2012/09/09

【速報】うさこふがアメリカのヒーラーに?

!被害拡大中!
その石も偽物です。




西暦2012年9月9日午前11時。
パワーストーンにまつわる極めて深刻な犯行が明らかになりました。
今後、さらなる被害が拡大することが懸念されます。
大手の業者さまも被害に遭われていることをご存知ありません。

ここで発表し、注意を喚起するのは危険です。
しかしながらうさこふはここで無実を主張しておく必要があります。
私は知らぬ間にこの事件に巻き込まれていたのです。

事件の発端となったのは、過去に私が気に入って、夢と希望と想像力を駆使してその魅力に言及した、グランドキャニオンワンダーストーンという美しい岩石です。

グランドキャニオンワンダーストーン
http://usakoff.blogspot.com/2012/03/blog-post_10.html


次に、被害に遭われた業者様の具体例を挙げながら考察していきましょう。




暖色系の石のもつ温かみには、うさこふが勝手に魅力を感じ、素直に書き留めたものです。
このビーズにはブルーやグリーンなど、暖色系以外の色合いが含まれていますので、説明とは一致しません。
また、実はアメリカのヒーラーの間では、ほとんど知られていないのです。
卸元からの資料をご参考にされたとのこと、詳細をお伝えしたところ衝撃を受けておられたご様子でした。
アリゾナといえば、ウラン鉱物も有名です。
ヒロシマ・ナガサキに投下された原爆の原産地であり、パワースポットであることだけを強調するのは危険といえるでしょう。





この石のもつ温かみの虜になったのはうさこふであり、アメリカのヒーラーではありません。
巧妙に言い換えられていたので、デジャヴを疑いました。
自分のブログを読み返してようやく思い出しました。
此方の小売業者様も、悪徳業者が送りつけた資料をご参考にされたとのこと、当ブログはご存知ありません。


グランドキャニオンワンダーストーンの流通は、少なくとも三年以上前からあったとみられます。

ジャスパーやライオライトの模様を楽しむ習慣のない日本では、ヒーリングストーンとして特別にパワーを与える必要がありました。
そのため、グランドキャニオンの名前とイメージのみが一人歩きし、謎の存在と成り果てていました。
本国アメリカでは評価はジャスパーの一種にとどまり、価値はあってないようなものでした。

ところが、全く異なる岩石を製品化し、金儲けを目論む卸業者が出現しました!

商品解説書に、想像にすぎないはずの私のブログの記述を転写し、あちこちの業者様に卸してまわったとみられています。
偶然の一致でない根拠としては、私がグランドキャニオンワンダーストーンを知ったとき、国内でこの石を取り上げている商業サイトさまは皆無、個人的なブログも2件のみ、具体的な言及はなされていませんでした。
うさこふはこの石の魅力をなんとか皆さまにご紹介したいと考え、独自の考察と想像によって文章を創り上げ、ブログにおいて愛情をアピールしました。
つまり、出典はうさこふの脳内であり、ワンダーストーンという築材の資料を参照しただけのアバウトな情報で、販売に用いるには不適切な内容といえます。

また、実際に販売されている岩石は、私の知っているグランドキャニオンワンダーストーンとは異なるものです。

というのも、商品と解説に矛盾が数多く認められるのです。
特に、私の文章と重複している箇所については、他所からの引用であることが読み取れてしまう不可解な内容となっています。
手持ちのグランドキャニオンワンダーストーン、また同等の意味(パワー)を有するといえるグランドキャニオンジャスパー(写真は下)は、いずれも暖色系の色合いのみで構成されていました。

色彩心理学をかじった人ならもうお分かりかと思います。
暖色系とは、黄色~オレンジ~赤~ブラウンの色合いを指し、見る人にあたたかさ、親しみや活力を与えるといわれます。
うさこふはこの暖色系のみの模様に注目したのです。


