2011/12/28

レインボーオブシディアン


レインボーオブシディアン
Rainbow Obsidian
Guadalajara, Jalisco, México



オブシディアン(黒耀石)は溶岩が冷え固まって出来た天然ガラス。
メキシコや米・アリゾナ州が世界的に有名な産地である。
その土地柄、先住民族/インディアンに珍重された歴史があり、出土品も流通している。
メキシコの先住民族の間では、"神々の贈り物" とされ、矢じりや装飾品、魔術の道具などとして用いられてきたそうだ。
そんなオブシディアンの中で、光の下で虹色のシラー(光彩)が浮かび上がるものを、特にレインボーオブシディアンと呼んでいる。
はっきりとレインボーが浮かぶ石は意外に珍しい。
このシラーはアンフィボール(角閃石)のインクルージョンに因るものとされている。

現地では民芸品として、ハートフラワー、スターなどのモチーフに加工されているほか、タンブルとしても流通している。
大きな塊状の原石を切り出してレインボーの状態を確認の上、熟練した職人によって彫刻を施され、レインボーのシラーが生きるよう工夫されている。
日本で流通しているのは主にビーズであるが、ごく淡い虹が浮かぶならまだ良いほうで、シラーの出ない黒耀石をレインボーオブシディアンとして販売しているところもある。
メキシコからの民芸品を見て、これが本来のレインボーオブシディアンかと驚かれる方もおられる。

気に入って幾度も紹介させていただいた、思い出の石。
自己破壊や自己攻撃を和らげて、自らを保つ力があるとして、海外では薬物中毒やアルコール依存症、摂食障害の治療に使われることもあるという。
すべての物事をありのままに受け止める眼を養うともいわれている。
鑑賞石として愛される一方、クリスタルヒーリングの世界でも人気は高い。
そのレインボーの光彩は、たとえ一瞬の出会いに過ぎずとも、まるで虹のごとく、逆境を乗り越える祝福の光となって人々に降り注ぐのであろう。

暗闇を歩く人を照らす光。
すべての人が光のもとに導かれ、本来の輝きを取り戻されることを祈って。


23×8mm  6.23g

2011/12/23

フローライト(ブルーグレー&ピンク)


フローライト Fluorite
Kandahar, Afghanistan



アフガニスタン・カンダハルのフローライト。
産地は情勢の問題から供給が不安定。
なかなか出会う機会はない。
現地からは多くのフローライトの産出があり、クォリティも高い。
カンダハルを代表する美しいブルーグリーンのフローライトが、パキスタン・ギルギット産として販売されているのをよく見かける。
この色合いは初めてだった。
グレーを帯びた淡いブルーの地に、パープル~ピンクのアクセント。
この世のものとは思えない美しさ。
調べたら、同じ鉱床から出たとみられる石をお持ちの人もいらっしゃるようだったが、鉱物標本としては悲しいほどに粗末なものだった。
専門家が現地に入れないために、扱いが荒くなってしまったのだろう。

物事にはやがて終わりが来る。
すべては限りあるものと知り、次の街へ向かう。
出会いと別れの記憶と共に、この石は私の心の中で永遠に輝き続ける。


62×40×28mm  72.57g

2011/12/18

ローズクォーツ/モリオン


モリオン/ローズクォーツ
Rose Quartz on Morion
Paroon, Nuristan Privince, Afganistan



モリオン(黒水晶)にローズクォーツが彩りを添える珍しい標本。
本体は大きめのダブルポイント(両錐水晶)の黒水晶。
完全に真っ黒というわけではなく、所々にダメージがあり、透き通って見える箇所がある。
スモーキークォーツ、ケアンゴーム、モリオン。
どれが適切なのかはわからない。

黒水晶の先端に咲いたローズクォーツ。
見事な結晶であるが、途中から溶けている。
あまりに溶けているので、当初フローライトかと思ったが、先輩方のご意見を総合すると、エッチング(蝕像)により変形したローズクォーツということみたい。

