2012/03/05

サニディン


サニディン Sanidine
Volkesfeld, Eifel, Germany



うっすらと浮かぶ虹が美しい。
ドイツからやってきただけあって、まるでビールのよう。
サニディン(サニジン)は長石の一種で、ドイツから産出する代表的な鉱物のひとつ。
不規則な結晶形を特徴とし、無色透明~白、ブラウンや灰色などさまざまな色合いを示す。
ドイツ・アイフェル地方から産する、ライトブラウン/ゴールドのサニディンの美しさは世界的に有名で、ファンは多い。

「超能力と結びつく力が強く、それを言語化または文字化して、現実のものとして残しておくことが可能となるよう導く力があると言われています」(『パワーストーン百科全書』八川シズエ著)

初めて手に入れた鉱物のガイドブックにあった、衝撃の一節。
真っ先に目をつけた。
初期に入手したサニディンは、灰色の欠片。
確か国産で、どこかの大学の地質学者の採取品だった。
最も美しいとされるドイツ・アイフェルのサニディンをようやっと手に入れたのは、昨年春のこと。
その堂々たるジャーマンビールカラーに圧倒された。

ドイツ南西部に位置するアイフェル地方は、希産鉱物の産地として知られている。
サニディンやアウインほか、ここでしか採れないといわれる鉱物も数多く産出する。
アイフェルは、太古の火山活動により形成された湖と、緑豊かな景色が広がるリゾート地。
雪解けを待って、鉱物の採集に訪れるファンは多い。
火山岩の中には未知なる感動が隠れている。

ドイツの鉱物はマニアックである。
ドイツの鉱物愛好家もまた同じ。
彼らの鉱物に対するこだわりは半端ないらしい。
王道をきらう国民性と関係があるそうだが、まだはっきりとは確認できていない。
ドイツのミュンヘンショーは世界的に有名なミネラルショーの一つだが、内容の濃さには定評がある。
標本の鑑賞にあたっては、片手にビールを持ちつつ腕を組み、眉間にしわをよせて考察を述べなければならない。
部屋にはもちろんミネラルカレンダー "Mineralien" を掲げ、こだわりをアピール。
なんせゲーテを生んだ国である。
ゲーサイトがゲーテに因んで名づけられた鉱物であることをご存知の方は多いと思う。
詩人、小説家、哲学者など、さまざまな側面を持つゲーテは、熱心な鉱物収集家でもあった。
ゲーサイトはゲーテを知る鉱物学者によって、彼の存命中にその名を与えられたという。

メロディ氏によるとサニディンは、生きづらさを抱える人々のサンクチュアリ的存在であるらしい。
この石を、人生に行き詰ったあなたにささげたい。
もちろんアイフェルのジャーマンビール色のサニディン、これでもう間違いない。


41×35×24mm  41.37g

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