2013/01/10

クリソタイル


クリソタイル
Serpentine Var. Chrysotile
Geisspfad area, Binn Valley, Wallis, Swizerland



美しいブルーグリーンの光沢を示すクリソタイルの結晶。
歴史的収集家の所蔵品を譲っていただいた。
クリソタイルといえば、インファナイトに含まれる鉱物としてご存知の方も多いと思う。
美しい鉱物には毒性があることも少なくないが、クリソタイルも例外ではない。
クリソタイルは白石綿とも呼ばれ、アスベストの一種に分類されている。
こんな美しい結晶の正体が、世間を騒がすアスベストだなんて信じられないが、取り扱いには注意が必要なのが現実。

アスベストに分類される鉱物は6種類。
サーペンティン類ではクリソタイル(白石綿)、アンフィボール類ではクロシドライト(青石綿)、アクチノライト(緑閃石)、トレモライト、アンソフィライト、アモサイト(茶石綿)以上がアスベストとして規制されている鉱物になる。
馴染みのある鉱物も少なくない。
アスベストにまつわる鉱物を挙げてみよう。

  • タイガーアイ
  • ホークアイ
  • グリーンルチル
  • ブルールチル
  • アクチノライト
  • ピーターサイト
  • ネフライト
  • インファナイト
  • ゼブラジャスパー
  • アンソフィライトヌーマイト若しくはアストロフィライトとして流通)
  • トレモライト
  • ヘキサゴナイト
  • グリーンクォーツ(一部)
  • ガーデンクォーツ

お手持ちのパワーストーンの名前が次々と出てくることに驚かれた方もおられるかもしれない。
他の成分が発色の原因となっているものも含めたので、気になる場合は詳しくお調べいただきたい。
研磨品、またインクルージョンとして存在する場合、危険物が飛び散る心配はない。
いずれもアスベストとして、産業用途での使用は禁止されている。
収集品として個人で持つ分には問題ないが、粉砕を薦めている霊能力者も存在するため、最低限の知識は身に付けておきたい。
以下、ご参考まで。

参考1:アスベストの基礎知識
http://www.jasmo.jp/tisiki.html


参考2:アスベストの99%を占めるクリソタイル
http://www.canadainternational.gc.ca/japan-japon/commerce_canada/chrysotile-about-apropos.aspx?lang=jpn&view=d

アスベストの毒性については近年特に問題視されている。
被害に遭った方のことを思うと安易に言及するのは憚られる。
世界中で古くから神聖視されてきたのもまた事実である。
自然界に存在し得ない量のアスベストを用いた我々に責任がある。

歴史的収集家が所有していたこの見事なクリソタイル。
石綿に対する批判が高まる中、この標本の美しさや歴史的価値を重んじ、生涯にわたって手放すことなかった。
亡くなったのはほんの数年前と聞いている。
その眼には、鉱物としてのクリソタイルが確かに映っていた。


83×23×12mm  28.58g

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