ラベル healing crystal の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル healing crystal の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2013/03/15

チベットモリオン(黒竜江省産)


チベットモリオン
Quartz var. Morion
Heilongjiang, Daxing'anling Prefecture, China



かねてから、チベットモリオンは実在するのかという疑問があった。
高波動満載のヒーリングストーンが多数発見されているといわれるチベット。
古くから旅人を魅了してやまなかった伝説の地、シャングリラからも、モリオン(黒水晶)が大量に発見されているという。
聖地チベットから産出する神秘のパワーあふれる黒水晶・モリオン。
そんな都合のいい話がこの世にあるだろうか。

以前アンデシンの記事にて、中国で産地の捏造が日常的に行われているおそれがあることを記した(注:チベットアンデシンについてはこちらの記事にて)。
未知の産地をとらえた写真がネット上に流れる時、善からぬ思惑が入り混じることがある。
パワーストーンの売り上げアップのために、採掘現場と称して撮影にモデルを起用し、チベットの神秘を演出してしまったという残念な例が実際にある。
今回は、人気のチベットモリオンの存在の如何について、大胆にも考察していきたい。

きっかけはチベット産レッドアンデシン。
採掘現場の写真をネット上でたまたま見かけ、違和感を感じた。
鉱山内の一箇所に、不自然なほどに宝石質の赤い結晶が、まとまった状態で詰め込んである。
選別作業において、選別を終えたアンデシンは見当たらない。
素人目にみても実際の採掘現場ではない。
その後、産地のねつ造が行われていたことが発覚した。
ひとつの疑問が生じる。
アンデシン同様、他所から産したモリオンをチベットにばら撒き、神秘性を高めた…としたら?

以前ウクライナ産モリオンにおいて、山東省でモリオン産出の確認がとれている旨、記した。
山東省産モリオンは長石を伴う一般的な黒水晶。
鉱物標本店で見かける、信頼性のあるモリオンは、もっぱら山東省産だ。
チベットモリオンはパワーストーン系のショップで見かけるのみ。

私は幸運である。
ある方のご厚意で、内モンゴル産モリオンの産地や原石の様子の写真を入手することができた。
産地の状況もみえてきた。
正確には、内モンゴル産ではなかった。
山東省産に匹敵する見事なモリオンが産出しているのは、内モンゴルに隣接の中国黒竜江省。

黒竜江省モリオンは、大きさといい産出量といい、見事としかいいようがない。
表面が白や緑の衣に覆われているのがその特徴と考えられる。
工事中に偶然見つかったとのこと。
ただ、多くは巨大な塊で産出するため、鉱物標本として扱えなかった模様。
そのため、ほとんどがビーズなどに加工されてしまったということだ。
市場を賑わせているチベットモリオンのブレスレット。
黒竜江省モリオンを加工して作られたものだったのだとしたら、実に残念なことになる。
いっぽう、現地の産状や詳細な産出場所については謎につつまれたまま。
資料にある鉱山の写真には、半ば砂漠のような荒野と、海か湖のようなものが見える。
産地の地名から調べても、はっきりした場所はわからない。

さて、まずは中国黒竜江省産の天然モリオンのサンプルを手に入れなければならない。
そんなものは市場には出回っていない。
おそらくはチベットモリオンにその名を変えて、ブレスレットなどの製品になって流出してしまっている。
まさかとは思うが、中には "人工的につくられた" モリオンも含まれているかもしれない。
モリオン(黒水晶)は、水晶に放射能をあて、原子炉で人工的に作り出すことが可能である。

中国黒竜江省モリオンの特徴である、白やグリーンの衣をまとった大きさのある黒水晶。
チベットモリオンとして流出している石をあたれば、見つかるかもしれない。
そんなことを考えていたある日、私は中国黒竜江省産とみられる天然モリオンを格安で発見した。

昨年の池袋ショーにてお世話になったブース。
お隣のブースに黒いブツが並んでいる。
チベットモリオンの看板が出ている。
お店の方には、チベット産ではなくモンゴル産のモリオンを探している旨、告げた。
「混ざってます」とのお返事だった。
いや、混ざってなんかいないはずだ。
すべて中国黒竜江省産のモリオンであると、私は想定した。
というのも、池袋ショーで購入した写真のチベットモリオンは、見事な白や緑の衣をまとっており、中国黒竜江省産モリオンの特徴に酷似しているのである。
数年前から人気商品として定番化しているチベットモリオン。
これが偽物だったら大変なことになる。

日本人からすれば、チベットとモンゴルはだいたい同じ場所。
だが実際のところ、モンゴルとチベットには、相当の距離がある(→地図/イエローの部分がモンゴル産モリオンの産地付近か)。
日本列島が3つほど入ってしまうくらい離れた産地の鉱物が同じものとはいえない。
内モンゴル付近から素晴らしいクオリティの稀産鉱物が産したことは、専門家によって多数報告されている。
しかしながら、現地に外国人が入る機会は少ない。

以上の考察の結果、チベットモリオンは、残念ながら産地偽造品であったと断定する。
チベットモリオンと呼ばれ日本中のファンを虜にした神聖なビーズのほとんどは、中国黒竜江省産。
産地偽造の発覚は、販売者にとっては大問題。
だが、消費者も真実を知る必要がある。

気になるのは中国の放射能汚染とチベットモリオンの関係性である(→詳細はチェルノブイリと黒水晶にて)。
チベットモリオンの産地は赤と青で示した(→地図)。
イエローで示したのがチベットモリオンが産出したとみられる場所。
中国北端、モンゴル自治区境界及びロシアとの国境付近にあたるということだが、正確な位置はわからなかった。
現地は肥沃な土地を有し農作物の産地として知られているという。
しかしながら、場所がよくない。
中国にとって最も "不要な地域" にあたるのは一目瞭然。
核実験が行われた可能性がある。
仮に核汚染で半人工的に "処理" されたモリオンがこの世に存在するとしたら、うわさになったチェルノブイリのあるウクライナではなく、中国なのではないか、と私は推測する。

参考までに、写真の標本と一緒に購入したチベットモリオンのポイント(→画像)を例に挙げる。
放射線処理を施され黒くなった、有名なアーカンソー産の人工モリオン同様、色ムラが著しい。

中国から大量の天然モリオンが発見される以前は、放射能で人工処理したモリオンが主流であった。
一般に人工処理の如何は、白い色ムラの有無、根元付近に透明部分が残っているかどうかで見分けることができるといわれる。
標本を裏返すと、根元部分に無色透明の結晶が見えるのは、この標本及び上記リンクの画像にある通り。

中国の核汚染を持ち出すのは安直かつ危険と承知している。
ただ、内モンゴルが放射能で汚染されているのは事実。
聖なる土地のはずのチベットについても、核汚染は著しい。
四川省大地震では核施設が爆発し、多くの即死者が出たと聞いている。
意外に知られていないが、中国は日本以上の地震大国である。
チベットモリオンと最初に耳にしたとき、チベットにおける深刻な放射能汚染由来のモリオンを疑った。
しかしながら、より汚染の深刻なモンゴル付近から不自然なモリオンが産出し、誤ってチベットモリオンとして流通した、というのが現実のようだ。

以前から、チベットモリオンを好きになれなかった。
山東省産モリオンは手持ちがあるが、チベットモリオンは持っていない。
モンゴル産(黒竜江省産)も気味が悪いので倉庫には置かないようにしている。
チベットモリオンのパワーを信じて購入された方には、残念な内容になってしまった。
少なくとも、放射能の影響で黒くなった天然黒水晶に間違いないこと、記させていただく。
真実は石のみぞ知るということになろう。



右は裏面の拡大写真。
ところどころに透明水晶が見えるのは人工照射モリオンの特徴。
この黒さは原子炉で短期間に黒く加工されたとは考えにくい。
左は緑の衣をまとった堂々たる正面写真で、チベットモリオンに顕著。


約150g

2013/03/07

スターブラリークォーツ


スターブラリークォーツ
Starbrary Quartz
Corinto, Minas Gerais, Brazil



私にとって最も衝撃のクリスタルが手元にある。
宇宙のおともだちである。

写真の石がそう。
スターブラリークォーツという。
Star+Library=Starbrary(宇宙図書館)。
宇宙規模の情報を宿しているという。
本当に宇宙からやってきたらしいから、ただことではない。
鉱物としては、蝕像水晶、アイスクリスタルと同時期に話題になったコリントクォーツ(流星のように刻まれた模様を持つ蝕像水晶)や雷水晶に酷似している。
膨大な情報を含んでいると聞いてレムリアンシードを思い浮かべた方も多いはず。
全く別のモノらしい。

産地はコリントとは限らない。
世界中からスターブラリーは発見されている。
レムリアンシードが太古の人々の記憶を宿すのに対し、スターブラリーは人智を凌駕し、宇宙の域にまで達しているということである。
ただ、その基準や定義はまちまち。
グリフ(模様)で判断するというが、その真偽は直観、すなわちリーディング能力の如何に委ねられる。
えちごやが喜ぶ要素が満載である。
信用ならない人物から買うべき石ではないことを先ず、強調しておきたい。

アメリカのクリスタルヒーラーの間で話題になっていたスターブラリークォーツを、先日運よく手に入れた。
美しいと感じたから。
動機はそれだけだった。
日本での状況が気になって、調べてみた。
しかし、ネット上を検索しても見当たらなかった。
以前から知られていたというけれど、日本にはまだ入ってきていない。
ある方と出会うまで、そう信じていた。

私は本当に運がいい。
先日ご縁あって鉱物をお譲りした女性が、偶然にもスターブラリーのマスターだった。
初めてスターブラリーを手にしてから一ヶ月と経っていなかっただけに、今でも不思議でならない。
スターブラリーがスターブラリーを呼んだとしか思えない。
実際、そういわれている。
私はスターブラリークォーツが日本にもかなりの量、存在しているという現実に直面することになった。
ネット上で検索しても日本語の資料が見つからなかった原因はつまり、私が "スターブレイリークォーツ" と誤訳してしまっていたため。
その方に出会わなければ、真価もわからず、追加でお願いすることもなかっただろう。
スターブラリーかどうか判断するには、信頼のおけるプロのクリスタルヒーラーの力が必要不可欠。
悪質な業者を通すわけにはいかないのだ。

スターブラリークォーツには、いくつもの種類がある。
カシオペア、プレアデス、アルサマイナー(ごぐま座)、レオ、オリオン、アンドロメダ。
それぞれの星雲に属し、異なる力を備えているという。
これらを見分けるには素人には至難の業。
商品として扱うにあたっては、全種類見ておく必要がある。
写真のスターブラリーはアルサマイナーで、流星のようなマーキングが目印だと伺っている。
複数の要素が混じることもある。
上記の6つの特徴を備えたスターブラリーを、マスタースターブラリーと呼び、高い霊性を持つ人のみが扱うとされる。