写真にあるビーズには、寒色系のブルーやグレー、また暖色系・寒色系に分類できない中性色のグリーン、黄緑が入っています。
寒色系は見る人に正確さ、涼しさを感じさせ、中性色は見る人に公平さ、安全性などを訴えかけます。
この原理を使って人の心理を操作することは、意外に多いんです。
それはともかく写真のビーズから、"暖色系" や "あたたかみ" というキーワードが出てくるのはきわめて不自然ですよね。
異なる種類の石について解説していることは、明らかです。
おそらく商品解説を見てもピンと来ない人が大半だったことでしょう。

いっぽう、グランドキャニオン付近から産出したライオライト、ジャスパーにこの種の模様をもつ岩石があるかどうかについて、検討する必要があります。



Think, Care, Believe
http://thinkcarebelieve.blogspot.com/2012/02/more-rock-cutting-therapy-in-quartzsite.html

加工前のグランドキャニオンワンダーストーンの原石を紹介されているサイトがあります(写真はリンクより)。見事ですね。

少なくとも、グランドキャニオンワンダーストーンの名前を与えられた石に、上記以外の模様、色合いは見たことがありません。
下の写真は、グランドキャニオンジャスパーと呼ばれる石で、同様にグランドキャニオン付近から産出するそうです。
模様は似ていますが、こちらも暖色系の色合いで構成されており、日本で流通しているものとは違うようです。

グランドキャニオンジャスパー


このビーズのダークサイドを垣間見ることのできる、重要な情報をいただいています。
初出は今年の6月頃。
ビーズに加工され、日本市場に入ってきたものとみられています。
加工は中国及びインド、ターゲットはおそらく日本のみです。
欧米の鉱物が、専ら日本向けに加工にまわされるケースというのは滅多になかったはずです。
似たようなことはありましたね。
昨年、日本だけをターゲットにした正体不明のパワーストーンが市場を圧倒したことがあったんです。
そうです、パキスタン産ブルームーンクォーツの謎と非常によく似ています。
中国やインド、タイなどの闇の住人どもが複雑に絡んだあの事件が、再び起きてしまったのだとしたら…

おおっと!これ以上は危険です!

いずれの業者様からもサンプルの提供はかないませんでしたので、現在も確認はとれていませんが、鑑定で産地が明らかにならないことを鑑みると、アリゾナ産でない可能性が極めて濃厚です。

以上の考察から、現在流通しているグランドキャニオンワンダーストーンのビーズ及びブレスとなったのは、グランドキャニオンの名を語るパキスタンなど欧米以外から産出した岩石と大胆に推測することができます。

※天然石をこよなく愛するL様からの資料を参照させていただきました。貴重な情報のご提供をありがとうございます!

鉱物資源に恵まれた中国では、中国から産出した類似の石を人気のパワーストーンと関連付け、産地を明らかにせず日本に流すことがあります。
この件に関しては、残念ながら多くの事例を確認しています。
また、最近ではインド加工も増えています。

もはや謎の団体による計画的な犯行が疑われ、事態は絶望的に深刻です。

うさこふとしましては、この度の事件を重く受け止め、今回被害に遭われた小売業者様及びお客様への返金、また私の夢と希望を無料でお金に替えられた代償として、利益の一部を還元していただくかまえでした。
しかしながら調査の結果、組織的犯罪や外国人グループの暗躍が予想されましたため、個人での追及は打ち切ることとします。
大手業者様の姿勢や知識不足がこのたびの不幸を招いたこと、不確かな卸元からの仕入れが認められたことは、非常に残念です。
被害例として紹介した業者様に問い合わせた上での問題提起でしたが、私の記した原文の存在がわかった今も、業者様は私の解説とは異なる商品の販売を続けています。
不確かなパワーストーンの購入は、世界的犯罪組織やブラックマーケットへの拡大につながります。
こうした組織の撲滅は、事実上不可能です。
返品をお薦めしたいところですが、どうしても必要である場合、霊的代償を考慮のうえでのご使用を検討ください。


パワーストーンが夢と希望で出来ているとは限りません。
効果にとらわれず、その石の価値を見極めましょう。
被害に遭われた業者様には、謹んで哀悼の意を表明したいと思います。


買わないことが
犯罪組織の撲滅につながります!


