パライバトルマリン
Paraiba Tourmaline
Pegmatites of Laghman, Nuristan-Laghman, Afghanistan
1989年にブラジルのパライバ州で発見され、瞬く間に高価な宝石となったパライバトルマリン。
産出の激減に伴い、定義の見直しが行われた。
「銅及びマンガンを含有するブルー~グリーンのエルバイト・トルマリン(産地は問わない)」(2006年)
現在は以上のように定義されている。
ブラジルでは事実上絶産し、低品質の原石が僅かに残っている程度。
ナイジェリアやモザンピークから産出するエルバイト・トルマリンがカットされ、流通しているとされる。
しかしながら、ブラジルから初期に得られたような美しいブルーグリーンのトルマリンは希産で、色合いを整えるため加熱処理に頼っているのが現状という。
産出の激減に伴い、定義の見直しが行われた。
「銅及びマンガンを含有するブルー~グリーンのエルバイト・トルマリン(産地は問わない)」(2006年)
現在は以上のように定義されている。
ブラジルでは事実上絶産し、低品質の原石が僅かに残っている程度。
ナイジェリアやモザンピークから産出するエルバイト・トルマリンがカットされ、流通しているとされる。
しかしながら、ブラジルから初期に得られたような美しいブルーグリーンのトルマリンは希産で、色合いを整えるため加熱処理に頼っているのが現状という。
世の中には不思議なこともある。
原石の段階で美しいパライバカラーを示す、ブラジル原産のトルマリンが安価で大量に出回っているのである。
写真の石もそう。
以前から思っていたが、この感じ…
もしかしたらアフガニスタン産ではないか。
後日、販売元に確認した。
ブラジル産に間違いないとのことであった。(※本文下に追記あり)
原石の段階で美しいパライバカラーを示す、ブラジル原産のトルマリンが安価で大量に出回っているのである。
写真の石もそう。
以前から思っていたが、この感じ…
もしかしたらアフガニスタン産ではないか。
後日、販売元に確認した。
ブラジル産に間違いないとのことであった。(※本文下に追記あり)
ヒマラヤ山脈の西端を形成するヒンドゥークシュ山中に位置するアフガニスタン。
鉱物の採掘と販売は地元の人々が個人的に行っている。
政治情勢が不安定なため、海外のバイヤーが現地に立ち入ることは難しく、大半は国境を越えて密輸され、パキスタンのギルギットやペシャワール、若しくはペシャワールから約300キロほど離れたアフガニスタン・カブールなどで取引されているらしい。
ヌーリスタン州とラグマーン州の中間部に位置するペグマタイトからは、非常に質の良いエルバイト・トルマリンが産出する。
美しいパライバカラーを示すトルマリンも珍しくない。
産出そのものも多く、世界市場に占める割合の高いことが推測される。
同時多発テロにおける被害者感情による売り上げへの影響を危惧してか、アフガンを避けて譲らないアメリカ人業者は多い。
鉱物の採掘と販売は地元の人々が個人的に行っている。
政治情勢が不安定なため、海外のバイヤーが現地に立ち入ることは難しく、大半は国境を越えて密輸され、パキスタンのギルギットやペシャワール、若しくはペシャワールから約300キロほど離れたアフガニスタン・カブールなどで取引されているらしい。
ヌーリスタン州とラグマーン州の中間部に位置するペグマタイトからは、非常に質の良いエルバイト・トルマリンが産出する。
美しいパライバカラーを示すトルマリンも珍しくない。
産出そのものも多く、世界市場に占める割合の高いことが推測される。
同時多発テロにおける被害者感情による売り上げへの影響を危惧してか、アフガンを避けて譲らないアメリカ人業者は多い。
ヌーリスタン、ラグマーンともに、きな臭い噂が絶えない土地である。
現地は鉱物資源の宝庫。
トルマリンの他に、優れた品質のエメラルド、クンツァイト、ガーネットなどが産出することで知られている。
また、ベリリウムやポルサイト、タンタライトなどの資源が大量に眠っており、政府によって規制がかけられている。
これらの資源の意味するところ、それは殺戮に他ならない。
アフガンの鉱物に関する、大変ためになるサイト。
古い資料だが、いろいろな場面で見かけるので、目を通しておきたいところ。
現地は鉱物資源の宝庫。
