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2012/06/26

カイヤナイト/ガーネット/バイオタイト


カイヤナイト・ガーネット・バイオタイト
Kyanite–Garnet–Biotite
Khit Ostrov, Karelia Republic, Russia



カイヤナイトの藍色の結晶に、バイオタイト(黒雲母)、ピンクのアルマンディンガーネットのキラキラの粒がちりばめられた表情豊かな標本。
白い石英が三つの色合いを引き立てている。
宝石質のカイヤナイトとしては、ネパール産に匹敵する美しさ。
色合いはより深く、味わいがある。
ガーネットの色彩や透明感、バイトタイトの漆のような光沢、雪のように真っ白な石英など、見どころが満載となっている。
話題のシュンガイトと同じ、カレリア共和国からの産出とのこと。

カイヤナイトと共生して発見される鉱物といえばルビー。
タンザニア産のルビー・イン・カイヤナイトは、これまでパワーストーンの定番商品だったルビー・イン・ゾイサイドを圧倒する人気ぶり。
カイヤナイトの深い青とルビーの赤い輝きの美しさは驚きに満ちていた。
ロシアからのカイヤナイト・ガーネット・バイオタイトはそれにまさる素晴らしさ。
鉱物標本として、またヒーリングストーンとしても密かな人気があるようだ。
新しく発見された鉱物というわけではなく、以前から流通はあり、むしろ減ってきているようである。
価格としてはブラジル産の水色のカイヤナイトと変わらない。
もっと注目されてもよさそうな気がする。

見どころはやはり、深い藍色の煌きを持つシャープなカイヤナイトの結晶。
透明感、ガラス光沢などの見られるノンダメージの二つの結晶が、バイオタイトと石英をまっすぐに貫いているのがわかる。
ロシアのカイヤナイトは神々しい。




70×27×18mm  45.78g

2012/04/14

レインボーガーネット


レインボーガーネット
Rainbow Garnet
奈良県吉野郡天川村 行者還岳



日本が誇るレアストーン、奈良県吉野郡天川村産のレインボーガーネット。
その名の通りメラメラと輝く虹色のイリデッセンスを特徴とし、角度によってさまざまな表情をみせる。
鉱物学上は、アンドラダイトの変種とされる。

レインボーガーネットは、2005年9月、付近を探索していた鉱物愛好家のグループによって発見された。
虹色のイリデッセンスを示す、いわゆる "レインボーガーネット" が最初に発見されたのは1943年、米・ネバダ州。
その後メキシコのソノーラで僅かに発見されているが、限られた人しか手にすることのない幻の宝石であった。
ここ日本で質の高いレインボーガーネットがまとまって産出したのは、歴史的に重大な出来事であった。
噂を聞きつけた愛好家やお宝ハンター、ジャーナリストや近所の人まで押しかけ、我こそはと掘りつくした結果、産地は燦々たる状況に。
現在この一帯の採掘は禁止されている。
その後世界各国でその存在は確認されているものの、質は安定せず、産出も僅かな量にすぎない。
教科書に載るレインボーガーネットの概要はここまで。

さて、先ほど登場した「鉱物愛好家のグループ」であるが、実際はお2人のはず。
発見者は、Sさんという。
鉱物が好きな方なら、一度はファンレターを送られたことと思う。
私が初めて手にしたレインボー・ガーネットは、Sさんご本人から譲っていただいたもの。
光り輝くレインボーガーネットの原石が袋からゴロゴロ出てきたときの興奮を、今でも覚えている(本文下の画像、右側)。

発見から一年あまり。
Sさんはまさに旬の人でありながら、ミネラルハンティングに余念が無く、日々山へ入る生活を続けておられた。
お姿を拝見したことはない。
熱心で飾らない、若手鉱物収集家のカリスマにして、さわやかな草食系男子に違いないものと思われた。
併せて発見されたという、より激しい虹の閃光を放つガーネット「スーパーレインボーガーネット」の名は、Sさんがノリノリで思いついたネーミングだと聞いている。
国内では正式に使われている呼称であるからして、見かけるたびに笑ってしまう。
現在、Sさんは商売のほうに熱心に取り組まれている様子。
お変わりないことを願いたい。

枯渇してのち、高騰を続け、レインボーガーネットの希少価値が増している現在も、Sさんご本人の素性や功績が大々的に取り上げられることはない。
少し違和感はある。
なお、2009年発見のネオンレインボーガーネットも奈良県からの産出であるが、私はこの頃鉱物の世界を離れており、詳しいことはわからない。

随所で発見されているとはいえ、レインボーガーネットとして世界的に認知されているのは我らが奈良県産。
全国的に地味な存在であった奈良県(当家先祖代々生誕の地)を伝説に変え、誕生石としては微妙な存在であったガーネット(私の誕生石)を日本の誇りへと昇格させたSさんの功績は、大きい。
レインボーガーネットをいっときのブームとして扱う向きがあるのは残念なこと。
私情を挟むべきではないといいたくなる。

ガーネットは、積み重ねてきた努力を実らせるとされる鉱物。
周囲の人々からの信頼や友情、愛情を得て、成功を勝ち取ることができるよう、力になってくれるといわれている。




約10mm前後

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?