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2012/08/30

ブラックマトリックスオパール


ホンデュラス マトリックス オパール
Honduran Matrix Opal
Erandique Region, Honduras



このところ頻繁にみかける石がある。
ホンデュラス・マトリックスオパール(ブラックマトリックスオパール)という、なんとも強烈な名前がついている。
写真はそのカット品。
黒い地に虹色の輝きが炎のように浮かぶさまは、世界的に一定の傾向を示すオパールの中にあって、一見珍しく思える。

オパールは遊色(多彩な輝きが浮かんでみえる様子)の有無によって二つに分類される。
遊色のみられるオパールを一般にプレシャスオパール、遊色のないオパールをコモンオパールと呼んでいる。
コモンオパールの代表的な例としては、ペルーのピンクオパールやオレゴンのブルーオパールなど。
これらがパワーストーンとして親しまれているのは、原価が安いためである。
宝石としては専ら遊色のみられるオパールが好まれ、中でも赤やオレンジの遊色が浮かぶものは最も価値が高いとされている。
これはどうも赤が入っている…から高級品なのかもしれない。
だが実際のところ、非常に安かった。
先日参考までに購入した。

ホンデュラスの名は、南米にあるホンジュラス共和国(正式にはホンジュラスの表記が正しいらしい)からこのオパールが産出することに由来するという。
全く聞いたことがない国である。
実際、アフリカと混同している人も見受けられる。
調べてみたが南米のどこかにあるらしいこと、「バナナ共和国」と揶揄されていることくらいしかわからない。
折角、鉱物で世界一周しているのに、こんなレアな国を素通りしてしまうとは残念である。
国名が付くことで誤解を受けそうな国としては、他にリヒテンシュタインが挙げられよう。
リヒテンシュタインからの若い観光客が、たまたま当時お手伝いしていたお店に寄ってくださったことがある。
その時はいったい何を意味するのか判らず、申し訳ないことをしてしまった(バンドをやっている人かと思った。たぶんノイバウテンとごっちゃになっている)。
特に違和感のない普遍的なイケメンであった。
世界は広い。

さて、ホンジュラスに戻ろう。
どうやらこのホンデュラス・マトリックスオパール、加工して作られるものらしい。
もともとブラウンであった母岩を、人工的に黒い色合いに変え、樹脂加工をもって輝きを安定させているようである。
オパールをアクセサリーにする場合、樹脂加工で強度を高める必要があるから、とりたてて騒ぐ必要はない。
ホンデュラス・マトリックス・オパールの真相に関しては、世界中で激しい論争が展開されている。
地の色をブラウンからブラックに改良していることが問題ということのようだ。
砂糖を加えて加熱する、とある。
加工前のマトリックスオパールを見た感じ、特に黒くする必要性は感じない。
ホンジュラスの人々が何ゆえ砂糖にこだわるのかについては、よくわからない。

オパールというと、高価な宝石というイメージがある。
実際に価値あるものは非常に高額になる。
大きさにもよるが、ホンデュラス・マトリックスオパールの相場は、遊色のないコモンオパールと同程度。
原価を考慮するとビーズになる可能性もあるとみて調べたら、既にビーズになって流通していた。
国内ではブラックマトリックスオパールと呼ばれており、気づかなかった(本来はオーストラリア産)。
どうも大量に出回っている。
ブラックマトリックスオパールについては、未加工の状態である旨明記され、紹介しているところが圧倒的。
天然オパールという鑑別を出している鑑定機関もある。
ここは確かギベオン隕石においても不可解な鑑定結果が出ていたのだが、大丈夫なんだろうか。

参考:鑑別書、鑑定書、保証書の違いとオパールへの適用について
http://www.gemstory.com/howtoPart2.html

つまり、鑑別書からは、石の名前(と、処理の有無を書くべきであり、パワーストーンに関しては書かなくてもよいとは聞かない。鑑定機関そのものが詐欺行為に及んでいる可能性が高い)しかわからない。
万が一、ダイヤモンドにしか付かないはずの鑑定書が付いてきた場合は、深刻な犯罪に巻き込まれたとみていいだろう。
鑑定書や鑑別書は「安心」の基準にはなり得ないことを忘れないでほしい。
本来は、いずれも宝石を第三者に託すさい(質入や相続など)に必要となるものである。

