2012/08/11

ミッドナイトレースオブシディアン




ミッドナイトレースオブシディアン
Midnight Lace Obsidian
Glass Buttes, Oregon, USA



墨を溶かしたような幻想的な風景の見えるオブシディアン(黒耀石)。
透明感のあるスモーキーオブシディアンに、レースのような黒い模様が入っている。
傾けることで光の屈折が起こり、その光景が揺らいでみえるさまは、なるほど深夜の蝋燭を思わせる。
原石は黒い塊。
これを薄くスライスすることによって、ようやく本来の魅力が発揮される。
米・オレゴン州の秘境まで車を飛ばし、ハンターたちは今日もオブシディアンハンティングに余念がない。
自分で見つけ、自分で磨くのはアメリカに限ったことではないが、英雄の頂点になりたいアメリカンたちにはそうした傾向が強いようである。

ミッドナイトレースオブシディアンは、もともとはアルメニアで採掘されていた。
このところ、オレゴン州から質の良い原石が多く見つかっている。
クリスタルヒーラーのメロディ氏が著書で紹介したため、ヒーリングストーンとしても流通するようになった。
この石の魅力はやはり模様の美しさ。
だが、こうした石の模様を愛でる人というと、少し年齢層が上がる印象がある。
近年のパワーストーンブームにおいては、模様は重視されない。
ビーズの場合、石の個性がかえって邪魔になってしまうことがある。
模様を楽しむはずの石なのに、模様が無い。
石そのものより名前、そしてその名前の持つパワーに価値が置かれた結果かもしれない。
日本におけるパワーストーンは、いわば言霊のようなもの。
ある程度大きさがないと楽しめないから、日本では人気は出ないのではないか。
そう考えていた。

しかしながら、今見たら、ビーズに加工され、絶賛発売中であった。
これはまったく予想していなかったので、驚いた。
本来の流れるような黒い模様は損なわれている。
もともと天然ガラスなだけあってピカピカなものだから、スーパーのアクセサリー売り場で量販されている感が否定できない。
縞瑪瑙と間違える人も現れそうな気がする。
これは好き嫌いがわかれるのでは。
珠に磨くことでずいぶん印象が変わってしまうので、オーバルカットなどを選ぶといいかもしれない。
いっぽうで、磨き上げてしまうことより、光の移り変わるさまは見られなくなることが予想される。
禅のこころをあらわすかのような、この趣あるミッドナイトレースオブシディアンを私は選ぶ。


118×76×3mm  60.86g

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