"スターブラリー" で検索し直してみると、出てくる出てくる。
価格は軒並み一万を越えている。
中には、怪しい石も混じっている。
スターブラリーの名を付けて売り出そうという魂胆が見え隠れする。
レムリアンシード同様、良からぬ人々にその名を利用されるのは時間の問題だから、非常に危険なクリスタルであることを強調しておきたい。
本物に出会うことなしに偽物を見抜くことはできない。
日本にも信頼のおけるディーラーは存在する。
前述の女性もその一人。
今回は彼女のご協力を得て、スターブラリーという謎の水晶について記させていただいた。

彼女曰く、持ち主には相応の能力が求められるという。
スターブラリーの種類を見分けられる程度のリーディング能力がなければ、スターブラリークォーツは動き出さない。
グリフ(模様)に触れ、何もわからなければ、あきらめるしかない。
これは重大な問題である。
レムリアンには鉱物としての明確な定義があった。
しかし、スターブラリーについては、相応しい人物が持たなければその価値は永遠にわからないということになる。
偽物は存在し得ない。
持つ人の霊性に委ねられる。
偽物を本物と信じ込んでしまうようなディーラーが扱うことはない。

本当のことは、誰にもわからない。
だけど、うちゅうのおともだちならきっと解る。
遠い宇宙の彼方から集まった孤独な星たちが今、ひとつになろうとしている。
人智を超えた、春か宇宙に魂を委ねるのもわるくない。
そんな、存在。




注意)この水晶に似た石をスターブラリーと解釈しないよう、ご注意願います。
あくまで霊的な領域においてプロが判断すべきものであり、模様や雰囲気が似ていてもスターブラリーかどうかはわかりません。
アメジストにもスターブラリーはありますし、これといって模様がない場合もあります。
一般的な蝕像水晶にスターブラリーの名を付けて販売するのは絶対におやめください。


105×21×12mm  42.26g

2013/02/26

ブルーターラクォーツ


ブルーターラクォーツ
Blue Phantom Quartz/Tara Quartz
Ippupiara, Bahia, Brazil



ブルーの濃淡を伴う幻想的な青水晶。
このブルーは、内包されたリーベカイトとオレナイト(ブルートルマリン)による発色とされている。
鉄分とみられる赤い不純物との対比が面白い。
ブラジルはバイア州イブピアーラとミナスジェライス州の二ヶ所から発見されている。
同じブラジル産出、針状インクルージョンを伴うインディゴブルーの水晶(俗にいうブルールチル)とは様子が異なる。

ターラとはチベット仏教の女神のこと。
ブラジルからずいぶん離れたチベットの女神が、なぜこの水晶の愛称となってしまっているのか。
解釈に戸惑うところである。
ニューエイジの世界では、ターラはよく知られた存在。
ドリーン・バーチュ氏によって、アセンデットマスターとして挙げられているのはホワイトターラ。
ブルーターラではない。
ブルーファントムクォーツと呼んでいるところもあるものの、一般にはブルーターラの名で親しまれ、ヒーリングストーンとしての人気は上昇を続けている。

私が最初にターラクォーツを手に入れたのは、4年以上前のこと。
色はどちらかというとグレーに近かった。
水晶内部に広がる風景は、曇り空に降り続く雨が大地を潤すさまを思わせた。
当時はものすごく、高かった。
ビニールの袋から出すのには勇気が必要だった。
このブルーターラは、このほどバイア州からまとまって発見されたもので、以前よりお求めやすくなっている。
どちらかというと小ぶりだが、ポイント状に結晶していて、変則的な結晶形と幻想的な青いファントムを楽しむことができる。

ターラは日本でいうところの多羅菩薩。
チベット仏教において重要な役割を担う観音菩薩にまつわる女神である。
一説によるとターラ(多羅菩薩)は、この世から絶えることのない苦しみを前に、観音菩薩が流した涙から生まれたという。
右目からは白いホワイトターラ、左目からは緑のグリーンターラが涙からそれぞれ菩薩に姿を変えた。
両者は対照的で、女性性と男性性、静と動、慈愛と救済、長寿と財運などに対応する。
ターラは七つの眼を持ち、この世のあらゆる苦しみや悲しみを見つけることができるとされ、チベットで広く信仰の対象となっているらしい。
中国政府から逃れ亡命するさい、人々に像を持ち出されたほどだったという。
遠きチベットの祈りを異国の地にもたらすターラ。
なんと永遠の18歳だというから羨ましい。

ところでブルーターラは何なの?
と思われた方もおられると思う。
実はターラには21の化身がいるという。
涙から生まれたという話と矛盾があるような気もするが…

参考:21のターラたちを描いたタンカ(サイト運営者さま
http://www.thangkacafe.com/21tarawithclothes.htm

青いターラさんは見つかっただろうか。
現在はターラというと白か緑が主流で、21すべてのターラが描かれることは滅多にないそうだ。
つまり、ブルーターラはチベットではあまり知られていない。
実際にブルーターラがどのような役目を担うのかについては、チベット仏教関連をあたっても見つからなかった。
では、どうしてブルーターラの名が出てきたのか。
欧米のニューエイジャーの中には、ブルーターラに導かれてしまったスピリチュアリストたちがいる。

参考:ブルーターラ(英語)
http://lightgrid.ning.com/group/tara/forum/topics/blue-tara

上記サイトにおいては、ブルーターラは海を象徴し、悲しみや障害を取り除き、幸せと喜びを運ぶと説明されている。
人々の霊的覚醒を促し、サマディ(悟り)へと導くのはブルーターラだったのである。
ブルーターラクォーツはスピリチュアルな目覚めを妨げるあらゆる困難を破壊し、すべての苦しみを癒すパワーを備える究極のヒーリングツールであり…
えっ?

ホワイトターラやグリーンターラより凄いんじゃないの?

思うに、ブルーターラクォーツには、欧米のクリスタルヒーラーたちの飛躍したスピリチュアリティが大いに関連している。
チベット仏教において信仰されているターラは、ホワイトとグリーン。
欧米のニューエイジ界隈で注目されているターラはブルー、ということらしい。
ブルーターラはホワイトターラとグリーンターラの融合であるとしているところもある。
自然界には「ホワイトターラクォーツ」や「グリーンターラクォーツ」と呼べる色合いの水晶のほうが多く、ブルーはむしろレアなはず。
いや、過去には「ターラクォーツ」という名前だったような気がするのだが…
単にブルーをくっつけただけ?

以上から、ブルーターラクォーツは、誤解や発想の飛躍の結果生まれた特殊なクリスタルと結論づけられる。
本来のチベット仏教とは切り離して楽しむのがよさそう。
このブルーターラは小枝のようなポイントが飛び出した形状が面白い。
両端は一度折れてしまったとみられ、そこから新しい結晶がすくすくと成長している。
淡いブルーのインクルージョンが奥ゆかしい模様をおり成すさまは、ブルールチルとはまた違った魅力にあふれている。




63×23×16mm  21.74g

2013/02/22

リチウムクォーツ


リチウムクォーツ
Lithium Quartz
Cigano Mine, Bahia, Brazil



以前から大好きでたまらない石ががある。
リチウムクォーツという。
色はあずき色~ピンク。
赤や白の衣をまとっていることが多い。
リチウム成分が水晶内部に入り込んだもの、付着物として認められるものなど、その外観はさまざま。
ヒーリングストーンとしては有名で、リラクゼーションの石として人気は高い。

写真の石は赤色のインクルージョンを内包し、ファントムを呈している。
複雑な結晶形はブラジル産水晶ならでは。
研磨され、ビーズやタンブルとして売られていることも多いが、ポイント状の原石は実に見ごたえがあって変化に富んでおり、いくら集めても飽きないほど。

実はこの石、謎が多い。
リチウムは鉱物名ではない。
鉱物の成分のひとつである。
レピドライトなど、リチウムを豊富に含む鉱物が関与しているという説もあるという。
実際にどんな成分が内包されているかどうかは、分析してみないとわからないのに、色合いでリチウムクォーツと呼ばれてしまっている向きもあるようだ。

つまるところよくわかっていない。
リチウムクォーツの名は誤りであるとする向きもある。

リチウムクォーツは感情の高ぶりをおさえ、不安やストレスを軽減し、こころの平穏を取り戻すことができるといわれている。
リチウムといえば、向精神薬。
炭酸リチウムは気分性障害(そう病)の治療薬として知られているから、効能といいなんといい、リチウムのイメージで語られているのかもしれない。




××mm  g

2013/01/13

メッシーナクォーツ/ピーモンタイト


メッシーナクォーツ
Quartz/w Piemontite
Messina Mine, Limpopo Province, South Africa



希少鉱物ピーモンタイトとヘマタイトのインクルージョンでピンクに染まった水晶。
アジョイトの産地として有名なメッシーナ鉱山から産出するという。
変化に富む結晶形とリチウムクォーツに似た優しい色合いから、欧米のクリスタルヒーラーの間で話題になっている。
この色合いは、リチウムではなくマンガン由来である。

ピーモンタイト(紅簾石)はイタリア原産の希少鉱物で、滅多にみかける機会はない。
本当に入っているのかと、疑いたくもなる。
水晶のインクルージョンに関してはアバウトな印象の否めない欧米のヒーリングストーン業界。
実際、鉱物標本としてはヘマタイトのインクルージョンに因る、としているところもある(多くはヘマタイト及びピーモンタイトを内包するとしている)。
どちらかというとヘマタイトの占める割合が多いのは間違いないはず。
そう思いながら、ピーモンタイトについて調べたところ、大変なことになっている。
南アフリカ産ピーモンタイト(ピーモンタイトシスト)なるパワーストーンが2、3年前から国内でビーズとなって流通しているようなのである。

どうもピーモンタイトの名を聞く機会が増えたと思っていた。
大量に流通しているではないか。
希少石のはずが、パワーストーンに数えられるようになっていたとは知らなかった。
しかし、このメッシーナクォーツと同じものなのだとしたら…
主な成分はヘマタイトということになる。

参考:ピーモンタイト・シリシャスシストとロードナイト
http://jp-ishi.org/?p=545

ロードナイトと混同されて流通しているというピーモンタイト。
ロードナイトにしか見えない。
さらに、ピンクエピドートなるビーズが流通している(解説は緑簾石)。
まるでピンクに染め上げたクォーツァイト。
わけがわからなくなってきた。
メッシーナクォーツに関しては、本文下の写真にあるように、ピンクの色合いは表面付近に集中していて、内部はクリアであることが多い。
加工するとファントム・クォーツになるはずである。
ビーズとなって大量に流通するほど採れるようには見えない。
ピーモンタイトを含むシリシャスシスト(石英を含む片岩)とのことだから、写真の水晶とは異なる岩石が加工にまわされた、もしくは無関係な染色シリシャスシストをピーモンタイトとして販売している…
ピーモンタイトが入っているという保証はない。
参考までに、ピーモンタイトの原石の様子を示しておく。



