2012/04/20

スギライト/杉石(原産)



スギライト Sugilite
愛媛県越智郡上島町岩城船越(旧岩城村)



世界三大ヒーリングストーンのひとつ、スギライト。
当初はヒーリングストーンって何?と思ったかたのほうが多かったかもしれない。
"三大なんとか" というのを比較的良く耳にするが、誰が認定し、好んで使っているのか疑問を投げかけずにはいられない。
そんな世界のトップ3にランクインしている、スギライト。
気高い美しい紫の色合いはもちろんのこと、日本原産であり、和名が杉石、発見が杉博士というある種の話題性も手伝って、日本では特にもてはやされ、売り上げを伸ばした人気商品であった。
現在も、杉博士が発見した杉石として、あちこちで紹介されている(要注意事項についてはアフリカのスギライトのページでご覧下さい)。

ところで、杉博士とはいったい誰なのだろう。
前回のスギライトの考察にあたっては、社会現象としてのこの石の側面に焦点を絞り、そのオチとして「1942年に杉博士らによって発見されたスギライトは、うぐいす色であったという」wiki情報をパクるなど、たいへん失礼な行為が見受けられる。
うぐいす色っていっても石だから、絶対あてになんないよね。
そんな話をしながら、これを見た。
その場にいた全員がこう言ったのである。

「うぐいす色だ」

誰もが驚いた。
原産地からのスギライトは、wikiにあるとおり、見事な淡いうぐいす色であった。
ただ、そうでないものもある(以下のリンクにみえる杉石は色が濃すぎる)。
この標本が、何年ごろ、島のどのあたりで、誰の手によって持ち帰られたかについては、あえて伺っていない。
杉博士らがかつて杉石のサンプルを持ち帰ったとされる、瀬戸内海の島からやってきたものには間違い無い。
この標本も研究のために、島を離れたということだった。
長いときを経て我が家にたどりついてしまった。
管理が不十分で申し訳なく思う。

少なくとも、意識して「うぐいす色」のスギライトを見たのはこれが初めて。
スギライトは紫でなければならないから、うぐいす色のほうを気にする人は少なかった。
私は、非常に気になっていた。
ブログにそれをアピールした直後の出会いだっただけに、心臓がとまりそうになったのを覚えている。
くわしいことはわからない。
発見地は上記の住所に浮かぶ、小さな島だという。
その島以外からは出ていない。
また、現在採取は禁止されている。
貴重品であるというのは確かで、販売されているのを見た記憶がない。
発見当時のスギライトについて言及している方は多いようだが、その姿は専門家のみぞ知るといった状況のよう。
日本人が発見したという事実は、スギライトの魅力を引きたてるためにあるというほかない。
かつては、スギライトフィーバーが盛り上がりすぎたために、一部に杉博士とメロディ氏を混同している人までいたくらいであった(クリスタルヒーラーであるとの意見は比較的よく聞かれた/実話)。
では、杉博士とはどんな方だったのだろう。

実は、発見者の杉博士は、1942年の杉石発見後すぐに他界している。
48歳の若さであったということだ。
杉さんご本人は、クリスタルヒーリングの人気に伴っておかしな誤解を受け、多くの人にその名を利用されたことを知らない。
それどころか、ご自身が新鉱物の発見者であることも、死後に名を残したこともご存じない。
この石に何かを感じ、周囲の誤解にみまわれながらも熱心に研究されていたようだ。
そもそもこの特異な島をも見つけ出したのだから、杉博士は計り知れない霊的なお力があった、という推測も可能ではある。
杉石の命名は1975年。
九州大学で杉健一博士の跡を引き継いだ、村上允英博士による命名ということである。
それまでは保留となっていた。
ユーディアライトではないかと疑われたこともあったらしい。
よくわかんない…けどもしかしたら、奇跡がおきるかもしれない。
つまり、そんな認識だったものと思われる。
現在も研究なさっている方がおられると聞くほどだから、研究し甲斐のある鉱物なのだろう。

命名から5年後に、南アフリカから紫のスギライトが発表され、原産地からの標本の影は薄くなってしまう。
瀬戸内海の島には何島か上陸しているから、私など気づかず通り過ぎる位、産地が狭いと思われ、さらにそれ以外の場所からは見つからない。
つまり、発見場所の特定が可能なうえに、産地/期間限定品であって、意外に美しい。
少なくとも末期の、ギトギトに着色されたスギライトとは比較にならぬほどに、美しいと私は感じる。
この標本にまつわる複雑な事情等もなんとなく想像できるが、あえて聞いていない。
エジリンや稀産鉱物・バラトフ石と共生しているとのお話で、それゆえに紫外線で蛍光するなどの魅力も。
共生のバラトフ石にかんしても、不穏な論争の形跡が伺える。

参考:「バラトフ石」http://kobutubako.web.fc2.com/Baratovite.htm

この奇妙な島にはどうも、かの幻の大陸とのつながりが感じ取れる。
意外な話を続けよう。
杉博士には幼少時、霊媒と騒がれた特殊能力があった。
周囲からは新鉱物であることすら理解されなかったというのに、氏はこの石が霊的に群を抜いた特殊な存在であることにいちはやく気づき、波動の差異で他の石とは違うという本質を見抜かれたのである。
その類い稀なる能力のために、若くして現世を離れることになった杉博士。
その波動は、今も現地に面影を残し、能力者のあいだでは伝説となっているという。


【注意事項】

最終段落は創作です。絶対にコピペしてご利用ください。ソース無しの無断転載による被害を受け、杉博士がお嘆きになっているようで心配です。
このような発言にいっさい責任を感じない愚かな私に、貴重な標本の半分をお分けくださり、ブログやラベルのお心遣いまでいただいた偉大な国産鉱物収集家、O様には、心からお礼申し上げます。貴重なきっかけをありがとうございました。収集した鉱物を後世に残すことは、今我々に与えられた課題のひとつではないでしょうか。


57×48×35mm  83.63g

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?