2011/07/27

ウランガラス


ウランガラス Uranium Glass
Čechy, Czech Republic


 
微量(0.1%ほど)のウランを混ぜて作られたガラス。
ブラックライトなどを用いて紫外線を照射すると、蛍光する性質を持つ。
1800年代初期にボヘミアで開発され、アンティークの工芸品やアクセサリーなどにその姿を見ることができるほか、現在でも僅かに生産されている。

鉱物ではないのだが、ウラン繋がりということで、鉱物収集家の間でも人気がある。
ヴィンテージのウランガラス(ウラングラス)をコレクションに加える人は少なからずいる。
写真のようにビーズという形で流通しているものをアクセにする人もいる。
いわば知る人ぞ知るといった存在であった。
そんなウランガラスが今、にわかに脚光を浴びているという。

2011年3月11日、福島県において発生した深刻な原子力発電所事故。
それに伴い、放射能対策グッズが売れているそうだ。

放射能を防ぐパワーストーンなるものも登場した。
興味深いのは、モリオン(黒水晶)が放射能を防ぐという説。
長い間地中の放射線に晒され、真っ黒になってしまった水晶である。
ウラン鉱脈の近くで採れることも珍しくないのだから、むしろ縁起が悪いような気がする。
そして、ウランガラスが、放射能をもって放射能を制するという説。
人体に影響はないものの、ウランガラスに放射性物質が含まれているのは確かであり、粗悪なものは劣化ウランを用いて作るとかいう噂であるからして、実に奇妙な話である。

気になって調べてみた。
比較的知名度のあるクリスタルヒーラーが、原発事故をきっかけにウランガラスを取り上げた。
微量の放射線が人体に良好であることがそのパワーの理由だというが、今や大気中に大量の放射性物質が存在しているわけで、持っていてもいなくてもあまり関係なさそうである。
ウランガラスのホルミシス効果、というものらしい。
プラシーボ効果、ともいえそうだ。

このクリスタルヒーラーは、過去にお世話になった方でもあるので、文句は言いたくない。
ただ、この方の提唱したウランガラスの効果が、さまざまなサイトでコピペされ、過大解釈された上で、放射能対策グッズとして不当な価格で販売されていたため、ご本人にそれをお伝えした。
大変お怒りの様子であった。
私も怒っている。

目に余るサイトに関しては、本文に訂正が加えられていたので、関係者から何らかの注意が行ったのではないかと思われる。
コピペの主は、自称霊能力者ということだった。
このようにヒーラーや能力者を名乗る人が増えているのは、アセンション(来年あたり、人類が選別され、霊的に優れた者だけが残るという)が迫っている影響であろうが、自分だけが助かりたいという点では原発事故と変わらない。

どうか、目を覚ましていただきたい。
起きてしまったことは、どうしようもない。
いてもたってもいられないなら仕方ない。あくまで事故を現実として受け入れた上で、意味のある行動をしていただきたいと思っている。


ブラックライト下にて


2011/07/26

スーパーセブン


スーパーセブン Super Seven
Espirito de Santo, Brazil



日本最大のスラム街、大阪市N成区路上の違法露店でさえ販売されているくらいだから、鉱物に少しでも興味のある方ならご存知のはず。
ホームレスだって知っている最強のパワーストーン、それがスーパーセブンと呼ばれる水晶である。

水晶、アメジスト、スモーキークォーツに、カコクセナイト、レピドクロサイト、ゲーサイト、ルチルを内包する希少石、スーパーセブン。
セイクリッドセブン、メロディーストーンとも呼ばれている。
1995年、アメリカのクリスタルヒーラーであるメロディ氏により世界に紹介された。

原石はエレスチャル構造を示すものが多いが、写真のスーパーセブンはエッチング(蝕像)がみられる。
ごく最近購入、未研磨で千円程度。
全盛期を過ぎ相場は下降気味であるものの、パワーストーン・ブームの火付け役であり、クリスタルヒーリングを世に広めた革命的存在であることに変わりない。
日本では不当な評価を受けていたインクルージョン(内包物)入り水晶、要はまざりモノに対する価値観を一変させた。
ルチルクォーツが大流行した背景にこの石の存在があったように思えてならない。

日本において、水晶は昔から需要があった。
ただし無色透明でクラックひとつ無い、完璧なものが好まれた。
天然石である以上、長期に渡って保管すれば何らかのダメージを受けて当然なのだが、占い師の持っている水晶玉はいつもあり得ないくらい透明だった。
そんなものが自然界に存在するわけないという事実に、日本人はようやく気づいたのである。

「7つの要素が含まれているからスーパーセブン。7種類すべて入っていなくてもスーパーセブン。ただしブラジルのエスピリトサント産限定。パワーが半端無いから浄化は不要。」

