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2012/08/08

紫金石(ゴールドストーン)


紫金石 Purple Goldstone
found in Iran



天然石ビーズに価値がおかれる風潮の中、人工物はあまり好まれない。
もともと、宝石やビーズは人の手でつくられることも多かった。
子供の頃はお小遣いがなかったから、おつかいのご褒美に得たおつりを貯めて、手芸店でビーズを買っては、その色合いを楽しんでいた。
グラスビーズをワイヤーで編んで、よく小物を作ったものだ。
色が足りないから作れない、だから大人になったらあらゆる色を揃えたい。
そんな子供だった。
世界中の天然石を用いたビーズが手に入ることになるなど、想像もつかなかった。
しかしながら、天然石ブームに乗じて、安価な人工石が不当な価値を与えられ、天然石として流通した。
これを危惧した人々の良心のおかげで、我々は正しい知識のもと、石と接することができるようになった。

天然石とされ市場に混乱を招いた石のひとつに、紫金石(パープル・ゴールドストーン、アヴェンチュリンガラス)がある。
茶金石もそれに同じ。
微細な銅の反射により、宇宙のような光景が広がる美しい石である。
パープルの場合はコバルトまたはマンガンに因る発色で、いずれもガラスと銅などの金属を高熱で溶かし、特殊な技術を用いて造られている。
今やそれが人工ガラスであることは誰もが知るところであるが、かつてはチェリークォーツのように天然石として販売されていた。
そのため、現在は避けられる傾向にある。

プロフィールにも記したが、私が初めて石と出会ったとき、気に入って購入したのはこの紫金石であった。
というのも、石に対する知識が全くなかったのだ。
友人に電話で石の名前を訊ねてアメジストではないかと言われ、長い間アメジストだと信じていたほどである。
興味がなかったわけではない。
改めて告白すると、私は幼少期から、いわゆるスピリチュアリズムに興味があった。
大人になるにつれて、世界中でそうした概念が都合よく解釈されていることを知る。
神秘主義や霊的能力を悪用し、人々を苦しめ死に至らせた人々がいることを知る。
絶望した。
だから、私はそれを封印した。
ニューエイジの人々がクリスタルを愛でていることは、学生時代から知っていた。
あえて近づかなかったのは、私を育ててくれた祖父が水石の収集家だったから。
幼い頃、祖父が石を磨く姿に憧れて、その様子を眺めていた。
祖父は私が14歳のとき亡くなった。
祖父が愛したライカのカメラは売却され、価値の無いものとみなされた石だけが残った。
私は石には関わらないと心に決めたのはその頃だ。

それから何年も経ったある日、道端で倒れていた私を助けてくださった女性が、私を石の世界へ導いてくださった。
アジアをウロウロするバックパッカー(→詳細はこちら)だった私が就職し、真面目に生きようと考えていた矢先、事件に巻き込まれた。
私は何もかもを失った。
かつて出合ったインドの神々は嘘だったものと絶望した。
その女性は神を信じていた。
ところが、鉱物標本店を営む彼女の旦那様は、神など信じていないようにみえた。
アメジストはどんな石なのですか?
ワクワクしながらそう聞いたら「鉄イオンが関連した…」という非常に適切なお答えが返ってきた。
祖父を思い出した。
私は失った宝物の代わりに、この人物から鉱物の世界を学ぼう!と決意した。

しかしながら、当時はよくわからなかったので、紫金石を購入して帰った。
結果的に鉱物が好きになりすぎてしまうのだが、もともと凝り性なので仕方ない。
最近になって社長から聞いたのだが、夫妻は私が自殺を図ろうとしているものと思って、お忙しい中、私を助けてくださったということであった。

ゴールドストーンは、17世紀にヴェネツィアで開発された宝石である。
現在もヴィンテージの宝飾品が高額で取引されている。
修道院において、或いは錬金術師が偶然に発見した、というのは事実ではないとされている。
中国や香港で量産されたために、どれも同じに見えるが、実は品質にも差異があり、ヴィンテージの紫金石と比較すればその差は明らかである。

近年注目されているアヴェンチュレッセンス(→わかりやすい例)の名は、紫金石の輝きから来ているという。
写真はアンティークの紫金石で、イランで発見されたもの。
イスラム教の儀式に用いられたとされる。
もともとヨーロッパで造られたものかもしれないが、年代など詳細についてはわからない。
既存のガラスを溶かして再利用してしまうケースもあり、質は落ちている。
ブログに記すことはおそらくないだろうと思っていたが、思うところあって、ご紹介させていただく。
この石には、古くから人々を魅了してきた宇宙がある。





