2012/12/31

ヴィクトリアストーン【第二話】本当の意味


変彩性ヒスイ/ビクトリアストン
Victoria Stone
Iimori Laboratory, Tokyo, Japan



ベックエレル先生よ、あなたの偉大なる発見は半世紀後にこんなにも恐ろしい事態を惹起するに至った

若き日の飯盛里安は冒頭にこう記し、放射能が人類にもたらした偶然と悲劇について述べている。
終戦後すぐに記されたこの文に、彼の苦悩が凝縮されているかのようである。

仁科芳雄とともに政府要人に招かれた飯盛は、原爆開発研究に取り組むことを余儀なくされた。
二号研究(東大理化学研究所が行った第二次世界大戦における原爆開発)の詳細な内容と、それに翻弄された研究者たち、隠された歴史が彼の手記から明らかになる。
日本が原爆の研究に着手したのは昭和十六年、開戦の年。
アメリカに同じであったという。
圧倒的なウラン資源の違いが日本への原爆投下という結末をもたらし、終戦を迎える。
場合によってはその逆もまた、あったかもしれぬ。

東京大学の研究所がなぜ福島に置かれたか。
これは都内にあったウラン抽出工場が、昭和二十年の空襲で真っ先に攻撃を受け大破したためだ。
米軍は日本が原爆開発を行っていることを知っていたのではないか、と飯盛は推測する。
研究所は疎開というかたちで福島県石川町に移転。
終戦までの約三ヶ月間、奇しくも日本の最先端の研究者たちが福島の地に集まり、放射能を武器へ変えるための研究を行った。
それが本意ではなかったことを、飯盛ははっきりと記している。
彼が戦争に利用され、平和を望んでいたのは、全くの事実であった。
そればかりか、放射能と人類の未来について強い口調で警告している。
2011年3月に起きる福島での原発事故を、あたかも予言するかのように。

長男・武夫氏の急死、またその原因について述べられている箇所は、ここにも見当たらなかった。
意図的に避けたようにも見える。
父より先に福島へ出向いたのは間違いない。
研究所が福島へ移転したときには、理研の在籍者のリストから除外されていた。
四男・健造氏が、父を偲ぶ文中で武夫氏について、早すぎる死に一言触れられているのみ。
ヴィクトリアストーン同様、武夫氏の死もまた、封印されたと私は考える。

これは意外な事実なのだが、飯盛は私生活において、何よりも放射能を避けていたらしい(※注)。
自身の研究のテーマとなった放射性鉱物に関しても、個人的コレクションさえ、自宅に置くことを頑なに避けた。
陽気な笑顔とは裏腹に、神経質な側面もあったようだ。
仲間たちは次々に被ばくが原因とみられる癌に倒れた。
仁科も戦後間もなく白血病で亡くなっている。
にも関わらず、飯盛は97歳でこの世を去る直前までお元気だったということである。
さぞ大往生なさったことと思いたくもなる。
しかし実際は、苦しみと絶望の中にあって、孤独な最期を遂げられたとのことであった。

1982年秋。
飯盛は自宅で倒れ、一ヵ月の入院ののち、死去した。
長年連れ添った妻を見送ってわずか一年後のことだったという。
死因は解剖の結果、癌であった。
彼はおそらく、癌であることに気づいていた。
最後の一週間は酷く苦しみ、その声が途切れた時にはもうこの世の人でなかったそうだ。

奇妙な印象は拭えない。
高齢者の癌はゆるやかに進行し、若い患者よりも症状は穏やかであると聞いている。
97歳でそれほどの症状が出るというのは奇妙で、心理的な葛藤を疑いたくなる。
安らかに死ねない原因があったのだとしたら…
原爆研究、そしてご長男への罪の意識が彼を苦しめたのだとしたら…

我々は絶対に、福島の事故を他人事と思うべきではない。
先人のすべてが、好んで原子力を開発したわけではない。
そして我々は絶対に、ヴィクトリアストーンの封印を解いてはならない。
飯盛の過去は、絶望的な罪の意識とともに、ヴィクトリアストーンに封印されたのだ。
よりによって今、陽の目をみるなど、あまりに残酷ではないか。

飯盛の死からちょうど三十年後の2012年秋。
アメリカから私に連絡が入った。
何かの冗談に違いない。
日本人が大量にヴィクトリアストーンを注文してきたというのである。



───やがて石炭石油のつきる日に

人類の社会から私慾、不信、専横、嫉妬、怨恨
あらゆる不徳が一掃されねばなりません。

(中略)やがて放射能の研究は
一に原子核黎明の実験的鍵として
日に月に華々しい功績を挙げながら、
やがて豊かなる原子力時代を招到することであろう。
我らは田を耕しつつ悠然と空を眺めてその到来の日を待つであろう。

栄えよ放射能!!
さようなら放射能!!!

昭和二十二年 仲秋 福島県石川山にて


(『放射能一夕話 鉱物と地質』Vol.8 (1948) 飯盛里安)


※注1)日本において放射線障害を最初に報告したのは飯盛里安博士であったという。放射能研究の犠牲となった初の日本人で、フランスに派遣されキュリー夫人(Madame Curie)に師事、1927年に31歳の若さで死去した山田延男博士について、彼の死が放射化学研究に因るものと指摘。山田自身は自分の病気と放射能との関係を疑っていたが、原因不明の奇病と扱われるにとどまっていた。1959年に飯盛が、山田の死因ががんであること、実験中に浴びた放射線による被ばくが原因であることを示したのが初の公的な学術報告とされる。早すぎた死が山田の名声を損ねたのは明らかで、存命であればノーベル賞に値する世界的評価を受けたといわれるほど。彼の死から三十年以上言及を避けられたその死因に関して、飯盛がその実体に挑んだことは極めて興味深い。また、それまで放射能が間接的な死をもたらすことは憶測に過ぎず、被ばくと悪性腫瘍の関係についても明言を避けられていたということになる。これが事実であれば、飯盛のこの三つ目の功績も歴史から忘れられたということになろう。また、山田と同じく放射能研究に関わり31歳で急逝した飯盛武夫博士の死因についても、当時は奇病の扱いであったことが推測される。日本最初の原発が建設されたさい、住民に提供された情報の詳細も気になるところである。以上、Wikipedia/山田延男「放射線障害」の項及び資料として放射線の影響がわかる本を参照のこと。

敬称略させていただきました。ビクトリア・ストンは国内での商標登録時のVictoria Stoneの正式名称です。



2012/12/27

ヴィクトリアストーン【第一話】メタヒスイ


メタヒスイ Meta-Jade
Iimori Laboratory, Tokyo, Japan



このような石を造ってみて、ただ自分だけで満足している分にはよいが、
人に見せるとなると、あたまからけなされるのには驚いた。
人工で造った石など値打ちがないというのである。
そっけない話である。

天然の石だから貴いなら、
人間の頭だってそれこそ天然物中の最高のものであるから
その微妙な働きによる人造の石こそ
天然石以上に価値があるのだ、と力んでみたくもなろう。

(中略)宝石の人生における真価は
それを眺める人の心を
陶然無我の境に引き入れる
あの小さな石の偉大な魅力に在る
。」

(『合成猫目石とメタヒスイ 化学と工業』 Vol.13 No.4 (1960) 飯盛里安)


ヴィクトリアストーンを世に遺した化学者、飯盛里安博士。
ある方々のご厚意で、この謎の宝石の謎がさらに明らかになった。
自分の夢を頼りに書いた前回の記事(2011年12月~1月記)に、事実と異なる点がいくらか判明した。
何回かにわけて、ここに続編を記させていただこうと思う。