2012/09/08

青水晶(ブラジル産)


青水晶 Blue Quartz
Jenipapo, Itinga, Minas Gerais, Brazil



先日、鉱物のインクルージョンに対する自分の認識の甘さを痛感した。
そこで、前々から気になっていた、インクルージョンの不思議に迫ってみたい。

写真は、過去にブラジルから産出した青水晶、ブルークォーツ。
この青は水晶に内包されたインディゴライト・トルマリンに由来するとされ、インディゴライト・イン・クォーツとして絶大な人気を誇った。
俗にブルールチルと呼ばれる青い針の満載された水晶。
これも同様の原理に因るとされている(ルチルの詳細と意味、効果はこちらにございます!)。

私が鉱物に興味を持った頃、青水晶・ブルークォーツといえば専らこれだった。
スペイン・マラガからの青水晶の流通もまたあったが、多くの人々は「ブルークォーツ=インディゴライト」と受け止めていた。
私が初めて手にした青水晶も、2005年頃流通したこのブラジル産になる。

水晶のインクルージョンというのは非常に難しい。
特に青水晶の場合、発色の原因となる鉱物は多岐に渡り、すべてのインクルージョンを特定することは不可能に近い。
例としては、トルマリンのほか、リーベカイト、クロシドライト、アクチノライト、デュモルチェライト、ラズライト、アエリナイト、シャッタカイト、プーランジェ鉱、パパゴアイト、ギラライトなど。
私自身、水晶や水晶の内包物については勉強不足であり、物足りなさを感じている。

写真にあるのは、過去のブルークォーツ。
当時はインディゴライト・イン・クォーツ、ブルーファントムクォーツなどと呼ばれていた。
出始めの頃は細長いポイント状に結晶し、写真のようにショール(ブラックトルマリン)の柱状結晶と共生するのが常であった。
二つのポイントが交差し、さらにショールを伴うという点で、現在主流となっている青水晶とは異なるものと考える。
内包されたインディゴライトは、ここでは針状というよりむしろ毛状というべきか。
非常に繊細なトルマリンがブルーの濃淡となって、幻想的な光景を創り出している(本文下の写真)。

インディゴライト・イン・クォーツに対しては、かねてから疑問があった。
インディゴライトは純粋な青ではない。
ブルーとグリーンとの絶妙なバランスが求められる。
仮にインディゴライト・イン・クォーツが存在するとすれば、文字通りインディゴカラーになるのではあるまいか。
写真の標本はブルーグレーである。

内包物というのは本当に難しい。
一般に、外観からの特定は困難である。
インクルージョンが何であるかは、同じ鉱脈から採れた標本を参考に推測することが多いが、複数の鉱物のインクルージョンによる発色であることも少なくない。
この難解さゆえに、収集家を魅了してやまないともいえるだろう。
さらに、日本においては、インクルージョンのみられる透明水晶の人気は極めて高い。
産地や内包物に関する情報の混乱が、人々を困惑させるのは想像に難くない。
水晶の中身を特定しておくことは、国内においては重要である。

反省を込め、ブラジル産青水晶のインクルージョンは、本当にインディゴライトなのか、考察してみたい。
まず、大雑把に説明すると、インディゴライトは以下のように位置づけられる。

インディゴライト<ブルートルマリン<エルバイト<トルマリン

定義上、インディゴライトはブルートルマリンの一種ということになる。
また、ブルートルマリンとインディゴライトには連続性がある。
全米宝石学会(GIA)では混乱を防ぐために、ブルートルマリンとの表記を推奨しているそうだ。
つまり一般には、インディゴライトの色合いは純粋な青ではなく、グリーンとの絶妙なバランスが求められる。
"ブルーグリーンルチル" にしか見えないブレスも実在するいっぽうで、純粋なブルーの針が確認できることがあるのもまた、事実である。