そもそも、アフガニスタンからローズクォーツが出るなんて知らなかった。
昔から鉱物を集めている先輩方の間では、「アフガンローズ」と呼ばれ、伝説になっているそうだ。
初めて出会ったアフガンローズの実にユニークなこと。
ローズクォーツは通常、塊状で発見される。
結晶しているローズクォーツというのは珍しく、ブラジルから僅かに発見される程度。
多くは小さく、色合いも薄い。
堂々たるアフガンローズ。
男性でさえ夢中になるのも無理はない。

産地を聞いて驚いた。
採りたくても採りに行けないのかもしれない。
地球上には、立ち入ってはいけない場所がある。
モリオンの表面にちりばめられた、長石とみられる純白の結晶と、色濃く微細なローズクォーツの結晶たち。
力強さと優しさ、絶望と希望が同居する。
来るところまで来てしまったような気さえする、遠くアフガンから届けられた孤高の薔薇の花束。




85×43×35mm  約200g

2011/12/15

サンストーン(ピンクファイヤー)


サンストーン Sunstone
Engare Naibor, Tanzania



タンザニア産のサンストーン。
グリーンのオリゴクレース(灰曹長石)に浮かぶ虹色の輝き(アベンチュレッセンス)が美しい。
この虹色の輝きは、内包されたヘマタイトやレピドクロサイトに因るもの。
その独特の風貌と希少性から、イリュージョンサンストーンとも呼ばれ、宝石にカットされることも多い。

実は、同じ出処の同じ原石を持っていた(写真がそれです)。
なのに先日池袋ショーで手に取って、購入してしまった。
血が騒いだ、それだけ。
翌日、撮影中に違和感を感じた。
なぜかこのサンストーン、虹色の輝きの合間から、ピンクファイヤーが浮かぶのである。
輝くのではない、浮かび上がるのである(→ピンクファイヤークォーツ参照)。

ピンクファイヤークォーツの考察にあたって、ヘマタイト混入説を取り上げた。
このファイアがもしピンクファイヤーと同じものだとしたら、共通するのはヘマタイトのインクルージョン。
早速ボスに報告。
なにを今更?みたいな顔のボス(写真無)。

おそらくこのピンクのファイアは、結晶中に内包されたヘマタイト、レピドクロサイトに因るもので、水晶だけでなくオリゴクレースにも現れるとみられる。
ピンクファイヤークォーツは、ブラジルのエスピリトサントの一部が唯一の産地といわれていた。
しかし、ブラジル以外から産したレピドクロサイト入り水晶にペンライトを当てると、ピンクのファイアが確認できることがあるという(ボス談)。
つまり、ブラジル以外からもピンクファイヤークォーツは出ている。
ゆえに、ピンクファイヤーサンストーンもあり得る。

内包物はコヴェライトではない。
鑑定したわけではないが、結論としてはそれが無難だろう。




今回また買ったサンストーン in 池袋


このサンストーンは、ペンライトを当てずとも、あちこちにピンクのファイアが浮かぶ珍品。
タンザニア産のサンストーンそのものが希少品であり、自然光でピンク系のファイアが浮かぶ石が存在する確率は低いものと思われる。
ざっと調べたが、他にそうした石は見当たらず、取り上げている人も見かけない。
自分は何故この石を手に取り、迷わず購入したのか。
コレクションが増えすぎたため、同じ石は基本的に買わないことにしている。
そのためにこうしてデータベースを作っているくらい。

誤認でないことを願う。
自分の脳内構造がどうなっているのか、知りたい。


32×27×20mm  20.36g



【後日談】 その後、比較検討のため、実家にストックしてあった、同じロットと思われるサンストーンを観察してみました。7つセットで数年前購入したものですが、7つ中3つにピンクのファイアが浮かぶ原石がみられました。こちらのほうがサイズが小さく、よりファイアがわかりやすいことから、写真を差し替えることとします。
オレンジのアヴェンチュレッセンス(輝き)に混じって、フラッシュに近い強烈なピンクのファイアが出ているのが確認できると思います。本文下右は横から撮影したもので、何ヶ所かにオレンジとは言い難い、ピンクのファイアが確認できました。自然光での撮影ですが、比較的よく映っています。(2012/01/04 訂正)