ピーモンタイト Piemontite
Prabornaz Mine, Saint-Marcel, Piemont, Italy



原産地からのピーモンタイトの標本。
先日の池袋ショーで発掘して参った。
国内で流通しているピンクカラーのピーモンタイトのビーズとは別物である。
ガラス光沢を示す赤紫色の結晶が複雑に入り組むさまは、実に見応えがある。

いっぽう、国内で流通している美しいマット・ピンクのピーモンタイトのビーズ。
中身はほとんどヘマタイトなんじゃないか、という疑問である。
比較的安価なロードナイトとの類似点も気がかりなところ。
まあ、いいか。

原石のほうは、両端の結晶したDTとなっており、変形ファントムonエレスチャルともいえそうな、何とも喩え難い姿をしている。
メッシーナクォーツは大きい上、ポイントが四方八方に飛び出しているなど、随所にみられる奇想天外な結晶構造に度肝を抜かれる。
変わった水晶のお好きな方は要チェック。
表面より染み込んだピーモンタイトによるフルーティなピンクの色合いには、リチウムクォーツとはまた違った魅力を感じる。
メッシーナから産出するアジョイト、及びパパゴアイト入り水晶には、赤い不純物の入ることも多い。
鉄錆びとみなされ、過去には取り除かれていたこともあったという、あの赤いインクルージョン。
時と場合によっては希少石ピーモンタイトが含まれているのかもしれない。
夢は大きく果てしなく、どこまでも。




73×40×28mm  116.5g

2012/12/21

サンダローザアゼツライト


サンダローザアゼツライト
Sanda Rosa Azeztulite
Heaven & Earth LLC



アセンションという言葉を最初に聞いたのはいつだろう。
私は確か、5,6年前、アゼツライトがきっかけだった。
今日はそのアセンションの当日。
世間では、またもや地球が滅亡すると大騒ぎになっているようである。
ちょっと待ってほしい。
今日は地球が滅亡する日ではない。

人類の大いなる変化の日、選別の日。
アセンションはたしか、古い時代の人々が滅び、霊的に高い次元へ達した人々によって、新たな時代が始まる日だったはずだ。
アセンションのその先へ飛躍するために、我々は高価なニューエイジストーンをいくつも買い求め、今日を待ってたんではなかったか。
今日を最後にいなくなるだなんて、まるで土壇場になって、自分にその資格がないと諦めたみたいじゃないか。
よく、考えてみて欲しい。
あなたの手元にもきっとアセンションストーンがあるはずだ。
そう、アセンションストーンの代表格・アゼツライトさえあれば、我々は「助かる」はずだったのに。

アゼツライトがほしいという方は後を絶たない。
H&E社代表、ロバート・シモンズ氏は本国アメリカ以外に直営店を作らなかった。
産地やレシピなどすべてが謎に包まれたまま、限られた人しか手に出来ない特殊な環境下にあって、アゼツライトの伝説は半ば口コミのような形で拡大していった。
なんの変哲もない石英であることが、その謎を加速させた。

ヨーグルトのように白い石英・アゼツライト。
わかる人にしかわからないパワーを感じろ!と語りかけてくるかのようだ。
この石を前に、悩んだ人がいた。
喜んだ人たちがいた。
うなだれた人たちがいた。
酔っぱらった人たちがいた。
目覚めた人たちがいた。
天使になった人もいたかもしれない。
人の数だけアセンションが進行しつつあったのが3年ほど前。
クリスタルヒーリングはおそらく、その時クライマックスを迎えていた。

2009年秋。
私はまさに、行き詰っていた。
いっときは飛ぶように売れた石が、どうも失速している。
何か始めなければここまま行き止まりにぶつかってしまう。


そして私はぶつかった。
持っていなかった二つの石にぶつかったのである。
ひとつは写真にある、サンダローザアゼツライト(写真の研磨品はツーソンで手に入れたもの)。
アゼツライトの発見地、ノースカロライナ州から発見されたばかりの新しいアゼツライトで、真っ白な石英に、ゴールドのマイカ(雲母)やガーネットが彩りを添えている。
アゼツライトフィーバーには少し疲れていたのだが、ちょっと個性的でカワイイ、と思った。
決めてはなんといっても自分の誕生石、ガーネット。
ここはひとつ、サンダローザアゼツライトを自分用に携帯してみよう、と思った(ある時を機に、石を携帯するのを止めていた→記事)。
ちなみにもうひとつは、アンダラクリスタル。
グリーンのシエラネバダ産で、アンダラクリスタルの記事を書いたときにはまだ行方不明であった。
深刻な事情で手放した初めてのサンダローザアゼツライトの代わりに、見つかった。
いずれもアセンションストーンと呼ばれているが、意識したわけではない。
よく考えれば不思議なのだけども。

さて、この二つの石を持った私にいったい何が起きたか。
昨年の記事(→アゼツライト・ローゾフィア)からご覧いただきたい。
驚くべきことにこの石は、私をマスターのもとへ導いてくれたのである。
当時シモンズ夫妻からプレゼントしていただいた、アゼツライトとローゾフィアは実は既に持っていた。
発売されてすぐに買ったほど、気に入ってる。
2009年の時点ではまだ知られていなかった、サチャロカ・レッドアゼツライトもその場で薦められ、大切にしている。
だけど、アゼツライトの中からひとつ選べといわれたら、このサンダローザアゼツライトになる。
写真にあるハートのモチーフも宝物だ。

最初に手に入れたサンダローザアゼツライトのペンダントは、その後、無惨にも割れてしまった。
私は殺されてしまうところだったから、ほんとうに身代わりになったのかもしれない。
石が千切れて飛ぶ光景を、私は何度も見ている。
自然に切れるよりずっと罪深く悲しい。
私が石を割らないよう、あたらないようと細心の注意を払うのは、人の暴力をもって失われた石への罪滅ぼしの気持ちなのかもしれない。

ここまで書いたところで、サンダローザアゼツライトとはいったいどんな石なのか、調べてみた。
ざっとまとめるとこんな感じらしい。


  • 無限の愛、平和をもたらす
  • 停滞しているエネルギーをクリアランス
  • 光の王国への鍵となる
  • 高次元の旅をサポート
  • 永遠に到達

Katie Jacqueline
http://www.ksccrystals.com/sanda-rosa-azeztulite-3-1546-p.asp

最初の二つはたぶん大当たり。
それから先は難しくてわからない。
もしかしたら、何時かわかったりするのかもしれない。
ひとつわかること。
これを読んだあなたは、少し、変わったあとの地球にいる。
きっと、間違いない。





25×25×7mm  6.16g

2012/12/18

幻のカコクセナイトアメジスト(パープルアンジェリン)

 
カコクセナイトアメジスト
Cacoxenite, Amethyst
Fundão, Espirito de Santo, Brazil



先日、見事なゴールドの針が入った、色濃いアメジストを見つけた。
カコクセナイトアメジストと呼ばれているらしい。
購入を迷っているうちに、あれよあれよと価格が上がっていく。
一見するとスーパーセブンなのだけれど、何かが違う。
購入可能なところを何件もあたってみたものの、世界的に品薄なのか、どこも在庫切れだった。

1995年、ブラジル・エスピリトサント州のある鉱山において、クリスタルヒーラーA.メロディ氏によって見出されたスーパーセブン。
もはや流通していない。
初期に流通したという美しいスーパーセブンは、既に掘りつくされてしまった。
現在入手可能な原石は、同じエスピリトサント州にいくつか存在する、別のアメジスト鉱山から採取されているもの。
宝石質のカット品は南インド産になる(→カット品の例)。
ビーズについては、中国やアフリカから産する類似のアメジストをスーパーセブンとして販売するのが一般的である。
いずれも定義上スーパーセブンではない(→スーパーセブンについての記事はこちら)から、スーパーセブンは既に絶産している。
だがこのアメジスト、元祖・エスピリトサント産にも関わらず、スーパーセブンではないとの明記がなされている。
面白いものを見つけた。
レアストーンハンター魂をフル稼働して、ようやく探し当てたのが写真の石。

程なくして待望のカコクセナイトアメジストがブラジルから届いた。
素晴らしい。
カコクセナイトとされる極太の金のインクルージョンが、ぎっしり詰め込まれている。
アメジストの色が濃すぎてよく見えないのもまた、嬉しい。
ロットの中には完全結晶も混じっていた。
結晶は細やかで繊細、しかしながら大きく重厚な紫の色合いを示し、かつ金色の針が至るところに詰め込まれた、堂々たるカテドラル・アメジストであった。
スーパーセブンの原石とは明らかに異なるものである。
どちらかというと、カコクセナイト入りアメジストとして流通している研磨品に思えるのだが、断定はできない。
なんせ、紫の色が濃すぎる。
ブラックアメジストといっても過言ではないほどだから、研磨しても紫の色合いは残るはずだ。
いや、もしかすると長い間暗い倉庫に眠っていたために、退色を免れたのではないか。
アメジストには太陽光で色褪せてしまう性質がある。
多少古びた感じがしたのは、アメジストの色があまりに濃すぎること、切断面が滑らかになっていること。
もしや、採取/カットされてからかなりの時間が経っている?