過去に流通したブルークォーツの特徴は、灰青色の濃淡のみならず、美しいショールの結晶を伴うこと。
以前インディゴライトの原石を紹介した(→記事はこちら)。
写真で確認できるように、エルバイト・トルマリンにはブルー、グリーン、イエロー、またピンクがある。
ブラックトルマリンとブルートルマリンは異なるグループに属する。
ショールも水晶のインクルージョンとして珍しくはないのだから、二色の針が認められてもおかしくないはずなのだが、この標本に関しては、青と黒が混在している様子はない。
いっぽう、柱状に結晶したショールは鉱物標本としても価値があり、キロ売りで販売中の岩のようなブラックトルマリンとは別格とされている。

さて、インディゴライト・イン・クォーツに関して海外サイトを検索したところ、日本のサイト以外出てこない。
海外では、ブラジルの青水晶は、オレナイト(オーレン電気石)のインクルージョンに因るものと説明されている(→参考写真)。
なんじゃそりゃ、知らなかった。
オレナイトとは、ピンクまたはブルーを示す珍しいトルマリンで、エルバイトやショールとは異なるグループに属するようである。
希少石オレナイトを華麗にフューチャーし、その価値をアピールしているところもある。
なお、同じブラジル産水晶に、ブルーターラクォーツがある。
こちらもリーベカイト及びオレナイト由来の発色といわれているが、リーベカイトのインクルージョンとするのが妥当であろう。
パキスタンのザギマウンテンからもリーベカイト由来の青水晶が発見されている。

オレナイトは産出そのものが少ないから、まだ確定というわけではない。
気になるのは、過去のブルークォーツと共生するブラックトルマリンが、直射日光下で赤紫に見えること(→参考写真)。
他所からはインディゴライトとショールの針が同時に入った水晶も発見されているようである。
現時点ではブルートルマリンとするのが無難であると考えている。
水晶の内包物というのは、難しい。




35×24×22mm  14.11g

2012/09/06

インディゴチャイルドクォーツ


インディゴチャイルドクォーツ
Indigo Child Quartz
Ambatondrazaka, Toamasina Province, Madagascar



マダガスカル産出、セプタークォーツ(王冠若しくは松茸水晶)、テッシンハビットクォーツ(先細り水晶)、ベータクォーツ(高温石英)といった特異な形状を示すアメジスト。
内部にヘマタイト、レピドクロサイト、カコクセナイトを含むことから、マダガスカル産スーパーセブン若しくはスーパーエイトなどと呼ばれた過去がある。
現在はインディゴチャイルドクォーツと呼ぶのが一般的。
文字通り、インディゴチルドレンと呼ばれる人々のためのクリスタルということである。

インディゴチルドレンという言葉に聞き覚えのある方は多いかと思う。
ここ4,5年で一気に知名度を上げたのは、発達障害の子どもを抱え自己嫌悪に陥る母親たちに希望を与えるためでもあった。
おそらく、ADHDやアスペルガー症候群といった社会適応の困難な子どもたちに、特別な使命を見出し、生きづらさを回避させる動きとみている。
しかしそれが飛躍した結果、自立に向けたトレーニングを行わず放置してしまうケースもある。

発達障害が必ずしも天才を意味するわけではない。
彼らの多くは支援学校に進学し、自立を目指しトレーニングを受ける。
IQは75以上と定義されている。
つまり、知的障害とのボーダーであるIQ75の子どもと、IQ130の子どもの発達障害では、その後の成長過程において大きな差異が生じる。
発達障害者に天才が現れる確率は健常者のそれと変わらないということである。
多くの発達障害者が才能を開花させることなく、就労すらできず、将来的に生活保護という受け皿しかないという現状がそれを示している。

