2012/12/13

モンモリロナイト


モンモリロン石
Montmorillonite
長崎県平戸市古江



国産鉱物を最後にご紹介してから半年が経ってしまった。
早速、先日の池袋ショーで入手した珍石を発表していきたい。
その名もモンモリロン石(モンモリロナイト/モンモリ石)。
変わった名前の鉱物についてはアリゾナのネコ石、カリフォルニアのチンカルコナイト(及びチンワルド雲母)などをご紹介してきた。
今回は日本式双晶が産することで知られる長崎県からやってきたモンモリロン石である。

以前アプリコットルチルに登場していただいた、老舗の鉱物店にて発見した。
同じ500円だった福島県石川町のサマルスキー石と悩んだ挙句、諦めようとした瞬間に、地震が起きた。
会場は大騒ぎになった。

「石にあたって死ねるなら本望よ!」

という姉貴の一声に、店内の人々はひとつになった。
そうして(どうして?)このモンモリロン石が我が家にやってくることになったのである。

モンモリロン石は、地味ながらも日本を代表する鉱物のひとつであり、古くから工業用、産業用、また医療用に活躍してきた。
洗剤や化粧品、健康素材、陶磁器の原料と、私たちの日常生活に欠かせない存在でもある。
どこからモンモリロンでどこまでがモンモリロンかということだが、ピンクの部分がそれにあたるようだ。
硬度は1-2とのこと、粘土鉱物のため意外に丈夫である。

調べてみるとこのモンモリロン石、今まさに注目の鉱物のようである。
美容と健康を促進する新素材として人気上昇中とみられる。
クレイ洗顔やクレイパックなどに入っているベントナイトは、モンモリロナイトと関連性があるらしい。
ベントナイトについては、聞いたことのある方も多いのでは。
実は私も持っている。
そう、一見すると謎の鉱物・モンモリロンは、意外すぎるくらい身近な鉱物だったのである。

折角の機会なので、変わった名前の石について考察してみよう。
変わった名前の石が最も多く発見されているのはカナダ。
ゴーマン石、ゴヤス石、ヨフォーティァー石など、インパクトにおいては世界一といえよう。
他にウクライナのサンタバーバラ石、ロシアのザリャー石、サウスダコタのパハサパ石やカリフォルニアのマイアーホッファー石も熱い。
そして国産鉱物。
有名な杉石、人形石、逸見石のほか、轟石(トドロカイト)、欽一石(キンイチライト)、園石(ソノライト)、大阪石(オオサカアイト)、千葉石(チバイト)、弗素木下雲母(フローキノシタライト)、ネオジム弘三石(コーゾアイト)、ウチュクチャクア鉱(ウチュクチャクアイト)、斜プチロル沸石(クリノプチロライト)、ワイラケ沸石(ワイラケアイト)など思わず購入してしまいたくなる珍石が国内から産出している。

さらに、隠れた珍石に、俊男石(トスダイト)がある。
なんと、写真のモンモリロン石とクローライトの混合鉱物になるという。
独立種とは認められていないが、国内から比較的産出がある。
日本の鉱物学者、須藤俊男博士に因んで命名されたといい、トス石の別名もあるという。
ツッコミどころが満載である。
俊男がどうしてトスダイトになるのかというあたりが最大の謎といえそうだ。
この標本もピンク以外の部分があるから、もしかすると俊男(トスオ)の疑いあり?


65×48×8mm  19.61g

2012/12/12

Why does people want it suddenly?

He told me not to see People's Dark Side, but I done.



Hello, I am very glad to receive your message.
My hope I wish to tell you could have reached to you just same as mine, which might have crossed the border.
It is my pleasure if it could be by my poor English, but not by my heart.

Please excuse me to my delay reply.
Now I am in Tokyo to join the Tokyo mineral show as a seller.
It was finished yesterday and I am writing for you in the guesthouse.
I'm not a seller, but some dealers who read my blog had called me.
I had been too busy to check any mails at all.