実際、調べてみるとこのアメジスト、本当に古いものだった。
ブラジルのエスピリトサント州南東に位置するフンダンに、かつて世界に名の知れた鉱山があった。
発見から十年余り、採掘中の事故で、たくさんの宝石もろとも鉱山は水没してしまった。
現在、採りに入ることはできない。
独特の金のインクルージョンの入ったこのアメジストは、この鉱山からしか見つかっていないらしい。
また、C軸に対して垂直にカットしないと、放射状に広がるカコクセナイトの様子は見えないという。
つまり、この謎のアメジストは、1960年代初期~70年代半ばにフンダンのとある鉱山から産し、その魅力を最大限に秘めたまま倉庫の暗闇に眠っていた。
鉱山主の自宅倉庫から発見された伝説の在庫が、このほど一斉に流出したということらしい。

世界的に有名なアメジストだというから、閉山までの十年間に採取されたストックも存在するはずだ。
前述したカコクセナイト入りアメジストの研磨品がそうではないかと疑いたくなる。
昨日、金の太針が模様を成すかのような内包物に彩られた水晶が、小さなカット品となって僅かに流通しているとのお話を伺った。
フンダン・アメジストのカット品に非常によく似ている。
ただ、肝心の中身が何なのかについては、まだわかっていないそうだ(注1)
或いは、H&E社の製品一覧にカコクセナイト(注2)がある。
紫の色がほとんどみえないが、これも退色によって色が抜けてしまったためではないだろうか。

注1)フンダン産アメジストに関しては、スーパーセブン同様、カコクセナイト以外の複数の鉱物インクルージョンの可能性が示唆されている。ただ、独特の金のインクルージョンについては、カコクセナイトではなく、ゲーサイトの混入との説がある。詳しくは、虚空座標さんのサイトを参照していただきたい。フンダン産については世界的にカコクセナイトと断言されているが、水晶に関する情報においては、日本が突出していることをここに明記する。ヘマタイトの混在の可能性については注3に記。KUROさん、いつもありがとうございます。

注2)カコクセナイトは鉱物名。原石はドイツから産出するものが有名。カコクセナイト/カコクセン石の標本は極めて地味なため、水晶に内包された美しいゴールドカラーのインクルージョンが、カコクセナイトとして定着してしまった可能性がある。



さて、後日気づいたのだが、今回私が在庫の確保をお願いした方は、鉱山主さんご本人であった。
倉庫から出てきたばかりのブツの写真があちこちに転載されているので、興味のある方は探していただきたい。
アメリカではすぐに評判になり、奪い合いになったようで、市場にはほとんど残っていない。
小売店ではひとつ120ドルなんて言われた。
H&E社代表のロバート・シモンズ氏もこのフンダン・アメジストに惚れこみ、新たなるヒーリングストーンとして紹介している。
その名もパープルアンジェリン。
シモンズ氏はこのアメジストに、深遠なる女神を見たという。
不思議だった。
私もその女神を見たような気がするのだ。
半世紀もの間眠っていたこのクリスタルには、スーパーセブンとは異なる眩い光が宿っている(注3)
まるで、新しい時代の幕開けを喜ぶかのように。

注3)フンダン・アメジストの研磨品からは、リアルにピンクのファイヤが出る(→写真
)。ならばピンクファイヤークォーツ同様、ヘマタイトが関与している可能性がある。水晶に内包されたゲーサイトとヘマタイト、レピドクロサイトの違いについても、現時点では明らかになっていない。


残念ながらこのカコクセナイトアメジスト、日本での評判はいまいち。
スーパーセブンと混同されてしまっている。
むしろ、スーパーセブンよりも以前から知られていたのに、スーパーセブン以下とみなされてしまっている感がある。
確かにもうウンザリな方も多いはず。
もっとも、メロディ氏によって見出された、リアル・スーパーセブンをお持ちの方はほんの一握りであろう。

早速とばかりに、このカコクセナイトアメジストを池袋ショーに持ち込み、この石の魅力を伝えに参った…
のであるが、やはりというか評判はよくなかった。
付着物を取るために使ったクレンジングオイル(鉄分などを取り除くのに便利です。プロは劇薬を使います)が残っていたために、コレは天然石ではない!というお叱りまで受けてしまった。
今回の池袋ショーに、フンダン・アメジストをお持ちの業者さんは見当たらなかった。

池袋ショーでは、オークションでお世話になった方々とお会いし、直接買ご購入いただく機会を頂戴した。
お忙しい中遠方からお越しいただいた皆さま、関係者様には深く感謝申し上げる(自分がブースをお留守にしている時にお越しくださったために、ご迷惑をおかけした確率は100%です!ごめんなさい。大先輩であるKさんはさすがの直観力、ジャストでお越しになりました。みなさま、ありがとうございました)。

さて、数あるパワーストーンの中から、このフンダン・アメジストを見出してくださったのは、三名様。
最初にお買い上げいただいたのはショー前日、オークションをきっかけに公私共にお世話になっている心優しい殿方である。
まだ評判すらわからない段階で、快く購入してくださった。
そして池袋ショー本番。
この石を手にとって購入されたのはお二人。
いずれもクリスタルヒーリングをお仕事にされ、日々学びを深めておられる人物だった。
お一人はなんと、ロシレムを世に紹介した世界的クリスタルヒーラー、デヴィッド・ガイガー氏のアシスタントさん。
ガイガー氏の信頼を得て、第一線で活躍されていらっしゃった。
もうお一人は(個人的な思いで申し訳ないのだけれど)今は連絡を取ることのできない、私にとってかけがえのない友人によく似ておられた。
魔女繋がりで、今回のオークションを支えてくださった方でもあった。
この御三方にこそ、フンダンのカコクセナイトアメジストがふさわしい。
私のような者がそのご案内を許されたことに感謝し、この場を借りてお礼申し上げる。

半世紀もの間、倉庫に眠っていた類い稀なるアメジスト。
アメトリンと見紛うような金のインクルージョンは、時に強く光を放つ。
この光はしばしば「セントエルモの火」と呼ばれているという。
悪天候のさい船のマストの先端が光るのが元々の由来で、それを鉱物に擬えたようだ。
もしかすると「セントエルモの火」は上に示した研磨品に見える、鮮烈なファイヤのことを指しているのかもしれない。
濃厚なアメジストの色合いと輝きは、荒れ狂う海に浮かぶ船を導く光と喩えられよう。
なお、クリスタルヒーリングにおいては、この石を霊的に高く位置づけ、現在急速に進行している地球の変化に関わる人々のもとを訪れることになるだろうと述べられている。




57×33×23mm  43.03g(本文下の写真右)


ただいまおすそわけ中です!消えてしまう前に是非どうぞ。


2012/12/07

インファナイト


インファナイト
Infinite Stone
Northern Province, South Africa



独特の優しい模様や手ざわりを特徴とするヒーリングストーン、インファナイト(インフィナイト)。
クリソタイル(白石綿)を中心に構成されるサーペンティンの一種である。
1996年、南アフリカにおいてスティーヴン・ロスリー氏により見出され、世界に紹介された。
アジョイトを求め南アフリカを訪れていたロスリー氏は、この石に特別なインスピレーションを受け、"無限" を意味するインファナイトの名を与えたという。
インファナイトはその後、ジュディ・ホール氏やロバート・シモンズ氏といった世界的クリスタルヒーラーから高い評価を受けた。

インファナイトはいわば、白石綿の塊。
石綿から成る鉱物と聞いて驚いてしまう方もおられるかと思うが、砕いて吸引しない限り問題ない。
石綿、アスベストにまつわるヒーリングストーンは多い。
いまや私たちの命を脅かす存在と成り果ててしまったアスベストも、古代より神聖視されてきた鉱物のひとつだった。
以前も記したが、鉱物が人類にもたらした負の歴史は、自然には存在し得ない量の資源を掘り起こし、暮らしを豊かにしようとした人類への報いだと思っている。

先日、インファナイトをお探しとのご相談を受けた。
私にはその方に確かな情報をお伝えすることができなかった。
というのも、どうもおかしなことになっている。
ネットでは、鮮やかなグリーンやイエロー、茶系の石がインファナイトとされ、高価なブレスレットとなって紹介されている。
発見者であるスティーヴン・ロスリー氏自ら紹介したと説明しているところがあるのは不可解。
国内に限ったことではない。
私が持っているインファナイトとは、色、質感ともに、明らかに異なるものである。

写真は3年ほど前に入手したインファナイト。
現在インファナイトとして流通している石とは異なる石だ。
もう採り尽くされてしまったのかもしれない。
インファナイトの魅力は、人を選ばない(名目上はヒーラーのための石なのに、ヒーラー以外も楽しめる)というアバウトさ、親しみやすさ。
私の脳内のレアストーンリストに長らく残ったままになっていたこの石に今、何が起きているのだろう。

初めてこの石を知ったとき、インファナイトは「サーペンティンとクリソタイルの混在した非常に珍しい鉱物」と紹介されていた。
なぜ問題にならないのか、長らく不思議に思っている。
サーペンティンは鉱物のグループ名。
アンチゴライト、リザーダイド、そしてクリソタイルの3つの鉱物を総称してそう呼んでいる。
そう、クリソタイルはサーペンティンの一種を指す言葉なのだ。
リザーダイドについては、北欧から産出する鮮烈な黄緑色の石が知られているが、リザーダイドとサーペンティンが混在した鉱物という言い方はしない。
リザーダイドについてはなかなか流通しないから、レアストーンと呼んで差し支えないと思う。
かつてのインファナイトも珍しかったから、希少価値がついたのだ。
現在、世界的に流通している色濃い緑や黄色のインファナイト。
どう見ても他所から産出したサーペンティン。
残念ながら、サーペンティンは世界中から産するありふれた鉱物である。

写真は手持ちの南アフリカ産インファナイト。
4,5年前に入手した。
ロスリー氏の資料をあたると、どうもこのグレーグリーンの石が本来のインファナイトのよう。
インファナイトの詳細な産地は明かされておらず、詳しい産状はわからない。
同じ土地から、濃い緑や黄色のインファナイトも産出するということになるのだろうか。

もともとサーペンティンが好きだった。
サーペンティンといえば深緑から黄緑、イエローと色合いは幅広く模様も多彩。
インファナイトのすべすべの手触り、優しい色合いや質感、惑星のような独特の模様は、そんなサーペンティンを凌ぐ魅力に溢れていた。
しばしば "ヒーラーズ・ストーン" と紹介されるインファナイト。
この表現をすっかり気に入った私は、ヒーリングストーンを軒並みヒーラーズ・ストーンとご紹介してしまった。
反省している。
私はクリスタルヒーラーではない。
日本にクリスタルヒーラーが登場したのはごく最近のこと。
過去には危険思想やカルトと混同され嫌悪される日本を離れ、欧米や南米、インドなど、海外を拠点に活動される人のほうが多かった。
実際、日本でやるとそうなってしまう。
パワーストーンは苦手だという方からお話を伺うと、恐ろしい新興宗教やオカルト思想の一種とお感じの様子。
そうではないというと嘘になる。

かつて、鉱物を愛する人々は、パワーストーンブームがおかしな方向へ向かうことを警戒していた。
鉱物と併せ、ヒーリングストーンも好む人々の間には、掟のようなものがあった。
(私の周りだけかもしれないが)自分たちの中からクリスタルヒーラー、つまり特別な人間が誕生してはならないというものだ。
選民意識への反発、石への敬意と探究心、謙虚さ。
誰でも平等に、興味を抱いたあらゆる石を手にするべきだという、節義をわきまえた人々が居た。
石ではなく自分自身を愛する人々には、そうした発想は皆無だった。
今回のアセンションには、クリスタルヒーリングにおける過ちが関係している。