まず初めに、どうしてヴィクトリアストーンが日本に存在しないのか。
欧米、特にアメリカを中心に流通しているのか、という謎である。
飯盛博士が冒頭で力んで(りきんで)いるように、ヴィクトリアストーンは、実は日本では全く評価されなかった。
天然石を重んじる日本人にとって、ヴィクトリアストーンは "まがいもの" に過ぎなかったということであろう。
博士の死後、多くの原石は廃棄されてしまった。
ご遺族ももう、お持ちではない。
ヤフーオークションで日本を騒がせている珍宝氏(仮名)はご遺族から原石を譲り受けているとのことであったが、残念ながら彼は白昼堂々嘘をついたようだ。
本物へのこだわりは世界一、なのにいわゆるニセモノをつかむ人々が後を絶たない日本のパワーストーン市場。
日本人は、天然という言葉の魔力に弱い。
或いは石の魅せる「陶然無我の境」より、石の名前の持つ言霊に魅せられてしまうこともあるのかもしれない。

1960年代末、海外の宝石専門誌にヴィクトリアストーンが紹介された。
人造宝石・ヴィクトリアストーンはすぐに、世界的評価を受けた。
70年代にはツーソンショーでも大いに話題になり、噂を聞きつけた人々が買い求めたといわれている。
多くの原石がアメリカにあるのは、純粋にその美しさに価値を置かれたから。
つまり、ヴィクトリアストーンが日本にないのは、我々の責任である。
飯盛博士の存命中よりヴィクトリアストーンは世界に知られ、現在も高い人気がある。
いっぽうで日本ではというと、博士が力みたく(りきみたく)もなるほどに惨めな評価を受け、忘れられてしまった。
人造石の前提である、限られた輝き。
これはレシピの流出による量産を防ぐという意味では的を得ていたが、その業績を鑑みるとあまりに残念である。

実際のところ、つい最近まで、ヴィクトリアストーンは日本では全く知られていなかった。
後世に伝える可能性を感じる日本人は無かったのだろう。
国内で唯一その在庫を引き継いだ宝石職人も、どう扱っていいやらと途方に暮れたそうだ。
ヴィクトリアストーンはガラスであるとしている資料も少なくない。
放射化学の父と称される化学者・飯盛博士が人生を捧げた研究が、ガラスとは何たること。
私が4年前一目惚れしたヴィクトリアストーン。
当時は私自身、ガラスだと思うしかないほど知名度がなかった。
つまり「商品」としてではなく、純粋にこの石そのものに一目惚れした人は、日本にどれくらいいるのかということである。

写真はメタヒスイと呼ばれる人造石の原石。
飯盛博士の人造宝石における初期の代表作である。
その名のとおり、最高級の翡翠(ローカン)を模して製造された。
翡翠と同等の成分ではつくることはできなかった。
あくまで模造宝石としての翡翠であるが、この石が原型となって、奇跡の宝石が誕生した。
変彩性ヒスイ、すなわちヴィクトリアストーンである。
ヴィクトリアストーンは、このメタヒスイを特殊な技術を用いて成長させ、複雑な過程を経て得られる。

ヴィクトリアストーンは日本の伝統的色調に基づく色合いを備えている。
色数は15色程度とされているが、実際はさらに色数がある。
それぞれの色に意味があり、博士の愛情が込められているという。
しかし、赤だけが存在しない。
パープルやピンクなど、近しい色はあるのに、赤だけがどうしても完成しなかったらしいのである。
前述のとおり、ヴィクトリアストーンは世界的に評価を得ているが、現在に至るまで、誰もこの技術を真似ることはできていない。
近年流通しているヴィクトリアストーンが中国で模造されたものと私が推測するのは、存在しないはずの赤が含まれるからである。

ヴィクトリアストーンの原石は、アスベスト状の塊である。
このメタヒスイ同様母岩がついており、母岩の際に至るまで、躍動感にあふれるシャトヤンシー(キャッツアイ効果)がみられるのが特徴だ。
中国製のヴィクトリアストーンにはこの躍動感がみられない。
また、ヴィクトリアストーンにアスベストは含まれないが、中国から流通した模造品の一部は天然アスベストであった。

放射性鉱物の研究に携わってきた飯盛博士。
博士は、放射能と原子力の未来、或いは人類が侵される狂気について、察知されていたように思えてならないのである。
というのも、サファイアやルビー、エメラルドなどの高価な宝石は、放射線処理によって容易に改良することができる。
いっぽう、キャッツアイについては、いくら放射能をあててもつくることができない。
最も価値のある宝石と聞いて浮かぶのは、ダイヤモンドとキャッツアイだ。
人造ダイヤモンドについては、世界的に研究が進んでいた。
だから彼はキャッツアイをつくろうとしたのだろう。
そう、思っていた。
そうではなかったのである。

子供向けのアクセサリーや手芸の素材として知られるシンセティック・キャッツアイ(人工キャッツアイ)を考案したのは、実は飯盛博士らしい。
それまでは自然界に存在する手ごろなキャッツアイが加工されていたようである。
人工キャッツアイは現在、百均でも手に入る安物とバカにされておる。
中国に技術が流れたためである。
しかし、自然に存在する宝石を人の手で再現することは、人類にとって永遠のテーマだった。
多くの研究者が人生をかけて取り組んだ結果、実現し得たことを忘れてはならない。


では、日本において人工石が好まれないのはなぜだろう。
その要因のひとつとして、私は日本社会の特殊性を挙げたい。
日本では、万物に神が宿る、と伝えられる。
天然石に神仏が宿り、持つ人を守り導くという考え方は昔からあった。
アニミズム信仰(※注:コラムあり/ややこしいので、興味のない方はとばしてください)を尊重する日本人にとって、神の領域である天然石の世界。
人が踏み込むことは禁忌である。

中国で製造された人工ガラスのビーズ。
ご利益を期待する人は少ないだろう。
ところが、中国の古美術、たとえば古い書簡や壺などに、神性を見出す人は多い。
身も蓋もない話であるが、作者が故人であれば、神が宿ってしまう。

いっぽう、西洋ではキリスト教が主流。
神はイエス・キリストのみ(一神教)である。
万物に神が宿るという感覚がないから、石に神性を求めることはない。
純粋に石のもつ美しさに重点が置かれる。
ヴィクトリアストーンが発表時に高く評価され、今もなお注目されている所以であろう。
石を持てば持つほど神様が増え、ご利益が期待できるといった感覚は、彼らにはない。
キリストや仏陀、菩薩や天使やシヴァ、ネイティヴアメリカンやアボリジニの精霊が石ごとに宿るというのは私自身、謎である。
また、石の意味が気になって仕方がない、という人も滅多にいない。
ニューエイジの人々は例外である。

世界的には天然や合成を問わず、その宝石の完成度や特異性、美しさが評価の対象となる。
欧米で人造宝石の研究が盛んに行われ、専門誌まであるというのは、日本人にはない感覚だと思う。
こうした感覚の違いを理解するのは非常に難解なこと。
専門家でさえ読み違えていることがあるので、私自身不安であるが、独自のコラムを以下に作成した。
参考までにご覧いただくか、ご納得いかない場合は調べていただきたい。

