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2012/06/28

スモーキーアメジスト(ハレルヤクォーツ)


スモーキーアメジスト
Morion, Smoky Amethyst
Royal Scepter Mine, Hallelujah Junction, Washoe Co., Nevada, USA



スモーキークォーツ、アメジスト、シトリン、クリアクォーツ、そしてモリオン。
5つの色合いが混在した豪華な標本。
エレスチャル、もしくはジャカレーなどと呼ばれる複雑で変化に富む結晶構造を示し、かつ圧倒的な透明感を誇る。
切断面のほとんどみられない完全な結晶体で、結晶の至るところに水晶のさまざまな形態が観察できる。
300g近い本体の至るところにちりばめられた結晶の数々。
いくら眺めていても興味は尽きること無いが、重い。
このような歴史的コレクションがさかんに取引されるのも、歴代の鉱物ハンターを英雄に位置づけるアメリカならでは。

ロイヤル・セプター鉱山は、その名の通り、見事なセプタークォーツ(松茸水晶)を数多く産出する。
スモーキーの色合いが多いようだが、写真の標本から想像できるように、なんでもあり。
クリアクォーツやシトリン、アメジストファントム、スモーキーアメジストやアメトリン、さらにはモリオンまで。
形状も変わっていて、ダブルポイント(DT)、セプター、リバースセプター、セプター二段重ね、三段重ね(呼び名が不明)、いっぱいセプターダブルポイント(もはやエレスチャルの類い)といったユニークな標本が続々登場する。
鉱山のあるハレルヤジャンクションに因み、ハレルヤジャンクションクォーツ、ハレルヤクォーツとも呼ばれている。
この標本も例に漏れず、かつてセプタークォーツだったとみられる結晶が連なるように成長した痕跡がある。
水晶の持つあらゆる色を有する、往年のハレルヤクォーツの魅力を凝縮したかのような珍品である。

豊富な資源を有し、ハンターたちの憩いの地ともなっているネバダ州。
アメリカでは特に人気の高いターコイズ鉱山、鉱物標本としても評価の高いウラン鉱山などが有名。
この標本の産地ロイヤル・セプター鉱山もまた、ハンターたちの目指すネバダの宝の山の一つ。
現在も入ることはできるが良質な水晶の産出は減り、環境保護を訴える声も上がっているようだ。

これまでいくつか見たことはあったが、ここまで衝撃的な標本は初めて。
採取が丁寧で保存状態も良かったのだろう。
ハレルヤクォーツの魅力を語るにはこれひとつで十分かもしれない。
水晶は硬いがクラックが入りやすく、大きくなるほど透明感は失われていくものだが、この標本は向こう側が見えてしまう。
優しい色合いが印象に残るいっぽう、平凡な日本の家庭には優しくない大きさでもある。

記憶にある限り、ハレルヤクォーツはもっぱらヒーリングストーンとして紹介され、鉱物標本としての魅力に言及されることはなかった。
あったのかもしれないが、ハレルヤ産に凝っている人にはまだ出会ったことが無い。
ヒーリングストーンは名称優位なところがあって、質は特に問わない。
当然ながら、アメリカ産出の良品のほとんどは、アメリカ人収集家が所有している。
日本に流れてくることは滅多に無いから、希少価値も上がっていく。
ハレルヤクォーツが何なのかと悩んでおられた方には、単なる地名であることをお伝えしておきたい。




なお、ニューメキシコ州にもロイヤル・セプターの名を持つ同名の鉱山が存在する。
そのため、ニューメキシコ産の水晶が、一部でハレルヤクォーツとして混同されている様子である。
ヒーリングストーンの場合、外観の似ていることがその名称の基準となったりもするので、ニューメキシコ産ハレルヤクォーツが必ずしも偽物というわけではない。
「ハレルヤ」はキリスト教における念仏のようなもので、聖書や賛美歌などにしばしば登場する聖なる言葉である。
その神秘的な地名がクリスタルヒーラーたちの支持を得て広まったものと信じたい。

イットリウムフローライトでも取り上げたが、産地が曖昧にされてしまうことが、ヒーリングストーンに対する評価や信頼の低下を招き、誤解を受ける原因ともなっている。
数々のハンターたちが活躍したアメリカの歴史から、鉱物の正体を探ってみるのもまた楽しい。