最後に、日本のパワーストーン業界における正しい知識と意識の拡散に貢献された、KURO@VOIDさまにお礼を申し上げ、今後の活躍をお祈りするとともに、私の誤解や間違いを正してくださったことに感謝を込めて、勝手ながらリンクをご紹介させていたきます。
恥ずかしながら、ようやく紫金石の正体を知ったのは、氏のブログにおける記事でした。
なお、KUROさんは自分にとって大先輩にあたり、立場は全く異なること、氏は私のブログをご存じないこと、また私自身、現在は拝見するのを控えていることを何卒ご理解、ご了承願います。
KUROさんの今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。


http://voidmark.fc2web.com/


直径40mm  82.36g

2012/02/18

ストロベリークォーツ(& チェリークォーツ)


ストロベリークォーツ
Strawberry Quartz
Djezkazgan, Bektau Hills, Chemkent, Kazakhstan



盛り盛りいちご。
ストロベリークォーツと呼ばれる水晶は数あれど、元祖ストロベリークォーツといったらこれ。
カザフスタン産出のこのクラスターは、いちご女王の座に君臨して久しい。
その希少性、美しさから、収集家にとっては憧れの存在となっている。
赤い色合いは、水晶に内包されたゲーサイト(針鉄鉱)による発色とされる。
切断して研磨すると、中央に向かって赤~白のグラデーションとなっていることが多く、まるで本物のいちごのよう。

少し前までは数万もの貴重品だった。
幾度となく見かけたが、購入は後にも先にも一つだけと決め、見送っていた。
念願のストロベリークォーツをようやく手に入れたのは、昨年の終わり。
五千円まで下がっていたので、決断に踏み切った。

カザフスタン産ストロベリークォーツは、先端にかけてスモーキーの色合いが入っていることがある。
まるで、少しいたんだいちご。
果物は新鮮がよろしい。
写真ではやや赤みが強く映っているが、現物は素朴な色合い。
研磨し樹脂でコーティングして外観を整えた標本が、これまでの主流だった。
昨今の原石標本は未加工品に価値を置かれているよう。
美しく自然でとてもいい。
ダメージのある個所もみられるが、気にならない程度。
むしろ険しい道のりをよく耐えたものだ。

ストロベリークォーツはカザフスタンの標高四千メートルもの山岳地帯から産出するという。
採掘には困難が伴い、険しい山道を経て、馬を使い街まで運ばれているそうだ。
立ち入れるシーズンは限られているとのこと。
現地の情勢は決して良好とはいえず、採掘がいつ中断されてもおかしくない状況ともいわれている。

ストロベリークォーツと呼ばれる水晶は他にも存在する。
ブラジルやマダガスカルなどから産する、ハーレークインクォーツ、ファイヤークォーツと呼ばれる水晶がそう。
外観と価格で判断できるから、一通り見て目を鍛えておこう。
時にはクォーツと呼べないものも混ざっている。
アヴェンチュリン(クォーツァイト/岩石)やマスコバイト(雲母)、中国製のチェリークォーツ(グラスビーズ)などがストロベリークォーツとして流通している。

中でもチェリークォーツは呪われた石。
というのも当初、チェリークォーツが天然石として紹介されたために、誰もがそれを信じてしまったのだ。
「美しいチェリーピンクの水晶」はすぐに注目を浴び、高い人気を得た。
その正体が明らかになったとき、誰もが唖然とした。
チェリークォーツを取り扱った多くの業者が損害を受け、廃業する者も少なくなかった。
当時の在庫は未ださばけておらず、グラスビーズとして二束三文で流通している。
天然石と明記している場合はお店の人に聞いてみよう。

日本に偽物が集中するのには訳がある。
たぶん仏教国だからだろう、数珠が大いに好まれるのである。
石がビーズに加工される場合、専門家でも真偽の見分けは難しい。
原石を見れば一目瞭然なのに、原形をとどめていないのだから。
男女問わず数珠に走るのが不思議でならない。
ビーズに本物を求めるなど、滅茶苦茶だ。
宝石と異なり、すべてを鑑定することができない(サンプルのみの鑑定になる)から、リスクは高まる。
あなたのそのブレスがカザフスタン産のストロベリークォーツで作られたものなら、べらぼうに高かったはず。
ゆえに、より一層のご利益が期待できる。
信じる者は救われる。
ストロベリークォーツは、チェリークォーツの被害に遭われた犠牲者への祈りを捧げるにふさわしいパワーストーンであるといえよう。


40×35×22mm  33.68g

2011/11/05

モルダバイト


モルダバイト Moldavite
Moldau River Valley, Czech Republic



もはや知らない人はいないだろう。
パワーストーンとして、ヒーリングストーンとして、レアストーンとして、誰もが一度は憧れ、手にしたことがあるはず。
隕石の衝突に伴って生み出されるインパクトグラス(テクタイト)。
その存在価値を世に広めたきっかけが、モルダバイトだと思っている。

