2011/07/26

スーパーセブン


スーパーセブン Super Seven
Espirito de Santo, Brazil



日本最大のスラム街、大阪市N成区路上の違法露店でさえ販売されているくらいだから、鉱物に少しでも興味のある方ならご存知のはず。
ホームレスだって知っている最強のパワーストーン、それがスーパーセブンと呼ばれる水晶である。

水晶、アメジスト、スモーキークォーツに、カコクセナイト、レピドクロサイト、ゲーサイト、ルチルを内包する希少石、スーパーセブン。
セイクリッドセブン、メロディーストーンとも呼ばれている。
1995年、アメリカのクリスタルヒーラーであるメロディ氏により世界に紹介された。

原石はエレスチャル構造を示すものが多いが、写真のスーパーセブンはエッチング(蝕像)がみられる。
ごく最近購入、未研磨で千円程度。
全盛期を過ぎ相場は下降気味であるものの、パワーストーン・ブームの火付け役であり、クリスタルヒーリングを世に広めた革命的存在であることに変わりない。
日本では不当な評価を受けていたインクルージョン(内包物)入り水晶、要はまざりモノに対する価値観を一変させた。
ルチルクォーツが大流行した背景にこの石の存在があったように思えてならない。

日本において、水晶は昔から需要があった。
ただし無色透明でクラックひとつ無い、完璧なものが好まれた。
天然石である以上、長期に渡って保管すれば何らかのダメージを受けて当然なのだが、占い師の持っている水晶玉はいつもあり得ないくらい透明だった。
そんなものが自然界に存在するわけないという事実に、日本人はようやく気づいたのである。

「7つの要素が含まれているからスーパーセブン。7種類すべて入っていなくてもスーパーセブン。ただしブラジルのエスピリトサント産限定。パワーが半端無いから浄化は不要。」

当初は以上のように定義されていた。
本家エスピリトサント産のスーパーセブンが絶産したという話は聞いていない(もう産出はないとみられる。詳細はこちら)。
しかしながらブラジルの他の鉱山をはじめ南インド産マダガスカル産、アフリカ産、中国産など、半ばこじつけではないかとさえ思わせる微妙なスーパーセブンが、続々登場している。
宝石質のジュエリーや研磨品は概ね南インド産、ビーズやブレスレットに関しては中国産が市場を圧倒しているとのこと。
正式には別モノである。


また、現在はヘマタイトが内包されたスーパーセブンも存在するという説が一般的になっている。
当初の定義とは異なること、十分注意したい。
ゲーサイト、ヘマタイト、レピドクロサイトには関連性があり、いずれもアメジストに含まれた鉄分に過ぎない。
これらの3種のインクルージョンを肉眼で区別するのは難しい。

石を浄化するという概念を定着させたのも、浄化不要とされるスーパーセブンの影響だろうか。
昔から浄化の儀はあったのかもしれない。
誰もが熱心に石の浄化に取り組むようになったのは、スーパーセブン以外の石はとにかく浄化が要るんだ!ということになってしまったためである可能性は高い。
販売時に浄化しなければならないほどの邪悪な売り手から、石を買う気が起こらないのは私だけだろうか。

石は石である。
鉱物に対する禁忌事項を守らないと、深刻な事故に繋がるおそれがある。
多くの販売者は、これを「浄化における注意」と言い換えているが、天然の化学物質に変わりはないことを頭に入れておく必要がある。
或いは、浄化すると石が喜ぶとか、パワーアップするとか、或いはメッセージが聴こえるとか、挙句の果てに「アンタが浄化をきちんとしないから石が元気ないじゃない!」などと、他人に注意するのはいかがなものか。
本当に危険な石は、浄化しても毒性は消えず、人体に有害に作用する。
また、ホワイトセージなど強い刺激性のあるハーブは、乳幼児やお年寄り、身体の衰弱している方に深刻な害をもたらすそうだ。
ホワイトセージを焚くさいには、周囲に対する細やかな気配りをお忘れなく。




31×23×19mm 10.58g

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