエイジ方面に詳しい方もわからないとおっしゃっていたくらい。
よってこのあとにお詫びの文章が続く。

スラティシェール・レコードストーンの名前自体、翻訳できなかった。
今回は他サイトを参考にさせていただいた。
混乱された方がおられたら、申し訳なく思う。

もともとはバラフライ・ストーンとして、ペアで譲っていただいたもの。
多くの人に知っていただく機会と思い、片方は売りに出した。
写真はその当時のもの。
買い手は付いたが、やむを得ぬ事情により現在も当家に鎮座しておられる。
つまり、キャンセルを繰り返し、多くの人を窮地に陥れたそのお客様と、私は霊的パートナーになってしまうところだった。
2つとも、私のところにとどまる宿命だったのかもしれない。
現在も販売されているようだが、驚くべきことに、この石を特徴付けるはずの縞模様が見当たらぬ。
事実上消滅したものと捉えるべきか。
大好きな石のひとつだった。
ご紹介できず、残念に思う。
ラストは当時私が素直に書いた、お詫びの文章で締めくくりたい。


【お詫び】

原文が非常に難解で、十分な翻訳ができませんでした。
世界的に入手困難で、資料も少ない石です。
情報などございましたら、是非お寄せくださいませ。
大変申し訳ございません。


71×51×3mm  9.99g

2012/04/03

青水晶(マラガ産)


青水晶 Blue Quartz
Juanona Mine, Antequera, Malaga, Valencian Community, Spain



水晶にはさまざま色合いがある。
クリアクォーツ、ミルキークォーツ、アメジスト、シトリン、ローズクォーツ、スモーキークォーツ、モリオン、プラシオライト。
以上は水晶そのものの発色。
微量のイオンや地熱、放射線との深い関連があるとされる。
いっぽう、水晶の内包物(不純物)や付着物により水晶全体の色合いが変わることがある。

写真はスペイン・マラガ特産の青水晶/ブルークォーツ。
天然青水晶として古くから知られ、収集家から高い評価を受けている。
水晶そのものが青いわけではない。
アエリナイトという青い鉱物のインクルージョンが色合いの原因とされている。
スペインといえば赤水晶も有名だが、こちらもインクルージョンによる発色。
たまに見かける、自然界に存在し得ない色合いの水晶については、今回は省略する。

※着色岩石、着色ガラス及びキャッツアイなどのビーズは、手芸店で売っている。パック入りで数百円程度。最寄りのスーパーに出向くことをおすすめする。

青水晶にもいろいろある。
最近ではブラジルから産出する、ブルートルマリンを内包した青水晶(主に二種類。ブルールチルに記載した針状インクルージョンの見えるタイプ、若しくは全体が内包物により青く染まったタイプ。後者は小さく、ブラックトルマリンを伴うのが特徴)が多く流通している。
マラガ産よりブラジル産のほうが産出も多く手頃なため、知名度、人気ともに高まりつつある。
青水晶の内包物として他に思いつくのは、ブラジルのギラライト(パライバクォーツ)、南アフリカのパパゴアイト、ナミビアのシャッタカイト、マダガスカルのラズライト、ペンシルバニアの青石綿、ルーマニアのプーランジェ鉱など。
パキスタン、マラウイ産出の青い石英も持っているが、これらはカルセドニーといったほうが適切かも。

マラガの青水晶を初めて見たときは、正直落ち込んだ。
何がいいのかよくわからなかった。
私には青カビが生えた岩にしかみえなかった。
よく見ると背たけの低い、くすんだブルークォーツが、岩の表面にいくつも貼り付いていた。
とにかく地味で、青が冴えない。
ブラジルのブルークォーツを見慣れているヤングには、マラガの青水晶の極意はわかりにくい。
もちろん、然るべき金を積めば、全体が青に染まった素晴らしい標本が手に入る(と、いうことは、後日知った)が、マラガからの青水晶の産出は激減している。

そんなある日、私は美意識満載の青水晶をみかけた。
スペイン・マラガ産とあった。
あれ?
こんなにきれいだったっけか。
お値段のほうも手頃だったので、参考に購入。
手持ちのマラガ産青水晶と並べてみたのが本文下の写真。

盲点だった。
色彩心理学を忘れていた。
母岩の色相が違いすぎるから、水晶の色が違って見えたのだ。
背景が白ければ、確かに青が映える。
現在流通しているマラガの青水晶の大半は、写真左にみえる畳色の母岩にわずかに付着しているのみ。
ただ、白いほうは大丈夫なのか。
微妙にセメントっぽい。
そう思い、譲ってくださった方に、母岩の色合いの原因について尋ねた。
採取された場所が若干離れているのでは、というご返答であった。
マラガの青水晶は、広い範囲で採取されるため、地質が変わることがあるそうだ。

アエリナイトらしき色味の入ったほんのり青い母岩に、美しいブルーのクォーツが載った姿は、青水晶の代表格と称されるのもわかる気がする。
しかし、写真右に示した青水晶にのほうは美意識に欠け、納得がいかない。
日に焼けた畳のようなこの母岩、いったい何事か。
訳をご存知の方はおられるだろうか。
世界的に情報を募るべく、またもや英作文を試みたが、スペインの方が見たらお怒りになられるだろう。
いつになく体調が優れす、朦朧としている。



In above picture, you can see the Japanese "TaTami" flooring
and you can also look at similar color in a rock on the right side.
That's nothing but a poor geek for me.
What would you say, if both of two specimens were all the same?
They are the Blue Quartz coming from Malaga in Spain.


約35×55×35mm  92g

2012/04/01

ローザサイト


ローザサイト Rosasite
Cumbres Vein, Level 6, Ojuela Mine, Mapimi, Durango, México



有名なメキシコ・オハエラ鉱山のローザサイト(亜鉛孔雀石)。
ビロードのような質感と、鮮やかなスカイブルーが美しい。
カルサイトやヘミモルファイトなどの透明結晶を伴って発見されることが多く、レンズの中で光るかのようなローザサイトの標本には圧倒される。
いっぽうで、シンプルなこの標本もまた、深い味わいがある。
黄褐色の母岩とのコントラストが青をいっそう際立たせている。

和名の亜鉛孔雀石は、まるで孔雀のような華やかさからその名を与えられた、のではない。
おおざっぱに説明すると、マラカイト=孔雀石+亜鉛=亜鉛孔雀石。
ということらしい。
マラカイトとローザサイトには密接な繋がりがある。
例えば、この標本がマラカイト化したところを想像していただくと、わかりやすいかもしれない。
ウッとなった方もおられるかもしれない。
ブドウ状に成長したマラカイトは、実に不気味である。
私もアレは無理である。
しかし、同じブドウ状でも、スカイブルーなら許せてしまう。
許さない方もおられるかもしれないが、少なくとも私は一目惚れであった。
いずれも銅の二次鉱物。
マラカイトより珍しいが、比較的安価で入手できる。