モルダバイトは、約1500万年前にドイツに落下した、リース隕石の衝突に伴って生成されたインパクトグラス。
1836年に命名された当時は、隕石だと思われていた。
インパクトグラスの大半は黒く不透明な塊。
透明感に富み、美しい深緑を示すモルダバイトは文字通り異色の存在であった。
ニューエイジ方面から火がつき、世界中から注目されることとなった。

私が石に目覚めたとき、既にモルダバイトは人気商品として定着しつつあった。
かなり初期の段階で偽物が出回っていることを知り、驚いた記憶がある。
モルダバイトはいわば天然ガラス。
人工的に作るのは実に簡単なことだった。
特にカットストーンやビーズ。
以前から微妙な色合いのモルダバイトをよく見かけたが、今ほど高くはなかった。
モルダバイトの市場価格は上がるいっぽう。
産出が激減し、今後十年以内に枯渇するともいわれている。

ここで、意外に焦点の当たらないモルダバイトの原石について取り上げてみたい。
写真は手持ちのモルダバイト。
どれが一番お好きだろうか。
大きさでいえば、左上が一番。
形のユニークさでいえば右上か。
右下は可も不可もなく、ゴーヤっぽいといったところ。

実はこの3つの原石のうち、一番良しとされるのは、実は右下のゴーヤ。
流れるような模様が立体感をなしているものは、概ね好まれる。
右上の筒状の原石も面白いが、意外に評価は普通。
左上は加工用。
シダのような模様が放射状に広がり、あたかも花のようにみえるモルダバイトは、「フラワーバースト」と呼ばれ、希少価値が付く。
博物館級と称される最高級品だ。

加工してしまえば、元の形など無関係。
ビーズのクオリティよりもわかりやすく、かつ入手困難なモルダバイトの原石たち。
この機会に探してみてはいかがだろう。
もう時間がないから、お早めに。


39×30×8mm(最大) 18.64g

2011/07/27

ウランガラス


ウランガラス Uranium Glass
Čechy, Czech Republic


 
微量(0.1%ほど)のウランを混ぜて作られたガラス。
ブラックライトなどを用いて紫外線を照射すると、蛍光する性質を持つ。
1800年代初期にボヘミアで開発され、アンティークの工芸品やアクセサリーなどにその姿を見ることができるほか、現在でも僅かに生産されている。

鉱物ではないのだが、ウラン繋がりということで、鉱物収集家の間でも人気がある。
ヴィンテージのウランガラス(ウラングラス)をコレクションに加える人は少なからずいる。
写真のようにビーズという形で流通しているものをアクセにする人もいる。
いわば知る人ぞ知るといった存在であった。
そんなウランガラスが今、にわかに脚光を浴びているという。

2011年3月11日、福島県において発生した深刻な原子力発電所事故。
それに伴い、放射能対策グッズが売れているそうだ。

放射能を防ぐパワーストーンなるものも登場した。
興味深いのは、モリオン(黒水晶)が放射能を防ぐという説。
長い間地中の放射線に晒され、真っ黒になってしまった水晶である。
ウラン鉱脈の近くで採れることも珍しくないのだから、むしろ縁起が悪いような気がする。
そして、ウランガラスが、放射能をもって放射能を制するという説。
人体に影響はないものの、ウランガラスに放射性物質が含まれているのは確かであり、粗悪なものは劣化ウランを用いて作るとかいう噂であるからして、実に奇妙な話である。

気になって調べてみた。
比較的知名度のあるクリスタルヒーラーが、原発事故をきっかけにウランガラスを取り上げた。
微量の放射線が人体に良好であることがそのパワーの理由だというが、今や大気中に大量の放射性物質が存在しているわけで、持っていてもいなくてもあまり関係なさそうである。
ウランガラスのホルミシス効果、というものらしい。
プラシーボ効果、ともいえそうだ。

このクリスタルヒーラーは、過去にお世話になった方でもあるので、文句は言いたくない。
ただ、この方の提唱したウランガラスの効果が、さまざまなサイトでコピペされ、過大解釈された上で、放射能対策グッズとして不当な価格で販売されていたため、ご本人にそれをお伝えした。
大変お怒りの様子であった。
私も怒っている。

目に余るサイトに関しては、本文に訂正が加えられていたので、関係者から何らかの注意が行ったのではないかと思われる。
コピペの主は、自称霊能力者ということだった。
このようにヒーラーや能力者を名乗る人が増えているのは、アセンション(来年あたり、人類が選別され、霊的に優れた者だけが残るという)が迫っている影響であろうが、自分だけが助かりたいという点では原発事故と変わらない。

どうか、目を覚ましていただきたい。
起きてしまったことは、どうしようもない。
いてもたってもいられないなら仕方ない。あくまで事故を現実として受け入れた上で、意味のある行動をしていただきたいと思っている。


ブラックライト下にて


今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?