2011/08/19

ブルールチル


ブルールチル
Tourmalinated Quartz
Jenipapo, Minas Gerais, Brazil



インディゴライト(ブルートルマリン)の藍色の針を内包する水晶。
ブルークォーツ、インディゴライト入り水晶、インディゴライト・イン・クォーツ、トルマリネイテッド・クォーツ、青針水晶などと呼ばれている。

現在、パワーストーンとして定着している「ブルールチル」の名は愛称。
皆様もご存知かと思うが、ルチルは鉱物名であり、青いルチルは存在しない(→ルチルの原石についての考察)。
ルチルクォーツの知名度が上がりすぎたために、水晶に含まれる針状インクルージョンを、総じてルチルと呼ぶようになった。
流通し始めた当初は、「ブルールチル」という呼び名は鉱物学的に誤りであるとの批判が相次いだ。
ここで今一度、ブルールチルという存在の意味について考えてみたい。

本文下の写真にあるビーズは、手持ちのブルールチル。
ごく初期に出回ったもので、先日確認したら、予想以上に手元に残っていた。
撮影のさい光源の関係で、一部に色ムラが出てしまったが、実物はきわめて透明度の高い綺麗なビーズ。
まだ販売されているのを見たことがない段階で決断を迫られ、私なりに賭けに出た。

メチャクチャ売れた。
必死すぎるくらい売れた。
現在、まだ半連以上残っているということは、途中からどうでもよくなったんであろうと思われる。
数が少ないために、当初枯渇は時間の問題だといわれていた。
しかし現在もなお、ブルールチルのブレスは人気商品として定着している。

写真の石は、ブルークォーツとして今年購入した。
藍色のインディゴライトの針が内包された、いわばビーズに加工される前の原石。
こうした標本の流通が増えており、相場は下落している模様。
こちらのエレスチャル状結晶のほか、エッチングの入ったもの(蝕像水晶)、なぜか加工用大原石も格安で販売されていたので購入した。
ブレスには、それらの原石の100倍近い値段が付いている。
なんと、ホームレスの行き交う大阪市N成区の違法露店でも、ブルールチルが売れ筋だというからたいしたものだ。
白濁した、青い針も満足に見えない玉を使ったブレスでさえ、いいお値段で販売されている。
あれはさすがにどうかと思う。
また、アクチノライトを内包した青緑色や青灰色の水晶もブルールチルとして扱われているようだが、原価が全く違うのだから、一緒にするべきではない。
では、なぜブレスと原石の評価に、ここまで差が開いてしまったのだろう。

ルチルクォーツが爆発的ヒットを飛ばしたのを覚えておられるだろうか。
誰もがルチルのブレスを手に入れた。
ゴールド・シルバーカラーのルチルだけでは、いずれ飽きられてしまうから、先手を打たなければ折角の市場が台無しになってしまう。
そこで、ユニクロの如く、さまざまなカラーのルチルを取り揃え、幅広い層にアピールしてしまおうとする声があがった(想像)。

ゴールド・シルバーに続くのは、ブラックルチル、グリーンルチル、レッドルチル、ホワイトルチル。
加えてやや入手の難しいプラチナルチル、オレンジルチルなど。
最後に最も入手困難な激レアカラー、ブルールチルをプレミア価格にて販売。
消費者は誰よりも素晴らしいブレスを手に入れるため、躍起になる。
ルチルで金運UPを期待するのはもう時代遅れ?

そんなわけで、ルチルじゃなくて!トルマリンとかアンフィボールとかだ!などと騒いでいた標本業界は、パワーストーン業界に遅れを取ってしまった。
価格の暴落の意味するところ、それは石に対するこだわりが過ぎた結果ではないだろうか。
めちゃくちゃ適当な推測なので、本気にしないでいただきたい。

ブルールチル、若しくはインディゴライト入り水晶。
どちらの表記のショップで買い求めるかについては、目的によって選び分けたい。
幸せになれるのなら死んでもいいというあなたは前者、石さえあれば(以下同文)後者がおすすめだ。




40×23×21mm  22.18g

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