自閉症者が天才であるという誤解を受けた原因のひとつに、自閉症にごく稀に現れるサヴァン症候群の影響があったのではないかと考えている。
天才ばかりとは考えにくい。
なぜなら私自身、自閉症及びアスペルガー症候群の診断を受けているからである。
自閉症の診断を知った保護者は、私に暴力を振るい続けた。
彼らが天才であり、特別な使命を持って生まれたという希望は、こうした子どもたちへの虐待を防ぎ、母親の落胆を自信に変えるというメリットがある。

さて、インディゴチルドレンの話に戻ろう。
世界には、インディゴチルドレン及びクリスタルチルドレン、レインボーチルドレンなる人々がいるらしい。
地球を変えるために君臨したという彼らの詳細を探ってみよう。


インディゴ・クリスタルチルドレンの役目



クリスタルチルドレンであるという女性のインタビューを関連動画から視聴し、うちゅうのおともだち・インスピレーションを得るに至った。
社会への不適合、強すぎる感受性、またオカルトに傾倒している点を考慮すると、スキゾタイパル(※注)の可能性も考えられる。
ちなみにうさこふはスキゾタイパルとアスペルガー症候群の併発であるが、インディゴやクリスタルの可能性は極めて低い。
詳細は後に記す。

※注)スキゾタイパル

十種類ある人格障害のうちのひとつ。統合失調型人格障害と呼ばれることもあるが、統合失調症とは関係ない。思考や行動、外観が奇妙であり、神秘的な現象に興味を示す。いっぽうで大多数に反発する傾向及び自閉的傾向を有する。宇宙人と間違えられやすい。スキゾタイパルであったと推測されているのはC.ユング、夏目漱石、ピカソ、鳩山由紀夫など。学会ではアインシュタインの名も挙がっているようだが、私は疑問視している。アスペルガー症候群への転向が可能。

人格障害と聞いて境界性人格障害(ボーダー)を連想する方が多いようであるが、異なる障害である。人格障害はA群・B群・C群に分類され、大多数を占めるのが『不安定な対人関係や衝動的な行動』を特徴とする人格障害B群である。発達障害になりきる境界性人格障害自己愛性人格障害、また発達障害への転向可能な反社会性人格障害など。

A群は変わっているため、B群は情緒不安定なため、C群は強い不安により、いずれも社会適応が困難とされている。


ある先生から伺ったのだが、インディゴ及びクリスタルチルドレンと、ADHDやアスペルガー症候群とは全く関係ないそうである。
かつては "特別な子ども" の定義に、発達障害が前提としてあった。
インディゴやクリスタルと称する人物の大半が、結婚や出産、子育てすら可能であり、社会生活や日常生活に支障なく、大多数の意見に違和感なく馴染み、強調性を発揮することができる。
特別な子どもたちにも種類がある。
インディゴやクリスタルの大多数は、障害者というハンディを背負わないマジョリティであり、むしろ強者という印象である。

発達障害の子どもを持つ親御さんには気の毒だが、彼らはインディゴチルドレン、クリスタルチルドレンではない。
おそらく、純粋な弱者である。
過度の期待はご本人を苦しめることになりかねない。
発達障害の人間が極めて生きづらいことは、私が身をもって知っている。
コミュニケーション不足に由来する対人恐怖や自己愛ではないことは明らか。
なお、インディゴチャイルドクォーツは、インディゴチルドレンが日本で注目を集める以前から流通があった。
かつてロットで入ってきたものが大量にあるので、インディゴの方に是非お譲りしたい。
現在は流通が減り、安価での入手は難しいとみられる。

なお、以下のブログでは可愛いお子様に対し、現実的な考察を行っている勇気ある父上の姿を見ることができる。

参考:私の子供は地球を救う「クリスタルチルドレン」ではなかったらしい
http://secret.de-blog.jp/secret/2009/06/post_273a.html


22×16×14mm(最大) 計6.46g


2012/08/30

ブラックマトリックスオパール


ホンデュラス マトリックス オパール
Honduran Matrix Opal
Erandique Region, Honduras



このところ頻繁にみかける石がある。
ホンデュラス・マトリックスオパール(ブラックマトリックスオパール)という、なんとも強烈な名前がついている。
写真はそのカット品。
黒い地に虹色の輝きが炎のように浮かぶさまは、世界的に一定の傾向を示すオパールの中にあって、一見珍しく思える。