ブラックマトリックスオパールについては "処理を前提とする天然石" としての購入を検討されるほうがよさそう。
最も価値の高いとされるブラックオパールと混同し、とんでもない高額で販売しているケースもある。
オパールとパワーストーンのあやうい関係については、以下の資料から読み取れるので、参照していただきたい。
砂糖じゃ相手にされない。
宝石の価値というのは甘くない。


参考:オパールの価値
http://gemopal.info/free_ohanashi/free.html

参考:オーストラリアのオパールマスターによる、動画で楽しむブラックオパールの世界




やはり赤が良いようだがブルーにピンクがお好きな様子


18×13mm  7.39ct

2011/12/04

ティファニーストーン



ティファニーストーン
Tiffany Stone
Spor Mountain, Juab Co., Utah, USA



今となってはほとんど見かけない、黒/茶系を含まないティファニーストーン。
ベルトランダイトとして販売されていた。
鉱物を集め始めた頃、余りの美しさに衝動買い。
もう一枚売って欲しいとお願いしたが、「もうないです」と言われてしまった。
その後二度と見ることはなかった。

ラベルには、オパール・フローライト(Opal, Fluorite)とも記されている。
以前はフローライトがオパール化したもの、もしくはフローライトとオパールが化石になったもの、といわれていた。
しかし実際は、火山活動に由来する堆積物から成るカルセドニーのようである。
堆積物であるからして、その中には数え切れないほどの鉱物が含まれている。

約20億年前の火山活動により発生した、フッ素ガス(いわば気化したフローライト)と火山灰、堆積物が混ざり合い、長い時を経て化石となり、さらに珪化したのがティファニーストーン。
複雑で変化に富む模様は、たくさんの鉱物がごちゃ混ぜとなり、凝縮されたためにできたもの。
独特の紫の色合いは、フッ素ガスに由来するという。

もともとはベリリウム鉱山の副産物であったため、ベルトランダイトという鉱物を多く含んでいる。
そのため、ベルトランダイトの標本として取引されることも多い。
ベリリウム鉱山からのティファニーストーンは絶産している。
こちらは2004年、新たに愛好家が発見した鉱脈から初期に得られた標本。
この鉱脈からは当初、質の高いティファニーストーンが次々に発見され、期待が寄せられた。
しかし、質は低下する一方で、4年後には事実上絶産した。
現地には売り物にならない岩片が残るのみとのこと。
品質については以下。

・高品質 - 紫~青~ホワイトの明るい色合いが混在し、模様となっているもの
・中程度 - 上記に黒/茶系が入り、コントラストがより際立つもの
・低品質 - 紫のみなど、色数が少なく変化に乏しいもの。赤茶色、グレー、オレンジなど不純物の入ったもの
・偽物 - 他所の無関係な鉱物。オパールやフローライトなどを使っていることもあるらしい

現在入手可能なティファニーストーンには、黒または茶系の模様が入ってしまっている。
小さくカポジョンカットされ販売されているが、とんでもなく高価である。
十年以上前なら、可愛らしいノジュール仕立てのティファニーストーンが、お手ごろ価格で手に入ったんだそうだ。
高品質とされる大きな板状標本は、日本では2006年頃、海外からは少なくとも2009年頃まで手に入ったが、このところ見ていない。

いっぽう、ティファニーストーンと、オパール、フローライトは、直接は関係ないようだ。
あのティファニー一族(のご先祖様)の作品に因んで命名された石が、堆積物の成れの果て、というのはどうも違うような気がする。
わざとオパール、フローライトの名前を残したのかも。
オパールとフローライトの組み合わせには夢がある。





※ビーズに関しては全く異なる石が流通している。上記は信頼のおけるティファニーストーンの6mmブレスで、小さいながら模様がはっきり現れているのでご参考に。
オパールのイメージからか、透明感のある石が好まれているようだが、本来ティファニーストーンはジャスパーであり、透明部分はジャンクになる。また、アメジストやフローライト、パープルのオパールがティファニーストーンと混同されて流通しているので要注意。さらに、成分の近いと思われる、オパール化(珪化)したフローライトが中国から産出している。シューファストーンという紫の石で、ビーズに関しては特に疑わしい。(2012/12/18追記)


41×25×8mm  10.48g

2011/08/07

ケセラストーン



ケ・セラ・ストーン
Que Sera Stone
Juazeiro, Bahia, Brazil



さきほど、友人が夢にでてきた。
最後に彼と会った時の言葉を思い出す。
「代償は大きかったけどね」
そのとおりだった。
自由に生きるからには、必ず代償を払わねばならない。

