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2011/11/19

ジョウハチドーライト


ジョウハチドーライト
Johachidolite
Pyan Gyi Mine, Sagaing, Mandalay Division, Myanmar



北朝鮮から発見された、究極のレアストーンをご存知だろうか。
その名もジョウハチドーライト(ジョーハチドーライト/上八洞石)。
世界を仰天させ続ける北朝鮮は、鉱物の世界でも世界を仰天させていたのである。

北朝鮮の上八洞にて最初に発見されたのがネーミングの由来。
その名前から日本原産の鉱物かと思い込んでいたが、発見したのが日本人研究者だったため、日本語読みになっているとのこと。
世界各地から様々な鉱物が発見されているが、朝鮮半島といえば、有名なのは韓国のアメジストくらいで、北朝鮮の鉱物など未知の領域。
こちらの標本も北朝鮮産ではなくミャンマー産。
北朝鮮は、希産鉱物の宝庫、ロシア・ダルネゴルスクから500キロほどの位置にある。
何か面白い石が出てきてもおかしくない気はするが、将軍様は鉱物より爆弾や怪獣のほうがお好き(だった?)らしいから、資源として認識される程度なのかも。

ジョウハチドーライトの発見は1942年。
まさに大東亜戦争のさなか、北朝鮮は日本の支配下にあり、多くの日本人が北朝鮮に渡っていた。
現地を調査していた岩瀬さんと斉藤さんが、ジョウハチドーライトをたまたま発見。
戦後、その存在は半ば忘れられていたようだが、1999年にミャンマーから同じものが産出することが明らかになったという。

※戦争についてはサッパリなので、wikipediaをご参照ください。

長らく幻の鉱物として崇拝されていたジョウハチドーライト、2008年頃から流通が増え、レアストーンハンターたちの間で専ら話題となった。
カットされてコレクション用の宝石として流通しているほか、写真のような原石も比較的安価で入手可能。
なお、発見時は白い粒状だったとのこと。
ミャンマー産は無色透明~オレンジと、色合いに幅がある。
こちらは、鮮やかなオレンジのジョウハチドーライトに、褐色のマイカと紫のハックマナイトが彩りを添える豪華な標本。
透明感あふれる美しい結晶で、鑑賞にも十分耐えるクオリティだと思う。

ミャンマーではコンドロライトであると誤解され、存在は知られていたものの、長い間誰も気づかなかったらしい。
見た目はコンドロライトそのもの。
どちらも希少石に変わりないので、これ以上は触れない。

ミャンマーは宝石の国。
産地付近は希少石が多く産出することで知られ、宝石の採掘もさかんである。
それが幸いしてか、北朝鮮の幻のレアストーンは、伝説のまま消えることなく今に至っているのである。
まさに鉱物界のプルガサリ。
遥かなる北朝鮮の風を(ミャンマー経由で)感じていただきたい。


30×23×21mm  14.98g

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What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?