2011/06/09

クンツァイト(原産)


クンツァイト Kunzite
Pala, San Diego, California, USA



オールドストックの結晶からのカット品。
1905年採取。
1902年にジョージ・フレデリック・クンツ博士により発見された鉱脈から得られた、正真正銘のカリフォルニア・アイリスである。
原石には内包物が多く少量しかカットできなかったとのこと、こちらも若干の内包物が確認される。
かろうじてチューブ状の空洞のないものを選んだ。
未処理だがこのピンク色。
アフガニスタン産のライラックピンクには及ばないとしても、ブラジル産に匹敵する輝きだ。

スポデューメン(リチア輝石)の中で、ピンク~バイオレットの色合いを示すものをクンツァイトと呼んでいるのはご存知のとおり。
自然の状態で美しいピンクを示す原石は年々少なくなっている。
カットされた宝石やビーズには、無色や白、茶色などの結晶に放射線処理を施し、変色させたものが多い。
処理石の場合、一定期間を過ぎると元の色合いに戻ってしまう。

ベースであるスポデューメンは無色透明。
だからクンツァイトはピンク・スポデューメン。
以前、白濁したスポデューメンのビーズが、ホワイト・クンツァイトの名で販売されているのを見かけた。
レアではなく、むしろ処理加工前の状態であり、希少価値がつくのは妙である。
同じくビーズとして販売されているクンツァイトより高額。
当社では加工前・加工後の商品をそれぞれ並べております、ということが言いたいんだろう。
賢い売り方だと思う。

クンツァイトには、長期間光や熱に晒されると退色してしまう性質があるそうだ。
1905年に出た原石が、100年以上経っても色あせることなく残っていたのは驚くべきことで、付属のラベルのほうはセピア色に変色しボロボロだったそうだ。
当時は「カリフォルニア・アイリス」の名で販売され、後にクンツ博士に因んでクンツァイトと命名されている。

ニューヨーク5番街にあるティファニー宝石店の副社長でもあったクンツ博士。
結婚適齢期の女性の人口比率を分析し、最多だった4月生まれの”誕生石”に、ティファニーの主力商品であるダイヤモンドを設定してしまったのは、実はこの人らしい。
新しい鉱物を求めて世界を旅してまわり、自ら宝石のカットも行うなど幅広い分野において活躍し、その生涯を宝石に捧げたという。


1.38ct

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