15×11×9mm  1.45g

2011/12/13

チタニアダイヤ


チタニアダイヤ/合成ルチル
Titania Diamond/Rutile
Moscow, Russia



1940年代にダイヤモンドの代用品として登場したものの、ダイヤモンドよりも美しかったがために消えていった幻の宝石。
ダイヤモンドの極めて高い屈折率や分散(輝き)を再現すべく開発された。
しかし、その輝きはダイヤモンドを圧倒しており、むしろ過剰であって、品位に欠けるという声も聞かれるようになる。
数年後には、より自然な輝きと色味を持つチタン酸ストロンチウムが主流となった。
今でいうキュービックジルコニアのような存在。

ヴィンテージの宝石をコレクションに加える人は多い。
中には人工石も含まれる。
人工石というとアヤシゲな感じがするかもしれない。
かつてまだ技術のない時代、本物の宝石を再現するにはそれなりの研究や人手、資金が必要だった。
ヴィンテージであれば価値がつき、コレクションの対象となる。
このチタニアダイヤもそう。
ルチル等のチタン系鉱物から精製されたというこの石、希少石を扱う宝石店では取り扱いがあり、人気商品として定着している。
少し前にブームになった(?)ウランガラスもそうだし、合成ルビー、合成水晶などはヴィンテージのみならず、現在も製造され、工業用として幅広く活躍している。
中にはシベリアンブルークォーツなど、ヒーリングストーンとして価値を与えられた人工石も。

池袋ショーで購入した、青いチタニアダイア。
合成ルチルとして売られていた淡いイエローの石を見ていたら、青もあるという話になった。
そんなもの見たことがなかった。
翌日わざわざ持ってきていただいた。

一見アクアマリンのよう。
光の角度を変えるとギラギラとファイヤー(輝き)が放たれ、鮮烈な虹が浮かぶ。
ダイヤモンドとは異なり、硬度が6しかない(ダイヤモンドは10)ため、年代によるスレやカケがみられる。
また、当時の感覚なのかもしれないが、5ct超えの大きさ。
アクセサリーに使うにはでかすぎる。
相場がわからないのでお買い得だったかどうかはわからない。
初期にロシアで作られたヴィンテージの合成ルチルで鑑定済み、色合いの原因までは鑑定していないとのこと。

池袋ショーが終わり、宿でくつろいでいる。
サンクトペテルブルグから来た、このチタニアブルーダイアに興味を示した人がいた。
彼とは、初日に携帯の話し声と深夜のPCの照明が発端となり、関係が悪化していた。
名前を聞くまでわからなかった。
父親がロシア人なのだそうだ。

彼は一度も父親の故郷を訪れていないという。
ウクライナとの国境近くに位置するその街は、チェルノブイリ原発事故の被害に遭っている。
おそらく、彼が生まれた直後だろう。
隣町では多くの死者が出ている。
彼はもうすぐロシアに発つ。
日本とソビエト連邦の残したもの。
その両方を背負う彼の眼に映るのは何か。


5.05ct

2011/12/10

オレンジルチル


オレンジルチル
Orange Rutilated Quartz
Cotovelo Mine, Sertanejo, Bahia, Brazil



ルチルクォーツには様々なカラー・バリエーションがある。
写真のラフカットは、オレンジルチルと呼ばれている。
明るいオレンジ・カラーの針状インクルージョンが、くっきりと入っているのが特徴。
内包されているのは、ブルールチル(トルマリン)とは違い、鉱物学上のルチル(金紅石)のはず…なのだが、真偽のほどはわからない。
というのも、このオレンジルチル、数が極めて少なく、データが殆ど残っていないのである。