88×63×40mm  294.5g

2012/05/30

モリオン/スモーキークォーツ(ポーランド産黒水晶)


モリオン/スモーキークォーツ
Morion/Smoky Quartz
Strzegom, Dolnośląskie, Poland



珍しいものを見かけた。
ポーランド産モリオン。
なんだろう、こんなの聞いたことが無い。
そう思って問い合わせてみたところ、在庫を見せていただけるというお話になった。
産地はデータベースにも掲載されている、ポーランドの有名なペグマタイト。
歴史に残る鉱物を数多く産したが、採り尽くされてしまったようだ。
現在は古いコレクションが、ヨーロッパの愛好家たちの間でささやかに取引されているという。

私の対応に不備があり、話が消えそうになりながらも、なんとか日本まで送っていただけることに。
被災地から戻って間もなく、ポーランドの黒い水晶と対面することになった。
ひとつひとつ、チェックする。
個性豊かな黒水晶が次々に現れる。
クローライトのまりも状インクルージョンが入ったモリオン(!)まで出てきた(そのことに気づかれた、お世話になっている社長にプレゼント)。
漆黒のモリオンから透明に近いスモーキークォーツまで、色合いの幅は広い。
資料にあるとおり、モリオンの上にさらにスモーキークォーツが成長している標本が最も多い。
そのため結晶表面に光沢があり、優美な印象を受ける。
気になるのは、エピドートと共生している確率が極めて高いということ。
結晶内部から表面に至るまで、もじゃもじゃのエピドートで埋め尽くされている(本文下、左の石)。
ダークスモーキークォーツに幽かに浮かぶ風景。
モリオンの場合は中が見えないから、はみ出したものを見て思いを馳せるしかない。
なんて贅沢な悩みであろう。

被災地への旅の前日、私は大阪ミネラルショーに来ていた。
いつもながら師匠とともに。
彼はいつも気の利いたプレゼントを用意してくださる趣味人にして、あらゆる分野における大先輩。
その日プレゼントしてくださったのは、切手だった。
祖父(石の収集家でないほう)が切手の収集家だったこともあり懐かしかった。

大好きなうさぎの切手に混じって、鉱物の切手が数枚ある。
その中に、明らかに見覚えのある水晶の切手があった。


旧東ドイツ(DDR)発行の切手。左はエピドートがはみ出している?

茶色の水晶からはみ出した黄緑色の何か。
これって、ポーランドのモリオンにそっくりじゃないか。
実際に届けられた標本を見て、確信した。
社長にお話を伺った。
水晶とエピドートの共生は、特に珍しいことではないそうだ。
同じものとは限らないとのご意見であった。

確かにそうだ。
しかし、わざわざ切手にするからには、それなりの歴史的評価と産出量があったはず。
切手にはその国の誇りや美意識、歴史が刻まれている。
モリオンは真っ黒な単結晶、或いは長石と共生したものが好まれる。
よりによって、もじゃもじゃしている標本を切手にするというのは、奇妙である。
何を記念して発行された切手なのだろう。
譲ってくださった方もわからないとのこと。
古い切手だから当然だろう(書いてある文字についてもコメントはなかった)。
ドイツでは鉱物収集が盛んだから、ヨーロッパ各地から出ているモリオンを取り上げたものなのかもしれない。
ヨーロッパにおいては、イタリアやルーマニアから発見されるモリオンが有名で、現在も多くの流通がある。
いずれも外観は異なっている。
大さといい、態度といい、もじゃもじゃといい、この絵柄はまるでポーランドのそれ。