問題は、ローザサイトが非常にデリケートな鉱物であるということ。
触ったら潰れた。
オーケン石など、見るからにデリケートな鉱物なら覚悟はするのだが、これほど脆いとは思わなかった。
水や酸は禁忌である。
注意を怠ると、取り返しの付かないことになるからして、ローザサイトを手に取るさいには白衣及び手袋を着用のうえ、瞑想ののち臨みたい。
すると霊力が高まり、物事の真実が明らかになり、宇宙の真理までも理解できるという(「パワーストーン百科全書」より)。

実は今、困っている。
目が覚めて気づいた。
このブログの画像が、残らず外れてしまっている。
4月1日にこれは有り得ない。
元に戻すには、少し時間がかかりそう。

4月か。
もう春なんだな。
いつになく厳しい冬だった。
遅い春。
まだ向こう側にあって、届かない。


48×25×24mm  25.32g

2012/03/27

ネコ石


ネコ石 Nekoite
Iron Cap Mine, Landsman Camp, Aravaipa, Santa Teresa Mts,
Aravaipa District, Graham Co., Arizona, USA



私の要注意石リストに長らく残ったままになっていたこの石を、ついに入手したので報告したい。
ネコ石(ネコアイト)という石がある。
写真の標本がそう。
岩にしかみえない?
よく見ると、しろくてふわふわした何かが生えている(本文下の写真左)。
この部分をネコ石といい、あとはオマケである。

実は、以前からこの石を探していたのだが、稀産鉱物であり、なかなか見かける機会はなかった。
あってもべらぼうに高かった。
また、日本でネコ石を紹介しているところは限られていて、本もあるらしいのだが、はっきりしたことはわからない。
海外のディーラー経由で知った。
先日、国内の有名な鉱物店にて、価格が大幅に下がっていたため購入したのが写真の石。

では何故ネコ石なのか。
オーケン石という石がある。
うさぎのしっぽともいわれる、しろくてふわふわした石で、インドを代表する鉱物の一つである。
ネコ石も、発見当初はオーケン石だと思われていた。
ところが少し違うのではという話になり、よく調べると微妙に違っていた。
そのため関係者が "Oken" 石を逆さから読み、"Neko" 石と命名したということである。
いろいろとツッコミどころが満載である。
譲っていただいた方にお話を伺ったところ、この荒業を決行したのは、日本人ではないらしい。

若い方はご存知ないかもしれない。
かつて筋肉少女帯というプログレバンド(友達がそう言ってた)の中心人物として活躍した、オーケンこと大槻ケンヂという人物がいる。
ココ3年ほど、レコ屋の元店主、T氏と近隣のミネラルショーへ出かけている。
T氏はオーケン石のところで毎回止まり、「オーケン石やぞ!」と騒ぐので、恥ずかしい。
ある歌も口ずさむ必要があり、非常に苦しい(本文下にリンクあり)。
インドからのオーケン石の産出は多く、入手も容易。
私もかなり初期から持っていた。
このネタも、日本ではわりと頻繁に用いられる。

ここでネコが出てくるのは、まったくの偶然。
オーケン石(OKENite)は、ドイツの Lorenz Oken 氏に因んで名づけられたというが、ドイツのオーケン氏は1851年にこの世を去っている。
ネコ石の命名は1955年、アメリカ人によるとされる。
日本人は関与していないとみられる。
日本のオーケンも生まれていたかどうかわからない。

ネコ石は他にカリフォルニア州、ブラジル、アゼルバイジャン、ウズベキスタンから見つかっているという。
現時点ではインドからは見つかっていない。
あれだけオーケン石が出るにも関らず、ネコ石は、出ていない。
哀愁をさそうこの石の面影が、まるで老いた猫のようにみえるのは私だけだろうか。

確かに、オーケンがネコを好きかどうかまで、私は把握していない。
解散後、彼が何をしているかもはっきり知らない。
ただ、以下の曲が入っているアルバムのジャケは、ネコなんです。
下に続くのは、世界にそれをアピールすべく、私が勝手に作った英作文です。
ネコ石の石言葉は、共時性と、未知なる可能性?




NEKOite: An anagram (reverse spelling in this case) of OKENite, for which it was originally mistaken.
In Japan, "Neko" means a cat,
"Oken" sounds just like a musician's name who loves India.
His song about longing to India has become the legend in Japanese subculture, which makes us smile always.
That's below;



参考:ドイツ語 Nekoit/ロシア語 Некоит/スペイン語 Nekoita


76×55×65mm  352g

2012/03/25

ロードクロサイト/インカローズ(結晶)


ロードクロサイト/インカローズ
Rhodochrosite
Uchucchachua Mine, Lima, Peru



ロードクロサイトは「赤い薔薇色の石」という意味。
南米アルゼンチン・ペルーから産するロードクロサイトを、インカ帝国に因んでインカローズと呼んでいる。

数あるパワーストーンのなかでも、インカローズの人気はひときわ高い。
アルゼンチンの土産物屋では、インカローズが飛ぶように売れているという(アルゼンチン在住の知人情報)。
南米以外から出たものにインカはおかしいから、ロードクロサイトの名で呼ぶべき!などといった、よくわからない議論で盛り上がったのも、記憶に新しい。
要は、インカローズの知名度が上がりすぎたために、ロードクロサイトとインカローズを区別しようとする動きがみられたわけである。
現在は、むしろロードクロサイトと呼ぶほうが、「お洒落な石の達人」ということになっている。

この標本はペルーから来たものなので、インカローズと呼んでもよさそう。
ただ、外観が違いすぎるので、混乱される方もおられるかもしれない。
インカローズといわれてまっさきに想像するのは、アルゼンチン産出の、サーモンピンクに白い縞模様の入った石。

春先に見かけた、宝石質の赤いロードクロサイト。
ここまで赤く、透明感のある大きな結晶は初めて見た。
今年のツーソンショーで出回ったものらしい。
格安だったので即決。
黒い母岩に深紅の結晶が映える見事なクラスターで、ところどころに無色透明の結晶が入っている。
この標本では殆どわからないのだが、中には、透明結晶が多すぎるだろ!とツッコミたくなる標本も。
無色?
なんだろう。
カルサイトの仲間だけに、カルサイト?
それとも、インカローズの白い部分にあたる何か?
まさか、染めたのか?
わからない。
母岩が黒いのは、赤い結晶だけに、鉄か何かだろう(適当)。