ゴールデン・オレンジ・ルチレイテッドクォーツ。
2006年にブラジルのコトビロ鉱山から250kgのみ産出、その後絶産したといわれている。
現在もわずかに出回っているが、原石など産地の特定できるものばかり。
当時はルチルクォーツがレアストーンになるなど、思いもしなかった。
なお、現在市場に流通しているオレンジルチルのビーズは、淡いイエローゴールド若しくはオレンジブラウンのルチルクォーツ。
コトビロ鉱山のオレンジルチルとは対称的に、極細の針が密集していることが多い。
このところ流通しているオレンジルチルのビーズに、頻繁にキャッツアイがみられるのはそのためか。

写真のオレンジルチルは、数年前のミネラルショーで、白人のディーラーがサンプルとして展示していたラフカット。
無理を言って何周目かでようやく譲ってもらった。
売り物は高すぎて買えなかったのだ。
コトビロ鉱山産のオレンジルチルが貴重品だとは知らなかったから、相当値切ってしまった記憶がある。
オッサンの苦笑いを今でも覚えている。
消えていくと言われながら残っている鉱物が多い中、人知れず消えてゆく鉱物も少なからず存在したということなんだろう。

金運、仕事運、勝負運をアップさせ、成功を勝ち取ることができるというルチルクォーツ。
夢を叶えるパワーストーンとして広く知られており、現在も人気は高い。
特にオレンジルチルは凄いらしい。
億万長者セレブ御用達。
とにかくパワーが半端ないとされておる。
持つ人を選び、自発的に上昇しようとしている人や、強い運気を感じる人の所に行こうとするという。

どうして私のところに来たのか。
まったくもって、疑問である。


コトビロ鉱山の資料を探していたらたどりついたサイト。
彼らが発見者?
http://www.minec.com.br/arq_news/0606.htm


60×31×16mm  25.25g

2011/12/06

ゴールデンセラフィナイト


ゴールデンセラフィナイト
Clinochlore/Seraphinaite
Lake Baikal Region, Eastern Siberia, Russia



クリノクロア(斜緑泥石)の一種。
ロシアから産出するクリノクロアは、天使の羽根を思わせる美しい絹状光沢から、セラフィナイトと呼ばれ、人気がある。
通常はグリーンだが、稀にブラウン/ゴールドを示す石が存在するという。

先日の秋のミネラルショーで購入した。
煌くゴールドに、わずかにグリーンが溶け込んでいる。
お店の人の話では、正真正銘のセラフィナイトで、加工はいっさい施されていない天然の色合い、セラフィナイトと同じ場所から産出するという。
ただ、具体的な産地や成分などについてはわからないとのこと。
売り手として無責任ではあるまいか。

クリノクロアにはグリーンのほか、ラベンダー、赤、黄、白などがある。
中でも有名なのは、ラベンダーカラーのケンメレライト(菫泥石)。
透明感のある明るいパープルを特徴とする希少石で、豊富に含まれたクロムが発色の原因とされている。

こちらのゴールデンセラフィナイトについては、わからない。
取り扱いのあるショップはいくつかあり、"珍しい色合い" と紹介されてはいるものの、発色の原因については触れられていなかった。
他にも疑問に思っている方はおられるようで、熱処理によって変色させた説、セラフィナイトと共生したチタナイト(チタン石/スフェーン)である説、などを見かけた。
加熱処理や酸化については私も考えたが、お店の方は否定された。
ロシア産ならばアストロフィライトではないかとも考えたが、同じロシアでも産地が離れすぎている。

セラフィナイトはロシアのバイカル湖付近が唯一の産地といわれている。
アストロフィライトの産出するコラ半島と、セラフィナイトの産地とされるバイカル湖には相当の距離がある。
コラ半島は北欧フィンランドの東、バイカル湖は中国・モンゴル自治区の北。
気候や環境もまるで違うと思われる。
疑惑のチタナイトとセラフィナイトが共生して発見されることは稀にあるらしい。
ただし、ロシア産のチタナイトは希少品で、果たして製品化されることがあるのだろうか、という疑問が残る。
チタナイトはその名の通り、チタンを含む鉱物。
アストロフィライトもチタンを含むという点で共通している。

