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2012/02/18

ストロベリークォーツ(& チェリークォーツ)


ストロベリークォーツ
Strawberry Quartz
Djezkazgan, Bektau Hills, Chemkent, Kazakhstan



盛り盛りいちご。
ストロベリークォーツと呼ばれる水晶は数あれど、元祖ストロベリークォーツといったらこれ。
カザフスタン産出のこのクラスターは、いちご女王の座に君臨して久しい。
その希少性、美しさから、収集家にとっては憧れの存在となっている。
赤い色合いは、水晶に内包されたゲーサイト(針鉄鉱)による発色とされる。
切断して研磨すると、中央に向かって赤~白のグラデーションとなっていることが多く、まるで本物のいちごのよう。

少し前までは数万もの貴重品だった。
幾度となく見かけたが、購入は後にも先にも一つだけと決め、見送っていた。
念願のストロベリークォーツをようやく手に入れたのは、昨年の終わり。
五千円まで下がっていたので、決断に踏み切った。

カザフスタン産ストロベリークォーツは、先端にかけてスモーキーの色合いが入っていることがある。
まるで、少しいたんだいちご。
果物は新鮮がよろしい。
写真ではやや赤みが強く映っているが、現物は素朴な色合い。
研磨し樹脂でコーティングして外観を整えた標本が、これまでの主流だった。
昨今の原石標本は未加工品に価値を置かれているよう。
美しく自然でとてもいい。
ダメージのある個所もみられるが、気にならない程度。
むしろ険しい道のりをよく耐えたものだ。

ストロベリークォーツはカザフスタンの標高四千メートルもの山岳地帯から産出するという。
採掘には困難が伴い、険しい山道を経て、馬を使い街まで運ばれているそうだ。
立ち入れるシーズンは限られているとのこと。
現地の情勢は決して良好とはいえず、採掘がいつ中断されてもおかしくない状況ともいわれている。

ストロベリークォーツと呼ばれる水晶は他にも存在する。
ブラジルやマダガスカルなどから産する、ハーレークインクォーツ、ファイヤークォーツと呼ばれる水晶がそう。
外観と価格で判断できるから、一通り見て目を鍛えておこう。
時にはクォーツと呼べないものも混ざっている。
アヴェンチュリン(クォーツァイト/岩石)やマスコバイト(雲母)、中国製のチェリークォーツ(グラスビーズ)などがストロベリークォーツとして流通している。

中でもチェリークォーツは呪われた石。
というのも当初、チェリークォーツが天然石として紹介されたために、誰もがそれを信じてしまったのだ。
「美しいチェリーピンクの水晶」はすぐに注目を浴び、高い人気を得た。
その正体が明らかになったとき、誰もが唖然とした。
チェリークォーツを取り扱った多くの業者が損害を受け、廃業する者も少なくなかった。
当時の在庫は未ださばけておらず、グラスビーズとして二束三文で流通している。
天然石と明記している場合はお店の人に聞いてみよう。

日本に偽物が集中するのには訳がある。
たぶん仏教国だからだろう、数珠が大いに好まれるのである。
石がビーズに加工される場合、専門家でも真偽の見分けは難しい。
原石を見れば一目瞭然なのに、原形をとどめていないのだから。
男女問わず数珠に走るのが不思議でならない。
ビーズに本物を求めるなど、滅茶苦茶だ。
宝石と異なり、すべてを鑑定することができない(サンプルのみの鑑定になる)から、リスクは高まる。
あなたのそのブレスがカザフスタン産のストロベリークォーツで作られたものなら、べらぼうに高かったはず。
ゆえに、より一層のご利益が期待できる。
信じる者は救われる。
ストロベリークォーツは、チェリークォーツの被害に遭われた犠牲者への祈りを捧げるにふさわしいパワーストーンであるといえよう。


40×35×22mm  33.68g

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