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2012/07/15

パライバクォーツ


パライバクォーツ
Medusa Quartz (aka Paraiba Quartz)
with Gilalite Inclusions
Juazeirio Do Norte, Ceara, Brazil



涼しげなミントブルーが美しい。
水晶にギラライト(ジラライト/ギラ石/ジラ石)という鉱物が入り込み、明るい水色に染まっている。
2005年にブラジルのパライバ州で発見され、その色合いがパライバトルマリンを思わせることから、一般に "パライバクォーツ" と呼ばれる水晶である。
原石には不純物の混在が認められることが大半。
そのため、ギラライトの様子がよく見えるよう、カットされて流通している。
発見されたのは全部で10kgほど、既に枯渇している。
全盛期には仰天価格を更新し続けたこの石、質の低下により一気に値を下げ、身近な存在となった。

ギラライトは1980年にアリゾナ州で発見された非常に珍しい鉱物。
日本語表記はまちまちで "ギラ" とするか "ジラ" とするかは人によって異なる。
この水晶に関しても、「ギラライト・イン・クォーツ」「ジラ石入り水晶」といった複数の呼びが存在するため、混乱を招いている。
希産鉱物ならではの扱いの難しさというべきだろうか。
宝石としては「メデューサクォーツ」が正式名称とされる。
パライバトルマリンとの混同・誤解を招くという懸念から、米国宝石学会GIAによって設定された。
もし、見た者を石に変えてしまうという怖ろしい怪物・メデューサを思い浮かべた方がおられたら、安心してほしい。
ここで使われるメデューサとは、クラゲのこと。
水晶に浮遊するギラライトが "Medusas Rondeau" というクラゲを想起させるのが名前の由来だという。

ギラライトの呼び名がかえって混乱を招くこと、メデューサクォーツの名は国内では一般的ではないことを踏まえ、ここでは日本での主な通称であるパライバクォーツの名で統一させていただこうと思う。

パライバクォーツにもいろいろある。
一般には、青や緑のボール状に結晶したギラライトの浮かぶ透明水晶を指して使われる。
メデューサクォーツの名の由来となった、クラゲが浮遊するかのような幻想的な光景は、世界中の愛好家を熱狂させた。
いっぽう、写真のようにギラライトを多く含み、パイナップルのような針状の模様が並ぶ石も稀に存在する。
初期に僅かに流通したタイプで、一目で気に入って購入した。
私が鉱物に興味を持ったのが、まさにパライバクォーツの全盛期。
規則的なパターンが規則的に繰り返されるさまは、パライバトルマリンとはまた違った面白さがある。
今調べたら、過去に最も貴重とされたのはこのタイプらしい。
現在は、透明水晶に水玉の浮かぶ石がベストとされている。
なお、上記の特徴を持たず、水晶全体または一部が水色に染まり不純物を伴う場合、宝石とは認められず、カットされることもない。

パライバトルマリンの発見されたパライバ州から見つかったというエピソードは実に面白い。
数個の水玉が浮かぶ程度では、パライバカラーには見えない。
かといって不純物だらけでは美しくない。
つまり、パライバクォーツの命名に関わったのはこのタイプで、産出の激減に伴い一般的となったクラゲタイプに因み、メデューサクォーツの名で定着したのではないかと勝手に考えている。

参考:無理やり感が否定できないパライバクォーツのブレスレット
http://www.hs-tao.com/cart/shop/shop.cgi?No=5771

すごいブレスだ。
アジョイトと言われてもわからない。
ここまで根性を見せ付けられると、圧迫感すら感じてしまう。
手にされるのはどんな方だろう。
ある意味究極のレアアイテム。
やがて消えゆく運命にあるこの石が存在した記録として、いつまでもそこで輝いていてほしい傑作である。


17×8×3mm  4.53ct

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