おそらくこれまでジャンク扱いされてきた茶色のクリノクロアを、ゴールデンセラフィナイトと言い換え、価値を付けたものだろう。
そう思っていたら、先日実家でアヤシゲなモノを発見した。
本文下の写真がそれ。
ロシア・コラ半島のアストロフィライトなのだが、絹状光沢を示す緑色の鉱物が共生している。
同じ面持ちの標本が3つあり、いずれもEveslochorr Mountain産。
色合いといい光沢といい…
まるでセラフィナイトのように見えるのは、私だけか。

ロシアのコラ半島からは、アストロフィライト以外にも、ゴールデンセラフィナイトを思わせる鉱物が幾つか産出する。
いずれも希少石であり、加工されるとは考えにくい。
ゴールデンセラフィナイトの正体は、依然としてよくわからない。
池袋ショーでリサーチするつもりでいたのだけれど、今朝間違えてアップしてしまったので、このままにしておこうと思う。
それにしてもロシアは広い。
一杯のボルシチに列を作るイメージしかないのだけれど、昔は強かったんだろう。
豊富な資源とも関係あるのかもしれない。

ゴールデンセラフィナイト。
強い光沢とゴールドカラーには、一度見たら忘れられないインパクトがあり、柔らかな印象のセラフィナイトとはまた違った魅力がある。




30×21×5mm  25.60ct

2011/12/04

ティファニーストーン



ティファニーストーン
Tiffany Stone
Spor Mountain, Juab Co., Utah, USA



今となってはほとんど見かけない、黒/茶系を含まないティファニーストーン。
ベルトランダイトとして販売されていた。
鉱物を集め始めた頃、余りの美しさに衝動買い。
もう一枚売って欲しいとお願いしたが、「もうないです」と言われてしまった。
その後二度と見ることはなかった。

ラベルには、オパール・フローライト(Opal, Fluorite)とも記されている。
以前はフローライトがオパール化したもの、もしくはフローライトとオパールが化石になったもの、といわれていた。
しかし実際は、火山活動に由来する堆積物から成るカルセドニーのようである。
堆積物であるからして、その中には数え切れないほどの鉱物が含まれている。

約20億年前の火山活動により発生した、フッ素ガス(いわば気化したフローライト)と火山灰、堆積物が混ざり合い、長い時を経て化石となり、さらに珪化したのがティファニーストーン。
複雑で変化に富む模様は、たくさんの鉱物がごちゃ混ぜとなり、凝縮されたためにできたもの。
独特の紫の色合いは、フッ素ガスに由来するという。

もともとはベリリウム鉱山の副産物であったため、ベルトランダイトという鉱物を多く含んでいる。
そのため、ベルトランダイトの標本として取引されることも多い。
ベリリウム鉱山からのティファニーストーンは絶産している。
こちらは2004年、新たに愛好家が発見した鉱脈から初期に得られた標本。
この鉱脈からは当初、質の高いティファニーストーンが次々に発見され、期待が寄せられた。
しかし、質は低下する一方で、4年後には事実上絶産した。
現地には売り物にならない岩片が残るのみとのこと。
品質については以下。

・高品質 - 紫~青~ホワイトの明るい色合いが混在し、模様となっているもの
・中程度 - 上記に黒/茶系が入り、コントラストがより際立つもの
・低品質 - 紫のみなど、色数が少なく変化に乏しいもの。赤茶色、グレー、オレンジなど不純物の入ったもの
・偽物 - 他所の無関係な鉱物。オパールやフローライトなどを使っていることもあるらしい

現在入手可能なティファニーストーンには、黒または茶系の模様が入ってしまっている。
小さくカポジョンカットされ販売されているが、とんでもなく高価である。
十年以上前なら、可愛らしいノジュール仕立てのティファニーストーンが、お手ごろ価格で手に入ったんだそうだ。
高品質とされる大きな板状標本は、日本では2006年頃、海外からは少なくとも2009年頃まで手に入ったが、このところ見ていない。

