2011/06/16

ムーンクォーツ


ムーンクォーツ Moon Quartz
Skardu District, Gilgit-Baltistan, Pakistan



満月で月蝕ということで、月にまつわる鉱物を。
ムーンストーン?いいえ、ムーンクォーツです。
正式には、ミルキークォーツ(乳石英)。
ブルーをおびた美しい輝きが、ムーンストーンを想起させることから、その名がついたという。

2年ぶりに鉱物の世界に戻り、すぐに目に留まったのがコレ。
ヒマラヤ山脈はK2で産出するという、ヒマラヤブルームーンクォーツと呼ばれる神秘的な水晶である。

K2は標高8,611m、世界第2位であるが、その難易度はエベレストを上回るといわれている。
大好きなヒマラヤ山脈。
これは絶対に欲しい。
しかし、販売されているのはビーズばかり。
原石の存在について何件か問い合わせてみたが、「わからない」とのこと。
奇妙なことに、誰も原石を見たことがないという。

4月の時点では、原石の存在は確認できず、その正体は謎に包まれていた。
幸い、良心的なディーラーさんのおかげで、いくつか手がかりが得られた。
産出はK2のふもと。
これが重大なヒントとなった。
それらしきパキスタンのディーラーにアタック、一発目でヒット。

写真にあるのが探し当てたヒマラヤムーンクォーツの原石。
実際に採取したオッサン(社長?)から直接譲っていただいた、産地直送品である。
ところどころブルーをおび、あちこちに虹が輝いている。
ジラソルよりは不透明、メタモルフォシスよりは透明といったところ。
その美しさは、ビーズとは比較にならない。
2キロあるという原石のほうも見せていただいた(写真は本文下に掲載)。
一見、巨大な石英の塊。
ビーズに磨けば青く光るなど、これだけでは判断できない。

では、いつ誰がどのように広めたのか。
似たような石が、世界各地で見つかっているという。
ビーズのみ流通しているということは、ほぼ間違いなく中国人が関わっている。

※中華以外も関わっているとの情報をいただいた。詳細については不明であり、言及は控えたい。(2011/6/22追記)

中華は産地を隠蔽するのが大好き。
買い占め、産地偽造、模造品の製作などにことのほか熱心に取り組んでいる。
また、原石は中華式ではつまらないものとされており、どんな珍しい石も輸出用に加工を施す習慣がある。
欧米ではあまり相手にされないので、もっぱら流行に敏感な日本人をターゲットにしている。

気になって調べてみた。
どうやらこの石は、パキスタンの業者の間では知られた存在らしい。
ただ、あまりにムーンストーンそっくりなため、長石として取引されることもあった模様。
欧米の一部でもヒーリングストーンとして扱われていて、Moon Quartz の名で流通があるようだ。

産地は情勢が良いとはいえず、土地としてはあまり良くないと思うのだが、非常にすがすがしい清らかな印象の石で、メロディ氏でおなじみのメタモルフォシスより好きかもしれない(どっちかというとオーロベルディ好き)。
さほど高価な石ではないので、是非原石を手に入れていただきたい。
ムーンストーンやペリステライトとはまた違った魅力がある。




44×39×21mm  22.81g (最大)

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?