ロードクロサイトの産地としては、ペルー、アルゼンチンのほか、アメリカ・コロラド州、南アフリカ、中国などが知られている。
コロラド州・スウィートホーム鉱山からの標本は、世界一の美しさと称されるが、産出は既に無い。
ロードクロサイトそのものは世界各地から発見されており、かつては日本からも多くの産出があった(稲倉石等々)。
いずれもピンク~ピンキッシュレッド~ブラウンの色合いを示す。
この標本が、なぜここまで赤いのかについては、資料がみあたらず。

南米からのロードクロサイトの産出は激減しており、枯渇は時間の問題とされていた。
しかし、流通が減ることも、質が落ちることもなく、現在も絶賛販売中である。
いまだにこんな標本が出てくるのだから、まだ出てくるんだろう。
煽りに合ったようで腑に落ちない。
そのいっぽうで、人知れず消えていく石がある。

その名の由来である、赤い薔薇と呼ぶにふさわしい外観。
こんなものがまだ眠っていたとは、南米おそるべし。
世界で最も質の高いとされる、コロラド・スウィートホーム鉱山のロードクロサイトとは、また違った魅力を感じる。
パワーストーンをこよなく愛するあの人への贈り物に、一束いかがでしょう。
お安くしますぜ、パッションローズ。




40×21×18mm  約20g

2012/03/23

リビアングラス


リビアングラス
Libyan Desert Silicate Glass
Gilf Kebir, Libyan Desert, Egypt



私はホテルの一室に入っていった。
暗い室内の床に青いビニールシートが貼られている。
大量の黄色い物体が積んである。
部屋には臆病そうな青年が一人。
「選んでいいか?」と尋ねると、彼は頷いた。
砂まみれになりながら幾つか選び、交渉に入る。

リビアングラスは、1932年にリビア砂漠で発見されたテクタイト(インパクトグラス)の一種。
2500~3000万年前に形成されたといわれている。
テクタイトとは、隕石の衝突に伴う衝撃で地表の岩石が溶け、冷え固まることにより成形された天然ガラスのこと。
多くは不透明な黒い塊で発見される。
クリームイエローの色合いを示すリビアングラスは、グリーンのモルダバイトと並ぶ人気であるが、産出は圧倒的に少ない。
写真の石は、リビア砂漠の砂付きで盛られていた中から幾つか選んだもののうち、まだ手元にあったもの。

リビアングラスの正体は、長い間不明とされてきた。
2006年、産地付近に巨大なクレーターがあることが判明、リビアングラスが隕石の衝突に由来する事実が確認されつつある。
また、クリストバライトのほか、エンスタタイトなどの希少鉱物が含まれていることが明らかになっている。

産地はリビア砂漠の奥深く、エジプト、スーダン、リビアの国境付近に広がるギルフ・ケビールと呼ばれる岩山。
世界の果てとも称される、過酷な土地である。
かつてはこの地に人類が文明を築いていたことが明らかになっている。
エジプトのピラミッドやツタンカーメンの墓から、リビアングラスで作られた護符や装飾品が発見されているのはご存知の通り。
高価な宝石だと思われていたのは、大半がリビアングラス、つまり天然ガラスであったものと推測されている。

天然ガラスであるからして、偽物も出てくる。
現在ブレスの形で流通しているものは、淡い黄色に着色されたガラスだという。
天然のリビアングラスを使っている場合も、ビーズの場合はほとんどがシリカ成分で補整、強化してあるらしい。
販売価格は数万~数十万ほど。
処理によりいくら耐久性を高めても、ブレスにかかる負荷は他の装飾品の比ではなく、数年経てば使い物にならなくなる。
石の世界で成功している人物が、ブレスではなく、パテックフィリップやフローレスのダイヤモンドなどをお持ちだったとき、なにかしら説得力を感じた。
ブレスでなければ効果が期待できないということはないので、無理はしないでほしい。

なお、最近エジプト政府がリビアングラスの採取を禁止したとの噂が流れている。
詳しいことはわからない。
希少価値が増しているという煽り文句には注意したい。
リビアングラスは、カルマの深い人に縁があるといわれている。
古代の泥棒も宝石と間違えたほど。
もしあなたのカルマが本物なら、私のように、いずれきっと本物のリビアングラスが届けられるはず。
焦らなくても大丈夫?


53×28×25mm(左側) 43.52g

2012/03/21

チルドレン石


チルドレナイト Childrenite
Rapid Creek, Dawson Mining District, Yukon, Canada



チルドレナイト(チルドレン石)。
光沢のある針状結晶が集まって、キラキラ輝く。
この角度からだとまるで、はりねずみ。
カワイイ名前のふしぎないきもの。
こどもの宇宙。

チルドレナイトは、エオスフォライトの成分がマンガンから鉄に置き換わったもの。
エオスフォライト自体流通が少ないから、その亜種になど滅多に出会えない。
年末に購入したこの標本が、私の人生初のチルドレナイトとの対面だった。
かねてから「子供のための石」としてその名を与えられたであろうことを夢見ていたのだが、先ほど調べてみるとやはり、John George Children なる人物が最初に発見したのがその由来のよう。
つまり、自分のような初心者にあっては話題に上ることもない、そんな石。

チルドレナイトの存在を知ったのは、八川シズエ氏の著書にて。
右も左もわからぬ頃、恩師の奥様に薦められて購入し、チルドレン石の名に惹かれて目を通した。
暗褐色に鈍く光る、圧迫感のある板状の物体の写真があった。
まるで鈍器のようだった。
チルドレン石。
辛気臭く男臭く、むさ苦しいもの(たぶん、鈍器を用いて音を立てるイメージ。国でいうとドイツ)。
そう思い込んだまま忘れていた。

初めて出会ったチルドレナイトが、このように可愛らしい姿であったときの嬉しさといったら。
価格も思いのほか手頃だったため即決。
チルドレナイトは産地に拠って形が異なり、ブラジル産の板状結晶のほか、カナダから針状結晶も出ているそうだ。
鉱物の世界においては、前者の「かわいくないほうのチルドレン石」が貴重品とされている。
現在は流通すらない状態とも伺った。
八川シズエ氏の前述の著書には、この石をはじめ、今となっては入手の困難な鉱物も多く取り上げられている。
戸惑う人も多いのでは。

さて、私のイメージどおりだった、カナダ産チルドレナイト。
極細の透明結晶が密集しているため、光を透過してゴールドに輝く。
写真の標本は、ラズライト(天藍石)と共生している。
チルドレナイトのゴールドに、メタリックブルーのラズライトが見え隠れするさまは、宇宙の神秘に似ている。

なんと、最近になってこの石が、ヒーリングストーンの扱いを受けている模様。
入手困難石がヒーリングストーンとして扱われるとき、それは市場に相当量の流出があったとき、であることが多い。