いっぽう、ティファニーストーンと、オパール、フローライトは、直接は関係ないようだ。
あのティファニー一族(のご先祖様)の作品に因んで命名された石が、堆積物の成れの果て、というのはどうも違うような気がする。
わざとオパール、フローライトの名前を残したのかも。
オパールとフローライトの組み合わせには夢がある。





※ビーズに関しては全く異なる石が流通している。上記は信頼のおけるティファニーストーンの6mmブレスで、小さいながら模様がはっきり現れているのでご参考に。
オパールのイメージからか、透明感のある石が好まれているようだが、本来ティファニーストーンはジャスパーであり、透明部分はジャンクになる。また、アメジストやフローライト、パープルのオパールがティファニーストーンと混同されて流通しているので要注意。さらに、成分の近いと思われる、オパール化(珪化)したフローライトが中国から産出している。シューファストーンという紫の石で、ビーズに関しては特に疑わしい。(2012/12/18追記)


41×25×8mm  10.48g

2011/12/01

ブラジリアナイト


ブラジリアナイト Brazilianite
Conselheiro, Pena, Minas Gerais, Brazil



なぜだかわからないけれど、大好きな石がある。
パワーストーンの本には載っていない。
一度も売りに出さなかったし、誰にも話したことはない。
ブラジリアナイト。
鉱物を集めるようになって、真っ先に目を付けた。
その頃から希少石とされていたものの、今ほど高くはなかったように思う。

ここ最近、頻繁に見かけるようになった。
産出は激減していると聞いている。
にも関わらず、これまでにない素晴らしい結晶が多数流通している。
どうも最近、新たに産出があったようだ。
今年に入って流通が若干増えたこと、それに伴いヒーリングストーンとして注目されつつあることが原因か。
ブームをさかのぼれば20年ほど。
ブラジリアナイトの名前があがったのは、私の知る限りでは初めて。
いずれ幻の石になるのかと思っていたのだけれど、近々パワーストーンのガイドブックに登場することになるかも。

ブラジリアナイトは、グリーンを帯びた淡いイエローの色彩と、シャープな結晶形を特徴とし、宝石としても知られる希少石。
1945年に新鉱物として認定され、フレデリック・ポー博士によりブラジリアナイトの名を与えられた。
当初、クリソベリルと間違われたというのも無理はない。

写真の石は、欧州のコレクターからの流出品で、原産地から得られたもの。
宝石質とは言えないが、マスコバイト(白雲母)が彩りを添える、シャーベットのような標本で、一番のお気に入り。
そもそもなぜブラジリアナイトが大好きになったかというと、Fila Braziliaというイギリスのアブストラクト・テクノ・ユニットが大好きだったからであり、なぜFila Braziliaが大好きだったかというと、彼らのアルバムのジャケットに大好きな絵本の表紙が使われていたからであり、それはうさぎなのである(うさぎ好き)。
現在では、幻のアトランティス大陸と繋がる、魔法のストーンとして人気上昇中とのこと。

ある方からご指摘をいただき、考えた。
鉱物にパワーを求める方が多いことを痛感した。
そうした方に対して、私の文章は失礼極まりない内容になっていた。
申し訳なく思う。
いっぽう、鉱物を苦手に思っておられる方も多いようだ。
石に幸運を求める他力本願の類い。
そう受け止められても仕方ない。
もし石が能書きどおりのパワーを持っていたとしたら、今の日本は超能力者だらけになっている。
多数の死者を出した悲惨な震災も、原発事故による深刻な健康被害も未然に防げたはず。
パワーストーンを用いて復興を祈るのは立派なことだと思うが、本末転倒では。

幸せは石が与えてくれるものか。
真実は石が教えてくれるものか。
私にはそうは思えない。
すべては、持つ人の心にゆだねられている。


24×22×8mm  6.52g

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?