中国で大量生産されるマガイモノが大いにきらわれるのは、欧米も同じ。
それどころか中国は鉱物界を襲った脅威、という声まで聞かれるほど。
その理由が我々とは根本的に異なっていることに注目したい。
思うに、日本人が容易に騙されてしまうのは、石に対する期待があまりに大きすぎて、石そのものを見る余裕を失っているためではないか。
人類がその知能と技術をもって天然の宝石を再現する、という夢は、古くから多くの研究者を虜にしてきた。
日本は人造宝石の分野においては、世界に遅れをとっている(ちなみに京セラが開発した人工オパールは、とっくに中国に真似されている)。

さて、お気づきかと思うが、が飯盛里安博士の功績はヴィクトリアストーンという新しい宝石の開発だけではない。
私の2012年の初夢に登場してくださった飯盛博士。
今回お借りした資料を拝見して驚いたのは、私の夢に登場されたのは、まさに80歳前後の博士そのものであったということである。
あの時博士が一瞬私に見せた、険しい表情は何だったのか。

飯盛博士の死からちょうど三十年目にあたる2012年。
至るところで不穏な動きがある。
陽気でユーモアあふれる性格だったという飯盛博士がみせた、険しい表情が意味するものとは。


注)コラム【アニミズムと日本人】
アニミズムとは、草木や大地、雨や雷など、あらゆる自然の物事を崇拝する原始的な信仰。万物に神が宿るという考え方。日本人の信仰心の基盤となっているとされる。そのため日本では、天然石であればとにかく神さまがいて、ご利益が期待できる!ということになっている…ような気がする。
アニミズムは主に未開拓の地域(要はジャングルの奥地など)を中心に残る概念で、先進国にあっては珍しい。
西洋では一神教であるキリスト教が文化の根底にある。神とはイエス・キリストのことだけを指す。石は神にはなり得ない。例えば、日本人はカリスマやリーダーを指して「神」と呼ぶことがあるが、西洋では人間が神になることはない。カリスマやリーダーは「マスター」であり「ゴッド」にはなり得ない。
日本人にとって宗教というと、特殊な団体という意味合いになってしまい、避けられることが常である。ここではスピリチュアリズム(スピリチュアル)に対する東西の考え方の違いとして捉えてほしい。
欧米でも、ニューエイジの人々は自らを神と名乗ることがある。現地では、一歩間違えると危険思想の持ち主になりかねないのだが、日本人には逆にわかりやすいために、受け入れられているというのが現状。一家にひとつアゼツライトがあり、持てば持つほどご加護も増えていくという感覚は、西洋人には難解であるようだ。

※以上はうさこふ独自の解釈です。あまり考えすぎると混乱します。アニミズムについてニュートラルに説明できる人は少数であり、慎重に調べる必要があるので要注意。


30×30×15mm  23.15g


~つづく~

2012/12/23

【予告】ヴィクトリアストーンの偽物が大変なことになっているので続編を書きたいと思います。

その石を触ってはいけません!





  ★ *          *     ★  *  
 ★     ★     * 超希少★   *      
* ★     ★            *                ★                       
ヴィクトリアストーン入手困難!
** *  *★  ★     *★                                       ★   *★                                 


これは、タイガーアイという石を脱色し、染色したものです。

日本では戦後すぐに量産され、安価で流通しましたが、人工石ゆえ現在は避けられる傾向にあります。
原価にして1/1000といったところだと思いますが、出品者である澤田氏は転売を得意とされているようなので、原価としては高かったのかもしれません。

以前、ヴィクトリアストーンではない石に、このブログの記事を無断で転載されてしまったことを記しました。
ある方のご厚意で、現物を拝見しました。
残念ながら、プラスティックに模様をつけただけの哀れな欠片で、宝石ではありませんでした。
ご本人には言うことができませんでした。
その方は澤田氏を通して私のブログを見つけてくださったのです。

しかし、毒性があるおそれがあります。
この赤い色素の由来物は何か、或いは。
玩具とは異なり、天然石に安全基準はありませんから、何が入っていてもおかしくないんです。
疑いだしたらきりがありませんので、もうやめておきます。
偽物だといえなかったことをここでお詫びさせてください。

ヤフーオークションに絶望し、見ることができなくなりました。
今日、たまたま見る機会があり…
衝撃的なものを見てしまったのです。


今度はリンク無しに転載されていたため、注意させていただこうと思ったところ、なんとブロックされており質問ができないようになっていました。

やむを得ず、こちらで発表したいと思います。


画像にある該当のオークションは削除されており、見ることができなくなっていました。
削除させていただくとおっしゃっていましたが、そういう意味だったのでしょうか?
或いは私のクレームを避けるためにブロックされたのでしょうか?
そして…

なんと、偽物のヴィクトリアストーンが販売されたとみられる形跡を発見!





ブルーオパールとはいったいなんだったのでしょう。
見たかったんですが、画像は削除済み。
ところが…

心ある方から、澤田氏が販売したとされるヴィクトリアストーンの画像が届きました。


これは何でしょうか?


ご存知の方がおられましたら、情報お願いします。

送ってくださった方には申し訳ないのですが、これは何らかの石材の一種でしょう。
澤田氏がここまで卑劣な行為に及ぶとは、考えられません。
こんな得体の知れないものがヴィクトリアストーンとして出回っているのでしょうか?
詳しいことがわからず残念です。

さて、澤田氏のほうですが、ブログの記述はこれまでどおり。
さらに、私の知る事実と若干異なる記述がみられます。
他のサイト様の記事をそのまま貼り付けたらしく、ブログ主様から先ほどご連絡をいただきました。



以前、下記のようなご回答をいただきました。

削除させていただきますとあったのに、このページごと削除されていました!
なかなかのお笑いセンスです。


※出品者は出品物の取引が終われば、オークションページを削除することができます。


クリックで拡大


飯盛博士のご遺族に、中村さんという方はおられません。
まさかとは思うのですが、澤田氏はここで私の本名を公表しようとしたおそれがあります。

また、飯盛博士のご遺族やコレクターは、ヴィクトリアストーンをお持ちではありません。
その根拠は取れています(複数あり、長文になります。被害に遭われた方はこの記事ラストのリンクからご覧になってください)。

いずれもヤフーオークションの規約どころか、法律に関わる深刻な犯罪であり、同じ人間だとは思えません。

石を愛する人に、そうした腹黒い悪魔のような輩がいるなんてとても思えません。

ブラックジョークです、きっとそうに決まってます!

彼はお笑い芸人を目指し、日々努力しておられるのだと思います。
しかし、ここは中国ではありません。

このような犯罪を繰り返していては、澤田氏はお笑い芸人になることができなくなってしまいます!

そこで、彼についてわかったことも含めて、続編を書こうと決意しました。
2、3回にわけて書きます。

人の心というのはどこまで闇につつまれているのでしょう。
飯盛博士はそのことさえ、預言していました。

澤田氏が面白い人物であることを祈りたいと思います。


本日たまたま見たところ、私がオークションで出品した石たちが、澤田氏によって多数紹介されていました。
下のリンク先にアルメニア産黒曜石があるようですが、クラックを叩きいれたガラスに見えます。
レース模様が全くありません。
http://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/168049357


※中国では産業廃棄物、放射性廃棄物でオブシディアン(ガラス)を作ることができます。
 

営業時間に電話が全くつながらないお店


実店舗はなく架空の会社のようですが、遠いので確認しに行けません。
富士見市在住の方に調査をお願いしたいと思います。


私はブロックされておりますので、削除依頼や質問ができません。
どうか、調査にご協力お願いします。


さて、とある鉱物愛好会のみなさまのご厚意で、ヴィクトリアストーンのさらなる謎がわかりました。

ヴィクトリアストーンの正体(澤田氏のミステリーも調査したいんですが、人物像が全くみえてきません)について、特集をご用意しようと思います。
 


飯盛博士が開発した人造宝石各種を織り交ぜ、貴重な資料をもとにこの石の謎について書き連ねてみたいと思います。
ご協力いただいた皆様につきましては、ラストでご紹介させていただくつもりでございます。

問題は、果たして完成するかということなのですが、こればかりはわかりません。
先日(力尽きたのではなく、何らかの身体疾患により)本当に倒れてしまいました。
ご連絡ができないままブログを更新するのは心苦しいことですが、万が一のことがあったとき、悔いが残ってしまいます。
うさこふの身勝手をお許しくださいませ。


澤田さんのコピペ販売を防止するため、対策を練り、

お笑い芸人としての成功を祈願したいと思います!