今回の件についてはわからない。
私のような一般人は、割合どんな希少石にもたどりつくのだが、ヒーラーを名乗る人々はそうでない。
特にクリスタルヒーラーは、意外なほどルートを持っていない。
以前誘われてクリスタルヒーリングのイベントに行ったさい、ヒーラーとおぼしき人に「東京のミネラルショー(注1)で外国人から仕入れた本物の石」と謳われ、動揺した。
鉱物を使って治療行為をし、こうした希少石を破損させようものなら、名画に傷をつけるも同じこと。

このブログを読んでくださった方は、私をアンチ・パワーストーンな人と感じておられるかもしれない。
どちらでもないことだけ、お伝えしておきたい。
自分は、ひとつの石を、鉱物とヒーリングストーン(パワーストーン)の両方の側面からみるようにしている。
石から見え隠れする世界を楽しんでいる。
商品や資源としての需要の推移、社会の動きや歴史、そして人間の喜びや悲しみ、生きる意味といったものが、石には凝縮されている。
私は数珠に興味がないだけ。
産地を抹消されたビーズからは、何もみえないから。

ところで、チルドレナイトと聞くと、どうしても連想してしまう曲がある。
わりと昔の曲なので、知らない人のほうが多いかもしれない。
曲中に入るヴォーカルが、チルドレナイトに聴こえてしまうのは、私だけかもしれないが。
これで踊ったなあ!
って人。
同世代でしょう。
貼っておきます。


Children Of The Night - Juno Reactor




注1)東京のミネラルショー

春の新宿ショーもしくは冬の池袋ショーのことかと思われる。買い付けが目的でなくとも、誰でも入場することが出来る。ミネラルショーは全国各地で行われ、前述のスピ系イベントの行われた付近でも毎年開催されており、入場は無料である。仕入れに使うこともあるが「買った」と言うのが適切。また販売者である場合は名刺交換を行うのが一般的。


23×18×11mm

2012/03/18

【速報】ピンクファイヤークォーツ


親切な内田さんのおかげで、あのピンクファイヤークォーツの中身がわかりました。



詳細はピンクファイヤークォーツの項にすべてまとめました。
なお、無断引用として掲載したURLは、私が以前引用したサイトだったことに先ほど気づきました。
無断での引用を行っているサイトが数多く認められたため、誤認したものです。
掲載にあたって、こうした貴重な情報をソース無しに引用することは控えたいものです。
関係者様には深くお詫び申し上げます。

2012/03/17

雷水晶


ライトニングクォーツ/雷水晶
Lightning Strike Quartz
Diamantina, Minas Gerais, Brazil



世界には、雷に打たれ崩壊の危機に晒されながらも、奇跡的にその存在をとどめた水晶があるという。
それらはライトニングクォーツといわれている。
ライトニングとは、雷の意味。
雷水晶と呼ばれることも多い。
現地では "Pedra de Raio" (雷水晶と同意)と呼ばれており、欧米での呼称であるライトニング・ストライク・クォーツは、メロディ氏による命名と聞いている。

ライトニングクォーツは世界中から発見されているというが、主な産地はブラジルのディアマンティーナ。
水晶の名産地として知られる土地である。
ディアマンティーナ産のライトニングクォーツは、雷との相互作用を語る上で、非常に重要な特徴を備えているという。
また、土地の特性なのか産出も多いようで、現在も安定した流通がある。

私が鉱物にすこしばかりディープに関わるようになった頃、話題になっていたのがライトニングクォーツだった。
なんじゃそりゃ。
そう思ってさっそく手にしたライトニングクォーツは、透明感にあふれ、とても崩壊の危機に晒されたようには見えなかった。
確かに、結晶の所々に破損やデコボコがあるのだけれど、本当に雷に打たれたのか。

ライトニングクォーツには一応の基準がある。

  • 電流が流れた形跡があること。
  • 結晶の柱面の少なくとも半分に、巻きつくように水晶が成長していること。
  • 落雷時の熱により、一部がクリストバライト(白い付着物)に変化していること。

このライトニングクォーツは、たまたま収集品の中から出てきた。
写真の水晶ポイントはその拡大写真。
巻き巻きとはいい難いが、小さな結晶が貼りつくような格好でポイントを覆っているのが見えるかと思う。
意外に気づかないものだが、重要事項なので、押さえておきたい。
写真にある激しい侵蝕が、電流の流れた痕?

ここまで激しい浸食が刻まれているものは珍しいようだ。
ただ、落雷の衝撃で折れてしまうことはある。
トップのないライトニングクォーツも倉庫のどこかにあったはず。
ディアマンティーナから産する水晶は、透明度が極めて高く、採掘も丁寧なのか、もともときれい。
雷に打たれても、きれい。
かえって雷の痕が映えるというわけ。

ところで、先日某オークションを見ていたら、ライトニングクォーツのブレスレットなるものを発見した。
色合いから察するに、放射線処理を施したスモーキーシトリンであった。
販売者が、ライトニングクォーツに放射能を浴びせ、売れ筋商品にしたかったという可能性もある。
しかし、これでは全くわからない。
クラックひとつないきれいな珠が、ふんだんに使用されている(本文下に写真を掲載。後日さらなる衝撃的物体を確認)。
売れ残りのブレスを、むりやりライトニングクォーツと名づけ、さばこうとしたように見えてならない。
いろんな意味で有名な、中華系の業者だった気がするのだが、まだ居るのか。
かれらは金を積んでオークションのトップに商品を並べているため、マトモな人々がドン引きして立ち去ってしまう。
これでは新しい人が入ってこない。

中華系の業者は、欧米においては、鉱物市場を襲った類い稀なる脅威とみなされ、恐れられているという。
市場はまさにライトニングクォーツ、といった状況。
彼らをとめる者はいないのかと、不思議になってくる。

ライトニングクォーツ。
激しい衝撃に打たれ、崩壊の危機にさらされながらも、その存在を打ち消されない。
人間は、そうなり得るだろうか。
この美しい水晶は、私に人間とは何かを、深く考えさせるものである。




60×15×12mm  15.58g

2012/03/14

サチャロカアゼツライト


サチャロカアゼツライト
Satyaloka Azeztulite
Satyaloka Monastery, Satyaloka, India



思えばサチャロカアゼツライトほど不確かな存在はなかった。
私がその存在を知ったときは、ミルキークォーツの塊だった。
やがて極小の結晶が主流となる。
H&E社の商品である「アゼツライト」(→アゼツライトの項参照)の名を冠するのはいかがなものかとの声を受け、H&E社の商品のひとつに加わったさいには、褐色を帯びた不透明な石英の塊と化していた。
当初「サチャロカクォーツ」の名で発売されたが、産出の激減を受けて生産中止。
代わりとして、現地から新たに発見されたという透明水晶「サチャマニクォーツ」が発表された。