旧東ドイツから歴史的なモリオンが産したという話は聞いている。
この水晶の産地に同じである。
つまり現地は戦前、東ドイツ領だった。

写真は私が一番気に入っている標本。
半分は完全に黒、上部はダークスモーキーとなっており、太陽光の下で内部の様子を観察することができる。
両端が結晶し、この地に原産の鉱物Strzegomiteが内包されているという。
インクルージョンの実に多彩なこと。
真っ黒で中身など見えないはずなのに、親切にはみだしているというのも、興味深い。
モリオンの一面にびっしり付着したエピドートは、ふさふさと生い茂った芝生のよう。
付着物といえばフィンランド産モリオンだが、ここまで派手ではない。
こんなものが世界各地から産出しているのか。
なにより不思議なのは、友人がなぜこのタイミングで切手をプレゼントしてくださったか、ということ。
私の趣味はだいたいご存知だ。
黒水晶にはさほど興味のないことだって、知っている。
ただ、私が子供時代、切手に興味があったことは伝えていなかった。
数枚あった鉱物の切手のうち3枚に、モリオンの絵柄が入っている。
偶然にしては出来すぎている。
ご協力いただいたすべての方に感謝し、美しい黒水晶を生んだ遠き彼の地に思いを馳せる。




いくつかストックがございますので、興味のあるかたはお問い合わせください(詳細ページ)。夕日で撮影したので、エピドートが黄色っぽく写っている点、お許しを。


60×33×30mm  78.04g

2012/04/23

ダークスモーキー/エッチングクォーツ(アルプス)


ダークスモーキークォーツ/蝕像水晶
Dark Smoky Quartz
Bristenstock Mountain 3450m, Uri, Switzerland



鉱物に詳しい方なら、なぜ?と思われるかもしれない。
一般人は持つことの許されない、水晶の頂点。
それが、スイス・アルプス山脈から産する水晶である。
フランス側から出たものは比較的流通があるが、いずれもジャンクに近いものがいい値段で販売されている。
アルプスといわれただけで購入してしまうのが日本人。
そう思われても仕方ない。

外観は、モリオンのよう。
しかし、内部は極めてクリア、内包物は見られない。
太陽の下ではこれでもかといわんばかりに輝く。
私でも知っている、あるコレクターの所蔵品で、世界的に有名な鉱物店で販売されていたものを、運よく入手した。
どこから見ても、美しく、言葉にできない。
アイスクリスタルを思わせる変形ぶりや侵食の跡、平らな面(C面でいいのだろうか)などに、アルプス水晶ならではの透明感が加わった、美意識満載の豪華標本。

驚きのあまり夢中で写真を撮ったため、2回ほど床に落した。
若干欠けてしまったが、意外に頑丈であった。
オールドコレクションを破損してしまったショックは大きい。
現地からは他にもこうしたエッチングクォーツのほか、見事なポイントやクラスター、フローター/ファーデンクォーツなども出ている。
ただし、いずれも高度は異なるとみられる。
色合いは無色透明、内包物でグリーンになったものなどさまざまで、黒に近いスモーキークォーツが他にあるかどうか、この標本がどういった状況下で発見されたかについては謎である。
また、この地に由来する水晶は歴史的コレクションばかり。
半世紀以上前に得られたものも少なくない。
今世紀に入ってから産出があったかどうかについてはわからない。

見た限りでは、この産地の水晶は数が限られ、趣味人が資産を投じて購入するものであり、一般人は手出し無用。
大自然と闘うミネラルハンターの、まさかの根性を垣間見ることが出来る歴史的珍品たち。
価格はとんでもないことになっている。
欧州のコレクターは層が厚く、気合いからして違うため、流動層の多い日本に良品が流れてくることは少ない。

なぜこんなものを私が入手できたか。
それは、日本円にして500円にも満たない処分価格で、大放出されていたからである。
本当に、謎である。
撮影者の腕前がまずかったとしか、解釈のしようが無い。
まるでベツモノであるから、検索してそれとわかった方がおられたら、自信を持っていただきたい。

先人への感謝を込め、私が2回も落下させてしまったこの美しい標本の写真をもって、しめくくりたいと思う。
商品画像は相当まずかった。
だが、ウリマウンテンの名に負け、決断した。

ウリウリウリ!
予想を遥かに超えた美しさに、驚いてコケた。
感動をありがとう。






色合いは右下の写真が最も近いです。あとはすべて直射日光にあてて撮影しています。モリオンという言い方は適切ではありませんが、ケアンゴームとはいえると思います。カテゴリではスモーキークォーツとしました。