 

澤田氏自慢のヴィクトリアストーンはなんと、飯盛博士がただ一色、どうしても完成させられなかったというレッドでした。
ピンクタイガーアイとして紹介されていますが、明らかに最初の石と同じものです。



そして、澤田氏の産業廃棄物はこちらです!
いくら浄化しても毒性は消えないので注意してください。


霊能力は石を持てば身に付くはずだったのに、
買うのにも霊能力が必要だなんて、あんまりですね。



強引にまとめると、

ヴィクトリアストーンの石言葉:悲しみ・怒り・裏切り・後悔・絶望からの復活

ヴィクトリアストーンの効果:

・被災地に希望をもたらし、日本人の心の乱れを正す
・悪を滅ぼす
・人の心に宿る欲望や不正を明らかにする
・物を見る眼を鍛える

※心無い人が手にすると、不幸を招きますので注意しましょう。



著作権についての注意書きは当ブログ下にあります。
もちろんリンクフリーです。
商業サイトさまについては事前にご連絡ください。


そして明らかになるヴィクトリアストーンの秘密!

【第一話】メタヒスイ
をどうぞ♪






2012/12/21

サンダローザアゼツライト


サンダローザアゼツライト
Sanda Rosa Azeztulite
Heaven & Earth LLC



アセンションという言葉を最初に聞いたのはいつだろう。
私は確か、5,6年前、アゼツライトがきっかけだった。
今日はそのアセンションの当日。
世間では、またもや地球が滅亡すると大騒ぎになっているようである。
ちょっと待ってほしい。
今日は地球が滅亡する日ではない。

人類の大いなる変化の日、選別の日。
アセンションはたしか、古い時代の人々が滅び、霊的に高い次元へ達した人々によって、新たな時代が始まる日だったはずだ。
アセンションのその先へ飛躍するために、我々は高価なニューエイジストーンをいくつも買い求め、今日を待ってたんではなかったか。
今日を最後にいなくなるだなんて、まるで土壇場になって、自分にその資格がないと諦めたみたいじゃないか。
よく、考えてみて欲しい。
あなたの手元にもきっとアセンションストーンがあるはずだ。
そう、アセンションストーンの代表格・アゼツライトさえあれば、我々は「助かる」はずだったのに。

アゼツライトがほしいという方は後を絶たない。
H&E社代表、ロバート・シモンズ氏は本国アメリカ以外に直営店を作らなかった。
産地やレシピなどすべてが謎に包まれたまま、限られた人しか手に出来ない特殊な環境下にあって、アゼツライトの伝説は半ば口コミのような形で拡大していった。
なんの変哲もない石英であることが、その謎を加速させた。

ヨーグルトのように白い石英・アゼツライト。
わかる人にしかわからないパワーを感じろ!と語りかけてくるかのようだ。
この石を前に、悩んだ人がいた。
喜んだ人たちがいた。
うなだれた人たちがいた。
酔っぱらった人たちがいた。
目覚めた人たちがいた。
天使になった人もいたかもしれない。
人の数だけアセンションが進行しつつあったのが3年ほど前。
クリスタルヒーリングはおそらく、その時クライマックスを迎えていた。

2009年秋。
私はまさに、行き詰っていた。
いっときは飛ぶように売れた石が、どうも失速している。
何か始めなければここまま行き止まりにぶつかってしまう。


そして私はぶつかった。
持っていなかった二つの石にぶつかったのである。
ひとつは写真にある、サンダローザアゼツライト(写真の研磨品はツーソンで手に入れたもの)。
アゼツライトの発見地、ノースカロライナ州から発見されたばかりの新しいアゼツライトで、真っ白な石英に、ゴールドのマイカ(雲母)やガーネットが彩りを添えている。
アゼツライトフィーバーには少し疲れていたのだが、ちょっと個性的でカワイイ、と思った。
決めてはなんといっても自分の誕生石、ガーネット。
ここはひとつ、サンダローザアゼツライトを自分用に携帯してみよう、と思った(ある時を機に、石を携帯するのを止めていた→記事)。
ちなみにもうひとつは、アンダラクリスタル。
グリーンのシエラネバダ産で、アンダラクリスタルの記事を書いたときにはまだ行方不明であった。
深刻な事情で手放した初めてのサンダローザアゼツライトの代わりに、見つかった。
いずれもアセンションストーンと呼ばれているが、意識したわけではない。
よく考えれば不思議なのだけども。

さて、この二つの石を持った私にいったい何が起きたか。
昨年の記事(→アゼツライト・ローゾフィア)からご覧いただきたい。
驚くべきことにこの石は、私をマスターのもとへ導いてくれたのである。
当時シモンズ夫妻からプレゼントしていただいた、アゼツライトとローゾフィアは実は既に持っていた。
発売されてすぐに買ったほど、気に入ってる。
2009年の時点ではまだ知られていなかった、サチャロカ・レッドアゼツライトもその場で薦められ、大切にしている。
だけど、アゼツライトの中からひとつ選べといわれたら、このサンダローザアゼツライトになる。
写真にあるハートのモチーフも宝物だ。

最初に手に入れたサンダローザアゼツライトのペンダントは、その後、無惨にも割れてしまった。
私は殺されてしまうところだったから、ほんとうに身代わりになったのかもしれない。
石が千切れて飛ぶ光景を、私は何度も見ている。
自然に切れるよりずっと罪深く悲しい。
私が石を割らないよう、あたらないようと細心の注意を払うのは、人の暴力をもって失われた石への罪滅ぼしの気持ちなのかもしれない。

ここまで書いたところで、サンダローザアゼツライトとはいったいどんな石なのか、調べてみた。
ざっとまとめるとこんな感じらしい。


  • 無限の愛、平和をもたらす
  • 停滞しているエネルギーをクリアランス
  • 光の王国への鍵となる
  • 高次元の旅をサポート
  • 永遠に到達

Katie Jacqueline
http://www.ksccrystals.com/sanda-rosa-azeztulite-3-1546-p.asp

最初の二つはたぶん大当たり。
それから先は難しくてわからない。
もしかしたら、何時かわかったりするのかもしれない。
ひとつわかること。
これを読んだあなたは、少し、変わったあとの地球にいる。
きっと、間違いない。





25×25×7mm  6.16g

2012/12/18

幻のカコクセナイトアメジスト(パープルアンジェリン)

 
カコクセナイトアメジスト
Cacoxenite, Amethyst
Fundão, Espirito de Santo, Brazil



先日、見事なゴールドの針が入った、色濃いアメジストを見つけた。
カコクセナイトアメジストと呼ばれているらしい。
購入を迷っているうちに、あれよあれよと価格が上がっていく。
一見するとスーパーセブンなのだけれど、何かが違う。
購入可能なところを何件もあたってみたものの、世界的に品薄なのか、どこも在庫切れだった。

