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2012/02/01

ダイアナイト


ダイアナイト
Dianite/Potassic Richterite

Murunskii Massif, Sakha Republic, Eastern-Siberian Region, Russia



ロシア・サハ共和国から産出するブルージェイド。
シベリアンブルージェイドとも呼ばれている。
その存在が知られ始めた矢先、死去が伝えられたダイアナ元皇太子妃を偲んで、ダイアナイトの名を与えられた。
その美しいブルーの色合いが、青を好んだ彼女をイメージさせるからともいわれている。
鉱物としては、リヒター閃石を主成分とするネフライト・ジェイドの一種で、主に研磨され流通している。
原石の質にはばらつきがある。
こうした深みのあるロイヤル・ブルーの石は稀で、全体的に淡い水色であることが多い。

私がダイアナイトを知ったのはいつだったか。
海外では比較的流通があったが、国内では見かけなかった。
ところが最近になって、日本においてこの石の人気が急上昇しているらしい。
入手困難との声も聞かれる。
この状況には、どうも納得しかねるものがある。
以前ある方がダイアナ元皇太子妃について独特の視点で言及しておられたので、私もここでダイアナイトについて私なりにまとめてみようと思う。

彼女はなぜ石の名となったのだろう。
ダイアナ・スペンサー、ダイアナ元皇太子妃。
彼女は生前多くの問題を抱えた人物だった。
つまり、その人柄を偲ばれるのは当然だが、石の名前になるほどに幸福な人物であったかということ。
誤解を恐れずに言うなら、マイケル・ジャクソンもまた同じ。
二人は生前、スキャンダラスな私生活を取り沙汰され、ともすれば奇行を繰り返す、倫理を犯すなどといった、心無い評価を受けた。
故人を想う気持ちが募り、すべてが美化される。
その扱いのあまりの違いに違和感を覚えることは過去に幾度もあった。
私がダイアナイトに複雑な気持ちを抱くのは、ダイアナ妃についてもまた、そうした違和感を感じずにはいられなかったからだ。

名門・スペンサー家に生まれたダイアナは家庭環境に恵まれず、6歳で両親の離婚を経験している。
20歳でチャールズ皇太子と結婚し、イギリス王室に入るものの、結婚生活は思うようにいかなかった。
人一倍愛を求めていた彼女にとって、過酷としかいえない状況が続いた。
お互いに不倫に走った結果、二人は1996年に離婚という結末を迎えた。
その間、彼女は摂食障害に悩まされ、自殺未遂を繰り返したとされている。
離婚後、ダイアナ妃が熱心に慈善活動に関わったのは有名なエピソードであるが、愛に飢えた満たされないその心が彼女の原動力となっていたという説には共感せざるを得ない。
ダイアナ妃の生涯に、男性の噂が絶えなかったこと、それらは公人として許されるとはいえない内容であったこと、葛藤と苦しみ、自傷行為、そしてプライバシーのない生活。
心身ともに追い詰められた末に起きた事故。

彼女は幸せだったろうか。
彼女の心は常に安らぎに満ち、輝いていたといえるだろうか。
彼女の愛と苦難に満ちた波乱の人生を、この石をもって称えることは、彼女への哀悼の念にふさわしい。
しかしそのいっぽうで、彼女の抱えていた心の闇をも美化するのは、ややもすれば残酷なことと思えてならないのである。

1997年、わずか36歳でこの世を去ったダイアナ元皇太子妃。
世界中の人々が、彼女の死を悼み、冥福を祈った。

-We'll always love you Princess Diana, we'll never forget you.

『私たちはあなたのことを、忘れないだろう。あなたの深い愛は我々の心の中で永遠となった。あなたは輝ける星となり、我々を照らし続ける。』(世界の声より)


22×11×5mm  16.55ct

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