48×34×30mm  37.15g

2012/04/08

スモーキーローズ


スモーキーローズ
Rose Quartz
Pitorra Mine, Galiléia, Minas Gerais, Brazil



ローズクォーツが結晶することは滅多にない。
前ここで見たんすけど…という方にはもれなくプレゼントを差し上げたい。
ローズクォーツはまだ2回目。
単に私が珍しいモノ好きだから、ローズクォーツには出来る限り結晶していてほしいのである。
結晶化ローズクォーツが、以前よりも身近な存在になったのは確か。
ただ結晶しているだけでは売れなくなった。
出始めのころは、結晶というだけで高値が付いたものだが、買い手も賢くなり、ローズクォーツは案外結晶する、ということを知っている。

写真はちょうど一年前、春のミネラルショーで3,0xx円で売られていたもの。
桜の季節、今年も春のミネラルショーがやってくる。
ふと、思い出した。
エレスチャル成長した色濃いローズクォーツ。
その結晶に溶け込むかのような、淡いスモーキークォーツの色合い。
かねてからその存在は知っていたが、実際に遭遇するとは思っておらす、驚いたのを覚えている。
まず見所はというと、大きい。
ローズクォーツの結晶としては、相当の大きさがある。
また、エレスチャルと呼ばれる、非常に複雑な構造をしている。
ブラジルから産する結晶化ローズクォーツはポイント状にはならず、概ねエレスチャルクォーツになるという見方もできるのだけれど、これほど明快にエレスチャル成長したローズクォーツというのは興味深い。
かつ、この透明感。
これだけで十分価値はある。
これだけ?

そう、つまるところ、スモーキー部分はオマケになる。
ラベルには「Rose Quartz(ローズクォーツ)」とだけあるから、ラベリングした人も同じことを考えたに違いない。
これを手に取ったときにはわからなかった。
二つの色合いに価値があると思い込んでいた。
モリオンと共生した、あの気高いアフガンローズを見るまでは。

去年の春のミネラルショーでは、他にも似た面持ちの標本を幾つか見かけた。
かなりの流出があったのかと思いきや、あれ以降みかけない。
数そのものは、多くはなかったのだろう。
連れに止められたのをふりきって、(何周かしたあと)買っておいてよかった。

人生は甘くない。
後になって気づいたときには後悔ばかり。
石だけは例外なのかもしれない。
本当の意味に気づいたとき、いかに救われたことかと、心底思い知らされることがある。
ギャンブルの類いはいっさいダメ。
なのに石に限っては、たびたびある。
川石の収集家だった祖父が自分を守ってくれている。
人生をふりかえったとき、そう思うことが、たびたび、ある。

私を育ててくれた祖父。
あれからもう二十年になる。
前日まで元気だった。
立ち寄った叔母一家と曾孫を外まで見送り、さよなら、と手を振ったのが最後だったそうだ。
来客を見送るような人ではなかったから(さすがじいちゃん!)、叔母はこれはおかしいと直感したという。

つかみどころのない不思議な人だった。
常に酒を呑んでいた。
時々、ライカや植物、石の台座をいじっていた。
私が何よりも怖がる「指が取れる技」を繰り出し、キセルの煙で輪っかをつくってみせ、にやにやしている。
祖父と一言も話さなかったのが、今でも不思議でならない。
石を集め始めて間もない頃、渋いからという理由だけで購入した、ドイツのデンドライトが供えっぱなしになっているのを思い出した。
夜があけたら、拝みにいこう。




48×29×17mm  26.08g

2012/02/07

小川山の水晶


スモーキークォーツ Smoky Quartz
長野県南佐久郡川上村 小川山



豊かな自然に恵まれた日本アルプスには、有名な水晶の産地が数多く存在する。
長野県と山梨県の境界に位置する、標高2418mの小川山。
その地味すぎるネーミングから想像できるように、登山家には殆ど知られていない。
いっぽうで国内有数の水晶の産地として知られ、ミネラルハンターにとっては憧れの地でもある。
そんな小川山より採取されたという、優美なたたずまいのスモーキークォーツ。

