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2012/10/23

スコロライト


スコロライト
Scorolite Quartz
Aracuai, Minas Gerias, Brazil



秋の京都ミネラルショー初日。
私は宝石ブースで、想定外の事態に頭を抱えていた。
その日買い物をする予定はなく、財布には交通費しか入っていなかった。
にも関わらず、かねてから気になっていた石が目の前に輝いているのである。

ピンクファイヤーアメジストとされるその石は、以前ネットで見かけて気になっていたスコロライトそのものであった。
写真で見ると、オパライト(オパレッセンスの現れるアクリル製ビーズ)そっくり。
人工石を疑ってしまう。
しかし、現物を見た限り、天然のクォーツに間違いない。
なめらかで神秘的なミルキーパープルの色合い。
角度を変えるとピンクやオレンジのファイアが煌くさまは、ピンクファイヤークォーツとはまた違った、新たな宝石の可能性を感じさせた。
ただ、その場でスコロライトの名が出てこなかった。
新しい宝石の名称が安定するには時間がかかる。
両者が同じものかどうか訊ねようにも、スリランカ人である店主に日本の宝石事情を伝えるのは不可能であった。

店主の話では、産地はブラジルのミナス・ジェライス州。
ブルートパーズの産地として知られるアラスアイから、わずかに発見されたという(追記あり)。
ファイアがよく見えるよう大きめにカットしてあるとのお話であった。
写真では到底味わえない驚きが詰まっている。
特に水晶を集めているわけではないが、これは外せない。
しかしながら、財布には千円札と、両替できないまま残っていた100ドル札がそれぞれ一枚のみ。
祝日でATMは閉まっている。
店主さんはドル札でも構わないと仰り、おつりは日本円で出してくださった。
熱心な仏教徒である彼の温かな心に触れ、美しい宝石以上に価値ある時間を過ごせたことに、心から感謝している。

帰宅後、調べてみた。
ピンクファイヤーアメジストとスコロライトは、同じものであると思われる。
同じように宝石にカットされたものが高額で販売されている。
いっぽう、小さなビーズとなって流通しているケースも数多くみられた。
ルースや原石であれば外観や重みでその真偽はある程度わかるが、小さなビーズの場合、それがオパライト等の人工物であっても判別できない。
事実、海外ではスコロライトに対する激しい論争も起きているようである。
人工石だと明言しているところさえある。
かつてヒマラヤブルームーンクォーツを知ったとき、私が真っ先に原石を探したのは、そうした理由からだった。

採れる量はわずかだというから、スコロライトの名にあやかって人工石を流したところもあったのだろうと推測している。
このルースに関しては、天然水晶に間違いない。
ただし、ヒーリングストーンとして流通しているビーズについては、リスクが伴うといわざるを得ない。
本来見えるはずのファイヤを確認するのも難しいだろう。
ブルーやパープル、ピンク、オレンジなどさまざまな色合いを楽しめる興味深い宝石、スコロライト。
実際に手にとって、その美しさを確認してからの購入をお薦めしたい。
自分で言うのもなんだが、写真ではオパライトにしか見えない。


16×12mm  8.46ct


追記:この石が、2度にわたるアメジストの加熱によって得られるものであるとの貴重な情報をいただきました。確かに、一見ローズクォーツ。アメジストに分類されるのは奇妙です。人工石ではありませんが、処理石を前提に購入し、その美しさを楽しむべきものといえます。こちらのカット石は3,500円での購入ですが、販売価格がこれを大幅に上回る場合は注意が必要です。また、不透明な白は失敗作とのこと。

以上、石をこよなく愛するKさまからアドバイスいただきました。本文に訂正を加えず、ここで注意を喚起したいと思います。また、海外で問題になっている人工石についても、混在の可能性が考えられますので、十分に警戒なさってください。Kさま、いつもありがとうございます!



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