In fact, Imori's Victoria Stone had not been given the valuation in Japan.
Everybody forgot that awesome jewelry.
I guess that's why most of them brought out to outside Japan.
I had known it for about 5 years, but almost Japanese didn't know it about this time last year.
It was so expensive for me.
I was longing for and never forgot it, and finally I could get it last year with your help.

Once, you told me about A's amazing bulk offer...was it one month ago?
In the Mineral Show, she came to me and gave her business card.
She said she grew fond of Victoria Stone recently - her great discovery.
After she got them for selling, she knew my Victoria Stone's blog article by her friends.
Why me, Why now?
I could not say her anything.
She said me it's nothing but business.

But her Vicrotia Stone is not sold out...because another seller had many stocks of Victoria Stone for best price.
That's an old man Mr.B who has been worked long time for Jewelry.
I found his booth in Tokyo Mineral Show through my friend.
Surprisely, he had Dr.Imori's originally ones.
I will write about another story of Victoria Stone.

There was only one who loved Victoria Stone in Japan.
He was gone 10 years ago.
Mr. B has taken over his stock, but it remained because Japanese doesn't like man-made Jewelry.
But this year, many customers visited B's shop and bought it.
When B was confused, his daughter told him about my blog.
In Japan, there was no articles on the web mentioned about Victoria Stone, without mine.
His daughter made brochure printing for her father, by referring to my blog article.

At first I visited his booth, he didn't greet me but said he knew about Usakoff - after I showed my staff pass.
I do not want to sell Victoria Stone but I purchased it for my blog readers.
B had been selling Victoria Stone for 10yen/1g.
I told him it would be so cheap.
It must be sold out soon...all wrong sellers coming soon!
I heard a rumor in this show, there would be two Japanese sellers who have Victoria Stone stock.
One was A and another was unknown - I thought as Chinese faker - but B was genuine seller who has no web shop.

On last day of the show, I visited B again.
He was selling Victoria Stone 100yen/1g, also for me...he has changed.
His wife showed me the copies mentioned about Victoria Stone.
It was different from her daughter's and I understood its meaning.
She said me "go out. you're outsider".

But Mr. B stopped her, and said me;
"you can take them as you want, I can share with you just for $50.00."
I selected 3 pieces and I could not hope for many because it's sure it was Imori's wish.

Before leaving his booth, he handed me a synthetic Emerald.
How amazing gift! - it was also Imori's work.
No one knows about it, only him.
It was specially awesome gift for me; however, it's sure it also disappeared from the Historical Records of Japan.

After I will take a picture of it to send you.
I think Dr. Imori had loved green color of Nephrite in memories of his son.
I found out him father's love again, also daughter's.

Once in the past - Victoria Stone had faded away in Japan.
Why does people come to want it suddenly?
It might be the warning from Imori in my dream "Hatsuyume".
I guess he appeared in my dream and told me not to see People's Dark Side, but I done.


2012/12/07

インファナイト


インファナイト
Infinite Stone
Northern Province, South Africa



独特の優しい模様や手ざわりを特徴とするヒーリングストーン、インファナイト(インフィナイト)。
クリソタイル(白石綿)を中心に構成されるサーペンティンの一種である。
1996年、南アフリカにおいてスティーヴン・ロスリー氏により見出され、世界に紹介された。
アジョイトを求め南アフリカを訪れていたロスリー氏は、この石に特別なインスピレーションを受け、"無限" を意味するインファナイトの名を与えたという。
インファナイトはその後、ジュディ・ホール氏やロバート・シモンズ氏といった世界的クリスタルヒーラーから高い評価を受けた。