吸い込まれるかのような透明感、柱面のほとんどみられない独特の結晶構造、そして噴きつけたかのようなイエローのコーティング。
この色合いは、結晶表面を薄く覆う鉄分に因るもの。
水晶がゴールドに輝くさまに特別な力があるとして、クリスタルヒーリングを愛する人々の間で「ゴールデンヒーラー」と呼ばれ神聖視されている。
元々はアメリカ・アーカンソー産の水晶を指して使われたものと記憶している。
国内からは、他にもゴールデンヒーラーの認められる水晶が得られたようだが、それらの多くは現在、貴重品となっている。
利欲にとらわれることなく、先人への敬意を以って賜るべきものと心得よ。

トップのみ発達した水晶は、アメリカから産出するスモーキーアメジストなどによく見られるが、この色合いは意外に見かけない。
小川山からは、他にも素晴らしい各種鉱物が発見されるらしい。
それが何なのかは、勇敢なミネラルハンターのみぞ知る。
日本には、美しい水晶を拝める秘境がある。
小春日和の太陽の下で、くつろぎながら味わいたい一品。


26×22×20mm  12.35g

2012/01/26

エレスチャル(オレンジリバー)


エレスチャルクォーツ
Elestial/Skeletal Quartz
Orange River, Northern Cape, South Africa



長い時間をかけて成長したために、内部から表面に至るまで、複雑な構造を示す水晶。
エレスチャルクォーツ、スケルタルクォーツなどと呼ばれている。
幾層もの結晶が折り重なり、光を反射して輝く。
標本の一部が白くみえるのは、粘土鉱物を取り込んだ状態で結晶しているため。
まるで迷路をのぞきこむかのような気分である。

世界の至る所から、個性豊かなエレスチャルクォーツが見つかっている。
形状や色合いから、おおよその産地は推測できる。
有名なのはブラジル産だろう。
さまざまなエレスチャルが産出しており、中にはゴツゴツとした形状のジャカレーや、ヒーリングストーンとして名高いスーパーセブンなども。
他に無色透明のメキシコ産、セプター寄りの形状と内包物のみられるマダガスカル産、濃厚なスモーキーアメジストが味わえるナミビア・ブランドバーグ産、通好みのアルプス産、鮮やかなアメジスト・カラーが神秘的なインド産、近年流通し始めたパキスタン産など。
ニューヨークのハーキマーダイヤモンド及びハーキマータイプ水晶、オーストラリアのモララクォーツなどもこれに分類されていることがある。
どこまでがエレスチャルかを定義するのは難しい。
現在はランダムな結晶構造を持つ水晶を総じてエレスチャル、もしくはエレスチャル風と表現している。

こちらは南アフリカとナミビアの境界を流れるオレンジリバー流域から届けられたエレスチャル。
パキスタン産に似ているが、より大きく、より豪快。
繊細なガラスに喩えられることの多い水晶。
このエレスチャルはガラスどころではなく、プラスティックのように頑丈かつ半端ない透明感を漂わせておる。
濃厚なスモーキーのふちどりもまた、この水晶の個性を引き立てている。

アフリカまで行って採ってきたという、国籍不明のオッサン(どことなくカナダ風のハンター風?)から、数年前にいくつか購入した。
オッサンは確かコレしか売っていなかった。
後にも先にも同じようなエレスチャルには出会っていない。
写真ではポイントのように見えるのだけれど、途中でグネっと曲がっていて、先端も水晶とは言い難い不思議な姿をしている。

何億年もかけて結晶し、太古の叡智を宿すとされるエレスチャルクォーツ。
天使の祝福を受けたヒーリングストーンとして話題になり、いっときは誰もが買い求めた人気商品だった。
しかし、徐々に質は落ち、白濁した内部さえ見えない粗悪な原石が蔓延する。
エレスチャルということばが一人歩きを始める。
人気は蝕像水晶に移行していく。
パキスタン・ワジリスタン産の登場で、再び注目を集めつつあるエレスチャル。
比較的大きさがあり、透明感にあふれ、内包物によって時にゴールドに輝き、かつこれまでにない激安特価を叩きだした恐るべき救世主である。

正月に実家で見つけた、思い出の一品。
焼き魚のような香ばしさ。
世界に一つだけの、個性豊かな世界を楽しみたい。




75×37×35mm  77.95g

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?