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2013/01/13

メッシーナクォーツ/ピーモンタイト


メッシーナクォーツ
Quartz/w Piemontite
Messina Mine, Limpopo Province, South Africa



希少鉱物ピーモンタイトとヘマタイトのインクルージョンでピンクに染まった水晶。
アジョイトの産地として有名なメッシーナ鉱山から産出するという。
変化に富む結晶形とリチウムクォーツに似た優しい色合いから、欧米のクリスタルヒーラーの間で話題になっている。
この色合いは、リチウムではなくマンガン由来である。

ピーモンタイト(紅簾石)はイタリア原産の希少鉱物で、滅多にみかける機会はない。
本当に入っているのかと、疑いたくもなる。
水晶のインクルージョンに関してはアバウトな印象の否めない欧米のヒーリングストーン業界。
実際、鉱物標本としてはヘマタイトのインクルージョンに因る、としているところもある(多くはヘマタイト及びピーモンタイトを内包するとしている)。
どちらかというとヘマタイトの占める割合が多いのは間違いないはず。
そう思いながら、ピーモンタイトについて調べたところ、大変なことになっている。
南アフリカ産ピーモンタイト(ピーモンタイトシスト)なるパワーストーンが2、3年前から国内でビーズとなって流通しているようなのである。

どうもピーモンタイトの名を聞く機会が増えたと思っていた。
大量に流通しているではないか。
希少石のはずが、パワーストーンに数えられるようになっていたとは知らなかった。
しかし、このメッシーナクォーツと同じものなのだとしたら…
主な成分はヘマタイトということになる。

参考:ピーモンタイト・シリシャスシストとロードナイト
http://jp-ishi.org/?p=545

ロードナイトと混同されて流通しているというピーモンタイト。
ロードナイトにしか見えない。
さらに、ピンクエピドートなるビーズが流通している(解説は緑簾石)。
まるでピンクに染め上げたクォーツァイト。
わけがわからなくなってきた。
メッシーナクォーツに関しては、本文下の写真にあるように、ピンクの色合いは表面付近に集中していて、内部はクリアであることが多い。
加工するとファントム・クォーツになるはずである。
ビーズとなって大量に流通するほど採れるようには見えない。
ピーモンタイトを含むシリシャスシスト(石英を含む片岩)とのことだから、写真の水晶とは異なる岩石が加工にまわされた、もしくは無関係な染色シリシャスシストをピーモンタイトとして販売している…
ピーモンタイトが入っているという保証はない。
参考までに、ピーモンタイトの原石の様子を示しておく。



ピーモンタイト Piemontite
Prabornaz Mine, Saint-Marcel, Piemont, Italy



原産地からのピーモンタイトの標本。
先日の池袋ショーで発掘して参った。
国内で流通しているピンクカラーのピーモンタイトのビーズとは別物である。
ガラス光沢を示す赤紫色の結晶が複雑に入り組むさまは、実に見応えがある。

いっぽう、国内で流通している美しいマット・ピンクのピーモンタイトのビーズ。
中身はほとんどヘマタイトなんじゃないか、という疑問である。
比較的安価なロードナイトとの類似点も気がかりなところ。
まあ、いいか。

原石のほうは、両端の結晶したDTとなっており、変形ファントムonエレスチャルともいえそうな、何とも喩え難い姿をしている。
メッシーナクォーツは大きい上、ポイントが四方八方に飛び出しているなど、随所にみられる奇想天外な結晶構造に度肝を抜かれる。
変わった水晶のお好きな方は要チェック。
表面より染み込んだピーモンタイトによるフルーティなピンクの色合いには、リチウムクォーツとはまた違った魅力を感じる。
メッシーナから産出するアジョイト、及びパパゴアイト入り水晶には、赤い不純物の入ることも多い。
鉄錆びとみなされ、過去には取り除かれていたこともあったという、あの赤いインクルージョン。
時と場合によっては希少石ピーモンタイトが含まれているのかもしれない。
夢は大きく果てしなく、どこまでも。




73×40×28mm  116.5g

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