忘れてはいけないことがある。
インファナイトはクリスタルヒーラーになれる石ではない。
或いは、インファナイトが絶対的な「無限」を意味するとは限らない。
スーパーセブン、ティファニーストーンエイラットストーン、そしてこのインファナイトまでも、クリスタルヒーリングを愛する人を試すかのような存在になってしまった。
欧米において、南アフリカ産にそっくりな中国産インファナイトが堂々販売されているのを目撃した。
中国で「牛油玉」と呼ばれ大量に流通している岩石みたい。
名前が恐い。
南アフリカ産がサラサラなのに対して、中国産はツルツル光っている。
本来のインファナイトを一度でも手に取ったことのある人なら気づくはずだが、写真だけでは判断できない難しさがある。


インファナイトについて語るロスリー氏




ダライラマ似のスティーヴン・ロスリー氏自らインファナイトについて語っている
手にはジュディ・ホール氏やロバート・シモンズ氏の著書も
紹介されているのはグレーを基調としたかつてのインファナイトに同じもの


未測定

2012/11/29

フェナカイト(ロシア産)


フェナカイト Phenacite
Malyshevo, Ekaterinburg, Ekaterinburgskaya Oblast', Russia



世界で最も希少な鉱物のひとつにして、石を愛する人なら誰もが手に入れたいと望んでいる。
それがフェナカイト(フェナサイト/フェナス石)と呼ばれる石である。
もちろん他の鉱物と共生した標本(→こちら)などではなく、ロシア、マリシェボ産フェナカイトの単独結晶ということになろう。
収集家なら一度は憧れる希少品、高い波動を持つニューエイジストーンとしても知られるこのロシアンフェナカイト。
マリシェボのフェナカイトは枯渇しかけているから、知名度の割に良品は少ない。

フェナカイトといえばミャンマー産。
比較的流通があり安価で手に入る。
ミャンマー産は小さいながらクリア、結晶の様子も独特でわかりやすい。
結晶の複雑さ、美しさで選ぶなら、ミャンマー産より若干入手しづらいブラジル産もおすすめ。
もしあなたがハイレベルなフェナカイトにこだわるのなら、ロシア産をひとつは持っておきたい。

写真は最も価値の高いとされる、ロシアはウラル地方、マリシェボ産のフェナカイト。
マリシェボ産の特徴である、グレーの母岩を伴う大きな標本で、一目で気に入って購入した。
ロシアンフェナカイトの完全結晶の多くは、写真のように母岩に覆われている。
岩の隙間に見える透明結晶に浮かぶ虹が美しい。

フェナカイトは近年、パワーストーンにまでなって登場している。
特にパワー満載だというロシア産に憧れ、お探しの方が多いようだが、なかなか予算に見合わずお困りと聞く。
安いものには必ず訳があるから、あせらずお探しになることをお薦めする。
ロシアンフェナカイトがどうしても必要な場合は、なるべく切断、加工されていない原石を探してみよう。
マリシェボならではのこのグレーの母岩がないと、いったいどこから来た何者なのか、パワーで判断するしかないからである。




25×19×15mm

2012/11/18

ネビュラストーン


ネビュラストーン
Nebula Stone
Remote Mtn., Córdoba, Veracruz-Llave, México



深いダークグリーンの色合いと、神秘的なゴールドの輝き。
銀河系の彼方を思わせる模様を持つこの石に、星雲を意味するネビュラの名が与えられた。
写真で見ると儚さが漂うが、手に取ると実に艶やかで、色濃く重厚感がある。
気に入っていつも見えるところに飾っていた。
手に入れた当時は、かなり珍しかった。
アゼツライトをきっかけに日本で知名度を上げた米Heaven&Earth社が、このネビュラストーンを取り扱っているためか、現在はあちこちで見かけるようになった
もうレアストーンには含まれない…
はずだった。

先日のオークションでネビュラストーンを紹介させていただいた。
反響は大きかった。
注目に値する石だとは思っていなかったため、驚いた。
また、予想外の価格を付けたネビュラストーンをご落札くださった持ち主様はしかるべき人物だった。
過去には、どなたかにプレゼントしようと思って手に取ったこともあった。
今日まで手元に残しておいて良かったと心から思う。
しかしながら、知名度が上がっているはずなのに、お持ちでない人が非常に多いのは奇妙である。
ふと、国内でどれくらい流通しているのだろうかと、画像検索をかけてみた。

仰天した。
水疱瘡(みずぼうそう)のような恐ろしい発疹模様の石がズラーッと出てきた。
儚いペールグリーンの地肌に、著しい症状が数え切れぬほど、これは重症である。
あまりの衝撃に、私まで水疱瘡になりかけた。
大量に出回っているのに、何かが違う。
そう、確か、マダガスカルから産出するストロマトライトか何かだ。
マダガスカル産と書いてあるから間違いない。
もはや星雲ではない。
水疱瘡石(みずぼうそうせき)の和名がふさわしい。

1995年、メキシコにおいてロンとカレンの二人により発見されたネビュラストーンは、ヒーリングストーンとして現在も高い評価を受けている。
発見当初はネフライトの一種だと思われていた。
調査の結果、リーベカイト、アノーソクレース、エジリンと石英から成る混合石であることが判明したという。
明るいグリーンは微細なエジリンに覆われたリーベカイト。
石英を多く含む部分がツヤのある暗いグリーンとなり、独特の模様が生まれるという。
鉱物としては非常に珍しい組み合わせで、他には例がないとのこと。

では、あの水疱瘡はいったい何の石だったか。
確か、ストロマトライトから成るオーシャンジャスパーだったはず…
そう思い込んで大騒ぎしていたら、カンババジャスパーだよ、とツッコミをいただいてしまった。
そうだった。
少なくとも4年ほど前に大問題になったから、覚えている。
まさかカンババジャスパーがネビュラストーンにとって代わり、本物として販売されているなどと、予想できようか。
カンババジャスパーはマダガスカルから中国に流れ、ビーズにまでなるくらい多くの産出がある。
ネビュラストーンのほうは数は圧倒的に少なく、両者の価格には大きな差異がある。
一緒にするのは問題がある。
ところが、市販価格はほぼ、変わらない。
間違えて買ってしまった方もおられるかもしれない。

不安に思って、発見者であるロンとカレンに直接問い合わせてみた。
二人はカンババジャスパーが「ネビュラストーン」として流通していることを、たいそう悲しみ、お悩みのご様子だった。
是非本物をと、綺麗なポリッシュをお薦めいただいたのだが、支払い方法が折り合わず、断念となった。
お二人は最後まで親切に、誠実に接してくださった。
ネビュラストーンはメキシコからしか産出していないことを強調しておられたのが印象的だった。
お二人の真摯な姿勢が、この石の奏でる壮大なる宇宙の静寂に重なって見えた。

状況はつかめた。
十日ほどたったある日、再び画像検索をかけてみた(※この結果はイメージです)。
再び仰天した。
ショッキングな薄緑の水疱瘡ではなく、シルバーメタリックなエイリアンが並んでいる。
メキシコ産ネビュラストーンとは書いてあるのだが、不気味である(マダガスカル産カンババストーンと呼ばれているもののよう)。

マダガスカルから新しく発見されたというネビュラストーンは売り切れていた。
たった一週間余りで完売とはまた、奇妙である。
ネビュラストーンとカンババジャスパーの混同については長年問題視され、発見者の方まで伝わるほどに深刻な事態となっている。
それを販売者が知らないというのは不自然に思える。

あれからもう一ヶ月経つだろうか。
メキシコ産ネビュラストーンがリニューアルのうえ、新発売されているようである。
なぜか水疱瘡石(みずぼうそうせき)に逆戻りしている。
つまりネビュラストーンは結局カンババジャスパーのまま。
売り手のほうも本物のネビュラストーンをよくご存じではなく、対応に追われた挙句、諦めたのかもしれない。
しかしながら、発見者や関係者から仕入れず、不確かなルートを通したのは明らかである。
皆さまも、自己責任で購入いただきたい。


参考)パワーに騙されず真実を見抜かれている例
http://d.hatena.ne.jp/tarosource/20070508

ムンクとはまさに言いえて妙。
筆者は芸術的・霊的に高い領域に達しておられる方とみられる。
筆者の指摘通り、本物のネビュラストーンは癒しの石とみて間違いない。
現在は素晴らしい能力者としてご活躍されていることだろう。


40×22×10mm  10.43g

2012/11/04

コロンビアレムリアン


コロンビアレムリアン
Colombian Lemurian
Peñas Blancas, Boyaca, Colombia



毎度のことながら、鉱物で世界を一周している。
今日は、危険な噂の絶えない南米・コロンビアを訪問する。
世界最高級と称される鉱物がピンポイントで産出するコロンビアの魅力を探ってみたい。

コロンビアといえばなんといっても、エメラルド。
世界で最も質の高いエメラルドはコロンビアから採掘されている。
それに伴って発見されたユークレースもまた、世界中で高い評価を受けている。
数あるコロンビアのエメラルド鉱山の中でも、かのムゾー鉱山からは、トップクオリティのエメラルドが産出している。
そんなムゾー鉱山から50kmほど離れた山中より発見されたのが、このコロンビア・レムリアン。
ブラジルの元祖レムリアンシード、ウラルのロシアンレムリアン(ロシレム)に続く新たなレムリアン水晶として話題になったのは、少なくとも4年以上前のこと。
地球温暖化に伴って溶け出した氷河の下から発見された、という話題性も手伝って、広く流通した。

上記のふれこみについては諸説ある。
同時期に話題になったヒマラヤアイスクリスタルのキャッチコピーにそっくりなのは明らか。
現地の産状が誤って伝えられたとする向きもある。
コロンビア・レムリアンの産出する鉱山は、有名なエメラルド鉱山でもある。
鉱山からはもともと見事なトラピッチェ・エメラルドが多数産出している。
勇敢にも高所の氷河跡を目指した人々により新たに発見されたということだろうか?(→鉱山の写真はこちら
いったいその氷河がいつ溶け、発見されたのかについては謎が多い。

コロンビア・レムリアンの特徴である、圧倒的な透明感。
表面には細く小さな水晶が二つ、潜りこんでいる。
コロンビア・レムリアンには、通常6面あるトップのファセット部分のうち3面が六角形、あとの3面が三角形に結晶していることがあり、ムゾー・ハビットと呼ばれて、クリスタルヒーラーの間で珍重されている。
このコロンビア・レムリアンにはムゾー・ハビットはみられないが、大きな3面のうちひとつが◇の形をしているのが面白い。
その左には見事なレコードキーパーが浮かんでいる(いずれも本文下の写真右)。
さらに、表面に皮膜のような虹が出る。
或いは、レムリアンといえば水晶の側面にバーコードのように刻まれた模様。
この標本も例外ではない。

