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2012/02/26

モリオン(蛭川産黒水晶)


黒水晶/モリオン
Morion
岐阜県中津川市蛭川田原(旧恵那郡)



国内有数の鉱物の産地として知られる岐阜県中津川市。
中でも蛭川の花崗岩ペグマタイトからは美しい黒水晶が産出することで知られており、古くからコレクションとして愛されてきた。
現在も多くのミネラルハンターが、蛭川を訪れる。
町の至るところに、現地の石材を使用した歩道や建築物がみられるという。
これらの中から魅力的な鉱物が出てくるのではないか…とうっとりしてしまうロマンチスト(大先輩でございます)もいらっしゃる。

写真は古いコレクションで、過去にはこうした漆黒の結晶が多くみられたと伺った。
小ぶりながらもバランス良く、二つの結晶が組み合わせられ成長した、ユニークかつ見栄えの良い標本となっている。

このところ出回っているのは、蛭川産モリオンという名のスモーキークォーツ。
残念ながら、蛭川の黒水晶の流通は減るいっぽう。
モリオン(
黒水晶)が注目を集めたのがきっかけで、このところ国産モリオンの評価が急上昇している。
異常ともいえる高騰ぶり。
だが、それらの大半はスモーキークォーツといったほうが適切。
ファントムタイプのモリオンというモノを見かけたのだが、ツッコミどころがありすぎてどう反応していいのかわからない。
むしろ消費者はより警戒を強めることだろう。

モリオン(黒水晶)については以前も記した。
天然の放射線の影響で水晶の結晶構造が破壊され、真っ黒に変わったものをそう呼ぶとしている。
黒水晶は蛭川産以外存在しない、あとはケアンゴーム、と仰る専門家もおられるほど。
手にとって「なんだ、スモーキークォーツか」とがっかりされる方がおられたら、そうではないとお伝えしたい。
こんなにも神秘的であり、美しいのだ。

なお、意外に知られていないようなのだが、岐阜県は放射性鉱物の産地として有名。
中津川市だけでなくその近隣、また土岐市のウランも有名。
従って、県内の一部の放射線量は、他の地域に比べ格段に高くなっている。
全国有数の放射線量を誇る蛭川だからこそ、ミネラルハンターに愛されてやまないというもの。
日本三大ペグマタイトといえば岐阜県苗木地方と福島県石川町、滋賀県田上山の三箇所。
中でも福島県石川町は、戦時中に原爆開発のため採掘が行われたほどの放射性鉱物を産出した(→詳しくはビクトリアストーンにて)。


蛭川(ひるかわ):古くから鉱業が盛んであった。現在鉱山は閉山しているが、鉱物愛好家にはよく知られた土地。人口は4,000人弱。日本有数の黒水晶の産地として有名である。他にトパーズ、ベリル、ジルコン、モリブデナイト、鉄コルンブ石など。水晶や長石の色合いが変わっているのは、天然の放射線の影響だとされている。

苗木(なえぎ):人口は6,500人ほど。天然の放射線量はトップレベルというが意外に人が住んでいる。砂金をはじめ多彩な鉱物を産し、日本三大ペグマタイトのひとつに数えられる。他にサファイア、トパーズ、ベリル、マイクロクリンの豪華結晶、スモーキークォーツなどが産出。稀にチンワルド雲母や放射性鉱物として知られるゼノタイムなどレア物も出るらしい。

福岡(ふくおか):人口は7,000人を超え、そこそこ発展している様子。有名な木積沢のトパーズのほか、バラエティに富んだ放射性鉱物の名産地。ジルコンのほか、フェルグソン石、モナズ石、サマルスキー石、ゼノタイムなどの各種レアアースが眠っており、鉱物鉱物愛好家は必ず礼拝に訪れるものとされている。なお、フェルグソン石は現地の人々に糞石と呼ばれ、ぞんざいな扱いを受けていたらしい。


「うちの近辺は線量が高い」という場合、土地そのものに問題があることも多い。
放射能をもつ天然石は、意外に身近に眠っていたりする。
流行のガイガーを買って、はじめてその事実を知る方もおられるようである。
敏感な方々は、家を購入するさいにガイガーを持参し、住環境の安全性を確認するのが常識になっているものと思い込んでいた。

ペグマタイトを掘っているうち、地層から放射性物質がこぼれ落ちるのはよくあること。
お子様の命が心配な方はまず、お住まいの市町村のペグマタイトの有無を確認しよう。
被ばくが心配なかたは、大自然はむしろ避け、金を惜しまず徹底的に安全性にこだわった、高層マンションに住むなどの対策が必要である。
当然であるが、外出はいっさい控えるのが望ましい。