インファナイトはいわば、白石綿の塊。
石綿から成る鉱物と聞いて驚いてしまう方もおられるかと思うが、砕いて吸引しない限り問題ない。
石綿、アスベストにまつわるヒーリングストーンは多い。
いまや私たちの命を脅かす存在と成り果ててしまったアスベストも、古代より神聖視されてきた鉱物のひとつだった。
以前も記したが、鉱物が人類にもたらした負の歴史は、自然には存在し得ない量の資源を掘り起こし、暮らしを豊かにしようとした人類への報いだと思っている。

先日、インファナイトをお探しとのご相談を受けた。
私にはその方に確かな情報をお伝えすることができなかった。
というのも、どうもおかしなことになっている。
ネットでは、鮮やかなグリーンやイエロー、茶系の石がインファナイトとされ、高価なブレスレットとなって紹介されている。
発見者であるスティーヴン・ロスリー氏自ら紹介したと説明しているところがあるのは不可解。
国内に限ったことではない。
私が持っているインファナイトとは、色、質感ともに、明らかに異なるものである。

写真は3年ほど前に入手したインファナイト。
現在インファナイトとして流通している石とは異なる石だ。
もう採り尽くされてしまったのかもしれない。
インファナイトの魅力は、人を選ばない(名目上はヒーラーのための石なのに、ヒーラー以外も楽しめる)というアバウトさ、親しみやすさ。
私の脳内のレアストーンリストに長らく残ったままになっていたこの石に今、何が起きているのだろう。

初めてこの石を知ったとき、インファナイトは「サーペンティンとクリソタイルの混在した非常に珍しい鉱物」と紹介されていた。
なぜ問題にならないのか、長らく不思議に思っている。
サーペンティンは鉱物のグループ名。
アンチゴライト、リザーダイド、そしてクリソタイルの3つの鉱物を総称してそう呼んでいる。
そう、クリソタイルはサーペンティンの一種を指す言葉なのだ。
リザーダイドについては、北欧から産出する鮮烈な黄緑色の石が知られているが、リザーダイドとサーペンティンが混在した鉱物という言い方はしない。
リザーダイドについてはなかなか流通しないから、レアストーンと呼んで差し支えないと思う。
かつてのインファナイトも珍しかったから、希少価値がついたのだ。
現在、世界的に流通している色濃い緑や黄色のインファナイト。
どう見ても他所から産出したサーペンティン。
残念ながら、サーペンティンは世界中から産するありふれた鉱物である。

写真は手持ちの南アフリカ産インファナイト。
4,5年前に入手した。
ロスリー氏の資料をあたると、どうもこのグレーグリーンの石が本来のインファナイトのよう。
インファナイトの詳細な産地は明かされておらず、詳しい産状はわからない。
同じ土地から、濃い緑や黄色のインファナイトも産出するということになるのだろうか。

もともとサーペンティンが好きだった。
サーペンティンといえば深緑から黄緑、イエローと色合いは幅広く模様も多彩。
インファナイトのすべすべの手触り、優しい色合いや質感、惑星のような独特の模様は、そんなサーペンティンを凌ぐ魅力に溢れていた。
しばしば "ヒーラーズ・ストーン" と紹介されるインファナイト。
この表現をすっかり気に入った私は、ヒーリングストーンを軒並みヒーラーズ・ストーンとご紹介してしまった。
反省している。
私はクリスタルヒーラーではない。
日本にクリスタルヒーラーが登場したのはごく最近のこと。
過去には危険思想やカルトと混同され嫌悪される日本を離れ、欧米や南米、インドなど、海外を拠点に活動される人のほうが多かった。
実際、日本でやるとそうなってしまう。
パワーストーンは苦手だという方からお話を伺うと、恐ろしい新興宗教やオカルト思想の一種とお感じの様子。
そうではないというと嘘になる。