水晶というのはほんとうにややこしくて、ちょっと変わった形をしていると付加価値がついてしまうため、物覚えの悪い自分には把握しきれていない。
水晶に価値を置く傾向は特に日本において顕著で、欧米の比ではない。
さきほどの◇にも特殊なネーミングが与えられ、高額で流通している。
端正な正五角形のファセット面はイシスクリスタルという。
イシスの出ている水晶は好きで、わりと手に取るのだが、四角形はなんだったか思い出せない。

そんな訳で、調べてみた。
水晶の先端に現れる◇はウインドウ、もしくはタイムリンクのいずれかのよう。
ただ、ウインドウは7つ目のファセット面限定(!)だとか、タイムリンクは長方形だといった議論に発展している。
だとしたら、6つ目のファセット面に菱形に出ているコレは、どちらにも該当しないということか。
どうも日本においては、こうした特殊なクリスタルにこだわり、価値を付けすぎるきらいがある。
欧米ではコロンビアレムリアンのムゾー・ハビットが強調されるにとどまっている。
ウインドウやタイムリンクで検索して引っかかるのは、国内サイトが大半で、コロンビアレムリアンに関してはその豊富な特殊要素をもって、マスタークリスタルの名を与えられていることも多い。
中にはマスタークリスタルと言えないものも含まれる。
ウインドウやタイムリンクの名を考案したのは欧米のクリスタルヒーラーのはず。
なぜ日本でここまで広まってしまったのか。
販売目的で多用されたのであれば、またもや注意を喚起しておかねばなるまい。

なお、レムリアン水晶は、地球上に5種類(6種類説もあり)眠っているという。
ブラジル、ロシア、コロンビアに続き、あと2ヶ所から発見される予定だという。
一面置きに現れるはずだったレムリアンシードの定義が、曖昧になってきている今、果たして5ヶ所で済むかどうか、甚だ疑問である。
レムリアンシードと呼ぶことの可能なバーコード付き水晶は、アーカンソー州ホットスプリング産の水晶などに顕著であり、そうした水晶を数えだしたらきりがない。
またブラジルでは、他の産地からも続々と新型レムリアンが登場していて、もはや6種類を超えている。
レムリアの記憶は謎に満ちている。
実に奥が深い。




37×10×9mm  4.65g

2012/10/19

ザギマウンテンクォーツ/消えたアイスデビル


ザギマウンテンクォーツ
Zagi Mountain Quartz
Zagi Mountain, Mulla Ghori, Khyber Agency, FATA, Pakistan



本当ならここで、美しいアイスデビル(→考察はこちら)をご紹介できるはずだった。
ある方のご厚意で手元にやってきたアイスデビル。
透明度の高い塊状の水晶で、悪魔的なイメージは全く感じられなかった。
切断面が著しいため、鉱物標本としての価値はないが、癒しには成りうるだろう。
ただ、約3000円という市販価格はやや高額であり、300~500円程度が妥当なのではないかというのが素直な感想だった。
想像するに、加工した水晶の残りであろう。
ヒーリングストーンとしては、同じマダガスカル産出のジラソルのほうが美しいと感じる。

天然石に同じものは存在しない。
お返しするさいに何かあってはと、封筒に入れて倉庫の奥にしまった。
翌日、撮影のため封筒を手に取ったら、中身は空っぽになっていた。
その間たった一日。
家族は旅行中で留守だった。
ご厚意を裏切るようなかたちになってしまったことを情けなく、恥ずかしく思う。

ここ数日、強い違和感が続いていた。
一週間前、二階の窓めがけて飛んできた漆黒の虫事件(前回の記事参照)以降、有り得ないようなトラブルが次々に起きていた。
最も衝撃的だったのは肋骨損傷で、あと一秒遅ければ死んでいたかもしれない。
実は肋骨損傷に関わるPTSDが、私が障害者として生きることになるきっかけだった。
まだ治っていないことをつきつけられた。
今回は事故に過ぎないのに、精神的ダメージは思ったより大きかった。
あまりに災難が続くため、遺書まで書いたほどである。

翌朝、アイスデビルは消えてしまった。
むりやりで申し訳ないのだが、どことなく外観の似たこの石をご紹介させていただこうと思う。
ザギマウンテンから産出したという、ゴールドに輝く水晶。
実に美しい。
鉄分による発色だろうか。
こんなものが眠っていたとは、ザギの魅力は計り知れない。

ザギマウンテンクォーツの流通は急激に増え、さまざまなバリエーションを見かけるようになった。
このゴールドの他にも、青い針の入ったザギマウンテンクォーツが見つかっている(→せっかくなので出品しました)。
いわゆるブルールチルにそっくり。
インディゴライト入りと紹介しているところもある。
ザギからはショール(ブラックトルマリン)の産出記録があるが、インディゴライトについては記録がない。
可能性があるとしたらアクチノライトではないかと思うのだが、見た目から判別するのは困難であった。

参考)ザギマウンテンは聖地ではなかった?

http://usakoff.blogspot.com/2012/08/27.html


ザギマウンテンは広い。
こんな珍品があったことに驚かされる。
私を助けてくれたのかもしれない。
或いはアイスデビルは、無意識に眠る心の闇を明らかにするクリスタルなのかもしれない。
そう思いながら、消えてしまったアイスデビルを必死で探している。


43×32×25mm  31.57g

2012/10/03

アメジストエレスチャル


アメジストエレスチャル
Amethyst Elestial Quartz
Karur, Tamil Nadu, India



以前カボションカットされたものをアップしたが、今回は原石を。
南インド・カルール産出のエレスチャルアメジストである。
スーパーセブンの全盛期、その発色が本来のそれより美しいために、南インド産スーパーセブンとして出回ったことは前回にも記した。
日本に入ってくる段階でほとんどは研磨加工され、ルースや六角柱の置物になってしまっていた。
原石の魅力について語られる機会は、少なかった。

写真は現在も僅かに流通のあるカルール産アメジスト。
世界中から産出するアメジストの中でも、紫の絶妙な色合いにおいては、メキシコのベラクレスアメジストに匹敵する美しさ。
魅力はその色だけではない。
クラスター、エレスチャル、セプタークォーツ、フラワーアメジストに近いもの等々、様々な形態がある。
この標本には白いしっぽのようなものが付いている。
私の手持ちのカルールのアメジストには、なぜかすべてしっぽがついている。
白いしっぽの飛び出した水晶には、他にも見覚えがある。
いずれご紹介したい。

南インドにヒマラヤ山脈があると思っている方は多いようだ。
インドの話題が続き申し訳ないのだが、南インドと北インドでは、気候や街並み、人々の様子、食事の味や言語に至るまで、全く異なっている。
インドの公用語は、英語である。
州によって言語や文字が異なるから、インド人同士でも言葉が通じないことがある。
古くは英国の統治下にあったインド。
年配の方々は、イギリス訛りの英語を使われることが多い。
フェイスブックに "Indian English" というカテゴリがあるように、現在インドで用いられている英語は、インドに独自のアレンジがなされている。
英語を母国語とする英米とは異なり、許容範囲は広い。

先日、南インドとは何ぞや、というお話が出た。
中には南インド=サチャロカ、と認識しておられる方もいらっしゃるご様子。
南インドは私たちが考える以上に広大なのである。
情報としては不十分であるが、いったいどんなところだったか、少しだけ書かせていただこうと思う。

私が一人、南インドに上陸したさい、日本人旅行者は皆無であった。
日本でストーカーに追われ、命の危険を感じた。
インドに行くときは、おそらく生死の選択を迫られたとき。
幼い頃からそう思っていたが、遂にその時が来てしまった。
折りしも一年で最もチケットの取りづらい時期、突然出発を決めたにも関わらず、格安チケットにキャンセルが出たとの知らせを受けた。
十分な用意をする間もなく、私は日本を発つことになった。
インドに到着してすぐムンバイ空港で野宿したのは、そうした事情あってのこと。
安全なはずの日本で死ぬことが、周囲の人々を絶望させ、私は死後もその罪を背負うことになる。
それだけは、避けたかった。
インドに対しては、幼少期から非常に複雑な思いがあった。
私がインドに行くとすれば、人生が終わるときだという予感は、現実になった。

南インドに日本人はいなかった。
ただ、ネパールで知り合ったある日本人が、現在南インドのゴアという土地にいるはず。
その人物に会うことができれば、この絶望的な状況が好転するという一心で、私はゴアへ向かった。
一ヶ月以上に渡って、日本語が全く使えないという状況が続いた。
当初の目的地であったゴアに滞在する白人たちの多くは、開放的すぎて倫理的に無理があった。
ゴアでは性的に厳格なイスラムグループ、社交辞令に終わらない深い内容について話すことのできる地元のインド人と行動した。
あとで知ったのだが、日本人旅行者の集まる場所は、そこから少し離れた場所にあり、閉鎖的コミュニティになってしまっていたようだ。
それがかえって幸いし、私はインドが世界で一番好きになった。
私は長い呪縛から開放されたのだ。

南インドのリゾート地・ゴアには、無数のビーチが存在している。
ガイドの三郎(北島三郎に似ていたので勝手にそう呼んでいた)と友達になり、バイクのガソリン代を出し合って、ゴアにあるあらゆるビーチへ冒険に出かけたのを思い出す。
海沿いを走り、森を抜け、フェリーで川を渡り、椰子の木をかすめてどこまでも走る。
一般の旅行者が訪れない遠いビーチでは、高齢のヒッピーがウロウロしている。
一目でアブナイと感じたので、話しかけなかった。

ゴアの最も奥地にあるビーチ。
誰もいない砂浜。
清流を上っていくと、木陰からたくさんの人の集まっている様子が見えた。
ハレクリシュナ、と歌が聴こえる。
俗にいう、コミューンである。
ゴアにもまだあった。
参加してくる!と三郎に告げ、突入しようとしたら、「ここのは●●●●るから絶対に行くな!」と引き止められた。
三郎が世界的倫理観の持ち主であったことを、今でも不思議に思っている。
三郎は、しばしば左手で食事をしていたからである。

しかしながら、三郎には、地元のマフィア風の男に売り飛ばされそうになった。
ボスの間(?)に閉じ込められ、私が必死で助けを求めているというのに、三郎が新聞を読むふりをし、ニヤニヤしながらこちらを観察していたことについては、許しがたい。
マフィア風の男に激しい怒りを表明し、振り返ったときの彼の心底嬉しそうな表情を、今でも覚えている。
ブラックマネーなるものを初めて手にしたのも、三郎の仕業であった。
彼が仕事を休んで私を冒険に連れて行ってくれたことには、深く感謝している。
数々の悪巧みについても、当時だからお互い受け入れられたのかもしれない。
三郎が私を売り飛ばす気などなかったことはわかっている。
今では彼も立派な大人になり、家庭を築いていることだろう。
少なくとも十年ほど前、南インドとはそうした土地であった。




そろそろ石の話に戻ろうと思う。
左の写真を見ると、このアメジストがセプタークォーツの要素を持っていることがわかる。
その後さらに成長し、起伏に富んだ形状になっていったとするなら、しっぽはその名残りなのかもしれない。
もうひとつ、カルール産アメジストに特徴的なのが、ゲーサイトやレピドクロサイト、カコクセナイトなどのインクルージョン。
右の写真では、サンストーンのような煌きに混じって、お馴染みのピンクのファイアが確認できる。

本来、スーパーセブンはブラジルのエスピリトサントから産するものを指すということになっている。
ビーズに関して、エスピリトサント産のスーパーセブンを使うことは、ほぼ無いようだ。
過去には流通があったが、同様の水晶が世界中から産するとわかってからは、原価の安い途上国からのアメジストが用いられるようになった。
インド産もおそらくもう無いはず。
また、万が一サチャロカ産と明記されていた場合は、必ず事前にお店の方に確認されることをお薦めする。

下の写真においては、一箇所の面に雲母が挟まるように入り込み、緑を帯びて見えるほか、シトリンの色合いも入っているのがわかる。
しっぽのついたかわいい姿を楽しみながら、その内部に広がる宇宙を味わいたい。
スーパーセブンの七つの要素+雲母+シトリン+しっぽ=?




