2013/02/26

ブルーターラクォーツ


ブルーターラクォーツ
Blue Phantom Quartz/Tara Quartz
Ippupiara, Bahia, Brazil



ブルーの濃淡を伴う幻想的な青水晶。
このブルーは、内包されたリーベカイトとオレナイト(ブルートルマリン)による発色とされている。
鉄分とみられる赤い不純物との対比が面白い。
ブラジルはバイア州イブピアーラとミナスジェライス州の二ヶ所から発見されている。
同じブラジル産出、針状インクルージョンを伴うインディゴブルーの水晶(俗にいうブルールチル)とは様子が異なる。

ターラとはチベット仏教の女神のこと。
ブラジルからずいぶん離れたチベットの女神が、なぜこの水晶の愛称となってしまっているのか。
解釈に戸惑うところである。
ニューエイジの世界では、ターラはよく知られた存在。
ドリーン・バーチュ氏によって、アセンデットマスターとして挙げられているのはホワイトターラ。
ブルーターラではない。
ブルーファントムクォーツと呼んでいるところもあるものの、一般にはブルーターラの名で親しまれ、ヒーリングストーンとしての人気は上昇を続けている。

私が最初にターラクォーツを手に入れたのは、4年以上前のこと。
色はどちらかというとグレーに近かった。
水晶内部に広がる風景は、曇り空に降り続く雨が大地を潤すさまを思わせた。
当時はものすごく、高かった。
ビニールの袋から出すのには勇気が必要だった。
このブルーターラは、このほどバイア州からまとまって発見されたもので、以前よりお求めやすくなっている。
どちらかというと小ぶりだが、ポイント状に結晶していて、変則的な結晶形と幻想的な青いファントムを楽しむことができる。

ターラは日本でいうところの多羅菩薩。
チベット仏教において重要な役割を担う観音菩薩にまつわる女神である。
一説によるとターラ(多羅菩薩)は、この世から絶えることのない苦しみを前に、観音菩薩が流した涙から生まれたという。
右目からは白いホワイトターラ、左目からは緑のグリーンターラが涙からそれぞれ菩薩に姿を変えた。
両者は対照的で、女性性と男性性、静と動、慈愛と救済、長寿と財運などに対応する。
ターラは七つの眼を持ち、この世のあらゆる苦しみや悲しみを見つけることができるとされ、チベットで広く信仰の対象となっているらしい。
中国政府から逃れ亡命するさい、人々に像を持ち出されたほどだったという。
遠きチベットの祈りを異国の地にもたらすターラ。
なんと永遠の18歳だというから羨ましい。

ところでブルーターラは何なの?
と思われた方もおられると思う。
実はターラには21の化身がいるという。
涙から生まれたという話と矛盾があるような気もするが…

参考:21のターラたちを描いたタンカ(サイト運営者さま
http://www.thangkacafe.com/21tarawithclothes.htm

青いターラさんは見つかっただろうか。
現在はターラというと白か緑が主流で、21すべてのターラが描かれることは滅多にないそうだ。
つまり、ブルーターラはチベットではあまり知られていない。
実際にブルーターラがどのような役目を担うのかについては、チベット仏教関連をあたっても見つからなかった。
では、どうしてブルーターラの名が出てきたのか。
欧米のニューエイジャーの中には、ブルーターラに導かれてしまったスピリチュアリストたちがいる。

参考:ブルーターラ(英語)
http://lightgrid.ning.com/group/tara/forum/topics/blue-tara

上記サイトにおいては、ブルーターラは海を象徴し、悲しみや障害を取り除き、幸せと喜びを運ぶと説明されている。
人々の霊的覚醒を促し、サマディ(悟り)へと導くのはブルーターラだったのである。
ブルーターラクォーツはスピリチュアルな目覚めを妨げるあらゆる困難を破壊し、すべての苦しみを癒すパワーを備える究極のヒーリングツールであり…
えっ?

ホワイトターラやグリーンターラより凄いんじゃないの?

思うに、ブルーターラクォーツには、欧米のクリスタルヒーラーたちの飛躍したスピリチュアリティが大いに関連している。
チベット仏教において信仰されているターラは、ホワイトとグリーン。
欧米のニューエイジ界隈で注目されているターラはブルー、ということらしい。
ブルーターラはホワイトターラとグリーンターラの融合であるとしているところもある。
自然界には「ホワイトターラクォーツ」や「グリーンターラクォーツ」と呼べる色合いの水晶のほうが多く、ブルーはむしろレアなはず。
いや、過去には「ターラクォーツ」という名前だったような気がするのだが…
単にブルーをくっつけただけ?

以上から、ブルーターラクォーツは、誤解や発想の飛躍の結果生まれた特殊なクリスタルと結論づけられる。
本来のチベット仏教とは切り離して楽しむのがよさそう。
このブルーターラは小枝のようなポイントが飛び出した形状が面白い。
両端は一度折れてしまったとみられ、そこから新しい結晶がすくすくと成長している。
淡いブルーのインクルージョンが奥ゆかしい模様をおり成すさまは、ブルールチルとはまた違った魅力にあふれている。




63×23×16mm  21.74g

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