2012/04/08

スモーキーローズ


スモーキーローズ
Rose Quartz
Pitorra Mine, Galiléia, Minas Gerais, Brazil



ローズクォーツが結晶することは滅多にない。
前ここで見たんすけど…という方にはもれなくプレゼントを差し上げたい。
ローズクォーツはまだ2回目。
単に私が珍しいモノ好きだから、ローズクォーツには出来る限り結晶していてほしいのである。
結晶化ローズクォーツが、以前よりも身近な存在になったのは確か。
ただ結晶しているだけでは売れなくなった。
出始めのころは、結晶というだけで高値が付いたものだが、買い手も賢くなり、ローズクォーツは案外結晶する、ということを知っている。

写真はちょうど一年前、春のミネラルショーで3,0xx円で売られていたもの。
桜の季節、今年も春のミネラルショーがやってくる。
ふと、思い出した。
エレスチャル成長した色濃いローズクォーツ。
その結晶に溶け込むかのような、淡いスモーキークォーツの色合い。
かねてからその存在は知っていたが、実際に遭遇するとは思っておらす、驚いたのを覚えている。
まず見所はというと、大きい。
ローズクォーツの結晶としては、相当の大きさがある。
また、エレスチャルと呼ばれる、非常に複雑な構造をしている。
ブラジルから産する結晶化ローズクォーツはポイント状にはならず、概ねエレスチャルクォーツになるという見方もできるのだけれど、これほど明快にエレスチャル成長したローズクォーツというのは興味深い。
かつ、この透明感。
これだけで十分価値はある。
これだけ?

そう、つまるところ、スモーキー部分はオマケになる。
ラベルには「Rose Quartz(ローズクォーツ)」とだけあるから、ラベリングした人も同じことを考えたに違いない。
これを手に取ったときにはわからなかった。
二つの色合いに価値があると思い込んでいた。
モリオンと共生した、あの気高いアフガンローズを見るまでは。

去年の春のミネラルショーでは、他にも似た面持ちの標本を幾つか見かけた。
かなりの流出があったのかと思いきや、あれ以降みかけない。
数そのものは、多くはなかったのだろう。
連れに止められたのをふりきって、(何周かしたあと)買っておいてよかった。

人生は甘くない。
後になって気づいたときには後悔ばかり。
石だけは例外なのかもしれない。
本当の意味に気づいたとき、いかに救われたことかと、心底思い知らされることがある。
ギャンブルの類いはいっさいダメ。
なのに石に限っては、たびたびある。
川石の収集家だった祖父が自分を守ってくれている。
人生をふりかえったとき、そう思うことが、たびたび、ある。

私を育ててくれた祖父。
あれからもう二十年になる。
前日まで元気だった。
立ち寄った叔母一家と曾孫を外まで見送り、さよなら、と手を振ったのが最後だったそうだ。
来客を見送るような人ではなかったから(さすがじいちゃん!)、叔母はこれはおかしいと直感したという。

つかみどころのない不思議な人だった。
常に酒を呑んでいた。
時々、ライカや植物、石の台座をいじっていた。
私が何よりも怖がる「指が取れる技」を繰り出し、キセルの煙で輪っかをつくってみせ、にやにやしている。
祖父と一言も話さなかったのが、今でも不思議でならない。
石を集め始めて間もない頃、渋いからという理由だけで購入した、ドイツのデンドライトが供えっぱなしになっているのを思い出した。
夜があけたら、拝みにいこう。




48×29×17mm  26.08g

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What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?