かつて、鉱物を愛する人々は、パワーストーンブームがおかしな方向へ向かうことを警戒していた。
鉱物と併せ、ヒーリングストーンも好む人々の間には、掟のようなものがあった。
(私の周りだけかもしれないが)自分たちの中からクリスタルヒーラー、つまり特別な人間が誕生してはならないというものだ。
選民意識への反発、石への敬意と探究心、謙虚さ。
誰でも平等に、興味を抱いたあらゆる石を手にするべきだという、節義をわきまえた人々が居た。
石ではなく自分自身を愛する人々には、そうした発想は皆無だった。
今回のアセンションには、クリスタルヒーリングにおける過ちが関係している。

忘れてはいけないことがある。
インファナイトはクリスタルヒーラーになれる石ではない。
或いは、インファナイトが絶対的な「無限」を意味するとは限らない。
スーパーセブン、ティファニーストーンエイラットストーン、そしてこのインファナイトまでも、クリスタルヒーリングを愛する人を試すかのような存在になってしまった。
欧米において、南アフリカ産にそっくりな中国産インファナイトが堂々販売されているのを目撃した。
中国で「牛油玉」と呼ばれ大量に流通している岩石みたい。
名前が恐い。
南アフリカ産がサラサラなのに対して、中国産はツルツル光っている。
本来のインファナイトを一度でも手に取ったことのある人なら気づくはずだが、写真だけでは判断できない難しさがある。


インファナイトについて語るロスリー氏




ダライラマ似のスティーヴン・ロスリー氏自らインファナイトについて語っている
手にはジュディ・ホール氏やロバート・シモンズ氏の著書も
紹介されているのはグレーを基調としたかつてのインファナイトに同じもの


未測定

2012/12/04

セフトナイト/アフリカンブラッドストーン


アフリカンブラッドストーン
African Bloodstone/Seftonite
Arathi Highlands, Swaziland



一見するとインド産ブラッドストーンにも見えるこの石は、アフリカのスワジランドという珍国からやってきた。
日本の収集家さんが即売会で入手されたものと伺った。
スワジランドのインパクトに驚き、条件反射的に購入した。
ブラッドストーンではないが、よく似ているため、アフリカンブラッドストーンの愛称で呼ばれている。
他にセフトナイト(日本で訳されている例は見当たらなかった)と呼ばれたり、チェリーオーキッドアゲート、チェリーボルケーノアゲート、ボルケーノアゲート等々、流通名はまちまち。

鉱物としてはマーカサイトを豊富に含むカルセドニーの一種で、微細なパイライトを伴って発見されるという。
見た目よりもずっと軽い。。
研磨品はまるで火山性オブシディアンのような質感だが、オブシディアンとは異なり結晶している。
灰緑色と赤の模様は鉄分に由来する。
文末に研磨品の写真を掲載した。
磨くと光沢を増し、色合いが鮮明になるという特徴がある。
以上がアフリカンブラッドストーン/セフトナイトのプロフィール。

当初、私にはスワジランドがなんだか分からなかった。
国の名前だということはわかった。
スワジランドは南アフリカに隣接する小さな国で鉱業が盛ん、ということくらいしかわからない。
後日、この未知の鉱物がなんと、欧米で高い評価を得ていることを知る。
一見した時は同じものとわからなかった。
原石とはあまりに印象が違いすぎる。
もう一度、文末に掲載の研磨品をみていただきたい。
チェリーやオーキッド(蘭)のイメージとはかけ離れた、著しい変身の結果が見て取れると思う。
スワジランド産というヒントがなければ気づかなかった。
研磨前・研磨後のギャップは、この石の明暗を分けると言っても過言ではない。
日本で知名度を上げるには、ビーズへの加工が前提。
アフリカンブラッドストーンを日本市場に定着させるには、研磨後のそれを、癒しのパワーに変える必要がある。

ふと、思い立った。
朱色のインパクトが強すぎるのだ。
そう、神社である。
全国の数ある神社の中から、この石のイメージに合う神社をチョイスすればよい。
1分後、この石の和名が決まった。


