2012/01/12

星入り水晶


星入り水晶
Hollandite in Quartz
Fianaratsoa, Anketsaketsa, Madagascar



ホランダイト(ホランド鉱)のインクルージョンが放射状に広がり、まるで星のように見える水晶。
キャンドルクォーツに似たミルキーカラーを呈し、丸みを帯びたポイント状で発見されることが多い。
ホランダイト・イン・クォーツ、またその外観から星入り水晶、スパイダークォーツなどと呼ばれ、ビーズや装飾品になるほどの人気を誇った。
しかしながらその後新しく発見されることはなく、絶産したという。

アフリカ沖、西インド洋に浮かぶマダガスカル(とその周辺諸島)。
1億6千年前に島として孤立したため、珍しいいきものが生息し、貴重な食材が産出する。
鉱物の宝庫でもある。
ユニークかつ高品質な各種水晶のほか、セレスタイト、ラブラドライトなどが近年大ヒットを記録、マダガスカルはその産地として瞬く間に知名度を上げた。
セプタリアンなどの化石類、ペツォッタイトなど稀産鉱物の数々も報告されている。
まさに宝の島である。
世界最貧国に類されるマダガスカルでは、鉱物は専ら輸出用に採掘されており、多くは中国に持ち込まれて加工されている。

スーパーセブンの全盛期、インクルージョン入り水晶はちょっとしたブームになっていた。
星入り水晶もその一つだった。
希望の星、幸運の星。
写真の石は研磨されていないため、はっきりと星が確認できるのは一箇所のみだが、ちょこんと自立するカワイイ一品(多くはたくさんの星が観察できるよう研磨されている)。
ホランダイトの塊もみえる。

かつては300円程度でたくさん売られていたから、気に入って何回か購入した。
先日実家にてたまたま見つけたのがこれ。
売り物用のダンボールに無造作に入っていた。
最近見かけないと思ったら、もう出ていないのか。
貴重品になるなど思いもしなかったから、大切に扱うことをしなかった。
誰にも気づかれることなく、この星は消えていたのだ。

どうも最近中国から、これによく似た水晶が発見された様子。
パイロクシン、トルマリンなどの鉱物が透明水晶に入り込み、放射状に広がっている。
その姿はまるで、ダークグリーンの蜘蛛のよう。
クリアな水晶に内包されているため、今にも動き出しそうな臨場感がある。
原石は見かけていないが、産地がモンゴルの辺りなので、大半は加工に回されているものと考えられる。

奇妙なことに、この緑色の蜘蛛の入った水晶のブレスが、「マダガスカル産・ホランダイトクォーツ!(星入り水晶/スタークォーツ)」として販売されている。
どう考えても蜘蛛である。
私は蜘蛛が苦手であるからして、たくさん並んでいるのを見るのは恐怖である。
また、明らかに中国産であり、ホランダイトは入っていないと思われるため、ここで注意を喚起しておきたい。

おお怖い。
夜中にトイレに行けない。


20×14×13mm  4.71g

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