2012/07/30

フローライト入り水晶


フローライト入り水晶
Quartz, Fluorite Inclusions
Miandrivazo, Amoron'i Mania, Fianarantsoa Province, Madagascar



クリアな水晶に浮かぶフローライトのインクルージョンが清々しい。
2005年頃、マダガスカルからわずかに発見されたという。
ちょうどその頃、命と引き換えに(?)鉱物の世界にたどりついた私は、すぐに興味を抱いた。
スーパーセブンの流行で水晶のインクルージョンに対する関心が高まり、「とりあえず水晶に入ってる何か」を探していた人々が、この美しい石に夢中になったのは必然的なこと。

鉱物標本として、またヒーリングストーンとして、高い評価を受けたフローライト入り水晶、フローライト・イン・クォーツ。
同じくマダガスカル産の星入り水晶とともに量販された。
しかし実際には、産出は200kgほどしかなかったらしい。
流通は減り、質の悪化とともに人気は失速していく。
現在流通しているフローライト入り水晶は透明感に乏しく、内部の様子が見えるようカット、研磨することが多いようである。

初期に流通したフローライト入り水晶の原石ポイント。
水晶に含まれる青紫の鉱物がフローライトである。
よく見ると八面体に結晶している。
氷のように清らかな水晶は変形していて、フローライトのインクルージョンの魅力を引き立てている。
本文下に外観の写真を掲載した。
中央は空洞になっている。
表面には多角形の刻印のようなくぼみが多数みられる。
これは、かつて存在したフローライトが、何らかの原因で外れた跡だといわれている。
周囲の白いインクルージョンもフローライトであると考えられている。

数箇所に切断面(削られた部分)があるため、鉱物標本ではなくヒーリングストーンとして販売されていた。
当時は安価だったため他にも原石の手持ちがあるが、透明感はこれがベスト。
空洞に関しては、自然に形成されたとみられる。
まさかこの空洞にも、元々フローライトが入っていた…
か、どうかは、わからない。
表面の至るところにフローライトの痕跡があり、模様のようになっているから、かつてはフローライトだらけだったのだろう。
もしかしたら、空洞部分もフローライトだったのかもしれない。

フローライトには六面体と八面体がある(→うさこふ作成の図解参照)。
もしインクルージョンが六面体結晶であったなら、評価は若干かわっていたかもしれないと思うときがある。
八面体フローライトは一般に、高温の環境下で形成されるといわれている。
夏は暑い。
暑は夏い。
涼しい風を運んできそうな、今となっては貴重なこのフローライト入り水晶(の画像)を、頑張っているあなたにお届けします。




60×30×26mm  39.38g

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