日本三景、瀬戸内海に浮かぶ厳島神社の鳥居を見ていただきたい。
社殿との色合いのコントラストは、まさにアフリカンブラッドストーンの研磨品そのものである。
平安時代を思わせるこの荘厳な姿は、癒しに通ずる(断言)。
ゆえに、アフリカンブラッドストーンはヒーリングストーンに間違いない(断言)。
幸い、まだ誰もこの石のことをご存じないようである。
ここぞとばかりに、クリスタルヒーリングにおける新たな可能性を示唆しておきたい。
謎の国・スワジランドから届けられたこの石は、日本人の美意識にふさわしい癒しのクリスタルだったのである。

以前広島を一人旅したさい、船に乗って厳島神社を見に行ったのを思い出す。
確か、満ち潮でほとんど見えなかった記憶がある。
フェリーで上陸した宮島は、鹿だらけだった。
鹿は神の使いだという。

話を元に戻そう。
由緒ある日本の美意識を現代に伝えるこのスワジランド産・厳島神社は、ヒーリングストーンとしての新たなる可能性を秘めている。
ただし、日本市場向けに、ビーズに加工する必要がある。
厳島神社といえど、好みはわかれるかもしれない。
原石のままであれば、カルセドニーならではのデリケートな雰囲気に、癒しを感じる方も多いのでは。
深いグリーンの色合いや優しい質感を生かし、原石に近い形で楽しむ方法はないものかと考えている。




53×33×15mm  26.97g

2012/11/30

フォーダイト


フォーダイト Fordite
Ford Rouge Plant, Detroit, Michigan, USA



フォーダイト、またの名をデトロイト・アゲート。
キラキラ輝くラメ状の細かな粒子、鮮やかな色合い、独特の模様が楽しめる。
アゲート(めのう)でないのは一目瞭然。
その正体は、米国はフォード社の自動車工場で塗装に用いられたラッカーだという。
しかしながら自動車には全く興味のない自分には、フォードが一体何なのかわからない。
アメリカの歴史に深く関わり、単なる民間企業の枠を超えた伝説的存在のようだ。
必死で調べたことをまとめたのが以下。



米・デトロイトに本社を置くフォード社は、ヘンリー・フォードという人物により1903年に創業された自動車メーカー。
100年以上に渡って世界の業界をリードしてきた会社で、戦争や不況といった困難を乗り越え、現在も存続しているという。
いわゆる「流れ作業」を最初に取り入れたのもフォードであったとのこと。


流れ作業といえば、子供の頃に観たチャップリンの映画。
あまり良いイメージではないのだが…
それはさておき、この不思議な宝石の産地は、工場での塗装部門。
1940年~80年代にデトロイトの工場から出た副産物をリサイクルして出来たのが、フォーダイトということになるようだ。
フォード社では、長い間ラッカーを用いた車体の塗装を行ってきた。
流れ作業において飛び散ったラッカーが積もり積もって、フォーダイトの原形(→写真はこちら)が完成した。
たまたまカットしたところ見事な宝石になったため、噂が噂を呼んで、広まっていったようである。

現在工場は閉鎖され、国外へ移転している。
80年代を最後に塗装の方法も変更になった。
今後中国以外から出てくることは無い。
あるときを境に消えたという神秘性や、カットして初めてわかったその美しさと偶然性こそが、フォーダイトの魅力といえよう。
こんなものを宝石にカットしようと思った人がいたのは驚きである。

工場からの副産物といえば、ジンカイトやスウェデッシュブルーが有名である。
スウェデッシュブルーと異なるのは、産出場所や埋蔵量(?)が特定できるため、いつ市場から消えるかもはっきりしているということ。
1940年代の古い素材を用いたフォーダイトは、モノクロに近いシックな印象で、数が少ないために希少価値が付くのだそう。
写真のフォーダイトはサイケデリックな色彩が好まれた70年代のフォーダイトのカット品で、同じ塊からカットされたものと伺っている。
最末期の80年代のカット品は、時代を反映した派手な色合いが特徴で、市場に出回っているものの大半がこれにあたるらしい。