2年が過ぎ、鉱物の世界に戻ってみると、「サチャマニクォーツ」は生産中止に。
そのH&E社から最近になって「サチャロカアゼツライト」と明記された商品が発表されたことを知る。
シモンズ氏にはお世話になったから、言及は控える。

アゼツライト同様、サチャロカアゼツライトもまた、形而上の概念である。
サチャロカとは南インドの地名。
その地から出現するというサチャロカアゼツライトは、数年前までニューエイジストーンの代表格であった。
高い波動と崇高な輝きを放ち、霊能力の強化やヒーリングに欠かせない存在として、高い人気を誇った。
かのH&E社が販売権を独占するまでは、その複雑な入手経路ゆえに、限られた売り手しか扱わなかった。
需要に供給が追いつかず、価格は異常とも思えるほどに高騰した。
H&E社が販売権を独占するまでは。
ただ、色や形、質感や大きさなどに随時変化が生じる、産地の様子がいっさい伝わってこないなど、謎は多い。
ある時は透明水晶、ある時は石英の塊。
米粒大かと思いきや巨大化し、オレンジや赤などもたまに登場する。
共通点はサチャロカ地方産出の石英ということだけ。
そうと言われなければ判断できないのは、高額商品だけに致命的な問題であった。

※パワーで鑑定できる人もいるとは思うが、それだけを根拠に販売すると逮捕されることがあるので注意したい。

写真の石は、販売権がH&E社に移る直前まで流通していた、幻のサチャロカアゼツライト。
米粒大だがポイント状の水晶だった。
いっぽう、H&E社から発売されたのは、ほんのりイエローを帯びた石英のポリッシュ(写真)。
現在販売されている「サチャロカアゼツライト」に似ている。
1988年に Dharma Dharini 氏によって世界に紹介されたというサチャロカアゼツ。
その不確かな存在に翻弄され、対応に追われた小売業者。
ある意味修行だったのかもしれぬ。

かつて、サチャロカアゼツは、南インドの寺院で、現地の僧侶が手作業で採掘しているということになっていた。
当地から産する水晶を拾い集めるのが修行の一環ということらしかった。
奇妙な印象は否めずにいた。
南インドという土地柄、また関係者の面持ちから察するに、欧米の若者向けのアシュラム若しくはコミューン、といった実態が想像されたからである。
調べたら実際そんな感じだった。
機会があれば訪れてみたいとよく人に話していたのだが、ほとんどの方は「?」という表情をされていた。
サチャロカアゼツは、インドでもトップレベルの修行者が得た、霊験あらたかな賜り物。
そう考えた人がほとんどだったのかも。

サチャロカ寺院、という翻訳が誤解を招いたのは確実。
それらがコピペされ、広まったせいでは?
寺院、僧侶という表現で語られると、少なくとも若い白人には結びつかない。
H&E社の従業員にお会いしたさい、サチャロカの実態について尋ねたことがあるのだが、「行ったことがないのでわからない」とのことだった。

サチャロカアゼツについては「持つ人を選ぶ」という特権意識が強調され、入手の難しさばかりが語られた。
難しいと感じたことはない。
興味を抱いた石はだいたい手元に来る。
なぜなら私は石に選ばれないよう努力しているからである。
冗談である。
少なくとも、ずっと欲しいと思っているがご縁がない、という方はおられなかったはず。
ただ、20年前のサチャロカアゼツについては全くわからない。

サチャロカのコミュニティを訪れるのがここ数年の夢であった。
歴代のサチャロカアゼツをコンプリートしてる人物は、きっとここにいる。
サチャロカアゼツを認定する人物は、きっとここにいる。
水晶や石英がアゼツライトに昇格する基準を明らかにするため、一度訪れる必要がある。
サチャロカのコミュニティまでの道のりや、施設の位置はだいたいわかっている。
ただし、主力商品を失って倒産したおそれがあり、現在も採掘が続いているかどうかはわからない。

かつてインドを旅したとき、私はサチャロカ近くを確実に通過している。
奇しくも全盛期であったために、無念でならない。
しかし、私は当時、石に全く興味がなかった。
偶然コミュニティを見つけても、サチャロカアゼツを持ち帰ることはまずなかった。
実際、南インドでは、現地の宝石商に気に入られ、宝石を次々にプレゼントされて、正直困った。
日本人の感覚からすると宝石は大きすぎて、成金に間違えられること必至。
また、現地加工のためデザイン性皆無であり、日本ではとても身につけられないシロモノであった。
知り合いの家に向かう途中に彼の店があったため、通るたびに呼び止められ、断るわけにいかなかったのだ。
邪魔だったので、後に知り合った人たちに全部あげてしまった。
今更ながら記憶をたどると、けっこうな品質の貴石も混ざっていたのだが、日本に持ち帰っても数年後に失う運命だったから、むしろそれで良かったんだろう。

若気の至りか、もらうだけもらっておきながら、彼には内緒で町を去った。
インド人はよく物をくれる。
価値がわからなければ、とりあえずもらっておいたほうがいいかもしれない。
ただし、あなたが女性であれば、絶対に与えてはならない。


8×5×3mm(最大)計1.55g






追記

1)この記事をアップした3月に、サチャロカのコミュニティが消滅したとの噂が流れ、無断転載を疑われた件について

まず、偶然の一致を信じるかどうか悩むとして、私なりの考えを追記させていただいたのが以下の文章です。


サチャロカアゼツがH&E社の管理下となる以前は、サチャロカ・コミュニティの敷地内、もしくは周辺で小規模な採掘作業が行われているとされていました。
写真の石にも手掘りの形跡があります。
その後、この石の権利がH&E社に移り、大量生産が求められたために、採掘地が同地方の山岳地帯に移されたものと考えるのが妥当ではないでしょうか。
サチャロカのコミュニティを紹介したブログは、何年も前に更新が途絶えています。
なおこの記事は、私が独自に調べ、過去の経験をもとに記したものであること、ご理解願います。

しかしながら、さらに追記しますと、結論としては偶然の一致でありました。
正確には、私のほうが一週間遅いので、無断転載を疑われた方のほうが多かったかもしれません。というのも、ソースが全く同じなのです。
ただ、何年も前からあったサイトで、以前から気に入って愛読していたために、私には全く予想できませんでした。
ソースの提示は、(存続していれば)今後のコミュニティの運営に支障をきたすという懸念があり、あえて伏せました。
無関係であることを関係者様から伺い、感謝すると同時に、申し訳なく思っています。
噂については、サチャロカのコミュニティに非常に詳しい方が3月8日に言及されたとみられます。
この記事自体は3月入ってすぐに書いたものと記憶しておりますので、私自身困惑しています。
私が噂の存在を知ったのは7月末、そして確認が取れたのが今日ということになります。
ブログ主様、情報の持ち主様にはご迷惑をおかけしたことをお詫びすると共に、現状としては、まさかの偶然の一致を信じていただくしかなく無念に思います。
また、サチャロカ・コミュニティの閉鎖疑惑については、冗談のつもりで記したものであり、事実関係は把握できていません。(2012/08/06 追記)


