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2012/10/26

レピドクロサイト入りアメジスト


レピドクロサイト入りアメジスト
Amethyst/w Lepidocrocite Inclusions
Rio Grande do Sul, Brazil



鉱物を集め始めたばかりの頃購入したアメジスト。
実家のお宝箱の中から出てきたので、なんとなしに撮影した。
フラワーアメジストが産することで有名な、ブラジルのリオグランデ・ド・スル州からやってきた。
母岩のない、全体が結晶した色濃いアメジストのクラスターのあちこちに、ゴールドのレピドクロサイトが輝いている。
詳しいことはわからないが、まるで宙に浮いた状態で成長したかのよう。
ブラジル産のアメジストは久しく買っていない。
スーパーセブンはともかく、真っ先に浮かぶのは処分コーナーに投げ込まれている凡庸な紫のクラスターくらいだ。
メモがなければマダガスカル産インド産と勘違いしていたかもしれない。
実際、今ではほとんど見かけない。
まるで、咲き誇る花のよう。

先日、鉱物に詳しい方のお話を伺う機会があった。
フラワーアメジストの話題が出た。
レースのように薄く繊細な結晶が放射状に広がった、独特の姿をしたアメジストを、フラワーアメジストと呼んでいる。
一度撮影中に落して割ったこともある程デリケートなので、取扱いには注意が必要である。
その時のショックで、フラワーアメジストを頑なに避けていた私のハートも、けっこうデリケートだと自分では思っている。

会話の合間にふと思い出したのが、こちらのレピドクロサイト入りアメジスト。
フラワーアメジストとは呼ばないが、まるで花のように見える。
鉱物に関しては全くの無知だった私がこの標本を購入した理由に他ならない。
当時は鉱物に金をかけるという発想などなかったから、手頃な価格だったはず。
ガラスのような透明感、濃厚な色合い、見事な形状。
さらに、茶色のゲーサイトではなくゴールドのレピドクロサイト・インクルージョンなど、今となっては得がたい貴重な標本である。
当時はフラワーアメジストなんて知らなかった。
今なら割れてしまったものも含め、いくつか手持ちがある。
だけど、私にとってのフラワーアメジストは多分、これなんだと思う。
人の数だけフラワーアメジストがあっていい。

水晶には滅多に興味を示さないアメリカのミネラルハンターたちにこの写真を見せたら、思わぬ反響があった。
アメリカではクリスタルヒーラーを中心に好まれ、収集家には人気の無い水晶。
予想外だった。
日本では、水晶はひとつのジャンルとして確立している。
いっぽうで、水晶をメインに集めているアメリカ人にはまだ出会っていない。
そんな彼らにも、国境を超えて伝わった想いがある。




51×32×24mm  34.70g

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What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?