ケ・セラ・ストーンという石がある。
諸説あるが、かの有名な「ケ・セラ・セラ」の歌がネーミングの由来とされる。
表向きは、スーパーセブンで一躍有名になったクリスタルヒーラーのメロディ氏が発見、2008年のツーソンミネラルショーにおいて、初めて紹介した鉱物ということになっている。
しかし、その存在自体は有名で、ヒーリングストーンとしても以前から知られており、2007年の時点で私も持っていた。
もともと安価で、特に珍しいものではない。
このネーミングでなければ忘れられていたかもしれない。
いうなれば、このネーミングにこそ、メロディ氏の凄味が現れていると私は思っている。

当初は、一部で非難の声も聞かれた。
楽観主義の石。
いいかげん、無責任。
楽天銀行。
確かにそう解釈されてもおかしくない。
由来とされる「ケ・セラ・セラ」の歌は、日本では「なるようになる」と訳されている。

私が幼い頃、母がよくこの歌を歌っていた。
いつだったか、イギリス人ヒーラーに話したら、彼女の母親もそうだったとのこと。
彼女いわく、ピアノ越しに見えたその表情は、物憂げであったという。
不思議な一致だった。
なぜなら、私の母も当時、あまり幸せではなかったはずだからである。
楽観的な歌だとは一度も思ったことはない。
"Will Be, Will Be"
彼女は繰り返した。
英語では、そう、訳されているそうだ。

先ほど調べたら、ケセラストーンのビーズなるものまで販売されている。
おそらくメロディ氏を介さず、ブラジルから直輸入したものであろうから、ビーズ一粒300円などという不当な価格で売るとは、
天罰を心待ちにしているとしか思えない。
もし中華が仕組んだのならば、酷い皮肉である。

ともあれ、誰もが簡単に手に入れることができるようになった今、「ケ・セラ・セラ」の意味を問う理由などなくなったのかもしれない。
写真の石は2008年当時、メロディ氏の営業担当・ジャクソン氏という人から引っ張ってきたもの。
先のことを気にしていてはなにもできないから、今をあるがままに生きていこう…その歌の通り、この石は、あるがままに、自分の信じる道を迷うことなく進めるよう、力になってくれる。
私は、そのように解釈し、商品として紹介した。

ちなみに、青い部分は当初、ブルーオパールであるとされていた。
その後メロディ氏本人により、クォーツ(石英)であるとの訂正が入り、現在ではその部分について触れてはいけないことになっているようである。
メロディ氏が紹介する以前は、「フェルドスパーやブルーオパールなどが混在した岩」として流通していた。
まあ、どうでもいい。

誰もが自由に生きることに、一度は憧れる。
しかしその代償を前に、踏みとどまってしまう。
あるがままに、なにごとにもとらわれることなく生きる。
それ以上素晴らしいことがこの世にあるのなら、教えていただきたい。


40×23×20mm  24.0g

2011/07/09

ウッドオパール


ウッド・オパール
Opalized Wood
Lightning Ridge, Finch Co., New South Wales, Australia



木の化石がオパールになったもの。
写真では判りづらいが、一見すると木片。
オパール化した部分を拡大して撮影した。
1cmのオパールができるのに約500万年かかるとされている。
この木片がかつて木であったとき、もしかしたら、恐竜が空を飛んでいたかもしれない。

オパールのほとんどは粘土から形成される。
化石がオパール化したものは貴重であり、概ね高額で取引される。
植物だけでなく貝や虫、動物や鳥の骨、或いは鉱物など、その種類はさまざま。
中には、恐竜の骨がオパール化したとされる標本も存在するが、一般人がそう簡単に手に出来るものではない。

ライトニング・リッヂは世界でも有名なオパールの産地。
ブラックオパールの産地としても知られている。
その希少価値が年々上昇しているのはご存知かと思う。
オパールの魅力に夢中になった人々が、世界中からこの地へ訪れるという。

ブラックオパールになった化石も存在する。
もしあなたが人生に絶望したときは、ひとまずそれを探してみてほしい。
それでも死の誘惑から逃れることができなかったなら、私にプレゼントするといいかもしれない。
他人を幸せにしてからでも、遅くないと思うぞ。


23x16x11mm

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?