当初は以上のように定義されていた。
本家エスピリトサント産のスーパーセブンが絶産したという話は聞いていない(もう産出はないとみられる。詳細はこちら)。
しかしながらブラジルの他の鉱山をはじめ南インド産マダガスカル産、アフリカ産、中国産など、半ばこじつけではないかとさえ思わせる微妙なスーパーセブンが、続々登場している。
宝石質のジュエリーや研磨品は概ね南インド産、ビーズやブレスレットに関しては中国産が市場を圧倒しているとのこと。
正式には別モノである。


また、現在はヘマタイトが内包されたスーパーセブンも存在するという説が一般的になっている。
当初の定義とは異なること、十分注意したい。
ゲーサイト、ヘマタイト、レピドクロサイトには関連性があり、いずれもアメジストに含まれた鉄分に過ぎない。
これらの3種のインクルージョンを肉眼で区別するのは難しい。

石を浄化するという概念を定着させたのも、浄化不要とされるスーパーセブンの影響だろうか。
昔から浄化の儀はあったのかもしれない。
誰もが熱心に石の浄化に取り組むようになったのは、スーパーセブン以外の石はとにかく浄化が要るんだ!ということになってしまったためである可能性は高い。
販売時に浄化しなければならないほどの邪悪な売り手から、石を買う気が起こらないのは私だけだろうか。

石は石である。
鉱物に対する禁忌事項を守らないと、深刻な事故に繋がるおそれがある。
多くの販売者は、これを「浄化における注意」と言い換えているが、天然の化学物質に変わりはないことを頭に入れておく必要がある。
或いは、浄化すると石が喜ぶとか、パワーアップするとか、或いはメッセージが聴こえるとか、挙句の果てに「アンタが浄化をきちんとしないから石が元気ないじゃない!」などと、他人に注意するのはいかがなものか。
本当に危険な石は、浄化しても毒性は消えず、人体に有害に作用する。
また、ホワイトセージなど強い刺激性のあるハーブは、乳幼児やお年寄り、身体の衰弱している方に深刻な害をもたらすそうだ。
ホワイトセージを焚くさいには、周囲に対する細やかな気配りをお忘れなく。




31×23×19mm 10.58g

2011/07/17

スペクトロライト


スペクトロライト Spectrolite
Ylämaa, Etelä-Karjalan, Finland



スペクトロライト。
七色のスペクタクル。
ラブラドライトの一種で、フィンランドから産出する。
流通そのものが少ないため、その魅力は意外に知られていない。

スペクトロライトの原石は地味である。
ラブラドライトは明るいグリーン系、スペクトロライトは黒に近い色。
その違いだけだと思っていた。

写真は旅立つ当日、早朝の光にて撮影したもの。
受け取った友人は「七色すべての色が出るからスペクトロライトと言うんやな!」と驚いた。
私も驚いた。
確かに、そうだった。

ただ、こうして七色の色彩が大胆にあらわれるものは稀だという。
一般的にみられるのは、ブルーやグリーンの色合い。
こちらはヴィオラと呼ばれる、パープル~ピンクの色合いが出ているタイプ。
たくさんの原石から選び抜いたものを磨き、ようやく得られる希少品だと聞いている。

フィンランドは初めて行った海外。
3月だったので、首都ヘルシンキも雪だらけ。
予想外に地味な国だったが、その内容は実に深かった。
飛行機の窓からオーロラを見た。
ラブラドライトが夏の夜空なら、スペクトロライトは静寂につつまれた冬の夜空。
遠い春を待ち望む北国を想起させる、そんな石だと思う。


45×35×6mm 14.37g


2011/07/13

プロフェシーストーン


プロフェシーストーン
Prophecy Stone
Libyan Desert, Egypt



そろそろ本気を出そう。
今日はレアストーンハンター・うさこふが、あなたを珍石の世界へご案内。
まさかコレ?はい、これです。
先日、実家の倉庫にて発見した。
ヤベェこれ貴重品だ!と驚いて持ってきたものの、なにしろ2、3年経っているものだから、過去の資料を見てようやく思い出した。

プロフェシーストーン。
イメージとしては、小粒の隕石みたいなもの。
2年前にキャンセル扱いになって、そのままになっていた。
先ほどネットで検索してみた。
販売については一件しかひっかからなかった。
むしろまだあったことが驚きで、私の中では封印された秘密の宝物のような存在であった。
かつて私自身が書いた、商品解説を転載させていただこうと思う。


リビア砂漠から産出する謎の石、プロフェシーストーン。
リビアングラスが採取される場所から発見されたそうです。
外観は隕石に似ていますが、隕石ではありません。
10億年以上前に形成された、マーカサイトなどを含む鉱物とされていますが、その正体についてはまだはっきりわかっていません。
プロフェシーとは予言という意味で、この石を最初に発見した人物が、予言的なヴィジョンを体験したため、名付けられたといいます。

