2011/09/12

レコードキーパー


レコードキーパー Record Keeper
Ganesh Himal, Himalayan Mts, Dhading, Nepal



レコードキーパー。
鉱物名ではなく、水晶の特徴を示す用語である。
水晶の先端に浮き出ている(もしくは刻まれている)、△のかたちをした刻印のようなものがそう。
このレコードキーパーに触れ、瞑想すると、古代文明の記憶に導かれ、しかるべきメッセージを得られるという。
また、自らの内面の探求を促し、魂のブロックを取り除き、生まれてきた意味を見出す助けとなって、持つひとのあらゆる可能性を引き出すとされる。
ニューエイジ系のショップでは特別な水晶として扱われ、お値段もかなりのもの。

売り手からすると、非常にやっかいな石。
特にネットショップさんからは愚痴を聞かれることが多い。
私自身かなり難しいと感じた。
売れないのである。
写真でレコードキーパーの魅力を伝えるのは大変なのだ。
なんせこのレコードキーパー、単にカメラを構えただけでは写らない。
うっすらと浮かび上がる模様を忠実に再現するなど、テクニックもカネもない凡人には無理というもの。
画像のピンボケぶりから、なんとなく感じていただけたら有り難い。
レコードキーパー満載の蝕像水晶(注1)である。
トップから柱面、裏側に至るまで、△マークがこれまでかといわんばかりに出ているのだが、写らない。
他の方の健闘ぶりをご覧頂きたいと思う。

お見事 
http://www.ishi-imi.com/vari/record.htm
http://www.occn.zaq.ne.jp/crystal/crystal-garden/gazou/recordkeeper.jpg

苦労してるぞ
http://elders.exblog.jp/13809836/

レコードキーパーといえるか微妙(参考)
http://bodhitree.blog87.fc2.com/blog-entry-402.html
http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/46/0000249946/98/imgde370dcazik0zj.jpeg


レコードキーパーは、実際にショップに赴いて、水晶の山の中から見つけ出すことにしている。
もちろん、パワフルなレコードキーパーをご所望なら、専門店をお勧めする。
私は敢えて鉱物標本店を狙う。
レコードキーパーに付加価値をつけないからだ。
また、レコードキーパー出現率の極めて高い蝕像水晶(注1)は、標本業界ではジャンク品とみなされる。
六角柱に結晶した透明感のある水晶に価値が置かれるため、運がよければ格安で入手できる。
写真のレコードキーパーは、ガネッシュヒマール産の蝕像水晶で、150円(税込)。
むしろ売られていたこと自体が奇跡で、通常は店頭にすら並ばない。
誰もが知っているH鉱物店の方にうっかり見られてしまい、「あー?そういうのって、好みですよね!」とコメントされた、恥ずかしい過去さえある。

ジャンクとはいえ、風水系のショップで絶大な人気を誇るヒマラヤ水晶の代表格、ガネッシュヒマールである。
セルフヒールド(注2)が著しく、ノンダメージ。
人工的に切断された形跡がなければ問題なし。
結晶の至るところにレコードキーパーがバキバキと刻まれ、浮き出ているという珍品。
気に入って窓辺に飾っていたところ、エアコンの工事に来たオッサンが蹴り落とし、ガネッシュヒマールは床に転落した。
ものすごいダメージを食らったが、150円なので仕方ないと笑える。
これがもし15,000円だったら、オッサンごと窓辺から蹴り落とす。

すぐにレコードキーパーが欲しければ、蝕像水晶をあたるのがてっとり早い。
だがネットで買うとなると、価値をわかっている所では高値がつくし、価値を与えない所では商品画像からは確認できない。
独特の構造、不思議な刻印、あり得ない形状。
まだ見たことがないという方がおられたら、店頭で選ばれることをおすすめする。
もう持っているという方は、鉱物標本店に突撃し、お宝探しに励んでいただきたい。
レコードキーパーといえばトライゴーニック
興味のある方はこちらも是非に。



注1)なんらかの物質(熱水やフッ化水素、酸など)の侵食を受け、溶けたようにみえる水晶。エッチングクォーツとも呼ばれる。表面に模様がみられる程度のもの、結晶の形が完全に崩れてしまったものまでさまざま。代表的なものとしては、世界的評価を受けたインドのアイスクリスタル。ブラジルのコリントクォーツ、サラードクォーツなども、女性を中心に人気がある。

注2)水晶がその成長過程で折れるなどして破損することがある。その破損箇所から、新たに別の水晶が成長した結果、ダメージのない水晶が得られる。こうした現象をセルフヒールド(自己修復)と呼ぶ。水晶の自己修復の過程を、人の運命になぞらえ、希望や復活の象徴として扱うもの。代表的な例として、両錐水晶(ダブルターミネイテッドクォーツ/DT)がある。


43×28×20mm  35.9g

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