オパールは遊色(多彩な輝きが浮かんでみえる様子)の有無によって二つに分類される。
遊色のみられるオパールを一般にプレシャスオパール、遊色のないオパールをコモンオパールと呼んでいる。
コモンオパールの代表的な例としては、ペルーのピンクオパールやオレゴンのブルーオパールなど。
これらがパワーストーンとして親しまれているのは、原価が安いためである。
宝石としては専ら遊色のみられるオパールが好まれ、中でも赤やオレンジの遊色が浮かぶものは最も価値が高いとされている。
これはどうも赤が入っている…から高級品なのかもしれない。
だが実際のところ、非常に安かった。
先日参考までに購入した。

ホンデュラスの名は、南米にあるホンジュラス共和国(正式にはホンジュラスの表記が正しいらしい)からこのオパールが産出することに由来するという。
全く聞いたことがない国である。
実際、アフリカと混同している人も見受けられる。
調べてみたが南米のどこかにあるらしいこと、「バナナ共和国」と揶揄されていることくらいしかわからない。
折角、鉱物で世界一周しているのに、こんなレアな国を素通りしてしまうとは残念である。
国名が付くことで誤解を受けそうな国としては、他にリヒテンシュタインが挙げられよう。
リヒテンシュタインからの若い観光客が、たまたま当時お手伝いしていたお店に寄ってくださったことがある。
その時はいったい何を意味するのか判らず、申し訳ないことをしてしまった(バンドをやっている人かと思った。たぶんノイバウテンとごっちゃになっている)。
特に違和感のない普遍的なイケメンであった。
世界は広い。

さて、ホンジュラスに戻ろう。
どうやらこのホンデュラス・マトリックスオパール、加工して作られるものらしい。
もともとブラウンであった母岩を、人工的に黒い色合いに変え、樹脂加工をもって輝きを安定させているようである。
オパールをアクセサリーにする場合、樹脂加工で強度を高める必要があるから、とりたてて騒ぐ必要はない。
ホンデュラス・マトリックス・オパールの真相に関しては、世界中で激しい論争が展開されている。
地の色をブラウンからブラックに改良していることが問題ということのようだ。
砂糖を加えて加熱する、とある。
加工前のマトリックスオパールを見た感じ、特に黒くする必要性は感じない。
ホンジュラスの人々が何ゆえ砂糖にこだわるのかについては、よくわからない。

オパールというと、高価な宝石というイメージがある。
実際に価値あるものは非常に高額になる。
大きさにもよるが、ホンデュラス・マトリックスオパールの相場は、遊色のないコモンオパールと同程度。
原価を考慮するとビーズになる可能性もあるとみて調べたら、既にビーズになって流通していた。
国内ではブラックマトリックスオパールと呼ばれており、気づかなかった(本来はオーストラリア産)。
どうも大量に出回っている。
ブラックマトリックスオパールについては、未加工の状態である旨明記され、紹介しているところが圧倒的。
天然オパールという鑑別を出している鑑定機関もある。
ここは確かギベオン隕石においても不可解な鑑定結果が出ていたのだが、大丈夫なんだろうか。

参考:鑑別書、鑑定書、保証書の違いとオパールへの適用について
http://www.gemstory.com/howtoPart2.html

つまり、鑑別書からは、石の名前(と、処理の有無を書くべきであり、パワーストーンに関しては書かなくてもよいとは聞かない。鑑定機関そのものが詐欺行為に及んでいる可能性が高い)しかわからない。
万が一、ダイヤモンドにしか付かないはずの鑑定書が付いてきた場合は、深刻な犯罪に巻き込まれたとみていいだろう。
鑑定書や鑑別書は「安心」の基準にはなり得ないことを忘れないでほしい。
本来は、いずれも宝石を第三者に託すさい(質入や相続など)に必要となるものである。