その名の通り、未来のヴィジョンを媒介する、つまり予知能力が身につくとされる石です。
ただし、その能力を十分に発揮するためには、定期的に瞑想し、そのメッセージを理解しようとする努力を惜しまないことが必要なのだそうです。
一方で、グラウディングに優れた力を発揮し、全身が光のエネルギーで満たされ、ゆるぎない自分自身を見出す助けになってくれるとのこと。
多くの能力者がこの石のパワーを高く評価しています。

なんと鑑定書付きです。シリアルナンバーも入ってます。
見た瞬間に仰向けに倒れそうになりました。不思議な石だと思います。(以上、うさこふ記)

シリアルナンバーかよ!
はい、ありました、今思い出しました。

手に入れるのはわりと難しく、卸元との直接交渉だったように記憶している。
予想していたより手ごたえはなく、外観の地味さと内容の素晴らしさが一致しない石として、私の脳内にあるレアストーン・リストに残っていた。
ニューエイジストーン(ガチ)なので、苦手な方もおられるかもしれない。
ただ珍しいからという理由だけでこれを直輸入した普通の人は、私くらいだったんじゃないかと思う。
一見するとただの鉄コロ、中には間違えて捨ててしまった方もおられるかも。

気に入って瞑想に使っていた。
また使ってみようかな。


付属の証明書(サイン入り!)


※鑑定書とみられる写真が出てきたので、追加しておきます。鑑定書というよりは証明書。公的なものではないと思われます。(10/21追記)


17×14×11mm 5.5g

2011/07/09

ウッドオパール


ウッド・オパール
Opalized Wood
Lightning Ridge, Finch Co., New South Wales, Australia



木の化石がオパールになったもの。
写真では判りづらいが、一見すると木片。
オパール化した部分を拡大して撮影した。
1cmのオパールができるのに約500万年かかるとされている。
この木片がかつて木であったとき、もしかしたら、恐竜が空を飛んでいたかもしれない。

オパールのほとんどは粘土から形成される。
化石がオパール化したものは貴重であり、概ね高額で取引される。
植物だけでなく貝や虫、動物や鳥の骨、或いは鉱物など、その種類はさまざま。
中には、恐竜の骨がオパール化したとされる標本も存在するが、一般人がそう簡単に手に出来るものではない。

ライトニング・リッヂは世界でも有名なオパールの産地。
ブラックオパールの産地としても知られている。
その希少価値が年々上昇しているのはご存知かと思う。
オパールの魅力に夢中になった人々が、世界中からこの地へ訪れるという。

ブラックオパールになった化石も存在する。
もしあなたが人生に絶望したときは、ひとまずそれを探してみてほしい。
それでも死の誘惑から逃れることができなかったなら、私にプレゼントするといいかもしれない。
他人を幸せにしてからでも、遅くないと思うぞ。


23x16x11mm

2011/07/07

シャーマナイト


シャーマナイト Shamanite
Mineral County, Colorado, USA



ヒーリングストーンの世界は奥が深い。
2006年頃、アメリカから日本に紹介された、シャーマナイトというヒーリングストーンをご存知だろうか。
見た目から判断してはいけない。
これは、単なる岩ではない。
鉱物としては、ブラック・カルサイトに分類されるそうだ。
4億年前に形成され、当時の生物の化石が含まれているというから、まさに神秘そのもの。

古くから北米ネイティブアメリカンのお守りや魔よけとして珍重されてきたという。
現在では、ビーズが主流になっているようで、真偽のほどを見分けるのは困難、可能であれば原石を手に入れていただきたい。

シャーマンの名の通り、そのスピリチュアル・パワーは計り知れないとされておる!
カルマをリセットし、ネガディヴなパワーをポジティヴなパワーへ導くとともに、その変化に伴う不安を軽減し、持ち主が道を踏み外さないよう導いてくれるといわれている。
ただし、生半可な気持ちで手を出すと、ニセモノをつかむらしい。

当初は非常に高価な石だった。
ミネラルショーにおいて、アメリカのシャーマナイト専門業者がその素晴らしさを紹介していたのは記憶に新しい。
ハンドコピーのパンフレットまで付いてきた。
ただし、人気は長くは続かない。
こちらは数年後、その業者がショーで大放出していたもの。

誤解しないでいただきたい。
私はシャーマナイトが気になって仕方が無いのである。
シュンガイトにも似た底知れない魅力を持つ石だと思っている。
あまりに大切にしすぎて、バッグの中に入れっぱなしにしていただめ、常に荷物が重いことに悩まされていたほどだ。

カルサイトは硬度3、非常に脆い鉱物なのはご存知の通り。
カバンに入れっぱなしだったにも関わらず、傷一つついていないのは、何らかのコーティングがなされているのだろうが、そんなの関係ねえ。
当該のネイディヴアメリカンの部族名と、産地が公開されない?そんなの関係ねえ。

常に目の届くところに置いて、大切にしている。
そればかりか、唯一つけているブレスもシャーマナイトとレムリアンシードだったりするので、決して悪く思わないでいただきたい。


57×38×30mm  82.13g

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?