1995年、ブラジル・エスピリトサント州のある鉱山において、クリスタルヒーラーA.メロディ氏によって見出されたスーパーセブン。
もはや流通していない。
初期に流通したという美しいスーパーセブンは、既に掘りつくされてしまった。
現在入手可能な原石は、同じエスピリトサント州にいくつか存在する、別のアメジスト鉱山から採取されているもの。
宝石質のカット品は南インド産になる(→カット品の例)。
ビーズについては、中国やアフリカから産する類似のアメジストをスーパーセブンとして販売するのが一般的である。
いずれも定義上スーパーセブンではない(→スーパーセブンについての記事はこちら)から、スーパーセブンは既に絶産している。
だがこのアメジスト、元祖・エスピリトサント産にも関わらず、スーパーセブンではないとの明記がなされている。
面白いものを見つけた。
レアストーンハンター魂をフル稼働して、ようやく探し当てたのが写真の石。

程なくして待望のカコクセナイトアメジストがブラジルから届いた。
素晴らしい。
カコクセナイトとされる極太の金のインクルージョンが、ぎっしり詰め込まれている。
アメジストの色が濃すぎてよく見えないのもまた、嬉しい。
ロットの中には完全結晶も混じっていた。
結晶は細やかで繊細、しかしながら大きく重厚な紫の色合いを示し、かつ金色の針が至るところに詰め込まれた、堂々たるカテドラル・アメジストであった。
スーパーセブンの原石とは明らかに異なるものである。
どちらかというと、カコクセナイト入りアメジストとして流通している研磨品に思えるのだが、断定はできない。
なんせ、紫の色が濃すぎる。
ブラックアメジストといっても過言ではないほどだから、研磨しても紫の色合いは残るはずだ。
いや、もしかすると長い間暗い倉庫に眠っていたために、退色を免れたのではないか。
アメジストには太陽光で色褪せてしまう性質がある。
多少古びた感じがしたのは、アメジストの色があまりに濃すぎること、切断面が滑らかになっていること。
もしや、採取/カットされてからかなりの時間が経っている?

実際、調べてみるとこのアメジスト、本当に古いものだった。
ブラジルのエスピリトサント州南東に位置するフンダンに、かつて世界に名の知れた鉱山があった。
発見から十年余り、採掘中の事故で、たくさんの宝石もろとも鉱山は水没してしまった。
現在、採りに入ることはできない。
独特の金のインクルージョンの入ったこのアメジストは、この鉱山からしか見つかっていないらしい。
また、C軸に対して垂直にカットしないと、放射状に広がるカコクセナイトの様子は見えないという。
つまり、この謎のアメジストは、1960年代初期~70年代半ばにフンダンのとある鉱山から産し、その魅力を最大限に秘めたまま倉庫の暗闇に眠っていた。
鉱山主の自宅倉庫から発見された伝説の在庫が、このほど一斉に流出したということらしい。

世界的に有名なアメジストだというから、閉山までの十年間に採取されたストックも存在するはずだ。
前述したカコクセナイト入りアメジストの研磨品がそうではないかと疑いたくなる。
昨日、金の太針が模様を成すかのような内包物に彩られた水晶が、小さなカット品となって僅かに流通しているとのお話を伺った。
フンダン・アメジストのカット品に非常によく似ている。
ただ、肝心の中身が何なのかについては、まだわかっていないそうだ(注1)
或いは、H&E社の製品一覧にカコクセナイト(注2)がある。
紫の色がほとんどみえないが、これも退色によって色が抜けてしまったためではないだろうか。

注1)フンダン産アメジストに関しては、スーパーセブン同様、カコクセナイト以外の複数の鉱物インクルージョンの可能性が示唆されている。ただ、独特の金のインクルージョンについては、カコクセナイトではなく、ゲーサイトの混入との説がある。詳しくは、虚空座標さんのサイトを参照していただきたい。フンダン産については世界的にカコクセナイトと断言されているが、水晶に関する情報においては、日本が突出していることをここに明記する。ヘマタイトの混在の可能性については注3に記。KUROさん、いつもありがとうございます。

注2)カコクセナイトは鉱物名。原石はドイツから産出するものが有名。カコクセナイト/カコクセン石の標本は極めて地味なため、水晶に内包された美しいゴールドカラーのインクルージョンが、カコクセナイトとして定着してしまった可能性がある。



さて、後日気づいたのだが、今回私が在庫の確保をお願いした方は、鉱山主さんご本人であった。
倉庫から出てきたばかりのブツの写真があちこちに転載されているので、興味のある方は探していただきたい。
アメリカではすぐに評判になり、奪い合いになったようで、市場にはほとんど残っていない。
小売店ではひとつ120ドルなんて言われた。
H&E社代表のロバート・シモンズ氏もこのフンダン・アメジストに惚れこみ、新たなるヒーリングストーンとして紹介している。
その名もパープルアンジェリン。
シモンズ氏はこのアメジストに、深遠なる女神を見たという。
不思議だった。
私もその女神を見たような気がするのだ。
半世紀もの間眠っていたこのクリスタルには、スーパーセブンとは異なる眩い光が宿っている(注3)
まるで、新しい時代の幕開けを喜ぶかのように。

注3)フンダン・アメジストの研磨品からは、リアルにピンクのファイヤが出る(→写真
)。ならばピンクファイヤークォーツ同様、ヘマタイトが関与している可能性がある。水晶に内包されたゲーサイトとヘマタイト、レピドクロサイトの違いについても、現時点では明らかになっていない。


残念ながらこのカコクセナイトアメジスト、日本での評判はいまいち。
スーパーセブンと混同されてしまっている。
むしろ、スーパーセブンよりも以前から知られていたのに、スーパーセブン以下とみなされてしまっている感がある。
確かにもうウンザリな方も多いはず。
もっとも、メロディ氏によって見出された、リアル・スーパーセブンをお持ちの方はほんの一握りであろう。

早速とばかりに、このカコクセナイトアメジストを池袋ショーに持ち込み、この石の魅力を伝えに参った…
のであるが、やはりというか評判はよくなかった。
付着物を取るために使ったクレンジングオイル(鉄分などを取り除くのに便利です。プロは劇薬を使います)が残っていたために、コレは天然石ではない!というお叱りまで受けてしまった。
今回の池袋ショーに、フンダン・アメジストをお持ちの業者さんは見当たらなかった。

池袋ショーでは、オークションでお世話になった方々とお会いし、直接買ご購入いただく機会を頂戴した。
お忙しい中遠方からお越しいただいた皆さま、関係者様には深く感謝申し上げる(自分がブースをお留守にしている時にお越しくださったために、ご迷惑をおかけした確率は100%です!ごめんなさい。大先輩であるKさんはさすがの直観力、ジャストでお越しになりました。みなさま、ありがとうございました)。