「西日本の線量が高い」と言い出したのは誰なんだろう?
データがあるなら、西日本に放射性鉱物が大量にあるということなのだろうか。
誰もデータそのものを知らないようなので、不思議に思っている
放射性鉱物の産出はむしろ、東海~東北のほうが多いような気がする。
近畿なら、滋賀のペグマタイト、あとは京都や三重から若干といった感じで、数は少ない。
思い当たるのは岡山くらいで、それ以上向こうになると、もはやどこまで西日本なのかわからない。
中国から飛来するアレが西日本を直撃するのは確かなことである。
そのことに触れると怒り狂う方がいらっしゃるので、触れない。
中国のアレにどれくらいの放射性物質が含まれているかを、調べてはいけないんであれば、仕方ない。

ところで、昨日不思議に思ったことがある。
原発批判に盛り上がりをみせるツイッターにて、脱原発のカリスマとされる人物が、中津川市の蛭川にお住まいであることを知った。
あの方のツイートは、情報というよりインパクトの一種だと受け止めている。
素人でも考えうるシンプルな内容だから、報道を見るのであればわざわざ読む必要は感じない。
しかしながら蛭川で検索をかけたら、あの方が出てきてしまった。
福島から逃げろと執拗に繰り返される方が、よりによって蛭川在住というのは、違和感がありすぎる。

蛭川付近の放射線量は、少なくとも他所より3倍近く高いという。
なぜにご本人が蛭川にこだわっておられるのか、不思議でならない。
こんなことを質問したら、電波攻撃と受け止められ悲しまれるに違いないので、ご存知の方がおられたら、教えていただきたい。
また、困ったことに、その方の存在自体が著作権等に違反するのである。
以下は夢にすぎず、電波攻撃によるまやかしの類いであると捉えていただきたい。


twtterにおける "このメディアは取り扱いに注意を要する" 氏のさけび
https://twitter.com/#!/tokaiama

URL

鉱物採集家にとって憧れの地である放射性鉱物の宝庫、蛭川を背景に
脱原発のカリスマによる意外な告白が記されている


49×25×23mm  38.93g(ベース含)

2011/09/17

オトゥーナイト/燐灰ウラン鉱


オトゥーナイト/燐灰ウラン鉱
Autunite
Apex mine, Lander Co., Nevada, USA



ウランと聞いて、びっくりされる方もおられると思う。
鉱物であり、天然石/パワーストーンでもあるからして、当然コレクションの対象になる。
欧米には放射性鉱物の愛好家は多い。
こちらもアメリカの放射性鉱物専門コレクター(!)からの流出品。
放射性鉱物の愛好家は、長寿の方が多いらしい。

このように比較的大きさのある雲母状の結晶が密集している標本は珍しい。
母岩とのコントラストも見事である。
ベストクオリティとまではいかないが、大きさといい、インパクトといい、面倒な客を追い返すための最終兵器としての活躍が期待される。

燐灰ウラン鉱は、イエローまたはイエローグリーンの鮮烈な色彩を特徴とし、紫外線で蛍光するため、ウラン系鉱物の中で最も人気が高い。
しかし、その多くはハッキリ言って岩である。
よく見ると、黄色っぽい粒々がくっついている程度。
放射能をきらう日本でも、福島原発の事故以降、放射性鉱物に注目が集まっているが、ほとんどは鑑賞に耐えないものばかり。

放射能による諸問題については全く知識がない。
皆さまのほうがよくご存知かと思うので省略する。

原子力発電や核兵器に使用されるのは、天然のウラン鉱石に含まれる、「ウラン235」という物質らしいが、ウラン全体の10%に満たないという。
残りは劣化ウラン。
数ミリの結晶からわずかに採れるだけというから、枯渇するのは時間の問題か。
ちなみに、「ウラン235」による大爆発は、天然の状態では無い、らしい。

世界一の燐灰ウラン鉱といえばフランス産。
その美しさに惹かれるのも無理はなく、グリーンの燐銅ウラン鉱と並んで、ファンは多い。
ウランそのものの産出も多く、ウラン資源の供給元として知られているだけに、先日のフランスにおける原子力発電所事故発生のニュースは衝撃的だった。

ちなみにこの燐灰ウラン鉱、日本からも産出する。
岡山県苫田郡の人形峠が最も有名。
他に岐阜県土岐市、福岡県福岡市、茨城県霞ヶ浦、山口県柳井市、宮城県伊具郡など。
放射性鉱物としては、前述の人形峠から産出する人形石、岐阜県中津川市のジルコンや秋田県仙北市の北投石などが有名。