41×20×16mm

2012/09/20

マカバのペンダント


マカバ Merkabah
Heaven & Earth LLC



このところ霊的な方々とのご縁が続いたので、霊的クリスタルについて、真面目に考察してみたい。
写真のペンダントに見覚えのある方はおられるだろうか。
Heaven&Earth社プロデュース、目的別に厳選された数種類のクリスタル入りのミックスペンダントである。
輪を描くような魅力的なデザインと、ガラスケースに入ったカラフルなクリスタルの欠片。
それらの組み合わせによる大いなる力の目指すところが、その人の魂の目的というわけ。

写真は訳あって入手した「マカバ」。
アゼツライトモルダバイトブルッカイト、ヘルデライト、フェナカイト、メルカバイト・カルサイトという特殊なカルサイト、以上6種類の鉱物が入っているらしい。
なお私自身は、スピ系に対しては肯定・否定のどちらでもないという立場を貫いている。
不思議な出来事に遭遇しやすいのは事実だが、偶然であるものと考えている。

2009年2月、私はアメリカのツーソンショーで、Heaven&Earth社代表のロバートシモンズ氏にお会いした(→その時のことはこちらにまとめました)。
その直前、私はシモンズ夫人やスタッフの方とお話しながら、ふと自分に合うミックスペンダントは何だろう?と思い立った。

カタログには、目的によって様々な種類のミックスペンダントが用意されている。
「チャクラ・ハーモニー」「チャネリング」「トランスフォーメーション」「シャーマニック・ジャーニー」「エンジェリック・レルム」「リカバリー」「アセンション」、そしてシモンズ氏お得意のシナジー・シリーズ等々、ニューエイジャーさん御用達のキーワードが目白押し。
しかし、自らの魂の目的を、自分で勝手に決めてよいのか?という疑問が残る。
凡人ゆえ背伸びは避けたいものである。
だが、気になる。
折角プロのスタッフが対応してくださるのだ。
話の種にひとつ選んでいただこうと思い立った。

ミックスストーンペンダントの種類は非常に多い。
大まかには3種類に分けられる。

1)霊的上昇 ー サードアイ/アカシックレコード/ライトボディなど
2)愛と癒し ー ハートチャクラ/ポジティヴ思考/幸運など
3)保護 ー プロテクション/浄化/オーラ・リペアーなど

私に必要なのは、どれなんだろう。
おそらくは、ハート関連だろうと考えていた(その後シモンズ氏に見事言い当てられてしまう)。
ハートチャクラやエンジェル関連のペンダントを幾つも選び、シモンズ夫人やスタッフの方々に、私に適切なのはどれかと伺ってみた。

「どっちかっていうとマカバだよ」

全員が私にそう言った。
統計的に信憑性があるのではないかと、単純な私は考えた。
なんだか凄そうである。
で、マカバってなんだろう。
石に携わってのち、比較的よく聞く言葉のひとつなのに、わからないまま現在に至る。
困ったことになった。
マカバの正体をつきとめなければ、私の魂の正体もわからぬままである。

よくわかるマカバの世界(英語サイト):
http://www.crystalinks.com/merkaba.html

ここでは、マカバの概念と実践について、写真や図を用いてわかりやすく述べられている。
ユダヤ神秘主義に由来するマカバの概念は、専門家によって近年特に語られることの多い、非常に重要なキーワードだという。
マカバはつまり、高次元へ到達するための祝福の光。
「マ」は光、「カ」は精神、「バ」はボディを表す。
マカバは車輪のように光速回転し、次元を超えた光の領域へ意識を運び…
え?
回転するの?
いったい、どこまで行けば?

ああ、見落としがあった。
具体的に書いてあるではないか。
なるほど、自分でいうのも変だが「マカバ」は私にぴったりのペンダントである。
ツーソンの宿で知り合ったアーティストで、ヒーリングの知識もあるインディアンの末裔の青年。
彼が描いてくれた私の絵にも、マカバが登場した。
ご本人もそれがマカバであることを私に伝えてくださったから、間違いない。
その根拠は、上記サイトにあるイラストと解説にすべて集約されているため、以下に引用させていただく。

The Merkabah is a UFO.

50×8mm

2012/09/16

プラチナルチル(ブルッカイト)


ブルッカイト入り水晶
Quartz with Brookite
Kharan Mountains, Baluchistan, Pakistan



パキスタン・カハラン産出の有名な水晶。
希少石ブルッカイトを伴って発見されるこの輝かしい標本は、世界中でその価値を認められ、高い評価を得ている。
日本では特にブルッカイトのインクルージョンに価値が置かれている。
レアストーンブレスの定番商品としてご存知の方も多いはず。
プラチナルチル、ブルッカイトルチル、またプラチナクォーツとも呼ばれ、高額で取引されているという。
水晶内部に広がるブルッカイトのシルバーの強い輝きがプラチナを思わせるため、誰が呼んだかプラチナの愛称で定着した。
ブルッカイトは、厳密にはルチルとは異なる鉱物なのだが、両者には連続性がある。
この標本においても、ブルッカイト及びルチルの針状インクルージョンが同時に認められる。

ブルッカイトはルチル、アナテースとともに重要な酸化チタン鉱物に数えられ、幅広い需要がある。
いずれも関連性が認められ、しばしば共生して発見される。
現地からはブルッカイトだけでなく、ルチル、アナテースの産出もある。
ブルッカイトの和名は板チタン石(そのまんまですね)とされるが、もはやプラチナルチルに変更になったかのような勢い。
残念なことに、プラチナは入っていない。
初期には水晶にプラチナが入っているものと思い、買い求めた人々も多かった。
プラチナルチルは和名であり、愛称である。
海外で使うと誤解を招くおそれがあるので要注意。
また、シルバーの針のみえる水晶のすべてがブルッカイト入りであるとは限らない(例:希少石アンカンガイトを内包する水晶のルース)。

ルチルクォーツやトルマリン入り水晶を「プラチナルチル」としているケースが目立つ。
ルチルクォーツのブレスを、プラチナルチルとして高額で購入された方も少なくないようだ。
写真の標本のように、ルチルとブルッカイトの両方が入っている場合は差し支えないと考える。
しかし、ブルッカイト入り水晶に太いゴールドの針が見えるとは聞かない。
鑑別書は肝心の鉱物名が隠れていて、見えない。
以下に参考資料を引用させていただく。

ブルッカイトではなくルチル入りのおそれがあるケース:
例1)http://store.shopping.yahoo.co.jp/ashiya-rutile/13mm24rt-0206-54-kyo.html
例2)http://store.shopping.yahoo.co.jp/luz/0241pur54.html

私には、インクルージョンを外観から判断できるほどの知識や経験はない。
ただ、プラチナルチルはシルバーグレーのブルッカイトの極細の針状インクルージョンを指して使われていた言葉だった。
写真の原石についても、インクルージョンとしてはルチルの割合が高いとみられる。
しかしながら有り難いことに、堂々たるブルッカイトが共生している(ピンボケしたので写真を二枚に分けました。後日撮り直します!)。
ブルッカイトの大きな板状原石(→本文下の写真及び結晶先端の拡大写真)が水晶の隙間に確認できる。
ワインレッドを帯びた強い光沢を伴うシャープな結晶は、まさに世界中の収集家を魅了し続けるパキスタン産ブルッカイトの醍醐味。
この産地からのブルッカイト、またアナテースは欧米では異常とも言える人気ぶり。
水晶と共生したブルッカイトの標本は、ダメージがない場合、概ね100ドルを超える貴重品となる。

いっぽう、クリスタルヒーリングにおいては、高次のチャクラを活性化させ、人々を高みに導くクリスタルとして、アゼツライトやフェナカイトに並ぶ最も重要なヒーリングストーンのひとつに数えられている。
このような希少石が分野を超えて愛されたのは、パキスタンから数多くのブルッカイトが届けられたからに他ならない。
欧米を経由するととんでもない金額になってしまうブルッカイト。
私たちがそうした希少石を良心価格で入手できるのは、日本に活躍する多くのパキスタン人ディーラーのおかげであることを忘れてはならない。

金、銀、銅のグラデーションに彩られたインクルージョン。
流れるような繊細な糸が輝くさまは、誰も入ることの無い秘境で見た奇跡の光のような、純粋な感動を与えてくれる。
なお、この産地の水晶には、アンハイドライト(エンジェライト)のチューブ・インクルージョンが入ることがあるらしい。
よく見ると、空洞のような針もみえるので、もし原石をお持ちの方がおられたら、お宝チェックをしていただきたい。
見どころは満載である。

プラチナルチルはあらゆる奇跡と富をもたらすパワーストーンとされている。
何十万もするプラチナルチルのブレスレット。
富がもたらされるならば何としてでも買わねばならぬ。
しかしながら既に、プラチナルチルのブレスにキラキラとレインボーが輝き始めた方は多いことだろう。
そのレインボーは、次のプラチナルチル・ブレスへの買い替え時を意味している。




45×37×25mm  30.48g

2012/09/14

ウィッチズフィンガークォーツ


ウィッチズフィンガークォーツ
Witches Finger Quartz
Kitwe, Copperbelt Province, Zambia



ルチル、マイカ(雲母)、ヘマタイトなどを含む珍しい水晶。
時に赤いヘマタイトに覆われていることもある。
本来は細長いポイント状で産出したものを指すが、こちらは塊状の原石を磨いたタンブル。
このウィッチズフィンガークォーツ、欧米ではヒーリングストーンとして安定した人気がある。
アフリカのザンビアから産出するというのも面白い。
ただ、日本での人気はいまひとつ。