さて、数あるパワーストーンの中から、このフンダン・アメジストを見出してくださったのは、三名様。
最初にお買い上げいただいたのはショー前日、オークションをきっかけに公私共にお世話になっている心優しい殿方である。
まだ評判すらわからない段階で、快く購入してくださった。
そして池袋ショー本番。
この石を手にとって購入されたのはお二人。
いずれもクリスタルヒーリングをお仕事にされ、日々学びを深めておられる人物だった。
お一人はなんと、ロシレムを世に紹介した世界的クリスタルヒーラー、デヴィッド・ガイガー氏のアシスタントさん。
ガイガー氏の信頼を得て、第一線で活躍されていらっしゃった。
もうお一人は(個人的な思いで申し訳ないのだけれど)今は連絡を取ることのできない、私にとってかけがえのない友人によく似ておられた。
魔女繋がりで、今回のオークションを支えてくださった方でもあった。
この御三方にこそ、フンダンのカコクセナイトアメジストがふさわしい。
私のような者がそのご案内を許されたことに感謝し、この場を借りてお礼申し上げる。

半世紀もの間、倉庫に眠っていた類い稀なるアメジスト。
アメトリンと見紛うような金のインクルージョンは、時に強く光を放つ。
この光はしばしば「セントエルモの火」と呼ばれているという。
悪天候のさい船のマストの先端が光るのが元々の由来で、それを鉱物に擬えたようだ。
もしかすると「セントエルモの火」は上に示した研磨品に見える、鮮烈なファイヤのことを指しているのかもしれない。
濃厚なアメジストの色合いと輝きは、荒れ狂う海に浮かぶ船を導く光と喩えられよう。
なお、クリスタルヒーリングにおいては、この石を霊的に高く位置づけ、現在急速に進行している地球の変化に関わる人々のもとを訪れることになるだろうと述べられている。




57×33×23mm  43.03g(本文下の写真右)


ただいまおすそわけ中です!消えてしまう前に是非どうぞ。


2012/12/17

ペリドット(川流れ)


ペリドット Peridot
Sappat, Naran-Kagan Valley, Kohistan District, Pakistan



フローライト?アクアマリン?
イエス!ペリドットです。
秋のオークションに出品させていただいた珍品、半透明ペリドット(オリビン)。
ペリドットとしては大きすぎる。
すりガラスのような質感はまるでフローライトのよう。
予備知識無しにペリドットとわかった方はおられるだろうか。
川流れ(→ブルートパーズ)なのか蝕像(→スモーキークォーツ)なのか、それとも他に原因があるのか。
当初は全くわからなかった。

珍石好きの自分にとってペリドットは、あまり縁の無い鉱物だった。
多くは小さな粒や欠片となって流通しており、原石標本より加工品が一般的となっている。
色合いや形状にこれといったヴァリエーションはなく、宝石に磨いてしまえば皆同じ。
8月の誕生石として知られるペリドット。
1月のガーネットや10月のトルマリンがいくら集めても終わらないのに対して、ペリドットはひとつあれば十分。
例外としては隕石に含まれる、いわゆる宇宙ペリドット。
情けないことに、私はそう認識していた。
甘かった。
いや、もしかしたらペリドットじゃないかもしれない。
そんな疑いの気持ちを抱いてしまうほど見事な、大粒のペリドット単結晶。

私はつくづく幸運だと思う。
オークションでこのペリドットを落札してくださった方は、なんとペリドットを専門に探求されている人物であった。
可能性については、川流れではないかというお話。
川流れペリドットというのは初耳である。
また、現地からはこれとそっくりの質感を持つ標本が相当量見つかっているようだ。
しかし、よくよく調べてみるとこのペリドット、どうも河川の流れによって下流に運ばれた土壌(沖積/ちゅうせき)の中から見つかるらしい。
熱水などの侵食を受けたものと思い込んでいたが、川を流れるうちに削られて変形していったと考えるべきか。
さすがペリドット・マスター。
彼に出会わなければ、私は侵食をうけたエッチング・ペリドットだと信じ込んでいた。
これ以上ない幸運なご縁に感謝した。
ところがマスター、早速研磨してみるとおっしゃる。
私は心の中で叫んだ。

ええっ?磨いちゃうの!?

この質感こそがこの原石の個性であり、魅力に違いない…と思い込んでいた。
のちにこの考えもまた、誤りであったことに気づかされる。
楽しみ方は人それぞれ。
磨いてようやくわかる魅力というのもあるのだ。
専門的見解を伺い、研磨についても納得のうえ、お譲りできることになった。
そうして、このペリドットの片割れは、その方のもとへと旅立っていった。

数日後、ペリドットが無事に届いたとのご連絡をいただいた。
ペリドットに間違いない、とのこと。
本当にペリドットなのかという疑問から探求が始まるのは、誰も皆同じなのかもしれない。
しかしここにきて、マスターから驚くべきお言葉が聞かれた。
研磨するかどうか迷っておられるとのこと。
研磨を前提に購入いただいたはずだったから、何か問題があったのかと不安になった。
特に問題はないとのこと。
他の石とは雰囲気が違うのだが、何か特別なペリドットなのか?とのご質問をいただいたことが強く印象に残っている。
自分同様、スピリチュアルとは無縁の方だと思っていた。
目に見えない何かを感じ取られたことが伝わってきた。
その後については、わからない。
今頃あのペリドットはどうしているだろうか。

人それぞれ想いは違う。
石を集める目的も違う。
それが意図したものとは異なるからといって、売り手がそれを止めることがあってはならない。
自ら購入し、気に入って大切にしている人生初のペリドットの片割れ。
特別な思いが宿ってしまったのだとしたら、私に責任がある。
だが、それをもってしても、美しい。
産地はパキスタン北部、ノースウエストフロンティア地方、ザギマウンテンの東にある渓谷のよう。
見事な河川が流れている(→地図と写真)。
ピンと来た方もおられるかと思う。
現地はアフガン・インド国境付近、世界情勢に疎い自分にも一瞬にしてわかるほど危険な土地。
だとしたらここにもまた、無限の可能性を秘めた鉱物が人知れず眠っていたということになるのだろう。




20×14×10mm  4.91g


やっと東京からかえってきました!

2012/12/13

モンモリロナイト


モンモリロン石
Montmorillonite
長崎県平戸市古江



国産鉱物を最後にご紹介してから半年が経ってしまった。
早速、先日の池袋ショーで入手した珍石を発表していきたい。
その名もモンモリロン石(モンモリロナイト/モンモリ石)。
変わった名前の鉱物についてはアリゾナのネコ石、カリフォルニアのチンカルコナイト(及びチンワルド雲母)などをご紹介してきた。
今回は日本式双晶が産することで知られる長崎県からやってきたモンモリロン石である。

以前アプリコットルチルに登場していただいた、老舗の鉱物店にて発見した。
同じ500円だった福島県石川町のサマルスキー石と悩んだ挙句、諦めようとした瞬間に、地震が起きた。
会場は大騒ぎになった。

「石にあたって死ねるなら本望よ!」

という姉貴の一声に、店内の人々はひとつになった。
そうして(どうして?)このモンモリロン石が我が家にやってくることになったのである。

モンモリロン石は、地味ながらも日本を代表する鉱物のひとつであり、古くから工業用、産業用、また医療用に活躍してきた。
洗剤や化粧品、健康素材、陶磁器の原料と、私たちの日常生活に欠かせない存在でもある。
どこからモンモリロンでどこまでがモンモリロンかということだが、ピンクの部分がそれにあたるようだ。
硬度は1-2とのこと、粘土鉱物のため意外に丈夫である。

調べてみるとこのモンモリロン石、今まさに注目の鉱物のようである。
美容と健康を促進する新素材として人気上昇中とみられる。
クレイ洗顔やクレイパックなどに入っているベントナイトは、モンモリロナイトと関連性があるらしい。
ベントナイトについては、聞いたことのある方も多いのでは。
実は私も持っている。
そう、一見すると謎の鉱物・モンモリロンは、意外すぎるくらい身近な鉱物だったのである。

