2011/12/15

サンストーン(ピンクファイヤー)


サンストーン Sunstone
Engare Naibor, Tanzania



タンザニア産のサンストーン。
グリーンのオリゴクレース(灰曹長石)に浮かぶ虹色の輝き(アベンチュレッセンス)が美しい。
この虹色の輝きは、内包されたヘマタイトやレピドクロサイトに因るもの。
その独特の風貌と希少性から、イリュージョンサンストーンとも呼ばれ、宝石にカットされることも多い。

実は、同じ出処の同じ原石を持っていた(写真がそれです)。
なのに先日池袋ショーで手に取って、購入してしまった。
血が騒いだ、それだけ。
翌日、撮影中に違和感を感じた。
なぜかこのサンストーン、虹色の輝きの合間から、ピンクファイヤーが浮かぶのである。
輝くのではない、浮かび上がるのである(→ピンクファイヤークォーツ参照)。

ピンクファイヤークォーツの考察にあたって、ヘマタイト混入説を取り上げた。
このファイアがもしピンクファイヤーと同じものだとしたら、共通するのはヘマタイトのインクルージョン。
早速ボスに報告。
なにを今更?みたいな顔のボス(写真無)。

おそらくこのピンクのファイアは、結晶中に内包されたヘマタイト、レピドクロサイトに因るもので、水晶だけでなくオリゴクレースにも現れるとみられる。
ピンクファイヤークォーツは、ブラジルのエスピリトサントの一部が唯一の産地といわれていた。
しかし、ブラジル以外から産したレピドクロサイト入り水晶にペンライトを当てると、ピンクのファイアが確認できることがあるという(ボス談)。
つまり、ブラジル以外からもピンクファイヤークォーツは出ている。
ゆえに、ピンクファイヤーサンストーンもあり得る。

内包物はコヴェライトではない。
鑑定したわけではないが、結論としてはそれが無難だろう。




今回また買ったサンストーン in 池袋


このサンストーンは、ペンライトを当てずとも、あちこちにピンクのファイアが浮かぶ珍品。
タンザニア産のサンストーンそのものが希少品であり、自然光でピンク系のファイアが浮かぶ石が存在する確率は低いものと思われる。
ざっと調べたが、他にそうした石は見当たらず、取り上げている人も見かけない。
自分は何故この石を手に取り、迷わず購入したのか。
コレクションが増えすぎたため、同じ石は基本的に買わないことにしている。
そのためにこうしてデータベースを作っているくらい。

誤認でないことを願う。
自分の脳内構造がどうなっているのか、知りたい。


32×27×20mm  20.36g



【後日談】 その後、比較検討のため、実家にストックしてあった、同じロットと思われるサンストーンを観察してみました。7つセットで数年前購入したものですが、7つ中3つにピンクのファイアが浮かぶ原石がみられました。こちらのほうがサイズが小さく、よりファイアがわかりやすいことから、写真を差し替えることとします。
オレンジのアヴェンチュレッセンス(輝き)に混じって、フラッシュに近い強烈なピンクのファイアが出ているのが確認できると思います。本文下右は横から撮影したもので、何ヶ所かにオレンジとは言い難い、ピンクのファイアが確認できました。自然光での撮影ですが、比較的よく映っています。(2012/01/04 訂正)







15×11×9mm  1.45g

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