こんな個性的な色を自動車に使っていたというのは、考えてみれば不思議なこと。
国産車は高級品になるほど白や黒、シルバーといった無難な色になる。
60~70年代のベンツなど、欧米の車に見られる、芸術性の高いカラーリングやデザインには、車に興味のない私でさえ感動を覚える。
ヴィンテージの車を愛する知人が多い私は恵まれている。
国産車にそういった美意識が皆無なのは、自家用車における歴史が浅いこと、個性より効率を重視した結果といえるかもしれない。

思うに多くの日本人は、車に芸術性など求めないのであろう。
空調やカーナビゲーション、イミテーションの毛皮などは、自動車には本来必要のないものである。
ましてや安全確認のおそろかになるテレビ、他車の走行を妨げる過剰なイルミネーション、騒音を奏でるオーディオなどを積むのは、不幸な事故につながる危険行為に他ならない。
車は人の命を一瞬にして奪う。
不幸な事故を極力避け、通行人に不快感を与えないよう、芸術性にこだわるべきである。
それができない者には軽トラの利用が適している。

話が逸れてしまった。
フォーダイトには自動車文化を彩ってきた遊び心が詰め込まれている。
米国ではアクセサリーとして人気も高い。
今後ヴィクトリアストーン同様、中国からの模造品が出回ることが危惧されるから、興味のある方はお早めに手にしていただきたい。


40×25×5mm, 31×30×5mm  計10.25g


この度は多くの皆さまにオークションにご参加いただきました。
本当にありがとうございました。
皆さまの温かいメッセージに涙し、励まされ…
オークションも最終段階に入りました(なんと、まだ終わっていなかったんですね!)

最後まで全力で頑張ります。
この場を借りて、皆さまにお礼申し上げます。
次回は池袋にてお会いしましょう(フォーダイトも参ります)!

2012/11/29

フェナカイト(ロシア産)


フェナカイト Phenacite
Malyshevo, Ekaterinburg, Ekaterinburgskaya Oblast', Russia



世界で最も希少な鉱物のひとつにして、石を愛する人なら誰もが手に入れたいと望んでいる。
それがフェナカイト(フェナサイト/フェナス石)と呼ばれる石である。
もちろん他の鉱物と共生した標本(→こちら)などではなく、ロシア、マリシェボ産フェナカイトの単独結晶ということになろう。
収集家なら一度は憧れる希少品、高い波動を持つニューエイジストーンとしても知られるこのロシアンフェナカイト。
マリシェボのフェナカイトは枯渇しかけているから、知名度の割に良品は少ない。

フェナカイトといえばミャンマー産。
比較的流通があり安価で手に入る。
ミャンマー産は小さいながらクリア、結晶の様子も独特でわかりやすい。
結晶の複雑さ、美しさで選ぶなら、ミャンマー産より若干入手しづらいブラジル産もおすすめ。
もしあなたがハイレベルなフェナカイトにこだわるのなら、ロシア産をひとつは持っておきたい。

写真は最も価値の高いとされる、ロシアはウラル地方、マリシェボ産のフェナカイト。
マリシェボ産の特徴である、グレーの母岩を伴う大きな標本で、一目で気に入って購入した。
ロシアンフェナカイトの完全結晶の多くは、写真のように母岩に覆われている。
岩の隙間に見える透明結晶に浮かぶ虹が美しい。

フェナカイトは近年、パワーストーンにまでなって登場している。
特にパワー満載だというロシア産に憧れ、お探しの方が多いようだが、なかなか予算に見合わずお困りと聞く。
安いものには必ず訳があるから、あせらずお探しになることをお薦めする。
ロシアンフェナカイトがどうしても必要な場合は、なるべく切断、加工されていない原石を探してみよう。
マリシェボならではのこのグレーの母岩がないと、いったいどこから来た何者なのか、パワーで判断するしかないからである。




25×19×15mm

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?