ブラックマトリックスオパールについては "処理を前提とする天然石" としての購入を検討されるほうがよさそう。
最も価値の高いとされるブラックオパールと混同し、とんでもない高額で販売しているケースもある。
オパールとパワーストーンのあやうい関係については、以下の資料から読み取れるので、参照していただきたい。
砂糖じゃ相手にされない。
宝石の価値というのは甘くない。


参考:オパールの価値
http://gemopal.info/free_ohanashi/free.html

参考:オーストラリアのオパールマスターによる、動画で楽しむブラックオパールの世界




やはり赤が良いようだがブルーにピンクがお好きな様子


18×13mm  7.39ct

2012/08/27

ゼノタイム(ザギマウンテン産)


ゼノタイム Xenotime
Zagi Mountain, Mulla Ghori, Khyber Agency, FATA, Pakistan



イットリウムを含む希少石、ゼノタイム。
アプリコットのような優しい色合いが印象的だが、立派な放射性鉱物である。
ゼノタイムは一般に、不透明なダークブラウンの結晶となって産出する。
パキスタンから近年発見されたオレンジやレッドに輝くゼノタイムは、世界中の愛好家たちを熱狂させた。

写真はゼノタイムをラベルに載せて撮影した。
出処は米国、表記はアフガニスタン。
当初、この標本はアフガニスタン産として流通したらしいのだ。
再調査の結果、パキスタンのザギマウンテン産であることが判明、業者側で産地を訂正したという。
セイクリッドシャーマン、ザギマウンテンクォーツで有名になった聖なる山、ザギマウンテンからは、多くの資源、魅力的な希少石の数々が発見されている。
中でも、この産地からのゼノタイムの美しさには定評がある。
アフガンの鉱物が、諸般の事情からパキスタン産として流通していることを不審に思われている方もおられることと思う(→詳細はパライバじゃなかったパライバトルマリンに記、主にアメリカ)。

パキスタンの鉱物の産地が曖昧にされることは多い。
理由のひとつは、掘る人と売る人とが同じではないこと。
隣接した国々からパキスタンに運ばれてきた鉱物を、現地のディーラーが扱うこともある。
特にアフガニスタンの鉱物の場合、同時多発テロの恐怖が売り上げに影響するのを危惧し、パキスタン産と言い換えることも考え得る。
また、複雑な事情のある地域では、実際に採掘に入れる人を限定し、詳細を伏せることがあるとみている。
売り手にもどこから来た石なのかわからないことがある。
それを責めるわけにはいかない。
この標本の産地が訂正された理由についても、想像することは可能である。
つまり、産地には厳しいこだわりを示す欧米諸国の収集家でさえ、ザギマウンテンを特定できたのはごく最近のことだったのだ。
十年以上経った現在も、世界中がザギの謎に当惑している状態ということになる。
産地で何が起きているかわからないといえば、中国も同じ。
ただ、中国であれば専門家が入ることもある。
調査の結果、素晴らしい鉱物の存在が認められ、詳細な産地や産状が明らかになることも多い。
余程の事情がない限り。

パキスタン北部、アフガン国境に位置するザギマウンテン。
レアアースの宝庫として近年注目を浴びる土地である。
ゼノタイム以外にも、稀にみる品質を誇る稀産鉱物が多く発見され、研究者や収集家たちを驚かせた。
宝の山なのは明らか。
だが、国外の専門家が現地入りすることは、固く禁じられているそうだ。
鉱物研究の進んだ国の専門家にしかわからないことはある。
いまだ存在の明らかにされていない希少石も少なくないとみられる。
おそらく、誰もがザギに入りたくてたまらないはずだ。