折角の機会なので、変わった名前の石について考察してみよう。
変わった名前の石が最も多く発見されているのはカナダ。
ゴーマン石、ゴヤス石、ヨフォーティァー石など、インパクトにおいては世界一といえよう。
他にウクライナのサンタバーバラ石、ロシアのザリャー石、サウスダコタのパハサパ石やカリフォルニアのマイアーホッファー石も熱い。
そして国産鉱物。
有名な杉石、人形石、逸見石のほか、轟石(トドロカイト)、欽一石(キンイチライト)、園石(ソノライト)、大阪石(オオサカアイト)、千葉石(チバイト)、弗素木下雲母(フローキノシタライト)、ネオジム弘三石(コーゾアイト)、ウチュクチャクア鉱(ウチュクチャクアイト)、斜プチロル沸石(クリノプチロライト)、ワイラケ沸石(ワイラケアイト)など思わず購入してしまいたくなる珍石が国内から産出している。

さらに、隠れた珍石に、俊男石(トスダイト)がある。
なんと、写真のモンモリロン石とクローライトの混合鉱物になるという。
独立種とは認められていないが、国内から比較的産出がある。
日本の鉱物学者、須藤俊男博士に因んで命名されたといい、トス石の別名もあるという。
ツッコミどころが満載である。
俊男がどうしてトスダイトになるのかというあたりが最大の謎といえそうだ。
この標本もピンク以外の部分があるから、もしかすると俊男(トスオ)の疑いあり?


65×48×8mm  19.61g

2012/12/12

Why does people want it suddenly?

He told me not to see People's Dark Side, but I done.



Hello, I am very glad to receive your message.
My hope I wish to tell you could have reached to you just same as mine, which might have crossed the border.
It is my pleasure if it could be by my poor English, but not by my heart.

Please excuse me to my delay reply.
Now I am in Tokyo to join the Tokyo mineral show as a seller.
It was finished yesterday and I am writing for you in the guesthouse.
I'm not a seller, but some dealers who read my blog had called me.
I had been too busy to check any mails at all.

In fact, Imori's Victoria Stone had not been given the valuation in Japan.
Everybody forgot that awesome jewelry.
I guess that's why most of them brought out to outside Japan.
I had known it for about 5 years, but almost Japanese didn't know it about this time last year.
It was so expensive for me.
I was longing for and never forgot it, and finally I could get it last year with your help.

Once, you told me about A's amazing bulk offer...was it one month ago?
In the Mineral Show, she came to me and gave her business card.
She said she grew fond of Victoria Stone recently - her great discovery.
After she got them for selling, she knew my Victoria Stone's blog article by her friends.
Why me, Why now?
I could not say her anything.
She said me it's nothing but business.

But her Vicrotia Stone is not sold out...because another seller had many stocks of Victoria Stone for best price.
That's an old man Mr.B who has been worked long time for Jewelry.
I found his booth in Tokyo Mineral Show through my friend.
Surprisely, he had Dr.Imori's originally ones.
I will write about another story of Victoria Stone.

There was only one who loved Victoria Stone in Japan.
He was gone 10 years ago.
Mr. B has taken over his stock, but it remained because Japanese doesn't like man-made Jewelry.
But this year, many customers visited B's shop and bought it.
When B was confused, his daughter told him about my blog.
In Japan, there was no articles on the web mentioned about Victoria Stone, without mine.
His daughter made brochure printing for her father, by referring to my blog article.

At first I visited his booth, he didn't greet me but said he knew about Usakoff - after I showed my staff pass.
I do not want to sell Victoria Stone but I purchased it for my blog readers.
B had been selling Victoria Stone for 10yen/1g.
I told him it would be so cheap.
It must be sold out soon...all wrong sellers coming soon!
I heard a rumor in this show, there would be two Japanese sellers who have Victoria Stone stock.
One was A and another was unknown - I thought as Chinese faker - but B was genuine seller who has no web shop.

On last day of the show, I visited B again.
He was selling Victoria Stone 100yen/1g, also for me...he has changed.
His wife showed me the copies mentioned about Victoria Stone.
It was different from her daughter's and I understood its meaning.
She said me "go out. you're outsider".

But Mr. B stopped her, and said me;
"you can take them as you want, I can share with you just for $50.00."
I selected 3 pieces and I could not hope for many because it's sure it was Imori's wish.

Before leaving his booth, he handed me a synthetic Emerald.
How amazing gift! - it was also Imori's work.
No one knows about it, only him.
It was specially awesome gift for me; however, it's sure it also disappeared from the Historical Records of Japan.

After I will take a picture of it to send you.
I think Dr. Imori had loved green color of Nephrite in memories of his son.
I found out him father's love again, also daughter's.

Once in the past - Victoria Stone had faded away in Japan.
Why does people come to want it suddenly?
It might be the warning from Imori in my dream "Hatsuyume".
I guess he appeared in my dream and told me not to see People's Dark Side, but I done.


2012/12/07

インファナイト


インファナイト
Infinite Stone
Northern Province, South Africa



独特の優しい模様や手ざわりを特徴とするヒーリングストーン、インファナイト(インフィナイト)。
クリソタイル(白石綿)を中心に構成されるサーペンティンの一種である。
1996年、南アフリカにおいてスティーヴン・ロスリー氏により見出され、世界に紹介された。
アジョイトを求め南アフリカを訪れていたロスリー氏は、この石に特別なインスピレーションを受け、"無限" を意味するインファナイトの名を与えたという。
インファナイトはその後、ジュディ・ホール氏やロバート・シモンズ氏といった世界的クリスタルヒーラーから高い評価を受けた。

インファナイトはいわば、白石綿の塊。
石綿から成る鉱物と聞いて驚いてしまう方もおられるかと思うが、砕いて吸引しない限り問題ない。
石綿、アスベストにまつわるヒーリングストーンは多い。
いまや私たちの命を脅かす存在と成り果ててしまったアスベストも、古代より神聖視されてきた鉱物のひとつだった。
以前も記したが、鉱物が人類にもたらした負の歴史は、自然には存在し得ない量の資源を掘り起こし、暮らしを豊かにしようとした人類への報いだと思っている。

先日、インファナイトをお探しとのご相談を受けた。
私にはその方に確かな情報をお伝えすることができなかった。
というのも、どうもおかしなことになっている。
ネットでは、鮮やかなグリーンやイエロー、茶系の石がインファナイトとされ、高価なブレスレットとなって紹介されている。
発見者であるスティーヴン・ロスリー氏自ら紹介したと説明しているところがあるのは不可解。
国内に限ったことではない。
私が持っているインファナイトとは、色、質感ともに、明らかに異なるものである。

写真は3年ほど前に入手したインファナイト。
現在インファナイトとして流通している石とは異なる石だ。
もう採り尽くされてしまったのかもしれない。
インファナイトの魅力は、人を選ばない(名目上はヒーラーのための石なのに、ヒーラー以外も楽しめる)というアバウトさ、親しみやすさ。
私の脳内のレアストーンリストに長らく残ったままになっていたこの石に今、何が起きているのだろう。