ウィッチズフィンガークォーツを直訳すると、魔女の指の水晶。
魔女の指というと、鋭く伸びた爪がギラリと光る、それはそれは不気味なイメージ。
魔女、特に年老いた魔女は、必ずと言っていいほど悪役として登場する。
クリスタルヒーリングの盛んな英米では、魔女はさほど恐ろしい存在ではないようである。
世界は広い。
ある時、ドイツ人女性に「アナタは魔女?」と真顔で聞かれたことがある。
ドイツは確か、魔女狩りが最も盛んだった国。
生粋の日本人ゆえ、いまだその真意についてはわからない。

ウィッチズフィンガークォーツのポイントは、いかにも指、である。
それも、ゴツゴツした老婆の白い指を想起させる。
抵抗を覚える人も多いだろうからと、タンブルを中心に揃えた。
「魔女の指」を「魔法の指」と言い換えるなど、試行錯誤してもみた。
しかしながら現在も、私の中のレアストーンリストに残ってしまっている。

世界を放浪していた頃、たまたま東京のゲストハウスで働くことになった。
新店長の名前は「魔女」と定められた。
最終学歴は魔法学校ということになっていた。
どういういきさつだったか忘れたが、勝手にそうなっていた。
"魔女的な人" として扱われるのは今に始まったことではない(子供の頃は宇宙人だったが、成長に伴い魔女になったような気がする)。
私が知らぬ間に人々を脅えさせているのではないかと悩んだ。
或いは、どこか浮いているだろう、と。
この石を大切にしているのは、ウィッチズフィンガークォーツとの出会いがきっかけで、魔女のイメージが変わったからだ。

ウィッチズフィンガークォーツには、二面性があるといわれている。
煽るかのような強力なエネルギーを引き出す一方、持ち主に深い安らぎへと導くという。
また、波瀾万丈な運命に苦しむひとを癒し、自らの生まれ持った使命を悟らせる力もあるそうだ。
これから歩んでいく、まだ見ぬ道を照らすというこの石が、どうして怖いだろう。
そう、日本にあっても、魔女は必ずしも悪い意味とは限らないのだ。

何事も、頼りすぎはよくない。
だけど、石に少なからず関心を持つあなたなら、パワーストーンの魔法に憧れたことだって、一度はあるはず。
私も同じ。
理由はなんだっていい。
教科書に載っているパワーストーンの意味とは、少し違っていたとしても。


34×28×12mm  15.21g

2012/09/06

インディゴチャイルドクォーツ


インディゴチャイルドクォーツ
Indigo Child Quartz
Ambatondrazaka, Toamasina Province, Madagascar



マダガスカル産出、セプタークォーツ(王冠若しくは松茸水晶)、テッシンハビットクォーツ(先細り水晶)、ベータクォーツ(高温石英)といった特異な形状を示すアメジスト。
内部にヘマタイト、レピドクロサイト、カコクセナイトを含むことから、マダガスカル産スーパーセブン若しくはスーパーエイトなどと呼ばれた過去がある。
現在はインディゴチャイルドクォーツと呼ぶのが一般的。
文字通り、インディゴチルドレンと呼ばれる人々のためのクリスタルということである。

インディゴチルドレンという言葉に聞き覚えのある方は多いかと思う。
ここ4,5年で一気に知名度を上げたのは、発達障害の子どもを抱え自己嫌悪に陥る母親たちに希望を与えるためでもあった。
おそらく、ADHDやアスペルガー症候群といった社会適応の困難な子どもたちに、特別な使命を見出し、生きづらさを回避させる動きとみている。
しかしそれが飛躍した結果、自立に向けたトレーニングを行わず放置してしまうケースもある。

発達障害が必ずしも天才を意味するわけではない。
彼らの多くは支援学校に進学し、自立を目指しトレーニングを受ける。
IQは75以上と定義されている。
つまり、知的障害とのボーダーであるIQ75の子どもと、IQ130の子どもの発達障害では、その後の成長過程において大きな差異が生じる。
発達障害者に天才が現れる確率は健常者のそれと変わらないということである。
多くの発達障害者が才能を開花させることなく、就労すらできず、将来的に生活保護という受け皿しかないという現状がそれを示している。

自閉症者が天才であるという誤解を受けた原因のひとつに、自閉症にごく稀に現れるサヴァン症候群の影響があったのではないかと考えている。
天才ばかりとは考えにくい。
なぜなら私自身、自閉症及びアスペルガー症候群の診断を受けているからである。
自閉症の診断を知った保護者は、私に暴力を振るい続けた。
彼らが天才であり、特別な使命を持って生まれたという希望は、こうした子どもたちへの虐待を防ぎ、母親の落胆を自信に変えるというメリットがある。

さて、インディゴチルドレンの話に戻ろう。
世界には、インディゴチルドレン及びクリスタルチルドレン、レインボーチルドレンなる人々がいるらしい。
地球を変えるために君臨したという彼らの詳細を探ってみよう。


インディゴ・クリスタルチルドレンの役目



クリスタルチルドレンであるという女性のインタビューを関連動画から視聴し、うちゅうのおともだち・インスピレーションを得るに至った。
社会への不適合、強すぎる感受性、またオカルトに傾倒している点を考慮すると、スキゾタイパル(※注)の可能性も考えられる。
ちなみにうさこふはスキゾタイパルとアスペルガー症候群の併発であるが、インディゴやクリスタルの可能性は極めて低い。
詳細は後に記す。

※注)スキゾタイパル

十種類ある人格障害のうちのひとつ。統合失調型人格障害と呼ばれることもあるが、統合失調症とは関係ない。思考や行動、外観が奇妙であり、神秘的な現象に興味を示す。いっぽうで大多数に反発する傾向及び自閉的傾向を有する。宇宙人と間違えられやすい。スキゾタイパルであったと推測されているのはC.ユング、夏目漱石、ピカソ、鳩山由紀夫など。学会ではアインシュタインの名も挙がっているようだが、私は疑問視している。アスペルガー症候群への転向が可能。

人格障害と聞いて境界性人格障害(ボーダー)を連想する方が多いようであるが、異なる障害である。人格障害はA群・B群・C群に分類され、大多数を占めるのが『不安定な対人関係や衝動的な行動』を特徴とする人格障害B群である。発達障害になりきる境界性人格障害自己愛性人格障害、また発達障害への転向可能な反社会性人格障害など。

A群は変わっているため、B群は情緒不安定なため、C群は強い不安により、いずれも社会適応が困難とされている。


ある先生から伺ったのだが、インディゴ及びクリスタルチルドレンと、ADHDやアスペルガー症候群とは全く関係ないそうである。
かつては "特別な子ども" の定義に、発達障害が前提としてあった。
インディゴやクリスタルと称する人物の大半が、結婚や出産、子育てすら可能であり、社会生活や日常生活に支障なく、大多数の意見に違和感なく馴染み、強調性を発揮することができる。
特別な子どもたちにも種類がある。
インディゴやクリスタルの大多数は、障害者というハンディを背負わないマジョリティであり、むしろ強者という印象である。

発達障害の子どもを持つ親御さんには気の毒だが、彼らはインディゴチルドレン、クリスタルチルドレンではない。
おそらく、純粋な弱者である。
過度の期待はご本人を苦しめることになりかねない。
発達障害の人間が極めて生きづらいことは、私が身をもって知っている。
コミュニケーション不足に由来する対人恐怖や自己愛ではないことは明らか。
なお、インディゴチャイルドクォーツは、インディゴチルドレンが日本で注目を集める以前から流通があった。
かつてロットで入ってきたものが大量にあるので、インディゴの方に是非お譲りしたい。
現在は流通が減り、安価での入手は難しいとみられる。

なお、以下のブログでは可愛いお子様に対し、現実的な考察を行っている勇気ある父上の姿を見ることができる。

参考:私の子供は地球を救う「クリスタルチルドレン」ではなかったらしい
http://secret.de-blog.jp/secret/2009/06/post_273a.html


22×16×14mm(最大) 計6.46g


2012/08/11

ミッドナイトレースオブシディアン




ミッドナイトレースオブシディアン
Midnight Lace Obsidian
Glass Buttes, Oregon, USA



墨を溶かしたような幻想的な風景の見えるオブシディアン(黒耀石)。
透明感のあるスモーキーオブシディアンに、レースのような黒い模様が入っている。
傾けることで光の屈折が起こり、その光景が揺らいでみえるさまは、なるほど深夜の蝋燭を思わせる。
原石は黒い塊。
これを薄くスライスすることによって、ようやく本来の魅力が発揮される。
米・オレゴン州の秘境まで車を飛ばし、ハンターたちは今日もオブシディアンハンティングに余念がない。
自分で見つけ、自分で磨くのはアメリカに限ったことではないが、英雄の頂点になりたいアメリカンたちにはそうした傾向が強いようである。

ミッドナイトレースオブシディアンは、もともとはアルメニアで採掘されていた。
このところ、オレゴン州から質の良い原石が多く見つかっている。
クリスタルヒーラーのメロディ氏が著書で紹介したため、ヒーリングストーンとしても流通するようになった。
この石の魅力はやはり模様の美しさ。
だが、こうした石の模様を愛でる人というと、少し年齢層が上がる印象がある。
近年のパワーストーンブームにおいては、模様は重視されない。
ビーズの場合、石の個性がかえって邪魔になってしまうことがある。
模様を楽しむはずの石なのに、模様が無い。
石そのものより名前、そしてその名前の持つパワーに価値が置かれた結果かもしれない。
日本におけるパワーストーンは、いわば言霊のようなもの。
ある程度大きさがないと楽しめないから、日本では人気は出ないのではないか。
そう考えていた。

しかしながら、今見たら、ビーズに加工され、絶賛発売中であった。
これはまったく予想していなかったので、驚いた。
本来の流れるような黒い模様は損なわれている。
もともと天然ガラスなだけあってピカピカなものだから、スーパーのアクセサリー売り場で量販されている感が否定できない。
縞瑪瑙と間違える人も現れそうな気がする。
これは好き嫌いがわかれるのでは。
珠に磨くことでずいぶん印象が変わってしまうので、オーバルカットなどを選ぶといいかもしれない。
いっぽうで、磨き上げてしまうことより、光の移り変わるさまは見られなくなることが予想される。
禅のこころをあらわすかのような、この趣あるミッドナイトレースオブシディアンを私は選ぶ。


118×76×3mm  60.86g

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?