もし、どうしてもザギへ入るつもりなら、少し荒業を使う必要がある。
あのテロリストの息の根を止めたカラシニコフくらいは用意したほうがいい。
宝の山が意味するところ、それは戦争である。
我々が世界中の美しい鉱物を手に出来るのは、日本が平和だからである。
我が国の資源はほぼ枯渇している。
それがいかに幸運なことか、戦地を旅した人々は知っている。
世界には、いまだ眠ったままになっている資源は数知れず、それらが必ずしも平和的な目的で採掘されるとは限らない。
戦争が人を狂わせるのは、今に始まったことではない。

鉱物資源は、戦争の資金源として重要な役目を担う。
鉱物だけとは限らない。
外国人に見られてはならないことがザギで行われている…
そう考えることも、可能だ。
レアアースはヘロインに並ぶ利益をもたらす、とは面妖な。
パキスタン全土が危険なわけではない。
ただし、ザギのあるパキスタン・アフガン国境を目指すことは、現実的とは言えない。

参考)アフガンの鉱物資源に関する記事だが、パキスタン国境付近の状況についても言及がある:
http://www.asyura2.com/10/warb4/msg/886.html

鉱物をこよなく愛する人々にとって、曖昧な産地は悩みの種となる。
情報が欠けていることによって、石の評価は下がってしまう。
コレクションの分類に頭を抱えるはめにもなる。
しかし、真実を追求したがために不幸な事件に巻き込まれ、命を落すことがあるのもまた、現実だ。
過酷な状況を耐え抜いて届けられたザギの鉱物に、何をみるかということだと思う。
この初初しいゼノタイムの伝えるもの、それは美しさや希少価値、神秘性だけだろうか。
世界には、平和を叫べない土地がある。





18×12×10mm  4.15g

2012/08/24

セルサイト


セルサイト/白鉛鉱
Cerussite
Tsumeb Mine, Tsumeb, Otjikoto Region, Namibia



太陽の下で七色に輝く光の結晶、セルサイト(白鉛鉱)。
アゼツライトもびっくりの堂々たるお姿である。
透明感あふれる見事な連晶で、ツメブ鉱山からの産出品とのこと。

ナミビアのツメブ鉱山は、世界を代表する鉱物の産地。
歴史的な標本を数多く産した。
ロシアのコラ半島、カナダのモンサンチレールに並ぶ稀産鉱物の宝庫として知られている。
ツメブ鉱山からの標本はいくつか手持ちがあるが、世界中の収集家が絶えず目を光らせているから、素人が入手できるような標本はしれている。
私自身、ツメブのセルサイトを手にしたのは、これが初めて。
まほろばというのは、このことをいうのだろう。

セルサイトは鉛を含む鉱物。
見た目は軽そうだが、持ち上げるとずっしり重い。
では頑丈なのかというとむしろ逆で、非常にもろく、意図せず崩れてしまうこともあるようだ。
硬度は3と、カルサイト程度ということだが、扱いの難しさはカルサイトの比ではない。
鉛のメタリックなイメージからは想像もつかない。
輸送中に壊れてしまうこともあるという。
その性質ゆえ、アクセサリーなどに用いることができず、専ら観賞用となる。
ビーズになることなどまず無いから、パワーストーンとしての知名度も低い。
そもそも「セルサイト」という名前自体、これといったインパクトがなく見逃しがち。

ツメブ鉱山からはスミソナイト、マラカイト、ミメタイト、モットラマイト、ダイオプテーズ、マンガンカルサイトなど250種類に及ぶ鉱物が発見された。
鉱山の名を冠したツメブ石に代表される、55種類の稀産鉱物はここツメブを原産とする。
ツメブ鉱山が閉山したのは15年ほど前。
水没し、消えてしまった。
産地からの標本の流通は減り、需要に供給が追いつかず、今後の高騰は避けられない。
セルサイトそのものは世界各地から産出があるが、その品質の差は明らか。
世界中の収集家に絶大な支持を得ていることにも納得がいく。

このセルサイトはツメブの魅力を伝える片鱗に過ぎない。
歴史的価値のある標本であれ何であれ、金の力で手に入れることはできる。
収集家の信念が問われるところであろう。




28×26×20mm  34.04g

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?