初めてこの石を知ったとき、インファナイトは「サーペンティンとクリソタイルの混在した非常に珍しい鉱物」と紹介されていた。
なぜ問題にならないのか、長らく不思議に思っている。
サーペンティンは鉱物のグループ名。
アンチゴライト、リザーダイド、そしてクリソタイルの3つの鉱物を総称してそう呼んでいる。
そう、クリソタイルはサーペンティンの一種を指す言葉なのだ。
リザーダイドについては、北欧から産出する鮮烈な黄緑色の石が知られているが、リザーダイドとサーペンティンが混在した鉱物という言い方はしない。
リザーダイドについてはなかなか流通しないから、レアストーンと呼んで差し支えないと思う。
かつてのインファナイトも珍しかったから、希少価値がついたのだ。
現在、世界的に流通している色濃い緑や黄色のインファナイト。
どう見ても他所から産出したサーペンティン。
残念ながら、サーペンティンは世界中から産するありふれた鉱物である。

写真は手持ちの南アフリカ産インファナイト。
4,5年前に入手した。
ロスリー氏の資料をあたると、どうもこのグレーグリーンの石が本来のインファナイトのよう。
インファナイトの詳細な産地は明かされておらず、詳しい産状はわからない。
同じ土地から、濃い緑や黄色のインファナイトも産出するということになるのだろうか。

もともとサーペンティンが好きだった。
サーペンティンといえば深緑から黄緑、イエローと色合いは幅広く模様も多彩。
インファナイトのすべすべの手触り、優しい色合いや質感、惑星のような独特の模様は、そんなサーペンティンを凌ぐ魅力に溢れていた。
しばしば "ヒーラーズ・ストーン" と紹介されるインファナイト。
この表現をすっかり気に入った私は、ヒーリングストーンを軒並みヒーラーズ・ストーンとご紹介してしまった。
反省している。
私はクリスタルヒーラーではない。
日本にクリスタルヒーラーが登場したのはごく最近のこと。
過去には危険思想やカルトと混同され嫌悪される日本を離れ、欧米や南米、インドなど、海外を拠点に活動される人のほうが多かった。
実際、日本でやるとそうなってしまう。
パワーストーンは苦手だという方からお話を伺うと、恐ろしい新興宗教やオカルト思想の一種とお感じの様子。
そうではないというと嘘になる。

かつて、鉱物を愛する人々は、パワーストーンブームがおかしな方向へ向かうことを警戒していた。
鉱物と併せ、ヒーリングストーンも好む人々の間には、掟のようなものがあった。
(私の周りだけかもしれないが)自分たちの中からクリスタルヒーラー、つまり特別な人間が誕生してはならないというものだ。
選民意識への反発、石への敬意と探究心、謙虚さ。
誰でも平等に、興味を抱いたあらゆる石を手にするべきだという、節義をわきまえた人々が居た。
石ではなく自分自身を愛する人々には、そうした発想は皆無だった。
今回のアセンションには、クリスタルヒーリングにおける過ちが関係している。

忘れてはいけないことがある。
インファナイトはクリスタルヒーラーになれる石ではない。
或いは、インファナイトが絶対的な「無限」を意味するとは限らない。
スーパーセブン、ティファニーストーンエイラットストーン、そしてこのインファナイトまでも、クリスタルヒーリングを愛する人を試すかのような存在になってしまった。
欧米において、南アフリカ産にそっくりな中国産インファナイトが堂々販売されているのを目撃した。
中国で「牛油玉」と呼ばれ大量に流通している岩石みたい。
名前が恐い。
南アフリカ産がサラサラなのに対して、中国産はツルツル光っている。
本来のインファナイトを一度でも手に取ったことのある人なら気づくはずだが、写真だけでは判断できない難しさがある。


インファナイトについて語るロスリー氏




ダライラマ似のスティーヴン・ロスリー氏自らインファナイトについて語っている
手にはジュディ・ホール氏やロバート・シモンズ氏の著書も
紹介されているのはグレーを基調としたかつてのインファナイトに同じもの


未測定

2012/12/04

セフトナイト/アフリカンブラッドストーン


アフリカンブラッドストーン
African Bloodstone/Seftonite
Arathi Highlands, Swaziland



一見するとインド産ブラッドストーンにも見えるこの石は、アフリカのスワジランドという珍国からやってきた。
日本の収集家さんが即売会で入手されたものと伺った。
スワジランドのインパクトに驚き、条件反射的に購入した。
ブラッドストーンではないが、よく似ているため、アフリカンブラッドストーンの愛称で呼ばれている。
他にセフトナイト(日本で訳されている例は見当たらなかった)と呼ばれたり、チェリーオーキッドアゲート、チェリーボルケーノアゲート、ボルケーノアゲート等々、流通名はまちまち。

鉱物としてはマーカサイトを豊富に含むカルセドニーの一種で、微細なパイライトを伴って発見されるという。
見た目よりもずっと軽い。。
研磨品はまるで火山性オブシディアンのような質感だが、オブシディアンとは異なり結晶している。
灰緑色と赤の模様は鉄分に由来する。
文末に研磨品の写真を掲載した。
磨くと光沢を増し、色合いが鮮明になるという特徴がある。
以上がアフリカンブラッドストーン/セフトナイトのプロフィール。

当初、私にはスワジランドがなんだか分からなかった。
国の名前だということはわかった。
スワジランドは南アフリカに隣接する小さな国で鉱業が盛ん、ということくらいしかわからない。
後日、この未知の鉱物がなんと、欧米で高い評価を得ていることを知る。
一見した時は同じものとわからなかった。
原石とはあまりに印象が違いすぎる。
もう一度、文末に掲載の研磨品をみていただきたい。
チェリーやオーキッド(蘭)のイメージとはかけ離れた、著しい変身の結果が見て取れると思う。
スワジランド産というヒントがなければ気づかなかった。
研磨前・研磨後のギャップは、この石の明暗を分けると言っても過言ではない。
日本で知名度を上げるには、ビーズへの加工が前提。
アフリカンブラッドストーンを日本市場に定着させるには、研磨後のそれを、癒しのパワーに変える必要がある。

ふと、思い立った。
朱色のインパクトが強すぎるのだ。
そう、神社である。
全国の数ある神社の中から、この石のイメージに合う神社をチョイスすればよい。
1分後、この石の和名が決まった。


日本三景、瀬戸内海に浮かぶ厳島神社の鳥居を見ていただきたい。
社殿との色合いのコントラストは、まさにアフリカンブラッドストーンの研磨品そのものである。
平安時代を思わせるこの荘厳な姿は、癒しに通ずる(断言)。
ゆえに、アフリカンブラッドストーンはヒーリングストーンに間違いない(断言)。
幸い、まだ誰もこの石のことをご存じないようである。
ここぞとばかりに、クリスタルヒーリングにおける新たな可能性を示唆しておきたい。
謎の国・スワジランドから届けられたこの石は、日本人の美意識にふさわしい癒しのクリスタルだったのである。

以前広島を一人旅したさい、船に乗って厳島神社を見に行ったのを思い出す。
確か、満ち潮でほとんど見えなかった記憶がある。
フェリーで上陸した宮島は、鹿だらけだった。
鹿は神の使いだという。

話を元に戻そう。
由緒ある日本の美意識を現代に伝えるこのスワジランド産・厳島神社は、ヒーリングストーンとしての新たなる可能性を秘めている。
ただし、日本市場向けに、ビーズに加工する必要がある。
厳島神社といえど、好みはわかれるかもしれない。
原石のままであれば、カルセドニーならではのデリケートな雰囲気に、癒しを感じる方も多いのでは。
深いグリーンの色合いや優しい質感を生かし、原石に近い形で楽しむ方法はないものかと考えている。




53×33×15mm  26.97g

今週、話題性が確認された10の鉱物

What Mineral Would You Take with You to A Deserted Island?