2012/08/05

ピンクペタライト


ピンクペタライト
Pink Petalite
Karibib District, Erongo, Namibia



サクサク、フワフワ。
お茶うけに出てきそうなピンクのこの石は、ヒーリングストーンとして高い人気を誇るペタライト(ぺタル石/葉長石)。
ブラジルから産出する無色透明の結晶が有名だが、稀に不透明なピンクの塊となって発見されることがある。
写真は、ペタライトの名を知って間もない頃に入手した大きな原石。
表面の様子(劈開・へきかい)や鈍いガラス光沢に、ペタライトの特徴が現れている。
四角く切断されているため元の形についてはわからない。
いっぽうで、風化が進みやすいのか、2面は色あせてしまっている。
時間が経つと黄ばんでくる(?)ことが多いのも対応に困るところ。
ゴールデンヒーラーと呼んでしまう人も現れそうだ。

ペタライトはリチウムの発見に貢献したとされる鉱物。
精神科では安定剤として、陶芸の世界では素材の強化に使われるなど、リチウム資源としての用途は幅広い。
クリスタルヒーリングの分野では、天使の祝福を受けた石とされ、人気は依然として高い。
かつて白だと思われていたペタライトにピンクがあるとわかったとき、誰もが飛びついた。
初期には透明結晶を含む巨大なピンクペタライトが流通した。
現在はタンブルやビーズが主流となっている様子である。
いったん磨かれてしまうと、ペタライトかどうかを見分けるのは至難の業。
ローズクォーツやモルガナイトだと言われてもわからない。
華々しいチェリーピンクに染色されたとみられる怪しいペタライトも登場している。

ピンクペタライトの産地に関しては、かねてからの疑問であった。
加工品の表記はブラジルであったり、アフリカ(のどこか)であったり、アフガニスタンであったりと、アバウトな印象が拭えない。
さらに、中国の新疆ウイグル自治区からピンクペタライトが発見されているという。
現地は隠れた鉱物の名産地。
きな臭い噂の絶えない彼の地に、素晴らしい鉱物が数多く眠っている。

推測の域を出ないが、タンブルやビーズなどで僅かに流通しているのは、新疆ウイグル自治区から出たものかもしれない。
数年前から話には聞いていた。
中国産のペタライト標本が見当たらないところを見ると、既に加工にまわされてしまった可能性もある。
この原石に関しては、ナミビア産との表記に従うこととする。

ペタライトにはさまざまな色合いがある。
無色透明、ピンク、イエローのほかに、青や薄紫、オレンジなども。
ミャンマーからはゴールドに輝くペタライトが発見され、愛好家の間で珍重されている。
ありふれた、それでいて個性豊かな、ここ日本からも産出するペタライトの魅力は計り知れない。


40×38×36mm  90.97g

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