ウランガラス Uranium Glass
Čechy, Czech Republic
微量(0.1%ほど)のウランを混ぜて作られたガラス。
ブラックライトなどを用いて紫外線を照射すると、蛍光する性質を持つ。
1800年代初期にボヘミアで開発され、アンティークの工芸品やアクセサリーなどにその姿を見ることができるほか、現在でも僅かに生産されている。
鉱物ではないのだが、ウラン繋がりということで、鉱物収集家の間でも人気がある。
ヴィンテージのウランガラス(ウラングラス)をコレクションに加える人は少なからずいる。
写真のようにビーズという形で流通しているものをアクセにする人もいる。
いわば知る人ぞ知るといった存在であった。
そんなウランガラスが今、にわかに脚光を浴びているという。
それに伴い、放射能対策グッズが売れているそうだ。
放射能を防ぐパワーストーンなるものも登場した。
興味深いのは、モリオン(黒水晶)が放射能を防ぐという説。
長い間地中の放射線に晒され、真っ黒になってしまった水晶である。
ウラン鉱脈の近くで採れることも珍しくないのだから、むしろ縁起が悪いような気がする。
そして、ウランガラスが、放射能をもって放射能を制するという説。
人体に影響はないものの、ウランガラスに放射性物質が含まれているのは確かであり、粗悪なものは劣化ウランを用いて作るとかいう噂であるからして、実に奇妙な話である。
気になって調べてみた。
比較的知名度のあるクリスタルヒーラーが、原発事故をきっかけにウランガラスを取り上げた。
微量の放射線が人体に良好であることがそのパワーの理由だというが、今や大気中に大量の放射性物質が存在しているわけで、持っていてもいなくてもあまり関係なさそうである。
ウランガラスのホルミシス効果、というものらしい。
プラシーボ効果、ともいえそうだ。
このクリスタルヒーラーは、過去にお世話になった方でもあるので、文句は言いたくない。
ただ、この方の提唱したウランガラスの効果が、さまざまなサイトでコピペされ、過大解釈された上で、放射能対策グッズとして不当な価格で販売されていたため、ご本人にそれをお伝えした。
大変お怒りの様子であった。
私も怒っている。
目に余るサイトに関しては、本文に訂正が加えられていたので、関係者から何らかの注意が行ったのではないかと思われる。
コピペの主は、自称霊能力者ということだった。
このようにヒーラーや能力者を名乗る人が増えているのは、アセンション(来年あたり、人類が選別され、霊的に優れた者だけが残るという)が迫っている影響であろうが、自分だけが助かりたいという点では原発事故と変わらない。
どうか、目を覚ましていただきたい。
起きてしまったことは、どうしようもない。
いてもたってもいられないなら仕方ない。あくまで事故を現実として受け入れた上で、意味のある行動をしていただきたいと思っている。