2)サチャロカマスターアゼツライトの真偽について

南インド・サチャロカ地方から水晶が産出するという地質学的データはありません。
また、サチャロカコミュニティは水晶を採取するための組織ではなく、あくまでスピリチュアリティを探求するための修行の場でした。
いつの間にか鉱物の名産地になっているのは奇妙です。
サチャロカアゼツライトとして流通している水晶が、実はアメリカ・アーカンソー産水晶だったとして問題になっています。
関係者の情報が漏れ、明るみに出たようです。
比較的大きさのあるサチャロカマスターアゼツライトについては、ブラジル産やアーカンソー産の水晶と考えるのが妥当であり、サチャロカから産したとするには無理があります。

お世話になっている女性のご厚意で、原石をお預かりし、確認させていただきました。
ブラジル産水晶であると考えられます(→サチャロカマスターグランドアース)。
T様、いつもありがとうございます。

アーカンソー産水晶については、過去にも "ノースカロライナ産アゼツライト透明原石" と称して販売され、ファンの顰蹙(ひんしゅく)をかったことでも有名です。
決して悪いものではなく、世界で最もクリアな水晶のひとつとして、収集家にも高い人気があります。
ただ、小さなポイントが3000円以上の値を付けるようなことはまずありません。
偽物にはご注意ください。

サチャロカは広大な南インドのごく一部に過ぎず、インド人にも知らない人がいるほど。
コミュニティは欧米人を中心とし、ミレニアムをピークに稼動していた宗教団体の一種であって、古くから存在するインドの聖地ではないというのが私の見解です。(2013/08/18 最終追記)


2012/03/12

フローライト(ロジャリー)


フローライト Fluorite
Penny's Pocket, Rogerley Mine, Frosterley, Weardale
North Pennines, Co. Durham, England



数あるフローライトの中で最も格調高いとされる、英国・ロジャリー鉱山のフローライト。
微量のユーロピウムを含み、極めて強い蛍光性を示す。
本来はグリーン。
太陽光、或いは室内灯にあてただけでブルーに色変化を起こす。
曇り空にて撮影したが、結晶全体がブルーグリーンに写っているのは、ロジャリー産フローライトならでは。

フローライトの中には、紫外線に反応し、色合いが変化するものがある。
イギリスや中国、モロッコ産などが有名(日本からも稀に産出するらしい)。
色変化の度合いはさまざまで、全く蛍光しないフローライトもある。
また、多くはブラックライトが必要。
このロジャリーのグリーン・フローライトの豪快な色変化は、世界的にも稀なんだそうだ。

こちらは2011年産出の貫入双晶。
極めてクリア、比較的大きさのあるシャープな結晶体で、ひときわ青が濃い。
ロジャリー鉱山から発見されるのは、グリーンフローライトが中心だが、発見年代や鉱床の違いによる特性についても重視される。
そのわずかな差異もまた、収集家に愛される所以となっている。

さて、以前から気になっていたのだが、フローライトの結晶内に、白い内包物がみられることがある。
この標本もそう(本文下の写真がわかりやすいかも)。
私はこの内包物が大好き。
空にうかぶ雲のような、南国の海の泡のような、この何か。
ざっとみた感じ、気にかけている方はおられない様子なので、これ以上触れない。

この標本は、往年のロジャリー産フローライトの魅力を凝縮したかのような貫禄の品といえる。
なお、歴史と伝統を重んじる英国では、各地から産出する特徴的な鉱物に、格調高いネーミング(愛称)を与えることが多い。
見ていると、けっこう面白い。
詳しくはまたの機会に。




32×31×28mm  37.30g

2012/03/10

グランドキャニオンワンダーストーン


グランドキャニオンワンダーストーン
Grand Canyon Wonderstone
Grand Canyon Area, Arizona, USA



グランドキャニオンワンダーストーン。
なんだかすごい名前である。
鉱物としては、鉄分に富むライオライト(流紋岩)の一種。
米アリゾナ・グランドキャニオンの50万年前の地層から採取されるという。
グランドキャニオン国立公園の敷地内から採れるわけではなく(たぶん捕まる)、産地はあくまでその周辺らしい。
しかしながら、パワースポットのエネルギーを宿したヒーリングストーンとして、一部で人気があるようだ。

特徴は、レッド、オレンジ、イエローの暖色系パターン。
規則的な縞模様は、すべての石に現れる訳ではない。
また、莫大な人気を誇る石というわけではない。
ヨーロッパのごく一部では知られているようだが、扱いは地味。
ヒーリングストーンとしての扱いは少なく、むしろこの色合いの美しさに焦点が当てられ、宝飾品として注目されているようだ。

ワンダーストーンの名を持つ石は、アメリカほか世界中から産出する。
キロ単位で取引され、工芸品の素材として、また建築用素材としても用いられる。
いずれもマグマ由来のライオライトである。
なお、同地から得られる「グランドキャニオンジャスパー」、こちらは全く別の石。
さまざまな色合いが混在したシックな石で、印象としてはピクチャージャスパーに近い。

グランドキャニオンワンダーストーンは、いうなれば、これからの石。
この石のもつ温かみは、多くの人々を虜にする魅力に満ちている。
数あるワンダーストーンの中で、今後特別な扱いを受ける可能性を秘めているのは、このグランドキャニオンワンダーストーンくらい。
さほど高価なものでもないので、手に入れていただきたい。


27×22×19mm  15.32g





2012/03/07

パープルアパタイト


パープルアパタイト
Purple Apatite
Shingus, Haramosh Mts., Skardu District, Baltistan, Pakistan



淡いパープルのアパタイトに、紺色のインディゴライト(エルバイトトルマリン)が共生する豪華な標本。
先端に広がるアパタイトの結晶群は、まるで花のよう。

アパタイトといえば歯みがき?
石がちょっと好きな人であれば、ブルーを連想するかもしれない。
アパタイトにはブルーのほかに無色、イエロー、グリーン、ピンクなどさまざまな色合いがある。
紫色のアパタイトは、けっこう珍しい。
カットされコレクション用のルースとして流通しているが、誰もが気軽に買える価格とはいえない。
また、透明石は極めて稀で、霧のようなインクルージョンが入っているのが一般的。
もし、全くダメージのないパープルアパタイトのルースが格安で販売されていたら、お店の人に訳を聞いてみよう。