トルマリンの他に、優れた品質のエメラルド、クンツァイト、ガーネットなどが産出することで知られている。
また、ベリリウムやポルサイト、タンタライトなどの資源が大量に眠っており、政府によって規制がかけられている。
これらの資源の意味するところ、それは殺戮に他ならない。
アフガンの鉱物に関する、大変ためになるサイト。
古い資料だが、いろいろな場面で見かけるので、目を通しておきたいところ。
この石がブラジル産でないことは確かだと思われるので、産地については "ラグマーンのペグマタイト" とおおまかに記した。
アフガニスタン産であることを明記の上、パライバトルマリンを販売している業者もある。
ラグマーンのメータルラムから産出したという、見事なバイカラーのパライバトルマリンを追いかけていくうちに、こんなニュースに行き着いた。
10月12日、メータルラム郊外で路肩爆弾の爆発により9人が死亡
http://www.bostnews.com/details.php?id=2807&cid=2
アフガニスタン産であることを明記の上、パライバトルマリンを販売している業者もある。
ラグマーンのメータルラムから産出したという、見事なバイカラーのパライバトルマリンを追いかけていくうちに、こんなニュースに行き着いた。
10月12日、メータルラム郊外で路肩爆弾の爆発により9人が死亡
http://www.bostnews.com/details.php?id=2807&cid=2
"mine" には鉱山、宝庫、地雷の3つの意味がある。
鉱山名で検索をかけたために、地雷関連の記事が出たわけだが、この2つが繋がる偶然に嘆かざるを得ない。
わずか3週間前、メータルラムで地雷による死者が出ている。
目を覆うような悲惨な出来事が、アフガンの美しい宝石のすぐ側で日常的に起きている。
鉱山名で検索をかけたために、地雷関連の記事が出たわけだが、この2つが繋がる偶然に嘆かざるを得ない。
わずか3週間前、メータルラムで地雷による死者が出ている。
目を覆うような悲惨な出来事が、アフガンの美しい宝石のすぐ側で日常的に起きている。
【追記】
この標本に関して「色合いが濃く、パライバトルマリンと呼ぶのは疑問」との貴重なご意見をいただきました。確かに、本来のパライバトルマリンは水色に近い色合い、宝石質の場合は眩いネオンブルーの色合いです(写真)。
この標本に関して「色合いが濃く、パライバトルマリンと呼ぶのは疑問」との貴重なご意見をいただきました。確かに、本来のパライバトルマリンは水色に近い色合い、宝石質の場合は眩いネオンブルーの色合いです(写真)。
ブラジル・バターリヤのパライバトルマリン
冒頭で取り上げたトルマリンについては、パライバトルマリンではなく、「ブルーグリーントルマリン」(パキスタン産)として販売されている石である可能性が高いと考えられます。
残念なことに、これをパライバトルマリンとして販売している業者がいるのは事実で、小さくカットしてしまうと、ごく一般の人々が判断するのは困難です。
専門家にあっても、判断を誤るケースがあったようでした。
すべては宝石ディーラーさんの手腕と良心にかかっているといえるでしょう。
以上、アドバイスをいただきました宝石店代表・M様に心より感謝申し上げます。
見分け方としては、色合い。また、ブラジルに特有の鉱物かどうかが疑われ、かつアフガン近辺から多数産出がある鉱物(まんまですがラピスラズリの類い/文中に挙げた鉱物のほか、ピンクトパーズ、ハックマナイト、スフェーン、パープルスキャポライト等々)を列挙している宝石店にこの石が多く認められた場合、疑って良いと思います。(2011/12/30)
専門家にあっても、判断を誤るケースがあったようでした。
すべては宝石ディーラーさんの手腕と良心にかかっているといえるでしょう。
以上、アドバイスをいただきました宝石店代表・M様に心より感謝申し上げます。
見分け方としては、色合い。また、ブラジルに特有の鉱物かどうかが疑われ、かつアフガン近辺から多数産出がある鉱物(まんまですがラピスラズリの類い/文中に挙げた鉱物のほか、ピンクトパーズ、ハックマナイト、スフェーン、パープルスキャポライト等々)を列挙している宝石店にこの石が多く認められた場合、疑って良いと思います。(2011/12/30)
24×15×10mm 16.23ct