東京電力福島第一原発にほど近い、福島県石川町からは閃ウラン鉱が産出する。
皮肉にも戦時中、原子爆弾を作るため、学生らにより採掘が行われていたという。
詳細は下記サイトが詳しい。

http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201106080281.html

自然界とは不思議で、美しすぎるものに毒性があることが少なくない。
大自然からの警告であるといわれているくらい。
放射性鉱物も、例外ではない。
従って、乳幼児が興味を持ち、触れてしまうことも多い。
最悪の事態に備えるのは当然のこと。
収集に当たっては、ご家族の意向も確認し、同意を得てからにしたい。
私の場合は、家族が医学的研究にあたり放射性物質を扱っていた関係で、「今更どうでもいい」ということなので、やりたい放題やらせてもらっている。
ただ、子供の頃から原水爆の恐怖を植えつけられてきた我々日本人は、どうしても感情的になってしまいがち。
大切な標本を、ゴミの日に捨てられてしまうようなことになれば、どうなるか。
役目が終わったからと、パワーストーン感覚で土に埋めるなどの行為は絶対にしてはならない。

なお、パワーストーンとして知られている(?)「ラジウム石」なるものは、閃ウラン鉱や燐灰ウラン鉱を意味するらしいが、本当か。
なにやら超能力者のお墨付きで、「ラジウムストーンを肺へ吸い込んだり、飲用すると効果的」とある。
こうした行為には、死期を早める作用がある。
ホルミシス効果(→ウランガラス参照)のほうも否定されつつある。
自分だけでなく、他人を巻き込むことも考えられるので、知らない間に殺人犯にならぬよう、思い残すことなく成仏していただきたい。


45×33×21mm  46.31g

2011/07/27

ウランガラス


ウランガラス Uranium Glass
Čechy, Czech Republic


 
微量(0.1%ほど)のウランを混ぜて作られたガラス。
ブラックライトなどを用いて紫外線を照射すると、蛍光する性質を持つ。
1800年代初期にボヘミアで開発され、アンティークの工芸品やアクセサリーなどにその姿を見ることができるほか、現在でも僅かに生産されている。

鉱物ではないのだが、ウラン繋がりということで、鉱物収集家の間でも人気がある。
ヴィンテージのウランガラス(ウラングラス)をコレクションに加える人は少なからずいる。
写真のようにビーズという形で流通しているものをアクセにする人もいる。
いわば知る人ぞ知るといった存在であった。
そんなウランガラスが今、にわかに脚光を浴びているという。

2011年3月11日、福島県において発生した深刻な原子力発電所事故。
それに伴い、放射能対策グッズが売れているそうだ。

放射能を防ぐパワーストーンなるものも登場した。
興味深いのは、モリオン(黒水晶)が放射能を防ぐという説。
長い間地中の放射線に晒され、真っ黒になってしまった水晶である。
ウラン鉱脈の近くで採れることも珍しくないのだから、むしろ縁起が悪いような気がする。
そして、ウランガラスが、放射能をもって放射能を制するという説。
人体に影響はないものの、ウランガラスに放射性物質が含まれているのは確かであり、粗悪なものは劣化ウランを用いて作るとかいう噂であるからして、実に奇妙な話である。

気になって調べてみた。
比較的知名度のあるクリスタルヒーラーが、原発事故をきっかけにウランガラスを取り上げた。
微量の放射線が人体に良好であることがそのパワーの理由だというが、今や大気中に大量の放射性物質が存在しているわけで、持っていてもいなくてもあまり関係なさそうである。
ウランガラスのホルミシス効果、というものらしい。
プラシーボ効果、ともいえそうだ。

このクリスタルヒーラーは、過去にお世話になった方でもあるので、文句は言いたくない。
ただ、この方の提唱したウランガラスの効果が、さまざまなサイトでコピペされ、過大解釈された上で、放射能対策グッズとして不当な価格で販売されていたため、ご本人にそれをお伝えした。
大変お怒りの様子であった。
私も怒っている。

目に余るサイトに関しては、本文に訂正が加えられていたので、関係者から何らかの注意が行ったのではないかと思われる。
コピペの主は、自称霊能力者ということだった。
このようにヒーラーや能力者を名乗る人が増えているのは、アセンション(来年あたり、人類が選別され、霊的に優れた者だけが残るという)が迫っている影響であろうが、自分だけが助かりたいという点では原発事故と変わらない。

どうか、目を覚ましていただきたい。
起きてしまったことは、どうしようもない。
いてもたってもいられないなら仕方ない。あくまで事故を現実として受け入れた上で、意味のある行動をしていただきたいと思っている。


ブラックライト下にて


今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?