2012/10/19

ザギマウンテンクォーツ/消えたアイスデビル


ザギマウンテンクォーツ
Zagi Mountain Quartz
Zagi Mountain, Mulla Ghori, Khyber Agency, FATA, Pakistan



本当ならここで、美しいアイスデビル(→考察はこちら)をご紹介できるはずだった。
ある方のご厚意で手元にやってきたアイスデビル。
透明度の高い塊状の水晶で、悪魔的なイメージは全く感じられなかった。
切断面が著しいため、鉱物標本としての価値はないが、癒しには成りうるだろう。
ただ、約3000円という市販価格はやや高額であり、300~500円程度が妥当なのではないかというのが素直な感想だった。
想像するに、加工した水晶の残りであろう。
ヒーリングストーンとしては、同じマダガスカル産出のジラソルのほうが美しいと感じる。

天然石に同じものは存在しない。
お返しするさいに何かあってはと、封筒に入れて倉庫の奥にしまった。
翌日、撮影のため封筒を手に取ったら、中身は空っぽになっていた。
その間たった一日。
家族は旅行中で留守だった。
ご厚意を裏切るようなかたちになってしまったことを情けなく、恥ずかしく思う。

ここ数日、強い違和感が続いていた。
一週間前、二階の窓めがけて飛んできた漆黒の虫事件(前回の記事参照)以降、有り得ないようなトラブルが次々に起きていた。
最も衝撃的だったのは肋骨損傷で、あと一秒遅ければ死んでいたかもしれない。
実は肋骨損傷に関わるPTSDが、私が障害者として生きることになるきっかけだった。
まだ治っていないことをつきつけられた。
今回は事故に過ぎないのに、精神的ダメージは思ったより大きかった。
あまりに災難が続くため、遺書まで書いたほどである。

翌朝、アイスデビルは消えてしまった。
むりやりで申し訳ないのだが、どことなく外観の似たこの石をご紹介させていただこうと思う。
ザギマウンテンから産出したという、ゴールドに輝く水晶。
実に美しい。
鉄分による発色だろうか。
こんなものが眠っていたとは、ザギの魅力は計り知れない。

ザギマウンテンクォーツの流通は急激に増え、さまざまなバリエーションを見かけるようになった。
このゴールドの他にも、青い針の入ったザギマウンテンクォーツが見つかっている(→せっかくなので出品しました)。
いわゆるブルールチルにそっくり。
インディゴライト入りと紹介しているところもある。
ザギからはショール(ブラックトルマリン)の産出記録があるが、インディゴライトについては記録がない。
可能性があるとしたらアクチノライトではないかと思うのだが、見た目から判別するのは困難であった。

参考)ザギマウンテンは聖地ではなかった?

http://usakoff.blogspot.com/2012/08/27.html


ザギマウンテンは広い。
こんな珍品があったことに驚かされる。
私を助けてくれたのかもしれない。
或いはアイスデビルは、無意識に眠る心の闇を明らかにするクリスタルなのかもしれない。
そう思いながら、消えてしまったアイスデビルを必死で探している。


43×32×25mm  31.57g

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?