パープルアパタイトはなんとなく盛り上がっている…ような気がする。
イエローやピンクは比較的安価で入手できるが、これまでパープルは本当に少なかった。
若干流通の増えた今が買い時かも。

写真の標本は、実は安かった。
確かに透明感はいまひとつ。
また、アパタイト全体がパープルではなく、淡いグリーン~パープル~ピンクの3色に分かれている。
大きさはあるから私はこれで満足。
上質のパープルアパタイトは、透明感に富むラベンダーカラーを示し、大きく柱状に結晶している。
見かけたら拝んでおこう。
ちなみにアパタイトには三種類あり、パープルアパタイトをはじめ、私たちが目にするアパタイトの多くは、フローアパタイト(フッ素燐灰石)に分類される。

アパタイトにはさほど興味がなかった。
今回は、おまけ(インディゴライト)に惹かれて衝動買い。
シャープで繊細な、インディゴライトの輝きに負けた。
内部にも結晶が入り込んでいて、母岩のあちこちがインディゴブルーに彩られている。
これだけでも十分価値があるのに、ラベンダーを思わせるアパタイトとの組み合わせは、まるで見知らぬ芸術家の作品のようだった。
神様はよくぞこんな不思議なものを創られたと思う(以前も書いたような気がする)。

気になるのは産地である。
アフガニスタン、またその周辺諸国から産出する鉱物は、情勢などの理由から、複雑なルートをたどる。
産地不明となってしまうことも少なくない。
収集家、特に欧米では産地を重視するため、それっぽい地名を宛がうこともあるようだ。
この標本も、アフガンから出たものではないかと考えた。
美しすぎる違和感。
アフガニスタンでは、見栄えを良くするために、母岩や結晶にまでも手を加えることがある。
この標本ももしかしたら…?と、疑いたくなるのが人の心。
情勢の不安定な国々と隣接するパキスタンの業者が、鉱物資源の闇取引に関わっているという噂まで聞こえるほどの難しさが、そこにはある。

上記の土地は多数の鉱物を産する有名なペグマタイトにあたり、アパタイトの産出もあること、また色としてはパープルというよりパープルピンクに近いことから、パキスタン産だと思うことにする。
実際のところは、わからない。
売っている人も知らなかったりする。
この標本の産地とされるスカルドゥは、鉱物資源の宝庫ということになっている。
いっぽう、スカルドゥは鉱物の取引がさかんな町で、アフガンだけでなくタジキスタンや新疆ウイグル自治区(中国)産出の鉱物まで流れてくるという噂があったりもする。
知らないほうがいいことが、この世にはある。
パキスタンからの鉱物がこのところ業界を圧倒しているのは、私たちには知り得ない複雑な事情が絡んでいるんだろう。

本当に美しい。
白い部分は長石、インディゴライトの隙間にみえる赤は雲母と思われる。
ペグマタイト(※)から出てきた感が満載だ。
それ以上は考えないことにする。
春を待たずして、こんなにも魅力的な花にめぐりあうことができたのだから。


※ペグマタイト

おおざっぱにいうと、売れ筋パワーストーンが豊富に出てくる地層のこと。モリオンやトパーズ、放射性鉱物などが、日本の某ペグマタイトから産出するのは有名である。アフガニスタンのラグマーン・ヌーリスタン付近のペグマタイトからは、トルマリン、クンツァイト、ベリル(アクアマリン、エメラルド、モルガナイトほか)、雲母や長石、放射性鉱物各種など、高品質かつ多彩な鉱物が多く産出している模様(→詳細はパライバトルマリンにて)。




45×30×28mm  24.98g

2012/03/05

サニディン


サニディン Sanidine
Volkesfeld, Eifel, Germany



うっすらと浮かぶ虹が美しい。
ドイツからやってきただけあって、まるでビールのよう。
サニディン(サニジン)は長石の一種で、ドイツから産出する代表的な鉱物のひとつ。
不規則な結晶形を特徴とし、無色透明~白、ブラウンや灰色などさまざまな色合いを示す。
ドイツ・アイフェル地方から産する、ライトブラウン/ゴールドのサニディンの美しさは世界的に有名で、ファンは多い。

「超能力と結びつく力が強く、それを言語化または文字化して、現実のものとして残しておくことが可能となるよう導く力があると言われています」(『パワーストーン百科全書』八川シズエ著)

初めて手に入れた鉱物のガイドブックにあった、衝撃の一節。
真っ先に目をつけた。
初期に入手したサニディンは、灰色の欠片。
確か国産で、どこかの大学の地質学者の採取品だった。
最も美しいとされるドイツ・アイフェルのサニディンをようやっと手に入れたのは、昨年春のこと。
その堂々たるジャーマンビールカラーに圧倒された。

ドイツ南西部に位置するアイフェル地方は、希産鉱物の産地として知られている。
サニディンやアウインほか、ここでしか採れないといわれる鉱物も数多く産出する。
アイフェルは、太古の火山活動により形成された湖と、緑豊かな景色が広がるリゾート地。
雪解けを待って、鉱物の採集に訪れるファンは多い。
火山岩の中には未知なる感動が隠れている。

ドイツの鉱物はマニアックである。
ドイツの鉱物愛好家もまた同じ。
彼らの鉱物に対するこだわりは半端ないらしい。
王道をきらう国民性と関係があるそうだが、まだはっきりとは確認できていない。
ドイツのミュンヘンショーは世界的に有名なミネラルショーの一つだが、内容の濃さには定評がある。
標本の鑑賞にあたっては、片手にビールを持ちつつ腕を組み、眉間にしわをよせて考察を述べなければならない。
部屋にはもちろんミネラルカレンダー "Mineralien" を掲げ、こだわりをアピール。
なんせゲーテを生んだ国である。
ゲーサイトがゲーテに因んで名づけられた鉱物であることをご存知の方は多いと思う。
詩人、小説家、哲学者など、さまざまな側面を持つゲーテは、熱心な鉱物収集家でもあった。
ゲーサイトはゲーテを知る鉱物学者によって、彼の存命中にその名を与えられたという。

メロディ氏によるとサニディンは、生きづらさを抱える人々のサンクチュアリ的存在であるらしい。
この石を、人生に行き詰ったあなたにささげたい。
もちろんアイフェルのジャーマンビール色のサニディン、これでもう間違いない。


41×35×24mm  41.37g

2012/03/02

アンデシン/うずら石


アンデシン/うずら石
Andesine
東京都小笠原村字硫黄島



硫黄島、南海岸に分布しているという、不思議な形の鉱物。
白い部分がアンデシン。
グレーの部分は溶岩に由来する。
その外観がまるでうずら(の玉子?)のようにみえることから、かつては現地の人々の間で "うずら石" と呼ばれ、親しまれたそうだ。
白いアンデシンが立体的に交差するさまは、どことなく十字石を思わせる。
過去には島で商業的に硫黄の採掘が行われ、島名の由来となったほか、この奇妙なアンデシン/うずら石の産地として、鉱物愛好家には知られた存在のよう。
なお、近年注目を集めている赤いアンデシンについては「アンデシン/ラブラドライト」に記した。

