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2012/09/12

マグネサイト


マグネサイト Magnesite
Serra das Éguas, Brumado, Bahia, Brazil



カルサイト?フローライト?
いいえ。ハウライト 別名 マグネサイトです。
イミテーションの素材としてきらわれたハウライト(→詳細は本物のハウライトに記)の、さらなる偽物として知名度を上げ続けるマグネサイトに、鉱物標本として高い評価が与えられることが稀にある。
写真はブラジル名物のマグネサイト・クラスター。
この産地からの透明結晶は、世界で最も美しいとされ、各方面での評価は高い。
宝石にカットされることもある。

通常、マグネサイトは白く粗い塊状で産出する。
色合いや質感、網目のような模様はハウライトに非常によく似ている。
そのため、両者はしばしば混同されるが、全く別の鉱物である。
マグネサイトは重要なマグネシウム資源に位置づけられ、その用途は幅広い。
世界各地から産出があり、現在も膨大なマグネサイトが地中に眠っているといわれている。

この立派なクラスターは4年ほど前、お世話になっている社長から譲っていただいたもの。
マグネサイトの安価なイメージからは想像も出来ない高級品である。
この美しいキューブ状のマグネサイトがヒーリングストーンとして注目を集めたのも、ちょうどその頃。
ひとつひとつの結晶から放たれるやわらかな光は高い霊性を宿し、特に瞑想に向いているとされ、高値で取引された。
瞑想を趣味とする私が殊更大事にしているレアストーンのひとつなのだけれど、既に過去のものとなってしまった印象を受ける。

マグネサイト(ハウライト)若しくはハウライト(マグネサイト)というややこしい表記が常識となった今、かつての輝きは忘れられつつあるようだ。
ウバイト・トルマリンと共生した小さな結晶は僅かに流通があるようだが、もはや廉価な白い研磨品が主流となっている。
パワーストーンとしてのマグネサイトの位置づけは、危ういものとなっている。
ハウライトだと思っている人もいらっしゃるかもしれない。
マグネサイトの本質は、"厄介な偽物" だけではなかったはず。
やわらかな光に満ちたこの至極の輝きこそ、マグネサイトの醍醐味であり、本来評価の対象となるべき姿であると私は考えている。




60×43×38mm  85.92g

2011/09/04

ハウライト/マグネサイト


ハウライト Howlite
マグネサイト Magnesite
Zimbabwe



ハウライト(ハウ石)。
純粋・崇高・目覚めを象徴するといわれている。
発見者であるカナダの鉱物学者、ヘンリー・ハウ(ヘンリー・カウと一字違いですネ)に因んで命名された。
誰もが知っている、ありふれたパワーストーン。
トルコ石やラピスラズリの偽物として知られる、やっかいで紛らわしい石。

常識は、時に覆される。
もし、実際にハウライトを持っておられるなら、大いに自慢していただきたい。
なぜなら、本物のハウライトは現段階で、容易には入手できない貴重品だからである。
数万する標本も珍しくない。
いったいどういうことか。

実は、ハウライトとして現在流通しているのは、マグネサイト。
見た目はそっくりだが全く違う鉱物である。
どちらも染色が容易く、加工しやすい。
イミテーションの代表格としてきらわれるハウライト・トルコも、マグネサイトを染色したもので、ハウライトやトルコ石とは無関係。
戦後、ハウライトを染色加工した模造品が "亜トルコ石" として流通した名残りなんだそうだ。
ハウライトが次第に入手困難になってきたため、その代用として、安価なマグネサイトが使用されるようになった。

これまでハウライトとされていたビーズやアクセサリーまでもが、イミテーションだったのである。
「真犯人は違うところに隠れていたのね!してやられたわ!」
少しニヤニヤしてしまう衝撃の展開。

先日、大先輩でもあるショップのオーナーさんから、ハウライトを購入した。
この件についてはご存じなかったとのこと、驚きのご様子だった。
さっそく受け取ったのが写真のお品。
つるつるの綺麗なタンブル。
産地はジンバブエ。
ジンバブエからハウライトが出るかどうかを調べていくうちに、ジンバブエ産のマグネサイトにたどりついてしまった。
素人判断で申し訳ないのだが、他の情報と比較・検討した結果、マグネサイトで間違いなさそう。

参考)ハウライトとの混同、類似についての指摘
http://www.purestone.com/index.php?main_page=product_info&products_id=3367

本物のハウライトを確実に手に入れるのであれば、原産地であるアメリカ・カリフォルニア産を探すしかなさそう(→現物と記事はこちら)。
ただしかなり大きく、高価。
今後、加工品も出回るようになるかもしれないので、少し待ってみるのもいいかもしれない。
アメリカ以外にも、カナダから上記のような結晶体として発見される。
カナダ産はダークブラウンの小さな結晶体で、私たちが見慣れたハウライトとは似ても似つかない。

※他にメキシコ、ロシア、トルコなどからも産出がある様子。また、マグネサイトとハウライトが共生して発見されるケースがあるとのこと。(以上、オーナー談)

模造品の問題は深刻だった。
ターコイズ、ラピスラズリのほか、スギライトなどの高価な石が、入荷後に偽物だと判明し、騒ぎが相次いだ。
業者のほうがむしろ大変で、卸元に返品できず在庫を抱えてしまったり、買っていったお客さんに無償で返金を申し出るなど、後始末に追われた。
それが元々なんの石であったかなど、気に留めている余裕すらなかったのかもしれない。
実際に鑑定でハウライトが出たケースは稀だったはず。

オーナーには申し訳ないことをしてしまった。
半ば営業妨害、お世話になった大先輩に対して、やってはいけないことだった。
にも拘らず、オーナーは、私の疑問に対し、さまざまな角度からご見解を示してくださった。
また、ハウライトとマグネサイトの見分け方に関する素晴らしい情報も頂戴している。
さまざまな方のご意見を参照しながら、今後も考察を続けて行きたい。

写真右は、オーナーから譲っていただいた、アメリカ産ターコイズ。
ハウライトは、ホワイト・ターコイズと呼ばれることがある。
これは、現地の先住民に珍重された、滅多に見つかることのない白いターコイズ、つまりハウライトを指しているのだと、どこかで聞いた。
仲良く並ぶこれらの石に、何の罪があろうか。

ビーズなどの販売にあたって、ハウライト=マグネサイトであると明記するショップが増えている。
知名度の都合上、致し方ないのかもしれないが、 "別名マグネサイト" という表記はいかがなものか。
ハウライト/ハウ石 Ca2B5SiO9(OH)5 はケイ酸塩鉱物にして、だいたいカルシウム。
マグネサイト/菱苦土石 MgCO3 のほうは炭酸塩鉱物にして、だいたいマグネシウム。
パワーストーンブーム初期の段階で、既にハウライトは出回っていなかったようなので、見分けがつかないというより、誰もホンモノを見ていないのでわからないということ?


28×20×13mm 10.85g


ご協力いただいた鉱物店オーナー、B様に心より感謝申し上げます。
情報提供有難うございました。

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?