硫黄島(いおうとう)。
行政上の都合で東京都に含まれるが、都内からは見ることができない。
東京湾の遥か南、太平洋に浮かぶ小笠原諸島。
火山から成る小笠原の島々からは、興味深い鉱物が数多く産出することで知られている。
日本列島から南に向けて点在する小笠原諸島の南端に位置するのが、硫黄島。
東京からは約1200kmもの距離がある。
ちなみに、さらに約1200km南下すると、グアム島に着いてしまうらしい。
沖縄よりずっとずっと南にある、亜熱帯気候の島。
なのに、陽気な南の楽園といったイメージが出てこないのは、やはり戦争のせいか。

硫黄島は第二次世界大戦末期、多くの犠牲者を出した激戦地として有名である。
戦前は千人を越える日本人が生活していたが、現在、関係者以外の島への立入りは禁止されている。
故郷に戻ることの許されぬ元島民やその子孫、戦没者の遺族らが時折硫黄島を訪れ、うずら石を祈念に持ち帰るという。

不勉強ゆえ、硫黄島で激戦が繰り広げられていたことは知らなかった。
昭和二十年、米軍・日本軍あわせて5万人もの兵士がこの島で命を落した。
硫黄島は米軍の占領下に置かれ、1968年に我が国に返還された後、自衛隊の基地となっている。
日米両国による硫黄島での合同慰霊祭で、アメリカと日本の代表らが握手を交わし、平和を誓ったのは、80年代に入ってから。
戦没者の遺骨は現在も収容されず島に残されている(戦争についてはサッパリなので、詳しくはWikipediaを参照して下さい!)。

硫黄島の名前はよく聞く。
自分はどうも、兵士を乗せた船が沈没し、生き残った人々が流れ着いた島だと思い込んでいた。
この島をめぐる戦時中、及び戦後の蟠りについては全くの無知であった。
重い歴史を背負ったこの石を、何も知らない私が持っていても良いものかと悩み、社長さんにお話を伺ったところ、意外な事実が判明した。
実はこの標本、戦前から私の実家近くにあったとのこと。
不思議なご縁だった。
貴重品だから、スリリングだからと、怖いもの見たさで採りに行くようなものでは無いと思っている。
日米間を往復し、最終的には反日感情を抱くアメリカンと、世界平和について語り合うほどの構えが必要となろう。
うずら石はそれらをやり遂げたのち、ようやっと手にすべきものと心得よ。
誰コイツ?偉そうな奴だね。

さて、硫黄島のアンデシンは、稀にみるレアストーンなのかというと、そうでもないらしい。
南海岸がうずら石によって埋め尽されている状態だという噂も。
島に行くことさえできれば、素人でも短時間で採取が可能だそうだ。
ただ、写真の石とは異なり、花のように広がっている標本が多く見受けられる。
まるで黒い砂漠の薔薇。
中には空き缶のようにぺしゃんこになったものも。

小笠原諸島において、硫黄島が発見されたのは、記録の上では18世紀に入ってから。
日本人の入植が始まったのは1904(明治37)年頃とされている。
硫黄島には先住民族がいたというが、その時既に無人島と化していたようである。
無人島から持ってきた鉱物が、東京うまれ・地元育ち?
非常に興味深い現象かもしれない。


※なお、鹿児島県にも硫黄島と呼ばれる島があり、硫黄の産地として知られている。
同じく火山島であり、産出する鉱物も似通っているため、一部で混同されている様子。
薩摩硫黄島とあれば鹿児島県のほうになる。


14×11×8mm(最大)

2012/02/28

インディゴライト


インディゴライト
Indicolite Tourmaline
Galiléia, Minas Gerais, Brazil



平和な日々をすごしています。
私は元気です。
今夜はブルールチルでお馴染みのインディゴライトの話をしましょう。
そう、憧れのあの青い針が、なんと束になっての登場です。
母岩が無いから丸ごとインディゴ。

だけど、なんだろう?この無言の圧力は。

エルバイト(リチアトルマリン)の中でも、緑色を帯びた青~濃紺色を示す結晶をインディゴライトと呼んでいる。
絶妙なブルーとグリーンのバランスがその基準となるため、判断は難しい。
ブルートルマリンよりも価値は高いとするのが一般的。
インディゴライト≠ブルートルマリン、とするなら、俗にいうブルールチルの定義に新たな見直しが必要かもしれぬ。
インディゴライトよりも、ブルートルマリンの針状結晶を内包する水晶としたほうが適切と考えられるからだ。
青緑の針の目立つブルールチルは、歓迎されない。
ジュディ・ホール氏の著書では、ブルー・トルマリンの入った水晶を青水晶としている。

この標本はインディゴライトとして入手した。
確かに全貌はインディゴライトだが、多彩すぎて意見はわかれそう。
一部にアクアブルーやグリーン(ヴェルデライト)、イエロー(カナリー?)の箇所が見られる(本文下に写真を掲載)。
いずれもエルバイトに属する。
あとはピンクがあれば勢揃いなのだけれど、残念ながら確認できず。

100gを越える大きさ。
手持ちのトルマリンの中で最も大きい。
そして分厚い。
鍋の底から現れたまさかの昆布のようなフォルムには、圧迫感すら感じる。
さほど高かった記憶がないのは、付着物・ダメージがみられることと、透明度や形状に「トルマリンらしさ」が欠けているためではないかと思う。
トルマリンといえば柱状のシャープな結晶体。
真っ直ぐな条線が光に透けてつやつやと輝くさまを楽しむもの。
複数の色味を持つ場合は、そのグラデーションの絶妙さも評価の対象となる。
だが、この標本は分厚すぎて、向こう側が見えない。
そこが光に満ちているのか、闇に包まれているのかは、わからない。

表面の至るところに、細かい毛状のなにかが貼り付いている。
シルバー?
水洗いしたら溶けて見えなくなった。
乾燥させて再び確認すると、復活している。
こすって落としても元に戻るコレ(本文下写真参照)は何?

カビの類いだろうか?
マイナスイオンで空間を清浄にするという美と健康の象徴・トルマリンに、カビなど有り得ないはずだ。
もしや水晶の中に入ってるアレ?
でも色がシルバーというか灰色。





追記:青い針のみのブルールチルは、インディゴライトによる発色ではないかもしれません。詳細はブルークォーツに記しました。(2012年9月8日 記)


91×46×32mm  125.5g

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?